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JP1 Version 12 JP1/Extensible SNMP Agent


2.8.1 IPv6通信を利用する設定とトラップ宛先の設定

IPv6通信を利用する設定とIPv6のトラップ宛先の設定について説明します。

操作手順

  1. SNMPエージェントが起動している場合,/opt/CM2/ESA/bin/snmpstopコマンドをスーパーユーザーで実行する。

    SNMPエージェントが停止されます。

  2. 環境変数定義ファイルSnmpMasterの起動オプション環境変数SNMP_MASTER_OPTIONSで引数-ip_protoを指定する。

    インストール時の環境変数定義ファイルSnmpMasterには,デフォルトで引数-ip_protoが定義されていません。引数-ip_protoの詳細については,「5. コマンドとプロセス」の「snmpdm」を参照してください。SNMPマネージャーとSNMPエージェントがIPv6だけで通信する場合の設定例を次に示します。

    SNMP_MASTER_OPTIONS="-ip_proto ipv6 -tcplocal -aperror -apwarn -apverbose -hexdump -vbdump"
    export SNMP_MASTER_OPTIONS
  3. /etc/srconf/agt/snmpd.cnfを任意の場所にバックアップする。

  4. snmpd.cnfのsnmpTargetAddrEntryを編集する。

    編集方法は,「2.8.1(1) 構成定義ファイル(/etc/srconf/agt/snmpd.cnf)のカスタマイズ」を参照してください。

  5. /opt/CM2/ESA/bin/snmpstartコマンドをスーパーユーザーで実行する。

    SNMPエージェントが起動され,設定した内容が反映されます。

〈この項の構成〉

(1) 構成定義ファイル(/etc/srconf/agt/snmpd.cnf)のカスタマイズ

snmpd.cnfファイルのsnmpTargetAddrEntryにトラップの宛先を設定します。snmpd.cnfには,次の設定テンプレートがあらかじめ入力されています。

#snmpTargetAddrEntry <CONFIG_NAME> transportDomainUdpIpv6 \
#    [<IPv6_ADDRESS>]:0 0 0 TrapConf <v1TrapParams|v2cTrapParams> readOnly \
#    [ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff]:0 2048

設定テンプレートをコピーし,行頭の#を削除して設定を有効にします。< >で囲んだ個所を編集して,トラップの宛先を設定してください。このとき,< >は削除してください。また,トラップの宛先をさらに追加する場合は,snmpTargetAddrEntryの定義を追加してください。

表2‒3 snmpd.cnfの設定項目

設定項目

説明

<CONFIG_NAME>

任意の名前で設定名を指定します。

複数のトラップ宛先を設定する場合,設定名はユニークにしてください。設定名には,32文字以内で,半角英数字と半角アンダースコアを使用できます。

<IPv6_ADDRESS>

トラップの宛先をIPv6アドレスで指定します。ホスト名は指定できません。

<v1TrapParams | v2cTrapParams>

SNMPトラップのプロトコルバージョンを指定します。

SNMPv1トラップの場合

v1TrapParamsを指定します。

SNMPv2cトラップの場合

v2cTrapParamsを指定します。

注※

スコープID付きのIPv6アドレスを指定する場合,snmpTargetAddrEntryの定義行の「transportDomainUdpIpv6」の部分を「transportDomainUdpIpv6z」と記述してください。

(2) 構成定義ファイル(/etc/srconf/agt/snmpd.cnf)の設定例

SNMPv1トラップを,IPアドレスfec0::1111:2222:3333:4444:5555のインタフェース番号1へ送信する場合の設定例を次に示します。設定名は「Trapsend_SNMPv1_IPv6」とします。%スコープIDを指定する場合,「transportDomainUdpIpv6z」と記述する必要があることに注意してください。

snmpTargetAddrEntry  Trapsend_SNMPv1_IPv6 transportDomainUdpIpv6z \
    [fec0::1111:2222:3333:4444:5555%1]:0 0 0 TrapConf v1TrapParams readOnly \
    [ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff]:0 2048

SNMPv2cトラップを,IPアドレスfec0::1111:2222:3333:4444:5555に,%スコープIDを指定しないで送信する場合の設定例を次に示します。設定名は「Trapsend_SNMPv2c_IPv6」とします。

snmpTargetAddrEntry  Trapsend_SNMPv2c_IPv6 transportDomainUdpIpv6 \
    [fec0::1111:2222:3333:4444:5555]:0 0 0 TrapConf v2cTrapParams readOnly \
    [ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff]:0 2048

SNMPv2cトラップを,IPアドレスfec0::1111:2222:3333:4444:5555とIPアドレスfec0::aaaa:bbbb:cccc:dddd:eeeeに,%スコープIDを指定しないで送信する場合の設定例を次に示します。設定名は「NNM_1」と「NNM_2」とします。複数のトラップ宛先を設定する場合,設定名はユニークにする必要があることに注意してください。

snmpTargetAddrEntry NNM_1 transportDomainUdpIpv6 \
    [fec0::1111:2222:3333:4444:5555]:0 0 0 TrapConf v2cTrapParams readOnly \
    [ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff]:0 2048
snmpTargetAddrEntry NNM_2 transportDomainUdpIpv6 \
    [fec0::aaaa:bbbb:cccc:dddd:eeee]:0 0 0 TrapConf v2cTrapParams readOnly \
    [ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff:ffff]:0 2048

SNMPv1トラップでもSNMPv2cトラップでも,IPv6アドレスを[ ]で囲む必要があります。記述漏れに注意してください。