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JP1 Version 12 JP1/SNMP System Observer


11.1.2 SSOクラスタシステムの物理構成

SSOのクラスタシステムは,アクティブ/スタンバイ構成の実行系および待機系の2ノードクラスタリングを構成します。

SSOで構成するクラスタシステムでは,各種定義ファイル,データベース,およびログファイルを共有ディスクに格納します。また,本来のデータがある実行系および待機系のディレクトリには,シンボリック・リンクを作成します。これによって,実行系で動作するSSOから共有ディスクにアクセスできるようになります。

一方,待機系からは共有ディスクにアクセスできません。そのため,待機系ではSSOを起動できません。

フェールオーバー(系切り替え)発生時には,障害が発生した実行系のSSOが停止し,共有ディスクにアクセスできなくなります。一方,待機系では,共有ディスクにアクセスできるようになり,SSOが起動します。

なお,デフォルトの構築手順でクラスタシステムを構築すると,SSOプロセスの異常終了はフェールオーバー発生の契機になりません。構築中に作成するクラスタ制御スクリプト,またはクラスタソフトを設定することによって,SSOプロセスの異常終了をフェールオーバー発生の契機にできます。クラスタ制御スクリプトとは,SSOプロセスを監視するスクリプトです。

クラスタ構成例を,次の場合に分けて説明します。

  1. 基本構成でIPv4ネットワーク環境の場合

  2. 基本構成でIPv6ネットワーク環境の場合

  3. 基本構成でIPv4/IPv6混在ネットワーク環境の場合

  4. 分散構成で,NNMiがクラスタ構成,SSOがクラスタ構成ではない場合

  5. 分散構成で,NNMiとSSOがクラスタ構成の場合

〈この項の構成〉

(1) 基本構成でIPv4ネットワーク環境の場合

基本構成でIPv4ネットワーク環境の場合のクラスタ構成例を次の図に示します。

図11‒1 クラスタ構成例(基本構成でIPv4ネットワーク環境の場合)

[図データ]

図のような構成の場合,ssoclustersetupコマンドの-construction -primaryオプション値に指定する論理IPアドレスは,論理ホストのIPv4のIPアドレスとなります。ssoclustersetupコマンドを実行すると,各動作定義ファイルのキー名に次の表に示す値が設定されます。各動作定義ファイルのキー名の詳細については,「7. 定義ファイル」を参照してください。

表11‒2 動作定義ファイルに設定される値(IPv4ネットワーク環境の場合)

動作定義ファイル

キー名

設定される値

ssoapmon.def

change-my-address:

論理ホストのIPv4のIPアドレス

snmp-address:

ssocolmng.def

change-my-address:

ssocollectd.def

snmp-address:

snmp-address-v6:

設定されない

ssorptd.def

default-disp-address:

論理ホストのIPv4のIPアドレス

(2) 基本構成でIPv6ネットワーク環境の場合

基本構成でIPv6ネットワーク環境の場合のクラスタ構成例を次の図に示します。

図11‒2 クラスタ構成例(基本構成でIPv6ネットワーク環境の場合)

[図データ]

実行系の物理ホストおよび待機系の物理ホストは,IPv4/IPv6デュアルスタックである必要があります。また,NNMi連携(通信)はIPv4であるため,IPv4の論理IPアドレスが必要です。

図のような構成の場合,ssoclustersetupコマンドの-construction -primaryオプション値に指定する論理IPアドレスは,論理ホストのIPv4のIPアドレスとなります。ssoclustersetupコマンドの-defsetオプション値に指定する論理IPアドレスは,論理ホストのIPv6のIPアドレスとなります。ssoclustersetupコマンドを実行すると,各動作定義ファイルのキー名に次の表に示す値が設定されます。各動作定義ファイルのキー名の詳細については,「7. 定義ファイル」を参照してください。

表11‒3 動作定義ファイルに設定される値(IPv6ネットワーク環境の場合)

動作定義ファイル

キー名

設定される値

ssoapmon.def

change-my-address:

論理ホストのIPv4のIPアドレス

snmp-address:

ssocolmng.def

change-my-address:

ssocollectd.def

snmp-address:

snmp-address-v6:

論理ホストのIPv6のIPアドレス

ssorptd.def

default-disp-address:

論理ホストのIPv4のIPアドレス

(3) 基本構成でIPv4/IPv6混在ネットワーク環境の場合

基本構成でIPv4/IPv6混在ネットワーク環境の場合のクラスタ構成例を次の図に示します。

図11‒3 クラスタ構成例(基本構成でIPv4/IPv6混在ネットワーク環境の場合)

[図データ]

実行系の物理ホストおよび待機系の物理ホストは,IPv4/IPv6デュアルスタックである必要があります。また,NNMi連携(通信)はIPv4であるため,IPv4の論理IPアドレスが必要です。

図のような構成の場合,ssoclustersetupコマンドの-construction -primaryオプション値に指定する論理IPアドレスは,論理ホストのIPv4のIPアドレスとなります。そして,ssoclustersetupコマンドの-defsetオプション値に指定する論理IPアドレスは,論理ホストのIPv6のIPアドレスとなります。ssoclustersetupコマンドを実行すると,各動作定義ファイルのキー名に次の表に示す値が設定されます。各動作定義ファイルのキー名の詳細については,「7. 定義ファイル」を参照してください。

表11‒4 動作定義ファイルに設定される値(IPv4/IPv6混在ネットワーク環境の場合)

動作定義ファイル

キー名

設定される値

ssoapmon.def

change-my-address:

論理ホストのIPv4のIPアドレス

snmp-address:

ssocolmng.def

change-my-address:

ssocollectd.def

snmp-address:

snmp-address-v6:

論理ホストのIPv6のIPアドレス

ssorptd.def

default-disp-address:

論理ホストのIPv4のIPアドレス

(4) 分散構成で,NNMiがクラスタ構成,SSOがクラスタ構成ではない場合

分散構成で,NNMiがクラスタ構成,SSOがクラスタ構成ではない場合のクラスタ構成例を次の図に示します。

図11‒4 クラスタ構成例(分散構成で,NNMiがクラスタ構成,SSOがクラスタ構成ではない場合)

[図データ]

NNMiへの接続情報の設定では,ssonnmsetupコマンドの-hostオプション値に論理IPアドレスまたは論理ホスト名を指定します。

SSOのホスト(監視マネージャ)はクラスタ構成ではないため,ssoclustersetupコマンドを実行する必要はありません。

IPv6ネットワーク環境またはIPv4/IPv6混在ネットワーク環境の場合,SSOホスト(監視マネージャ)もIPv4/IPv6デュアルスタックである必要があります。

(5) 分散構成で,NNMiとSSOがクラスタ構成の場合

分散構成で,NNMiとSSOがクラスタ構成の場合のクラスタ構成例を次の図に示します。

図11‒5 クラスタ構成例(分散構成で,NNMiとSSOがクラスタ構成の場合)

[図データ]

NNMiへの接続情報の設定では,ssonnmsetupコマンドの-hostオプション値にNNMiの論理IPアドレスまたは論理ホスト名を指定します。

図のような構成の場合,ssoclustersetupコマンドの-construction -primaryオプション値に指定する論理IPアドレスは,SSOの論理ホストのIPアドレスとなります。ssoclustersetupコマンドを実行すると,各動作定義ファイルのキー名に次の表に示す値が設定されます。各動作定義ファイルのキー名の詳細については,「7. 定義ファイル」を参照してください。

表11‒5 動作定義ファイルに設定される値(分散構成で,NNMiとSSOがクラスタ構成の場合)

動作定義ファイル

キー名

設定される値

ssoapmon.def

change-my-address:

SSOの論理ホストのIPアドレス

snmp-address:

ssocolmng.def

change-my-address:

ssocollectd.def

snmp-address:

snmp-address-v6:

設定されない

ssorptd.def

default-disp-address:

SSOの論理ホストのIPアドレス

IPv6ネットワーク環境またはIPv4/IPv6混在ネットワーク環境の場合,監視マネージャ(実行系)および監視マネージャ(待機系)は,IPv4/IPv6デュアルスタックである必要があります。また,NNMi連携(通信)はIPv4であるため,IPv4の論理IPアドレスが必要となります。そして,ssoclustersetupコマンドの-defsetオプション値に指定する論理IPアドレスはSSOのIPv6の論理IPアドレスとなります。ssoclustersetupコマンドを実行すると動作定義ファイル(ssocollectd.def)のキー「snmp-address-v6:」にSSOのIPv6の論理IPアドレスが設定されます。