Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Performance Management - Remote Monitor for Platform


5.4.1 UNIX版のクラスタシステムでのインストールの前に確認すること

PFM - RM for Platformのインストールを開始する前に確認しておくことを説明します。

〈この項の構成〉

(1) 前提条件

PFM - RM for Platformをクラスタシステムで使用する場合,次に示す前提条件があります。

(a) クラスタシステム

次の条件が整っていることを確認してください。

  • クラスタシステムがクラスタソフトによって制御されている

  • 論理ホストで運用するPFM - RM for Platformの起動や停止などをクラスタソフトが制御するように設定されている

(b) 共有ディスク

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 論理ホストごとに共有ディスクがあり,実行系ノードから待機系ノードへ引き継げる

  • 共有ディスクが各ノードに物理的にFibre ChannelやSCSIなどで接続されている※1

  • 何らかの問題によって共有ディスクを使用しているプロセスが残っていても,クラスタソフトなどの制御によって強制的に共有ディスクをアンマウントにして,フェールオーバーできる

  • 1つの論理ホストで複数のPFM製品を運用する場合,共有ディスクのディレクトリ名が同じである※2

注※1

Performance Managementでは,ネットワークドライブや,ネットワーク経由でレプリケーションしたディスクを共有ディスクとして使う構成はサポートしていません。

注※2

Storeデータベースは,格納先を変更して共有ディスク上のほかのディレクトリに格納できます。

(c) 論理ホスト名,論理IPアドレス

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 論理ホストごとに論理ホスト名と論理ホスト名に対応する論理IPアドレスがあり,実行系ノードから待機系ノードに引き継げること

  • 論理ホスト名と論理IPアドレスが,hostsファイルやネームサーバに設定されていること

  • DNS運用している場合は,FQDN名ではなく,ドメイン名を除いたホスト名を論理ホスト名として使用していること

  • 物理ホスト名と論理ホスト名が,システム内でユニークであること

重要
  • 論理ホスト名に,物理ホスト名(uname -nコマンドで表示されるホスト名)を指定しないでください。正常に通信処理がされなくなるおそれがあります。

  • 論理ホスト名に使用できる文字は,1〜32バイトの半角英数字です。次に示す記号および空白文字は指定できません。

    「/」,「\」,「:」,「;」,「*」,「?」,「'」,「"」,「<」,「>」,「|」,「&」,「=」,「,」,「.」

  • 論理ホスト名には,"localhost",IPアドレス,"-"から始まるホスト名を指定できません。

(d) IPv6を使用する場合の設定

Performance Managementでは,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でも,Performance Managementを運用できます。

PFM - RM for Platformでは,PFM - ManagerとIPv6で通信できます。ただし,PFM - RM for PlatformおよびPFM - Managerが導入されているホストのOSが,WindowsまたはLinuxの場合に限ります。IPv4環境とIPv6環境での通信の適用範囲については,「付録M IPv4環境とIPv6環境での通信について」を参照してください。

IPv6で通信する場合,PFM - ManagerホストとPFM - RMホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,コマンドの実行要否は次のとおりです。

jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が必要なケース
  • それぞれのホストで,IPv4環境からIPv6環境に変更する場合

  • IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerをIPv4環境からIPv6環境に変更する場合

jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が不要なケース
  • それぞれのホストが,すでにIPv6環境である場合

  • IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerがIPv6環境である場合

jpcconf ipv6 enableコマンドの実行例を次に示します。

jpcconf ipv6 enable

jpcconf ipv6 enableコマンドは,実行系ノードおよび待機系ノードで,それぞれ実行してください。

jpcconf ipv6 enableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。

なお,PFM - RM for Platformと監視対象ホストをIPv6で通信する場合,名前解決できる監視対象ホスト名を指定してください。

PFM - RM for Platformと監視対象との通信は,解決できるIPアドレスで通信します。また,PFM - RM for Platformと監視対象との通信では,IPv4とIPv6が共存した環境の場合,解決できるIPアドレスで通信に失敗したとき,別のIPアドレスで通信することはありません。

例えば,IPv4で接続に失敗した場合,IPv6でリトライすることはありません。また,IPv6で接続に失敗した場合に,IPv4でリトライすることもありません。事前に接続できることを確認してください。

(e) SSH接続

次の条件が整っていることを確認してください。

  • 実行系ノードと待機系ノードの両方の環境で,同じパスの秘密鍵がある

  • その秘密鍵を用いて,監視対象ホストに接続できる

注意

PFM - RM for Platformのインストールで自動的に作成される秘密鍵を使用する場合,次のどちらかの方法で秘密鍵と公開鍵を登録してください。

  • 実行系サーバで作成した秘密鍵を待機系サーバにコピーして,実行系サーバから監視対象ホストに配布した公開鍵と対応させる

  • 実行系サーバと待機系サーバの両方で公開鍵を作成して,両方の公開鍵を監視対象ホストに登録することで,公開鍵を対応させる

SSH接続の設定の詳細については「3.2.5 UNIX版のSSHの接続設定方法」を参照してください。

(2) 論理ホストで運用するPFM - RM for Platformのセットアップに必要な情報

論理ホストでPFM - RM for Platformを運用する場合は,通常のPFM - RM for Platformのセットアップで必要となる環境情報に加えて,次の表の情報が必要です。

表5‒3 論理ホストで運用するPFM - RM for Platformのセットアップに必要な情報

項番

項目

1

論理ホスト名

jp1-halrmp

2

論理IPアドレス

172.16.92.100

3

共有ディスク

/jp1

なお,1つの論理ホストで運用するPerformance Managementのプログラムが複数ある場合も,同じ共有ディスクのディレクトリを使用します。

共有ディスクに必要な容量については,「付録A 構築前のシステム見積もり」を参照してください。

(3) PFM - RM for Platformで論理ホストをフェールオーバーさせる場合の注意事項

論理ホストでPFM - RM for Platformを運用するシステム構成の場合,PFM - RM for Platformの障害時に,論理ホスト全体をフェールオーバーさせるかどうかを検討してください。

論理ホスト全体をフェールオーバーさせる場合,PFM - RM for Platformと同じ論理ホストで運用するほかの業務アプリケーションもフェールオーバーすることになります。このため,業務に影響を与えるおそれがあります。

PFM - RM for Platformに異常が発生しても,ほかの業務アプリケーションの動作に影響がないように,通常はクラスタソフトで次に示すどちらかの設定をすることをお勧めします。

(4) 論理ホスト運用時のバージョンアップに関する注意事項

論理ホスト運用のPFM - RM for Platformをバージョンアップする場合は,実行系ノードまたは待機系ノードのどちらか一方で,共有ディスクをマウントする必要があります。