2.2.1　JP1イベントを発行する手順

(1)　発行するJP1イベントの種類とイベント属性を決める

JP1（独自）イベントを発行するためには，まず，どんな事象をJP1イベントとして発行するのかを決めます。JP1/Baseのイベントサービスでは，発行するJP1イベントの数によって性能劣化が発生します。このため，JP1（独自）イベントはJP1/IMでシステム監視をするために必要なJP1イベントだけに絞り込む必要があります。

次に，イベント属性をどのように設定するかを決めます。イベント属性を決めるときは，JP1/IMでイベント監視をする際にそのアプリケーションの情報として何が必要かを考えます。アプリケーション単位で，発行するすべてのJP1（独自）イベントのイベント属性をあらかじめ決めておきます。

JP1イベントの属性値は，JP1/IMで自動アクション機能およびモニター画面呼び出しの際の引数として使用できます。次の例で記述するイベント属性の詳細については，「付録A　JP1イベントの属性の設定基準」を参照してください。

ここでは，Windows上で動作する「SAMPLE」という名称のアプリケーションについて，開始イベントと異常終了イベントを発行する例について説明します。（ ）内は，JP1イベント発行関数の引数名です。

発行するJP1イベントの種類

• アプリケーションの開始時にJP1イベントを発行する（開始イベント）

  イベントID（BaseID）：0x00000001

  メッセージ（message）：「SAMPLEアプリケーションを開始します。」

• アプリケーションの異常終了時にJP1イベントを発行する（異常終了イベント）

  イベントID（BaseID）：0x00000002

  メッセージ（message）：「SAMPLEアプリケーションが異常終了しました。」

イベント属性定義（拡張属性（extattrs））：開始イベント

SAMPLEアプリケーションの開始イベントには，次の属性を定義します。

表2‒2　開始イベントの属性

属性の種別	項目	属性名	内容
基本属性	イベントID	−	0x00000001
	メッセージ	−	「Starts the SAMPLE application.」
拡張属性（共通情報）	重大度	SEVERITY	Notice
	ユーザー名	USER_NAME	SAMPLE_USER
	プロダクト名	PRODUCT_NAME	/COMPANY/APP1/SAMPLE_PRODUCT （プロダクトの名称）
	オブジェクトタイプ	OBJECT_TYPE	SAMPLE
	オブジェクト名	OBJECT_NAME	SAMPLE_NAME
	登録名タイプ	ROOT_OBJECT_TYPE	ROOT_SAMPLE
	登録名	ROOT_OBJECT_NAME	ROOT_SAMPLE_NAME
	オブジェクトID	OBJECT_ID	SAMPLE_ID
	事象種別	OCCURRENCE	START
	開始時刻	START_TIME	SAMPLEアプリケーションの開始時刻。UTC 1970年1月1日00:00:00からの秒数。
	プラットフォーム種別	PLATFORM	NT
	バージョン情報	ACTION_VERSION	0600
拡張属性（固有情報）	SAMPLE共通属性1	COMMON_ATTR1	NATIVE
	SAMPLE共通属性2	COMMON_ATTR2	TRUE
	SAMPLE開始属性1	START_ATTR1	SAMPLE1
	SAMPLE開始属性2	START_ATTR2	SAMPLE2

イベント属性定義（拡張属性（extattrs））：異常終了イベント

SAMPLEアプリケーションの異常終了イベントには，次の属性を定義します。

表2‒3　異常終了イベントの属性

属性の種別	項目	属性名	内容
基本属性	イベントID	−	0x00000002
	メッセージ	−	「The SAMPLE application terminated abnormally.」
拡張属性（共通情報）	重大度	SEVERITY	Error
	ユーザー名	USER_NAME	SAMPLE_USER
	プロダクト名	PRODUCT_NAME	/COMPANY/APP1/SAMPLE_PRODUCT （プロダクトの名称）
	オブジェクトタイプ	OBJECT_TYPE	SAMPLE
	オブジェクト名	OBJECT_NAME	SAMPLE_NAME
	登録名タイプ	ROOT_OBJECT_TYPE	ROOT_SAMPLE
	登録名	ROOT_OBJECT_NAME	ROOT_SAMPLE_NAME
	オブジェクトID	OBJECT_ID	SAMPLE_ID
	事象種別	OCCURRENCE	END
	終了時刻	END_TIME	SAMPLEアプリケーションの終了時刻。UTC 1970年1月1日00:00:00からの秒数。
	終了コード	RESULT_CODE	SAMPLEアプリケーション終了時の終了コード
	プラットフォーム種別	PLATFORM	NT
	バージョン情報	ACTION_VERSION	0600
拡張属性（固有情報）	SAMPLE共通属性1	COMMON_ATTR1	NATIVE
	SAMPLE共通属性2	COMMON_ATTR2	TRUE
	SAMPLE終了属性1	END_ATTR1	SAMPLE1
	SAMPLE終了属性2	END_ATTR2	SAMPLE2

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(2)　JP1イベント発行関数を使用してコーディングする

前の項で説明したSAMPLEアプリケーションで，開始イベントを発行する場合のコーディング例を次に示します。

#include <stdio.h>
#include <time.h>
#include "JevApi.h"
 
int regist_start_event()
{
    int rc;                    /* Return code */
    long status = 0;           /* Detailed error code */
    const char* server;        /* Event server name */
    long baseID;               /* Event ID */
    const char* message;       /* Message */
    char starttime[32];
    const char* extattrs[16];  /* Array for storing extended attributes */
 
    /* Set the destination event server name. */
    server = NULL;
 
    /* Set the event ID. */
    baseID = 0x00000001;
 
    /* Set the message. */
    message = "Starts the SAMPLE application.";
 
    /* Set the extended attributes. */
    extattrs[0]  = "SEVERITY=Notice";
    extattrs[1]  = "USER_NAME=SAMPLE_USER";
    extattrs[2]  = "PRODUCT_NAME=/COMPANY/APP1/SAMPLE_PRODUCT";
    extattrs[3]  = "OBJECT_TYPE=SAMPLE";
    extattrs[4]  = "OBJECT_NAME=SAMPLE_NAME";
    extattrs[5]  = "OBJECT_ROOT_TYPE=ROOT_SAMPLE";
    extattrs[6]  = "OBJECT_ROOT_NAME=ROOT_SAMPLE_NAME";
    extattrs[7]  = "OBJECT_ID=SAMPLE_ID";
    extattrs[8]  = "OCCURRENCE=START";
    sprintf(starttime, "START_TIME=%ld", time(NULL));
    extattrs[9]  = starttime;
    extattrs[10] = "PLATFORM=NT";
    extattrs[11] = "VERSION=0600";
    extattrs[12] = "COMMON_ATTR1=NATIVE";
    extattrs[13] = "COMMON_ATTR2=TRUE";
    extattrs[14] = "START_ATTR1=SAMPLE1";
    extattrs[15] = "START_ATTR2=SAMPLE2";
 
    /* Register the JP1 event. */
    rc = JevRegistEvent(&status,
                        server,
                        baseID,
                        message,
                        extattrs,
                        16);
    if(rc < 0) {
        fprintf(stderr,
                "JevRegistEvent() failed. status = %ld\n",
                 status);
        return -1;
    }
 
    return 0;
}

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