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JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Virtual Machine


1.5.4 メモリーリソースの監視

ここでは,Hyper-Vシステムのメモリーリソースを監視する方法について説明します。

〈この項の構成〉

(1) 概要

Hyper-Vシステムでは,物理サーバのメモリーリソースを複数の仮想マシンに割り当てます。仮想マシン上で稼働するOSは,割り当てられたメモリーリソースを通常の物理メモリーとして認識します。

各仮想マシンのメモリーリソース使用量の合計が物理サーバ上のメモリーリソースを逼迫させる場合,仮想マシンの性能が低下します。メモリーのパフォーマンスデータを監視することで,こうした仮想マシンの性能低下を把握できます。

メモリーリソースを監視するレコードには,次の2つがあります。レコードの詳細については「5. レコード」を参照してください。

  1. PI_HMIレコード

    仮想マシンモニターや各仮想マシンによる物理メモリーの使用状況などを監視できます。

  2. PI_VMIレコード

    仮想マシンに割り当てられたメモリーリソースサイズを監視できます。

    なお,仮想マシンが利用できる物理サーバ上のメモリーリソースは,各仮想マシンの作成時に決定されます。このため,Hyper-Vシステムでは,物理サーバに実装されている実メモリーを超えた運用はできません。システムの運用中に割り当てメモリー量は変化しないため,通常はPI_VMIレコードの監視は不要です。

次の図に,PI_HMIレコードおよびPI_VMIレコードのパフォーマンスデータ収集範囲を示します。

図1‒41 PI_HMIレコードとデータ収集範囲の対応

[図データ]

(2) 監視例

ここでは,仮想環境が稼働している物理サーバの監視を例に,メモリーリソースが不足する要因と問題への対処方法を説明します。次の図に,ここで取り上げる監視項目と対処の流れを示します。

図1‒42 監視項目と対処の流れ

[図データ]

(a) 物理サーバの合計メモリー使用率を監視する例

物理サーバの合計メモリー使用率は,PI_HMIレコードのTotal Used %フィールドで監視できます。この値が大きい場合,物理サーバのメモリーリソースが不足していると考えられます。なお,この監視項目は,監視テンプレートに用意されているアラームで監視できます。監視例を次の図に示します。

図1‒43 合計メモリー使用率の監視例

[図データ]

確認する監視テンプレートレポート

Host Memory Used

確認する監視テンプレートアラーム

Host Memory Usage

この例では,値が大きい状態で推移しているため,物理サーバのメモリーリソースが不足していると考えられます。この場合,仮想環境の構成情報を見直してください。構成情報を見直したあとも合計メモリー使用率の値が改善しない場合,物理サーバにメモリーリソースを追加したり,物理サーバを追加したりすることを検討してください。