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JP1 Version 12 JP1/Network Node Manager i セットアップガイド


24.4.1 アプリケーションフェイルオーバー構成のNNMi 12-10からのアップグレード

NNMiアプリケーションフェイルオーバー設定で実行している12-10のNNMiをアップグレードする場合,次の手順に従ってください。

〈この項の構成〉

(1) アプリケーションフェイルオーバー構成のNNMi 12-50へのアップグレード

アプリケーションフェイルオーバーを設定しているNNMi 管理サーバーをアップグレードするには,次の手順を実行します。

  1. 万一に備えて,以降の操作を行う前に,アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーの両方で,nnmconfigexport.ovplスクリプトを実行する。

    詳細については,「4.2 ベストプラクティス:既存の設定を保存する」を参照してください。

  2. 万一に備えて,以降の操作を行う前に,アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーのNNMiデータをバックアップする。

    詳細については,「20.2.2 バックアップ領域」を参照してください。

  3. アクティブNNMi管理サーバーで次の手順を実行する。

    nnmclusterの手順が機能するには,NNMiを実行している必要があります。この手順を完了すると,手順7.で示すスタンバイNNMi管理サーバーの起動が速くなります。

    a nnmclusterコマンドを実行します。

    b NNMiに入力を求められたら,「dbsync」と入力し,[Enter]キーを押します。表示される情報に次のメッセージが含まれていることを確認します。

    • ACTIVE_DB_BACKUP:アクティブNNMi管理サーバーが新しいバックアップを実行しています。

    • ACTIVE_NNM_RUNNING:アクティブNNMi管理サーバーが,前のメッセージによって示されたバックアップを完了しました。

    • STANDBY_RECV_DBZIP:スタンバイNNMi管理サーバーは,アクティブNNMi管理サーバーから新しいバックアップを取得しています。

    • STANDBY_READY:スタンバイNNMi管理サーバーは,アクティブNNMi管理サーバーで障害が発生した場合に実行できる準備が整えられています。

    c exitまたはquitを実行して,手順aで開始したインタラクティブnnmclusterプロセスを停止します。

  4. スタンバイNNMi管理サーバーでnnmcluster -shutdownコマンドを実行する。

    スタンバイNNMi管理サーバーのすべてのnnmclusterプロセスをシャットダウンします。

  5. スタンバイNNMi管理サーバーでnnmclusterノードが動作していないことを確認するには,スタンバイNNMi管理サーバーで次の手順を実行する。

    a nnmclusterコマンドを実行します。

    b (SELF)とマークされているもの以外にnnmclusterノード(ローカル)が存在しないことを確認します。1つ以上のリモートノードが存在する場合があります。

    c exitまたはquitを実行して,手順aで開始したインタラクティブnnmclusterプロセスを停止します。

  6. 次の手順をスタンバイNNMi管理サーバーで実行し,アプリケーションフェイルオーバーを一時的に無効にする。

    a 次のファイルを編集します。

    • Windows:%NNM_SHARED_CONF%\props\nms-cluster.properties

    • Linux:$NNM_SHARED_CONF/props/nms-cluster.properties

    b com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターをコメントにします。

    c 変更を保存します。

    d 次のファイルを編集します。

    • Windows:%NNM_DB%\Postgres\postgresql.conf

    • Linux:$NNM_DB/Postgres/postgresql.conf

    e 次に示すアプリケーションフェイルオーバーの設定内容を削除します。

     ・“# The following lines were added by the NNM cluster.”で始まる行

     ・”archive_command = ”で始まる行

     ・”archive_timeout = ”で始まる行

     ・”max_wal_senders = ”で始まる行

     ・”archive_mode = ”で始まる行

     ・”wal_level = ”で始まる行

     ・”hot_standby =”で始まる行

     ・”wal_keep_segments = ”で始まる行

     ・”listen_addresses = ”で始まる行

    f 変更を保存します。

    g 次の空ファイルを作成します。

    • Windows:%NNM_TMP%\postgresTriggerFile

    • Linux:$NNM_TMP/postgresTriggerFile

  7. スタンバイNNMi管理サーバーでプロセスを開始してから停止する。

    a スタンバイNNMi管理サーバーでovstartコマンドを実行します。ovstartコマンドを実行すると,スタンバイNNMi管理サーバーはトランザクションログをアクティブNNMi管理サーバーからインポートします。

    b ovstartコマンドの完了後,ovstatus -vコマンドを実行します。すべてのNNMiサービスで,[実行中]状態が表示されます。

    c スタンバイNNMi管理サーバーでovstopコマンドを実行します。

  8. 2. NNMiのインストールとアンインストール」およびリリースノートの指示に従い,スタンバイNNMi管理サーバーをNNMi 12-50にアップグレードする。

    証明書のリポジトリをPKCS #12リポジトリに移行していない場合は,アップグレード完了後に,以前のスタンバイ NNMi 管理サーバーにて「10.2 アップグレードされたNNMi環境で新しいキーストアーを使用するための設定」の手順に従い,PKCS #12リポジトリに移行してください。

    以前のアクティブNNMi管理サーバーがNNMi 12-10以前を実行し,以前のスタンバイNNMi管理サーバーがNNMi 12-50を実行しています。両方のNNMi管理サーバーが個別に動作し,データベースは同期していません。つまり両方のNNMi管理サーバーがネットワークを並行して監視しています。

    アップグレードを完了してこの状況を解決するには,以前のアクティブなクラスタノードをNNMi 12-50にアップグレードします。このアップグレードを完了する間,以前のスタンバイノードをオペレータに一時的に使用させてネットワークを監視させます。

    この手順の残りの部分では,以前のアクティブなクラスタノードのデータベース情報を維持して,以前のスタンバイノードのデータベース情報を破棄することを想定しています。

  9. 以前のアクティブNNMi管理サーバーでnnmcluster -haltコマンドを実行する。

  10. 以前のアクティブNNMi管理サーバーでnnmclusterノードが動作していないことを確認するには,以前のアクティブNNMi管理サーバーで次の手順を実行する。

    a nnmclusterコマンドを実行します。

    b (SELF)とマークされているもの以外にnnmclusterノード(ローカル)が存在しないことを確認します。1つ以上のリモートノードが存在する場合があります。

    c exitまたはquitを実行して,手順aで開始したインタラクティブnnmclusterプロセスを停止します。

  11. 次の手順を以前のアクティブNNMi管理サーバーで実行し,アプリケーションフェイルオーバーを一時的に無効にする。

    a 次のファイルを編集します。

    • Windows:%NNM_SHARED_CONF%\props\nms-cluster.properties

    • Linux:$NNM_SHARED_CONF/props/nms-cluster.properties

    b com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターをコメントにします。

    c 変更を保存します。

  12. 2. NNMiのインストールとアンインストール」の指示に従い,以前のアクティブNNMi管理サーバーをNNMi 12-50にアップグレードする。

    証明書のリポジトリをPKCS #12リポジトリに移行していない場合は,アップグレード完了後に,以前のアクティブ NNMi 管理サーバーにて「10.2 アップグレードされたNNMi環境で新しいキーストアーを使用するための設定」の手順に従い,PKCS #12リポジトリに移行してください。

    2つのサーバーでNNMi 12-50を実行していますが,データベースが同期していないため,まだ個別に動作しています。

  13. 以前のアクティブNNMi管理サーバーで次の手順を実行する。

    a ovstopコマンドを実行します。

    b 次のファイルを編集します。

    • Windows:%NNM_SHARED_CONF%\props\nms-cluster.properties

    • Linux:$NNM_SHARED_CONF/props/nms-cluster.properties

    c 11-50からアップグレードした場合,com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターの値を入力します。

     11-50からアップグレードした場合コメントにしたプロパティは保持されません。したがって,クラスタ名は再入力する必要があります。

    d com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターのコメントを解除します。

    e 変更を保存します。

  14. ovstartコマンドまたはnnmcluster -daemonコマンドを以前のアクティブNNMi管理サーバーで実行する。これがアクティブなクラスタノードとなる。

  15. アクティブなクラスタノードを使用してネットワークを監視するように,オペレータに指示する。

    以前のスタンバイNNMi管理サーバーは,手順9.から手順13.のメンテナンス中に発生したすべてのデータベースアクティビティを破棄します。

  16. 以前のスタンバイNNMi管理サーバーで次の手順を実行する。

    a ovstopコマンドを実行します。

    b 次のファイルを編集します。

    • Windows:%NNM_SHARED_CONF%\props\nms-cluster.properties

    • Linux:$NNM_SHARED_CONF/props/nms-cluster.properties

    c 11-50からアップグレードした場合,com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターの値を入力します。

    d com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターのコメントを解除します。

    e 変更を保存します。

  17. ovstartコマンドまたはnnmcluster -daemonコマンドを以前のスタンバイNNMi管理サーバーで実行する。

    このNNMi管理サーバーはスタンバイノードになり,アクティブなクラスタノードからデータベースのコピーを受信します。

(2) アプリケーションフェイルオーバー構成のNNMi12-50への修正パッチ適用手順

両方のNNMi管理サーバーで同じバージョンとパッチレベルのNNMiを実行している必要があります。アクティブおよびスタンバイのNNMi管理サーバーにパッチを追加するには,次のどちらかの方法を使用します。

(a) アプリケーションフェイルオーバー用にパッチを適用する(アクティブとスタンバイの両方をシャットダウン)

この手順を実行すると,パッチプロセス中の一定期間,両方のNNMi管理サーバーが非アクティブになります。アプリケーションフェイルオーバーを設定しているNNMi管理サーバーにパッチを適用するには,次の手順を実行します。

  1. 万一に備えて,以降の操作を行う前に,アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーの両方で,nnmconfigexport.ovplスクリプトを実行する。

    詳細については,「4.2 ベストプラクティス:既存の設定を保存する」を参照してください。

  2. 万一に備えて,以降の操作を行う前に,アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーのNNMiデータをバックアップする。

    詳細については,「20.2.2 バックアップ領域」を参照してください。

  3. 万一に備えて,アクティブNNMi管理サーバーで,次の手順を実行する。

    a nnmclusterコマンドを実行します。

    b NNMiに入力を求められたら,「dbsync」と入力し,[Enter]キーを押します。表示される情報に次のメッセージが含まれていることを確認します。

    • ACTIVE_DB_BACKUP:アクティブNNMi管理サーバーが新しいバックアップを実行しています。

    • ACTIVE_NNM_RUNNING:アクティブNNMi管理サーバーが,前のメッセージによって示されたバックアップを完了しました。

    • STANDBY_READY:スタンバイNNMi管理サーバーの前のステータスを示します。

    • STANDBY_RECV_DBZIP:スタンバイNNMi管理サーバーは,アクティブNNMi管理サーバーから新しいバックアップを取得しています。

    • STANDBY_READY:スタンバイNNMi管理サーバーは,アクティブNNMi管理サーバーで障害が発生した場合に実行できる準備が整えられています。

    c exitまたはquitを実行して,手順aで開始したインタラクティブnnmclusterプロセスを停止します。

  4. アクティブNNMi管理サーバーでnnmcluster -haltコマンドを実行する。

    アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーのすべてのnnmclusterプロセスをシャットダウンします。

  5. 両方のサーバーでnnmclusterノードが実行していないことを確認するには,アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーの両方で次の手順を実行する。

    a nnmclusterコマンドを実行します。

    b (SELF)とマークされているもの以外にnnmclusterノードが存在しないことを確認します。

    c exitまたはquitを実行して,手順aで開始したインタラクティブnnmclusterプロセスを停止します。

  6. アクティブNNMi管理サーバーで,nms-cluster.propertiesファイルのcom.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターをコメントにする。

    a 次のファイルを編集します。

    • Windows:%NNM_SHARED_CONF%\props\nms-cluster.properties

    • Linux:$NNM_SHARED_CONF/props/nms-cluster.properties

    b com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターをコメントにします。

    c 変更を保存します。

  7. パッチに同梱されているRELEASE.TXTの指示に従い,アクティブNNMi管理サーバーにNNMiパッチを適用する。

  8. アクティブNNMi管理サーバーで,nms-cluster.propertiesファイルのcom.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターのコメントを解除する。

    a 次のファイルを編集します。

    • Windows:%NNM_SHARED_CONF%\props\nms-cluster.properties

    • Linux:$NNM_SHARED_CONF/props/nms-cluster.properties

    b com.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターのコメントを解除します。

    c 変更を保存します。

  9. アクティブNNMi管理サーバーでovstartコマンドを実行する。

  10. NNMiコンソールの[ヘルプ][システム情報]ウィンドウにある[製品]タブで情報を表示し,アクティブNNMi管理サーバーにパッチが正しくインストールされたことを確認する。

  11. nnmcluster -dbsyncコマンドを実行して,新しいバックアップを作成する。

  12. 手順6.のa〜cに示されているように,スタンバイNNMi管理サーバーで,nms-cluster.propertiesファイルのcom.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターをコメントにする。

  13. NNMiパッチをスタンバイNNMi管理サーバーに適用する。

  14. 手順8.のa〜cに示されているように,スタンバイNNMi管理サーバーで,nms-cluster.propertiesファイルのcom.hp.ov.nms.cluster.nameパラメーターのコメントを解除する。

  15. スタンバイNNMi管理サーバーでovstartコマンドを実行する。

(b) アプリケーションフェイルオーバー用にパッチを適用する(1つのアクティブNNMi管理サーバーを保持)

この手順を実行すると,パッチプロセスの間,1つのNNMi管理サーバーが常にアクティブになります。

このプロセスでは,ネットワークが継続的に監視されますが,NNMiでパッチプロセス中に生じたトランザクションログは失われます。

アプリケーションフェイルオーバーを設定しているNNMi管理サーバーにNNMiパッチを適用するには,次の手順を実行します。

  1. 万一に備えて,以降の操作を行う前に,アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーの両方で,nnmconfigexport.ovplスクリプトを実行する。

    詳細については,「4.2 ベストプラクティス:既存の設定を保存する」を参照してください。

  2. 万一に備えて,以降の操作を行う前に,アクティブおよびスタンバイNNMi管理サーバーのNNMiデータをバックアップする。

    詳細については,「20.2.2 バックアップ領域」を参照してください。

  3. ノードのどれかでnnmclusterコマンドを実行する。

  4. 前の手順で2つのデータベースの同期に使用したNNMi管理サーバーでdbsyncを入力する。

    dbsyncオプションは,組み込みデータベースを使用するNNMi管理サーバーで機能します。

  5. アクティブNNMi管理サーバーがACTIVE_NNM_RUNNINGに戻り,スタンバイNNMi管理サーバーがSTANDBY_READYに戻るまで待機してから,次に進む。

  6. nnmclusterを終了または中断させる。

  7. 次のコマンドをスタンバイNNMi管理サーバーで実行して,スタンバイNNMi管理サーバーのクラスタを停止する。

    nnmcluster -shutdown
  8. 次のプロセスとサービスが終了しているのを確認してから,次に進む。

    postgres
    ovjboss
  9. nnmclusterプロセスが終了しているのを確認してから,次に進む。

    nnmclusterプロセスが終了していない場合,ほかに方法がなければ,nnmclusterプロセスを手動で強制終了します。

  10. スタンバイNNMi管理サーバーで,次のファイルを編集する。

    • Windows:%nnmDataDir%shared\nnm\conf\props\nms-cluster.properties

    • Linux:$nnmDataDir/shared/nnm/conf/props/nms-cluster.properties

  11. 行の先頭に#を入れてクラスタ名をコメントにして変更を保存する。

    #com.hp.ov.nms.cluster.name = NNMicluster
  12. スタンバイNNMi管理サーバーにNNMiパッチをインストールする。

  13. この時点で,スタンバイNNMi管理サーバーはパッチが適用済みで停止中,アクティブNNMi管理サーバーはパッチが未適用で実行中である。

    アクティブNNMi管理サーバーを停止し,ただちにスタンバイNNMi管理サーバーを起動してネットワークを監視させます。

  14. アクティブNNMi管理サーバーで次のコマンドを実行して,アクティブNNMi管理サーバーのクラスタをシャットダウンする。

    nnmcluster -halt
  15. nnmclusterプロセスの終了を確認する。

    数分以内に終了しない場合は,nnmclusterプロセスを手動で終了してください。

  16. スタンバイNNMi管理サーバーで,nms-cluster.propertiesファイルからクラスタ名のコメントを解除する。

  17. 次のコマンドをスタンバイNNMi管理サーバーで実行して,スタンバイNNMi管理サーバーのクラスタを起動する。

    nnmcluster -daemon
  18. アクティブNNMi管理サーバーにNNMiパッチをインストールする。

  19. この時点で,以前のアクティブNNMi管理サーバーはパッチが適用済みですが,オフラインである。

    次の手順を実行して,(スタンバイNNMi管理サーバーとして)クラスタに復帰させます。

    a アクティブNNMi管理サーバーで,nms-cluster.propertiesファイルのエントリのコメントを解除します。

    b 次のコマンドを使用して,アクティブNNMi管理サーバーを起動します。

    nnmcluster -daemon
  20. 進行状況を監視するには,アクティブとスタンバイの両方のNNMi管理サーバーで次のコマンドを実行する。

    nnmcluster

    以前のアクティブNNMi管理サーバーが,以前のスタンバイNNMi管理サーバーからデータベースの取得を完了するまで待機します。

  21. 以前のアクティブNNMi管理サーバーにSTANDBY_READYが表示されたら,以前のアクティブNNMi管理サーバーで次のコマンドを実行する。

    nnmcluster -acquire