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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Agent Option for Platform(UNIX(R)用)


3.1.1 プロセッサの監視例

プロセッサのパフォーマンスを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

プロセッサのパフォーマンス情報を監視すれば,システム全体のパフォーマンス傾向を把握できます。UNIXでは,次の概念図に示すように,カーネルによる動作とユーザーのプロセスによる動作から成ります。

図3‒1 カーネルとプロセスの関係

[図データ]

プロセッサの利用状況は,一般的にはCPU使用率で監視できます。さらに,キュー数で監視する方法が考えられます。

プロセスなどのジョブは,OSによってスケジューリングされCPUを割り当てられて実行されます。キュー数は,CPUの割り当てられるのを待っているジョブの数です。このため,システム全体の負荷が高くなると,キュー数が増大する傾向にあります。

監視テンプレートでは,Kernel CPUアラーム,User CPUアラーム,Run Queueアラームや,CPU Status(Multi-Agent)レポートなどを提供しています。

監視テンプレートで用意されているプロセッサのパフォーマンス監視をさらに詳細に監視する場合,プロセッサごとのプロセッサ使用率,プロセスごとのプロセッサ使用率,プロセッサのキュー数,およびハードウェアからのプロセッサ割り込みなどを監視する方法が考えられます。

関連するレコードとフィールドを次の表に示します。

表3‒1 プロセッサに関連する主なフィールド

使用レコード

使用フィールド

値の見方(例)

PI

1-Minute Run Queue Avg

実行キュー内で待っていたカーネル分を除くスレッド数の平均。

高い値の場合,プロセッサの利用効率に問題があるおそれがある。

5-Minute Run Queue Avg

15-Minute Run Queue Avg

CPU %

CPUの使用率。高い値の場合,CPUに負荷が掛かっていることを示す。

Idle %

CPUの未使用率。高い値の場合,CPUに負荷が掛かっていないことを示す。

PI_CPUP

CPU %

各プロセッサのCPUの使用率。

System %

カーネルモードで実行した各プロセッサのCPU使用率。

OS,運用方法に問題があるおそれがある。

User %

ユーザーモードで実行した各プロセッサのCPU使用率。

特定のアプリケーションに問題があるおそれがある。

PD_PDI

CPU %

各プロセスのCPU使用率。

OS,運用方法,特定のアプリケーションに問題があるおそれがある。

System CPU

カーネルモードで実行した各プロセスのCPU使用時間。

OSに問題があるおそれがある。

User CPU

ユーザーモードで実行した各プロセスのCPU使用時間。

特定のアプリケーションに問題があるおそれがある。

(2) 監視方法

(a) カーネルCPU使用率を監視したい

システム全体のカーネルCPU使用率は,監視テンプレートで提供しているKernel CPUアラームを使用することで,監視できます。

詳細については,「3.2.1(1) 監視テンプレート」を参照してください。

(b) ユーザーCPU使用率を監視したい

システム全体のユーザーCPU使用率は,監視テンプレートで提供しているUser CPUアラームを使用することで,監視できます。

詳細については,「3.2.1(1) 監視テンプレート」を参照してください。

(c) プロセッサごとのCPU使用率を監視したい

プロセッサごとのCPU使用率は,特定のCPUに負荷が掛かっているなどの,OSの運用方法に問題がないかどうか監視できます。システム環境を見直し,対策を立てる目安となります。

各プロセッサの使用状況は,カーネルCPU使用率,ユーザーCPU使用率,およびプロセッサの混雑とあわせて監視すると効果的です

プロセッサごとのユーザーCPU使用率(PI_CPUPレコードのUser %フィールド)が,しきい値以上の値を表示している場合,過度にCPUを使用しているプロセスを見つけ,対策を立てる目安となります。

プロセッサごとのカーネルCPU使用率(PI_CPUPレコードのSystem %フィールド)が,しきい値以上の値を表示している場合,限界を超えるシステム環境のため,プロセッサをアップグレードするか,プロセッサを追加する目安となります。

定義例については,「3.2.1(2) 監視テンプレート以外の定義例」を参照してください。

(d) プロセッサの混雑を監視したい

プロセッサの混雑は,監視テンプレートで提供しているRun Queueアラームを使用することで,監視できます。

プロセッサの混雑(キュー数)を監視することで,プロセッサ使用率同様,プロセッサの負荷状況を監視できます。上記「プロセッサ使用率」とあわせて監視すると効果的です。

詳細については,「3.2.1(1) 監視テンプレート」を参照してください。

(e) プロセッサ使用率が高いプロセスを確認したい

カーネルCPU使用率,ユーザーCPU使用率,プロセッサごとのCPU使用率,およびプロセッサの混雑でプロセッサがボトルネックになっているおそれがあると判断した場合,過度にプロセッサを使用しているプロセス(PD_PDIレコードCPU %フィールド)を,リアルタイムレポートで見つけます。

プロセスに問題がない場合,限界を超えるシステム環境のため,プロセッサをアップグレードするか,プロセッサを追加するなどの目安となります。

定義例については,「3.2.1(2) 監視テンプレート以外の定義例」を参照してください。