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JP1 Version 12 JP1/Performance Management 運用ガイド


1.8.1 大規模システムでPFM - AgentまたはPFM - RMを起動する場合について

Performance Managementを起動するときは,通常,PFM - Managerを起動させてから,PFM - AgentまたはPFM - RM,およびPFM - Baseを起動させます。複数のサーバから構成される大規模システムでは,これらサーバ間でサービス起動順序を制御すれば,正常に起動できます。

PFM - ManagerのMaster ManagerサービスおよびName Serverサービスが起動していない状態でも,PFM - AgentまたはPFM - RM,およびPFM - Baseを先に起動して,パフォーマンスデータを収集できます。

PFM - AgentまたはPFM - RM,およびPFM - Baseが単独で起動している状態を「スタンドアロンモード」と呼びます。

また,各プログラムの状態に応じて次のように呼びます。

注意
  • PFM - AgentまたはPFM - RMがPFM - Managerと同一ホストにインストールされている場合は,PFM - AgentまたはPFM - RM単独で起動できません。

  • 一度に多くのエージェントを選択して操作を行なうと,処理に時間が掛かる場合があります。一度の操作に選択するエージェントは最大10エージェントとしてください。

〈この項の構成〉

(1) スタンドアロンモードの概要

PFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseを起動する際,PFM - ManagerのMaster ManagerサービスおよびName Serverサービスが起動されていないなどの理由でPFM - Managerとの通信に失敗した場合,PFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseはスタンドアロンモードで起動して,パフォーマンスデータを収集します。

スタンドアロンモードでは起動後,自ホスト上の起動情報ファイル(jpccomm.ini)での設定内容に応じて5分間に一度,またはランダムな間隔でPFM - Managerへの接続を確認しています。PFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseがスタンドアロンモードで起動したあとにPFM - Managerが起動して,PFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseからの接続確認に成功した場合,PFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseではスタンドアロンモードを終了してPFM - Managerと接続した通常のモードへと移行されます。このとき,スタンドアロンモードで起動していた期間にPFM - AgentまたはPFM - RMで蓄積したパフォーマンスデータは,履歴レポートで参照できます。

ただし,スタンドアロンモードでPFM - Agent,PFM - RM,またはPFM - Baseが起動している場合,Performance Managementの機能や実行できるコマンドに一部制約があります。

(2) スタンドアロンモードで使用できる機能

表1‒3 スタンドアロンモードで使用できる機能

機能の内容

対応

サービス名

サービスの起動,停止,および稼働状況確認

  • PFM - Agentホストの場合

    Agent Store,Agent Collector,およびAction Handler

  • PFM - RMホストの場合

    Remote Monitor Store,Remote Monitor Collector,およびAction Handler

履歴データの収集

  • PFM - Agentホストの場合

    Agent StoreおよびAgent Collector

  • PFM - RMホストの場合

    Remote Monitor StoreおよびRemote Monitor Collector

レポートの表示

×

Agent StoreおよびRemote Monitor Store

エージェントの起動を知らせるアラームの発行

Agent CollectorおよびRemote Monitor Collector

アラームによるパフォーマンスデータの監視

×

Agent CollectorおよびRemote Monitor Collector

アラームイベントに対するアクションの実行

×

Action Handler

サービスのステータスの管理

Status Server

(凡例)

○:使用できる

×:使用できない

(3) スタンドアロンモードで実行できるコマンド

表1‒4 スタンドアロンモードで実行できるコマンド

コマンド

機能

対応

jpcconf db define

Agent StoreおよびRemote Monitor Storeサービスのディレクトリ設定変更

jpcconf db display

Agent Storeサービス,Remote Monitor Storeサービス,またはバックアップデータの情報表示

jpcconf db vrset

Storeデータベースのバージョンの変更

jpcconf hc

ヘルスチェック機能を有効または無効にする

jpcconf stat

ステータス管理機能を有効または無効にする

jpcras

PFM - Manager,PFM - AgentまたはPFM - RMのトラブルシュート資料の採取

jpcspm start

サービスの起動

jpcspm stop

サービスの停止

jpctool db backup

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに格納されているデータのバックアップファイルの作成

jpctool db clear

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに格納されているデータの消去

×

jpctool db dmconvert

バックアップデータのデータモデルのコンバート

jpctool db dump

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに格納されているデータのエクスポート

jpctool db import

バックアップデータのインポート

jpctool service delete

Performance Managementに登録されているエージェントのサービス情報の削除

×

jpctool service list(-hostオプションで他ホストを指定する場合)

Performance Managementプログラムのサービスの構成および状態の表示

×

jpctool service list(-hostオプションを指定しない場合)

自ホストのサービス稼働状況の確認

(凡例)

○:実行できる

×:実行できない

注※

-aloneオプションを指定した場合だけコマンドを実行できます。

(4) 非スタンドアロンモードの概要

PFM - Manager,PFM - AgentまたはPFM - RM,PFM - Baseが起動している状態から,PFM - Managerだけ停止し,PFM - AgentまたはPFM - RMと,PFM - Baseだけが起動した状態を「非スタンドアロンモード」と呼びます。

非スタンドアロンモードでは,スタンドアロンモードのように5分間に一度のPFM - Managerへの接続確認は実行しません。PFM - Managerが起動すれば通常モードとなります。また,非スタンドアロンモードで起動していた期間にPFM - AgentまたはPFM - RMで蓄積したパフォーマンスデータは,履歴レポートで参照できます。

図1‒1 非スタンドアロンモードの概要

[図データ]

注意
  • PFM - AgentまたはPFM - RMを非スタンドアロンモードで起動している場合,発生したアラームイベントをPFM - Managerに通知できません。この場合,アラーム定義ごとにアラームイベントが保持され,PFM - Managerが起動されるまでアラームイベントの通知を繰り返します。保持しているアラームイベントが3つ以上発生すると,古い順にアラームイベントが上書きされます。また,PFM - AgentまたはPFM - RMを停止すると,保持されているアラームイベントはすべて削除されます。

 [参考]

イベントモニターとイベント履歴では動作が異なるため見え方が異なります。

 [イベント履歴(例)として3件で説明]
  1. PFM - Managerが停止している

  2. PFM - Managerが起動

  3. PFM - AgentからPFM - Manager停止中のアラームが3件送信される

  4. PFM - ManagerのMaster Storeサービスに格納

以上よりイベント履歴では3件ともにイベント情報を表示可能となります。

 [イベントモニター(例)として3件で説明]

イベントモニターはPFM - Web Consoleのキャッシュに保存されている情報を表示します。

ここで,PFM - Web Consoleのキャッシュは,PFM - ManagerのView Serverサービスとの再接続した際にいったんクリアされます。

View Serverサービスとの接続時に,View Serverサービスのキャッシュ情報との同期を取り,PFM - Web Consoleのキャッシュを再構築します。

ここでアラームイベントについては,該当するエージェントの現在のアラームステータスに関わる最新イベント1件だけを取得します。

ただし,受け取ったアラームステータスが「緑(正常)」の場合は,イベントモニターには表示されません(最新の状態が正常であるため何も問題ないとしております)。

受け取ったアラームステータスが「黄(警告)」「赤(異常)」の場合は,警告または異常である旨のアラームを受け取ったこととなり,イベントモニターに表示されます。

なお,[常にアラーム通知する]をチェックしたアラームはイベントモニターには表示されません。

  • PFM - Managerに通知済みのアラームステータス(アラームアイコンの色が示すアラームの状態)は,PFM - Managerを再起動した場合,Correlator Startup Modeが有効か無効かで動作が異なります。

  Correlator Startup Modeが有効の場合(推奨設定)

アラームステータス(アラームアイコンの色が示すアラームテーブルの状態)の情報の確認タイミングはPFM - Agentからアラームイベントを受け取ったときです。この動作によって,Correlatorサービスの起動時間を短縮し,Correlatorサービス起動失敗を回避しています。アラームイベントを受信して,エージェントの状態の確認ができるまでは,前回PFM - Managerが停止した時点と同じエージェントの状態であると仮定して動作します。

  Correlator Startup Modeが無効の場合

PFM - Managerの再起動のタイミングで,PFM - Managerサービスに登録されている(接続されている)すべてのエージェントのアラームステータスを確認します。

アラームステータス(アラームアイコンの色が示すアラームテーブルの状態)の情報を確認します。

Correlator Startup Modeの設定方法については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」の付録の起動情報ファイル(jpccomm.ini)の設定項目について説明している個所を参照してください。

(5) 非スタンドアロンモードで使用できる機能

表1‒5 非スタンドアロンモードで使用できる機能

機能の内容

対応

サービス名

サービスの起動,停止,および稼働状況確認

  • PFM - Agentホストの場合

    Agent Store,Agent Collector,およびAction Handler

  • PFM - RMホストの場合

    Remote Monitor Store,Remote Monitor Collector,およびAction Handler

履歴データの収集

  • PFM - Agentホストの場合

    Agent StoreおよびAgent Collector

  • PFM - RMホストの場合

    Remote Monitor StoreおよびRemote Monitor Collector

レポートの表示

×

Agent StoreおよびRemote Monitor Store

アラームによるパフォーマンスデータの監視

Agent CollectorおよびRemote Monitor Collector

アラームイベントに対するアクションの実行

×

Action Handler

サービスのステータスの管理

Status Server

(凡例)

○:使用できる

×:使用できない

注※ 状況に応じて次のように動作が異なります。

 Action Handlerに"LOCAL"を指定している場合
アクションを実行するホストのPFM - Baseが09-00-09以降または09-10以降のとき

PFM - Manager停止中でもアクションは実行されます。

アクションを実行するホストのPFM - Baseが09-00-08以前のとき
  • 一度もアクションを実行していない場合

    PFM - Manager停止中にはアクションは実行されません。

    PFM - Manager起動後にも,PFM - Manager停止中に発生したアクションは実行されません。

  • 一度でもアクションを実行したことがあり,かつそのアクションを実行した該当Action Handlerを再起動していない場合

    PFM - Manager停止中でもアクションは実行されます。

 Action Handlerに"LOCAL"以外を指定している場合

PFM - Manager停止中にはアクションは実行されません。

PFM - Manager起動後に,PFM - Manager停止中に発生したアクションが実行されます。ただし,PFM - ManagerホストのAction Handlerサービスを指定している場合,Acton Handlerサービスの起動順序によっては,アクションが実行されない場合があります。

(6) 非スタンドアロンモードで実行できるコマンド

表1‒6 非スタンドアロンモードで実行できるコマンド

コマンド

機能

対応

jpcconf db define

Agent StoreまたはRemote Monitor Storeサービスのディレクトリ設定変更

jpcconf db display

Agent StoreまたはRemote Monitor Storeサービスまたはバックアップデータの情報表示

jpcconf db vrset

Storeデータベースのバージョンの変更

jpcconf hc

ヘルスチェック機能を有効または無効にする

jpcconf stat

ステータス管理機能を有効または無効にする

jpcras

PFM - Manager,PFM - AgentまたはPFM - RMのトラブルシュート資料の採取

jpcspm start

サービスの起動

jpcspm stop

サービスの停止

jpctool db backup

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに格納されているデータのバックアップファイルの作成

jpctool db clear

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに格納されているデータの消去

×

jpctool db dmconvert

バックアップデータのデータモデルのコンバート

jpctool db dump

Master Storeサービス,Agent Storeサービス,またはRemote Monitor Storeサービスのデータベースに格納されているデータのエクスポート

jpctool db import

バックアップデータのインポート

jpctool service delete

Performance Managementに登録されているエージェントのサービス情報の削除

×

jpctool service list(-hostオプションで他ホストを指定する場合)

Performance Managementプログラムのサービスの構成および状態の表示

×

jpctool service list(-hostオプションを指定しない場合)

自ホストのサービス稼働状況の確認

(凡例)

○:実行できる

×:実行できない

注※

-aloneオプションを指定した場合だけコマンドを実行できます。