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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Agent Option for Enterprise Applications


3.2.1 Linux版のインストールの前に確認すること

PFM - Agent for Enterprise Applicationsをインストールおよびセットアップする前に確認しておくことを説明します。

〈この項の構成〉

(1) 前提OS

PFM - Agent for Enterprise Applicationsが動作するOSを次に示します。

(2) ネットワークの環境設定

Performance Managementが動作するためのネットワーク環境について説明します。

(a) IPアドレスの設定

PFM - Agentのホストは,ホスト名でIPアドレスが解決できる環境を設定してください。IPアドレスが解決できない環境では,PFM - Agentは起動できません。

監視ホスト名(Performance Managementシステムのホスト名として使用する名前)には,実ホスト名またはエイリアス名を使用できます。

  • 監視ホスト名に実ホスト名を使用している場合

    Linuxシステムではuname -nコマンドを実行して確認したホスト名で,IPアドレスを解決できるように環境を設定してください。なお,Linuxシステムでは,hostnameコマンドでホスト名を取得することもできます。

  • 監視ホスト名にエイリアス名を使用している場合

    設定しているエイリアス名でIPアドレスを解決できるように環境を設定してください。

監視ホスト名の設定については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

なお,監視対象ホストとのIPアドレス解決には,jpchostsファイルに設定したIPアドレスは使用されません。

ホスト名とIPアドレスは,次のどれかの方法で設定してください。

  • Performance Managementのホスト情報設定ファイル(jpchostsファイル)

  • hostsファイル

  • DNS

注意
  • PFM - Agentで監視するホスト名(ASHOST項目に指定するホスト名など)とのIPアドレス解決には,jpchostsファイルに設定したIPアドレスは使用できません。

  • Performance Managementは,DNS環境でも運用できますが,FQDN(Fully Qualified Domain Name)形式のホスト名には対応していません。このため,監視ホスト名は,ドメイン名を除いて指定してください。

  • 複数のLAN環境で使用する場合は,jpchostsファイルでIPアドレスを設定してください。詳細は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」の,インストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

  • Performance Managementは,DHCPによる動的なIPアドレスが割り振られているホスト上では運用できません。Performance Managementを導入するすべてのホストに,固定のIPアドレスを設定してください。

(b) ポート番号の設定

Performance Managementプログラムのサービスは,デフォルトで次の表に示すポート番号が割り当てられています。これ以外のサービスまたはプログラムに対しては,サービスを起動するたびに,そのときシステムで使用されていないポート番号が自動的に割り当てられます。また,ファイアウォール環境で,Performance Managementを使用するときは,ポート番号を固定してください。ポート番号の固定の手順は,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のインストールとセットアップについて説明している章を参照してください。

表3‒7 デフォルトのポート番号とPerformance Managementプログラムのサービス(Linux の場合)

サービス説明

サービス名

パラメーター

ポート番号

備考

サービス構成情報管理機能

Name Server

jp1pcnsvr

22285

PFM - ManagerのName Serverサービスで使用されるポート番号。

Performance Managementのすべてのホストで設定される。

サービス状態管理機能

Status Server

jp1pcstatsvr

22350

PFM - ManagerおよびPFM - BaseのStatus Serverサービスで使用されるポート番号。

PFM - ManagerおよびPFM - Baseがインストールされているホストで設定される。

JP1/SLM連携機能

JP1/ITSLM

20905

JP1/SLMでデフォルトとして設定されるポート番号です。

(凡例)

−:該当しない

これらのPFM - Agentが使用するポート番号で通信できるように,ネットワークを設定してください。

(3) インストールに必要なOSユーザー権限について

PFM - Agent for Enterprise Applicationsをインストールするときは,必ず,スーパーユーザー権限を持つアカウントで実行してください。

(4) 前提プログラム

ここでは,PFM - Agent for Enterprise Applicationsをインストールする場合に必要な前提プログラムを説明します。プログラムの構成図を次に示します。

図3‒5 プログラムの構成図(SAPシステムを同一ホストにインストールする場合)

[図データ]

図3‒6 プログラムの構成図(SAPシステムを別ホストでリモート監視する場合)

[図データ]

(a) 監視対象プログラム

PFM - Agent for Enterprise Applicationsの監視対象プログラムを次に示します。

  • SAP NetWeaver※1※2

注※1

ダイアログサービスを持つセントラルインスタンス(プライマリアプリケーションサーバインスタンス)またはダイアログインスタンス(追加アプリケーションサーバインスタンス)が存在するホストだけを監視します。

注※2

SAP NetWeaverの詳細なバージョンはリリースノートを参照してください。

(b) Performance Managementプログラム

監視エージェントには,PFM - AgentとPFM - Baseをインストールします。PFM - BaseはPFM - Agentの前提プログラムです。同一ホストにほかのPFM - AgentやPFM - RMをインストールする場合でも,PFM - Baseは1つだけでかまいません。

ただし,PFM - ManagerとPFM - Agentを同一ホストにインストールする場合,PFM - Baseをインストールする必要はありません。

なお,PFM - ManagerまたはPFM - BaseをPFM - Agentのホストに導入する場合は,バージョンが12-00のものを導入してください。Performance Managementプログラムを導入するホストとバージョンの関係については,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のシステム構成のバージョン互換について説明している章を参照してください。

また,PFM - Agent for Enterprise Applicationsを使ってSAPシステムの稼働監視を行うためには,PFM - ManagerおよびPFM - Web Consoleが必要です。

(5) クラスタシステムでのインストールとセットアップについて

クラスタシステムでのインストールとセットアップは,前提となるネットワーク環境やプログラム構成が,通常の構成のセットアップとは異なります。また,実行系ノードと待機系ノードでの作業が必要になります。詳細については,「4. クラスタシステムでの運用」を参照してください。

(6) 障害発生時の資料採取の準備

トラブルが発生した場合に調査資料として,コアダンプファイルが必要になることがあります。コアダンプファイルの出力はユーザーの環境設定に依存するため,次に示す設定を確認しておいてください。

コアダンプファイルのサイズ設定

コアダンプファイルの最大サイズは,スーパーユーザーのコアダンプファイルのサイズ設定(ulimit -c)によって制限されます。次のようにスクリプトを設定してください。

ulimit -c unlimited

この設定が,ご使用のマシンのセキュリティポリシーに反する場合は,スクリプトの設定を次のようにコメント行にしてください。

# ulimit -c unlimited
重要

コメント行にした場合,プロセスで発生したセグメンテーション障害やバス障害などのコアダンプファイルの出力契機に,コアダンプが出力されないため,調査できないおそれがあります。