trapsend
形式
SNMPv1トラップを送信する場合の形式を示します。
trapsend -v1 [-ipv6] [-port ポート番号] ノード名 コミュニティ名 標準トラップ番号 [拡張トラップ番号 企業ID [タイムスタンプ [オブジェクト識別子 値のシンタクス 値] [オブジェクト識別子 値のシンタクス 値] ... ] ]
SNMPv2cトラップを送信する場合の形式を示します。
trapsend -v2c [-ipv6] [-port ポート番号] ノード名 コミュニティ名 トラップOID [タイムスタンプ [オブジェクト識別子 値のシンタクス 値] [オブジェクト識別子 値のシンタクス 値] ... ]
機能
指定したIPv4ノードまたはIPv6ノードに対して,SNMPv1トラップまたはSNMPv2cトラップを送信します。
格納場所
-
AIX以外の場合:/opt/CM2/ESA/bin
-
AIXの場合:/usr/CM2/ESA/bin
引数
- -v1
-
SNMPv1トラップを送信します。
- -v2c
-
SNMPv2cトラップを送信します。
- -ipv6
-
IPv6ノードへトラップを送信します。省略するとIPv4ノードへトラップを送信します。
- -port ポート番号
-
トラップの宛先ポート番号を1〜65535の整数値で指定します。省略すると,162が仮定されます。それ以外の数値または数値以外の値が指定された場合は,メッセージを出力し,162を使用して処理を継続します。
- ノード名
-
IPアドレス,またはホスト名を指定します。
-ipv6指定時はipv6ノード(IPv6アドレスまたはIPv6アドレスに解決できるホスト名),それ以外の場合はipv4ノード(IPv4アドレスまたはIPv4アドレスに解決できるホスト名)を指定します。
- コミュニティ名
-
コミュニティ名を指定します。
- 標準トラップ番号
-
標準トラップ番号を0〜6の整数で指定します。拡張トラップを発行する場合は6を指定します。
数値以外が入力された場合,0(coldStart)を使用して処理を継続します。
- 拡張トラップ番号
-
拡張トラップ番号を32ビットの符号付き整数を10進表記で指定します。拡張トラップを発行する際は省略できません。数値以外が指定された場合は,メッセージを出力し,0を使用して処理を継続します。
- 企業ID
-
sysObjectIDを指定します。拡張トラップを発行する際は省略できません。
入力形式は「オブジェクト識別子(数字)の文法」に従います。この形式以外を指定すると,エラーメッセージを出力し,プログラムを終了します。
省略した場合は,次のsysObjectIDが仮定されます。
OS
sysObjectID
HP-UX (IPF)
1.3.6.1.4.1.116.3.9.1.3
Solaris
1.3.6.1.4.1.116.3.8.1.3
AIX
1.3.6.1.4.1.116.3.13.1.3
Linux
1.3.6.1.4.1.116.3.14.1.3
- トラップOID
-
トラップOIDを指定します。指定値は,「オブジェクト識別子(数字)の文法」に従います。
- タイムスタンプ
-
時刻を0以上の整数で指定します。省略した場合は,0を使用します。数値以外が入力された場合,メッセージを出力し,0を使用して処理を継続します。
- オブジェクト識別子,値のシンタクス,値
-
trapsendコマンドは,オブジェクト識別子 値のシンタクス 値の組み合わせを複数指定できます。
- オブジェクト識別子
-
値の形式は「オブジェクト識別子(数字)の文法」に従います。
- 値のシンタクス
-
次の型を選択できます。
指定値
型
説明
-i
INTEGER
32ビットの符号付き整数値を10進数,16進数(0x…)列で指定します。
-o
OCTET STRING
2桁ずつ半角コロンまたは半角スペースで区切った16進数を指定します(例:"0A B1 B3", 00:BB:F0)。
-d
OBJECT IDENTIFIER
形式は「オブジェクト識別子(数字)の文法」に従います。
-a
IpAddress
IPv4アドレス形式
-c
Counter32
32ビットの符号なし整数値
-g
Gauge32
32ビットの符号なし整数値
-t
TimeTicks
32ビットの符号なし整数値
-D
OCTET STRING
NVT ASCIIコードの文字列
-N
NULL
値には数値を指定しますが,入力された値は無視されます。
- 値
-
シンタクスに正しい値を指定します。
- オブジェクト識別子(数字)の文法
-
trapsendコマンドでは,オブジェクト識別子を数字で指定する際,次の形式に従う必要があります。
0-2.0-39[.0-4294967295[.0-4294967295…]]
戻り値
- 0:正常終了
-
SNMPトラップはUDPで送信するので,相手ノードとの送達確認はしません。そのため,正常終了した場合でも相手ノードに通知されない場合があります。また,trapsendコマンド実行時に標準出力または標準エラー出力にメッセージが出力された場合でも戻り値が0の場合は,SNMPトラップは送信されます。
- 0以外:実行時エラー
-
SNMPトラップは送信されません。
実行例
SNMPv1トラップの送信例について説明します。
- SNMPv1トラップの送信例1
-
IPv4アドレス192.168.1.5を持つノードに対して,コミュニティ名sendtrapでcoldStartトラップ(標準トラップ番号0)を送信する例を示します。
trapsend -v1 192.168.1.5 sendtrap 0
- SNMPv1トラップの送信例2
-
IPv6アドレスfec0::1111:2222:3333:4444:5555を持つノードのポート22162に対して,コミュニティ名sendtrap,enterpriseSpecificトラップ(標準トラップ番号6),拡張トラップ番号5,企業IDが1.3.6.1.4.1.116.3.14.1.3の拡張トラップを送信する例を示します。
trapsend -v1 -port 22162 -ipv6 fec0::1111:2222:3333:4444:5555 sendtrap 6 5 1.3.6.1.4.1.116.3.14.1.3
- SNMPv1トラップの送信例3
-
IPv6アドレスに解決できるホスト名esaipv6に対して,コミュニティ名sendtrapでlinkDownトラップ(標準トラップ番号2)を企業ID1.3.6.1.4.1.116.3.14.1.3で送信する例を示します。タイムスタンプは10000とします。「オブジェクト識別子 値のシンタクス 値」の組み合わせを1つ付与します(オブジェクト識別子:1.3.6.1.2.1.2.2.1.1.3,値のシンタクス:Integer,値:3)。
trapsend -v1 -ipv6 esaipv6 sendtrap 2 0 1.3.6.1.4.1.116.3.14.1.3 10000 1.3.6.1.2.1.2.2.1.1.3 -i 3
SNMPv2cトラップの送信例について説明します。
- SNMPv2cトラップの送信例1
-
IPv4アドレス192.168.1.5を持つノードに対して,コミュニティ名sendtrap,warmStartトラップ(オブジェクト識別子:1.3.6.1.6.3.1.1.5.2)を送信する例を示します。
trapsend -v2c 192.168.1.5 sendtrap 1.3.6.1.6.3.1.1.5.2
- SNMPv2cトラップの送信例2
-
IPv6アドレスfec0::1111:2222:3333:4444:5555を持つノードに対して,コミュニティ名sendtrap,タイムスタンプ79000でlinkUpトラップ(オブジェクト識別子:1.3.6.1.6.3.1.1.5.4)を送信する例を示します。オブジェクト識別子 値のシンタクス 値の組み合わせを1つ付与します(オブジェクト識別子:1.3.6.1.2.1.2.2.1.1.3,値のシンタクス:Integer,値:3)。
trapsend -v2c -ipv6 fec0::1111:2222:3333:4444:5555 sendtrap 1.3.6.1.6.3.1.1.5.4 79000 1.3.6.1.2.1.2.2.1.1.3 -i 3
注意事項
-
snmptrapコマンドと異なり,SNMPv1トラップのパケットのAgent Addressフィールドは指定できません。
-
Agent Addressフィールドは,トラップの宛先ノードがIPv4ノードだった場合,エージェントシステムのIPアドレス(該当するシステムのOSの関数を使用して取得したホスト名を,OSの関数を使用してIPアドレスに変換した値)が入力されます。
-
トラップの宛先ノードがIPv6ノードだった場合は,Agent Addressフィールドに0.0.0.0が入力されます。ただし,宛先ノードがIPv6ループバックアドレス(::1)だった場合は,127.0.0.1が入力されます。また,トラップの宛先ノードがIPv4射影アドレスの場合は,エージェントシステムのIPv4アドレスが入力されます。