Hitachi

JP1 Version 12 JP1/IT Desktop Management 2 導入・設計ガイド


2.16.4 理想消費電力量(理論値)と消費電力量(理論値)の算出方法

理想消費電力量(理論値)は、[グリーンITの設定]ダイアログで設定した省電力の基準値を基に算出されます。消費電力量(理論値)は、各コンピュータの設定を基に算出されます。

コンピュータの稼働時間については、理想消費電力量(理論値)、消費電力量(理論値)共に、[グリーンITの設定]ダイアログで設定したモデルケースの値を使用しています。

1時間当たりの消費電力は、次の表に示す省電力設定の組み合わせによる値の合計で算出されます。

項番

モニタの状態

コンピュータ本体の状態

1時間当たりの消費電力(ワット)

1

通常時(30)

通常時(39)

69

2

ハードディスクの電源を切る(35)

65

3

システムスタンバイ(3)

33

4

システム休止状態(0)

30

5

電源を切る(0)

通常時(39)

39

6

ハードディスクの電源を切る(35)

35

7

システムスタンバイ(3)

3

8

システム休止状態(0)

0

注 括弧内の数字は、1時間当たりの消費電力(単位:ワット)です。なお、コンピュータ本体の状態は重複することはありません。複数の省電力設定が同時に動作する場合は、消費電力が小さい方になります。

注※ 省電力設定が動作していない状態です。

理想消費電力量(理論値)の算出方法

理想消費電力量(理論値)は、[グリーンITの設定]ダイアログで設定した省電力設定の判定基準がコンピュータに適用され、モデルケースどおりに稼働した場合の値です。

ここでは、次に示す条件で理想消費電力量(理論値)の算出方法を説明します。

理想消費電力量(理論値)は、コンピュータの稼働時間を操作している時間と操作していない時間に分けて、上の表で示した値を基に算出します。

操作している時間

モデルケースの設定に従って、1日当たりの稼働時間(8時間)からコンピュータを操作しない時間(60分×1)と(10分×6)を除きます。この例では、操作時間は次のようになります。

8時間−2時間=6時間

操作時は省電力設定が動作していない状態です。このため、上の表の項番1の状態が当てはまります。計算式は次のようになります。

69×6時間=414(ワット時)

操作しない時間

モデルケースの設定に従い、「60分×1回」と「10分×6回」の2種類になります。

「60分×1回」の消費電力量

「モニタの電源を切る」に5分が設定されているので、上の表の項番1の状態が5分続いたあとでモニタが電源OFFになります。「ハードディスクの電源を切る」に30分が設定されているので、上の表の項番5の状態が25分間続いたあとでハードディスクが電源OFFになります。そのあとは、「システムスタンバイ」に1時間が設定されているので、残りの30分が上の表の項番6の状態となります。したがって、計算式は次のようになります。

(69×5分÷60分)+(39×25分÷60分)+(35×30分÷60分)=39.5(ワット時)

「10分×6回」の消費電力量

この消費電力量についても、上記の「60分×1回」の消費電力量と同じ方法で計算されます。上の表の項番1の状態が5分続いたあと、上の表の項番5の状態が5分続きます。この状態が6回となります。したがって、計算式は次のようになります。

{(69×5分÷60分)+(39×5分÷60分)}×6回=54(ワット時)

理想消費電力量(理論値)

コンピュータを操作している時間と操作しない時間の消費電力量の合計に、コンピュータの台数を掛けた値が理想消費電力量(理論値)になります。したがって、計算式は次のようになります。

(414+39.5+54)×100台=50,750(ワット時)

消費電力(理論値)の算出方法

消費電力量(理論値)は、各コンピュータで設定している省電力設定でモデルケース(コンピュータの使用状況)どおりに稼働した場合の値になります。

消費電力量(理論値)の算出方法は、理想消費電力量(理論値)と同じです。コンピュータの台数および設定例と、その設定の場合の消費電力量(理論値)の計算を次に示します。

消費電力量(理論値)の計算式

1台当たりの消費電力量(理論値):(69×6時間)+(69×10分÷60分)+(39×20分÷60分)+(35×60分÷60分)+{(69×10分÷60)×6回}=542.5(ワット時)

100台の消費電力量(理論値):542.5×100台=54,250(ワット時)

このようにして、設定を基に各コンピュータの消費電力量が計算され、消費電力量(理論値)として合計されます。なお、消費電力量(理論値)は、省電力設定の情報が取得できたコンピュータだけを対象に算出されます。