Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 - Print Option


4.1 ジョブ運用情報の収集

ジョブ運用情報の収集は,JP1/AJS3 - Managerが管理しているジョブ情報を収集し,ジョブ運用情報ファイルに格納する作業です。ジョブ運用情報ファイルのファイル拡張子は「.aoi」です。ジョブ運用情報ファイルは,ジョブ運用情報のドキュメント出力での入力情報となります。

ジョブ運用情報を定期的に収集する場合は,jprcollectコマンドを使用して自動化できます。また,システム設計時など現在のジョブの状態を確認したい場合は,[ジョブ運用情報の収集]画面を起動しGUIインタフェースによってジョブ運用を収集できます。

収集するジョブ運用情報は,ジョブネットの定義内容と,実行登録済みのジョブネット,またはジョブの実行予定・結果情報です。これらの情報の収集は,JP1/AJSが提供するajsprintコマンドとajsshowコマンドを実行することで実現しています。

収集する情報の範囲を指定することで必要な情報だけを収集できます。収集する情報の範囲を指定するものに,期間とユニットがあります。

期間は,ジョブネットの実行予定・結果情報を収集する際に指定します。収集する期間を,開始日と終了日で指定します。期間を指定しない場合は,ジョブネットの定義内容だけを収集し,ジョブネットの実行予定・結果情報は収集しません。

ユニットは,情報を収集したいジョブ名,ジョブネット名,またはジョブグループ名を指定します。ユニットを理解してもらうために,ここではJP1/AJSのジョブネット定義の概要を説明します。

JP1/AJSでは,幾つかの処理を組み合わせ,関連づけて処理を定義します。これらの処理の一つ一つをジョブとして定義し,ジョブを幾つか組み合わせて実行順序を定義したものをジョブネットとして定義できます。また,複数のジョブネットを分類して,ジョブグループとして格納できます。

ジョブ,ジョブネット,およびジョブグループの関連について次の図に示します。

図4‒1 ジョブ,ジョブネット,およびジョブグループの関連

[図データ]

ジョブには,処理を定義したジョブ,イベント送受信,処理結果の判定などを定義したジョブがあります。また,ユーザーが定義した処理をジョブとして登録しておくこともできます。

ジョブネットには,ジョブのほかに,異常終了した場合の後処理や,別のジョブネットを定義できます。ジョブの組み合わせと関連づけによって,さまざまなジョブネットを定義できます。

ジョブネットやジョブグループなど,ジョブネット定義で使う単位をジョブネットワーク要素と呼びます。また,これらの要素を総称してユニットと呼びます。

ユニットの種類と内容を次の表に示します。

表4‒1 ユニットの種類と内容

ユニット

内容

総称

個別名

ジョブグループ

ルートジョブグループ

最上位のジョブグループで,JP1/AJSに必ず定義されています。スケジューラーサービス名がルートジョブグループ名になります。

デフォルトのジョブグループ名は「/」です。

ネストジョブグループ

ルートジョブグループの下にあるジョブグループです。

プランニンググループ

ジョブグループ直下にだけ作成できます。これによって,プランニンググループの下に作成されたルートジョブネット間で,運用の切り替えを行うことができます。

ジョブネット

ルートジョブネット

ジョブグループの中で最上位にあるジョブネットです。

ネストジョブネット

ルートジョブネット中に定義されたジョブネットです。

リモートジョブネット

ジョブネット開始時に別のホストに実行登録されるジョブネットです。

ジョブ

コマンド,シェルスクリプト,Windows実行ファイルなどの集まりです。

マネージャーユニット

マネージャージョブグループ

別のホストのJP1/AJS3 - Managerに定義されているジョブグループ,またはジョブネットをリンクするユニットです。

マネージャージョブネット

ジョブ運用情報の収集では,指定したユニットの種別によって収集できる情報は異なります。その違いを次の表に示します。指定したユニット以下のすべてのユニットが収集の対象となります。

表4‒2 ジョブ運用情報の収集内容

収集で指定するユニット

収集できる情報

総称

個別名

ジョブグループ

ルートジョブグループ

  • 定義情報

  • 実行予定,結果情報※1※2

ネストジョブグループ

  • 定義情報

  • 実行予定,結果情報※1※2

プランニンググループ

  • 定義情報

  • 実行予定,結果情報※1※2

ジョブネット

ルートジョブネット※3

  • 定義情報

  • 実行予定,結果情報※1

ルートジョブネット以外

  • 定義情報

  • 実行予定,結果情報※1

ジョブ

  • 定義情報

  • 実行予定,結果情報※1

マネージャーユニット

マネージャーグループ

収集不可※4

マネージャージョブネット

収集不可※4

注※1

JP1/AJSでは,実行登録時に実行予定・結果情報が生成されます。そのため実行登録済みのユニットを指定した場合だけ,実行予定・結果情報を収集できます。JP1/AJSでは,実行結果情報を「保存世代数」分残すことができます。実行結果情報を実行回数分出力するには,JP1/AJSで「保存世代数」の設定を変更する必要があります。デフォルトの設定は1世代です。

注※2

ジョブグループを指定し,そのジョブグループの中に実行登録済みと未登録のユニットが混在している場合は,実行登録済みのユニットだけ実行予定・結果情報を収集できます。

注※3

ジョブネットリリース機能を使用している場合,リリースIDごとのジョブネット定義情報および結果情報を収集できます。

ジョブネットリリース機能については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド」のジョブネットリリース機能の説明を参照してください。

注※4

マネージャージョブグループ,またはマネージャージョブネットの内容は収集できません。これらの情報の収集は,リンク先のJP1/AJS3 - Managerのホストで作業してください。

プランニンググループでは,現在運用中のユニットかどうかにかかわらず,すべてのユニットの情報を出力します。指定したユニットにより取得される情報の変化を次の図に示します。

図4‒2 情報取得範囲

[図データ]

(凡例)

[図データ] [ジョブグループ1]を指定した場合に取得する情報の範囲です。全ユニットの情報を取得します。

[図データ] [プランニンググループ]を指定した場合に取得する情報の範囲です。

[図データ] [ジョブグループ2]を指定した場合に取得する情報の範囲です。

[図データ] [ジョブネット6]を指定した場合に取得する情報の範囲です。

プランニンググループ配下に定義されているユニットの情報は,運用中のジョブネット(図中では[ジョブネット1]が運用中)以外の情報(図中では[ジョブネット2][ジョブネット3]が相当する)も取得します。

ジョブ運用情報のドキュメント出力は,最大ユニット数を超えるユニットを一度に出力できません。ジョブ運用情報の収集時に,ユニット数が最大ユニット数を超えないように,収集してください。

最大ユニット数は,[環境設定]画面で設定します。32,000〜150,000の範囲で変更できます。設定方法については,「7.19 [環境設定]画面」を参照してください。

JP1/AJS3 - Managerがクラスタ構成の場合は,アクティブな系からジョブ運用情報を収集してください。その際,サービス名に論理ホスト用のスケジューラーサービス名を指定してください。