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JP1 Version 12 JP1/Integrated Management 2 - Manager 導入・設計ガイド


4.4.10 繰り返しイベントの集約表示機能で表示抑止する場合について

JP1/IM - Viewには同一内容のJP1イベントを連続で受信した場合に,それらを集約して表示できる機能があります。これを繰り返しイベントの集約表示機能といいます。この機能は,繰り返しイベントの監視抑止機能を有効にしている場合は使用できません。

繰り返しイベントの集約表示機能は,ユーザーごとに設定できます。

繰り返しイベントの集約表示に関係する用語の定義

繰り返しイベントの集約表示に関係する用語の定義を次に示します。これらの用語には繰り返しイベントの表示抑止と同じ用語も含まれますが,定義が異なる場合があるため注意してください。

集約開始イベント

同一内容のJP1イベントの中で最初にJP1/IM - Viewが受信したJP1イベントのことです。

繰り返しイベント

集約開始イベントから連続して受信した,集約開始イベントと同一内容のJP1イベントです。

集約イベント

集約開始イベントと繰り返しイベントを一つのイベントにまとめたイベントのことです。集約イベントには,集約を継続中のイベント(集約中イベント)と,集約が終了したイベント(集約完了イベント)の2種類があります。

非集約イベント

繰り返しイベントがないためイベントが集約されないイベントです。

繰り返しイベントの表示抑止と,各フィルターおよび機能との関係

繰り返しイベントの集約結果は,JP1/IM - Viewの表示フィルターまたは重要イベントフィルターを介して,JP1/IM - Viewの[イベントコンソール]画面の[イベント監視]ページまたは[重要イベント]ページに表示されます。

繰り返しイベントの集約表示機能とJP1イベントの各フィルターの関係を次の図に示します。

図4‒52 繰り返しイベントの集約表示機能とフィルターの関係

[図データ]

〈この項の構成〉

(1) 繰り返しイベントの集約表示と繰り返しイベントの表示抑止の差異

繰り返しイベントの集約表示と繰り返しイベントの表示抑止は,どちらかしか設定することができません。ここでは,繰り返しイベントの集約表示と,繰り返しイベントの表示抑止の差異を示します。

表4‒15 繰り返しイベントの集約表示と繰り返しイベントの表示抑止の差異

項目

繰り返しイベントの集約表示

繰り返しイベントの表示抑止

集約対象

最新のイベントと同一内容のJP1イベント

ユーザーが設定した繰り返しイベント条件に一致するJP1イベント

自動アクションの抑止

できない

できる

連続していないJP1イベントの集約

できない

できる

(2) イベントの集約開始と集約完了の条件

イベントの集約はJP1/IM - Viewで実施されます。ここではイベントの集約開始と集約完了のそれぞれの条件を説明します。

イベントの集約開始の条件

イベントの集約が開始されていない状態のJP1/IM - Viewは,JP1/IM - Managerから受信した最新のJP1イベントを暫定の集約開始イベントと見なします。次に受信したJP1イベントの内容が暫定の集約開始イベントと同一であった場合,受信したJP1イベントを集約イベントの繰り返しイベントと判断し,集約を開始します。

イベントの集約完了の条件

次のどれかの条件と一致したときに完了します。

  • 集約開始イベントと受信したJP1イベントの内容が一致しなかった場合

  • 集約開始イベントと受信したJP1イベントの到着時刻の差が,設定したタイムアウト時間を過ぎた場合

  • 繰り返しイベント数が最大繰り返し回数(100回)を超えた場合

  • [ユーザー環境設定]画面で[OK]ボタンをクリックした場合

  • 重要イベント対象外の集約中イベントが,重要イベント定義の変更によって重要イベント対象になった場合

  • 重要イベント対象の集約中イベントが,重要イベント定義の変更によって重要イベント対象外になった場合

イベントの集約が完了する条件の詳細については,「12.1.6 繰り返しイベントの集約表示の検討」を参照してください。

(3) イベントの比較属性

JP1/IM - Viewは,新しいJP1イベントを受信すると,集約開始イベントと受信したJP1イベントの内容を比較します。イベントの比較には,JP1イベントの属性値を使用します。すべての属性の値が一致した場合に,同一内容のイベントと判断します。

JP1イベントの属性の種類には,JP1イベントの詳細情報である,登録ホスト名,重大度,オブジェクトタイプ,オブジェクト名,登録名タイプ,登録名,事象種別,ユーザー名,メッセージ,プロダクト名,アクション,種別,およびイベントIDがあります。ただし,JP1イベントの属性の種類を特定して,イベントの内容を比較することはできません。発生元ホストのマッピングを有効にした場合,発生元ホスト名が属性の種類に追加されます。重大度変更機能を使用してJP1イベントの重大度を変更した場合,変更したあとの重大度でJP1イベントの内容を比較します。

(4) 繰り返しイベントの集約処理の例

繰り返しイベントの集約処理の例を示します。

図4‒53 繰り返しイベントの集約処理

[図データ]

図中の番号に従って説明します(図中の丸付き番号は,次に示す番号にそれぞれ対応しています)。

  1. JP1/IM - ViewがJP1イベント「A1」を受信し,JP1イベント「A1」の集約を開始します。JP1イベント「A1」は,集約開始イベントとなります。

    [イベントコンソール]画面に集約開始イベント「A1」の情報を示します。

  2. JP1/IM - ViewがJP1イベント「A2」を受信し,集約開始イベント「A1」と内容を比較します。JP1イベント「A2」と集約開始イベント「A1」が同一内容であるため,JP1イベント「A2」を繰り返しイベントと判断し,集約開始イベント「A1」に集約します。

    [イベントコンソール]画面に,集約開始イベント「A1」と繰り返し回数の2回の情報を「A1[2]」として表示します。

  3. JP1/IM - ViewがJP1イベント「A3」を受信し,集約開始イベント「A1」と内容を比較します。JP1イベント「A3」と集約開始イベント「A1」が同一内容であるため,JP1イベント「A3」を繰り返しイベントと判断し,集約開始イベント「A1」に集約します。

    [イベントコンソール]画面に,集約開始イベント「A1」と繰り返し回数の3回の情報を「A1[3]」として表示します。

  4. JP1/IM - ViewがJP1イベント「B1」を受信し,集約開始イベント「A1」と内容を比較します。JP1イベント「B1」と集約開始イベント「A1」は内容が一致しないので,集約開始イベント「A1」の集約を完了し,新しくJP1イベント「B1」の集約を開始します。JP1イベント「B1」は集約開始イベントとなります。

    [イベントコンソール]画面に,前回の集約開始イベント「A1」および集約開始イベント「B1」の情報を表示します。

  5. JP1/IM - ViewがJP1イベント「B2」を受信し,集約開始イベント「B1」と内容を比較します。JP1イベント「B2」と集約開始イベント「B1」が同一内容であるため,JP1イベント「B2」を繰り返しイベントと判断し,集約開始イベント「B1」に集約します。

    [イベントコンソール]画面に,前回の集約開始イベント「A1」,および集約開始イベント「B1」と繰り返し回数の2回の情報を「B1[2]」として表示します。

  6. JP1/IM - ViewがJP1イベント「A4」を受信し,集約開始イベント「B1」と内容を比較します。JP1イベント「A4」と集約開始イベント「B1」は内容が一致しないので,集約開始イベント「B1」の集約を完了し,新しくJP1イベント「A4」の集約を開始します。前々回の集約開始イベント「A1」はすでに集約を完了しているため,JP1イベント「A4」を集約イベント「A1」に集約できません。JP1イベント「A4」は,集約開始イベントとなります。

    [イベントコンソール]画面に,前々回の集約開始イベント「A1」,前回の集約開始イベント「B1」,および集約開始イベント「A4」の情報を表示します。