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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド


付録A.2 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のセットアップ(Windowsホストの場合)

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNMと連携して,NNMからJP1/AJS3 - ManagerおよびJP1/AJS3 - Agentを監視するには,NNMがインストールされているホストに,JP1/AJS3 - ManagerまたはJP1/AJS3 - Viewをインストールします。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のシステム構成例を次の図に示します。

図A‒1 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のシステム構成例

[図データ]

この例では,JP1/AJS3 - Viewで[JP1/Cm2状態通知]アクションジョブを定義・実行し,JP1/AJS3 - Viewと同じホストにあるNNMでJP1/AJS3 - ManagerおよびJP1/AJS3 - Agentの状態を監視しています。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携は,次に示すOSで使用できます。なお,NNMのマネージャー(NNMがインストールされている,監視する側のホスト)として使用する場合,バージョン11-00以降のJP1/AJS3では,NNMのマネージャーとして使用できるOSはありません。NNMのマネージャーとして使用する場合は,バージョン10-50以前のJP1/AJS3を使用してください。

NNMのエージェント(NNMで監視される側のホスト)として使用する場合

Windows Server 2022※1,Windows Server 2019※1,Windows Server 2016※1,Windows Server 2012,またはWindows Server 2012 R2※2

(JP1/AJS3 - ManagerまたはJP1/AJS3 - Agent)

注※1

JP1/AJS3 - ManagerまたはJP1/AJS3 - Agentのバージョンが11-10以降の場合に使用できます。

注※2

JP1/AJS3 - Managerのバージョンが10-00-02以降,JP1/AJS3 - Agentのバージョンが10-00-03以降の場合に使用できます。

補足事項

JP1/AJS3は,NNMのエージェントとして,WindowsのSNMPサービスを使用してSNMPトラップの送信先を取得し,SNMPトラップを送信しています。

このため,前提プログラムとしてWindowsのSNMPサービスが必要です。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のセットアップ手順を次に示します。

図A‒2 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時のセットアップ手順

[図データ]

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNMのセットアップについては,マニュアル「JP1/Cm2/Network Node Manager ネットワーク管理ガイド」,またはHP NNMのドキュメントを参照してください。

ここでは,SNMPサービスの起動順序の設定と,連携するための環境設定について説明します。

〈この項の構成〉

(1) SNMPサービスの起動順序を設定する

JP1/AJS3サービスを起動・終了するときに,SNMPトラップを正しく発行するために,SNMPサービスまたはNNMと,JP1/AJS3サービスの起動順序を設定します。

起動順序を設定するには,JP1/Baseの起動管理機能を使用します。

NNMがセットアップされているホストでは,NNMが起動してからJP1/AJS3サービスを起動するように設定します。また,NNMで監視される側のホストでは,SNMPサービスが起動してからJP1/AJS3サービスが起動するように設定します。

JP1/Baseの起動管理機能については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」を参照してください。

重要

SNMPトラップを発行するとき,NNMがセットアップされているホストのJP1/Cm2/NNMサービスまたはHP NNMサービスが未起動だった場合には,トラップが通知されないことがあります。また,発行したSNMPトラップは,UDPプロトコルを使用しているため,ネットワークの状態によっては通知されないことがあります。このような場合,SNMPトラップが発行されてもNNMに反映されない場合があるため注意してください。

(2) 連携するための環境を設定する

スケジューラーの状態監視をする場合は,5分間隔でスケジューラーの状態を監視し,状態が変化したときにsnmptrapを発信する監視プロセスを設定する必要があります。監視プロセスを設定するには,次のようにjp1ajs_hstd.confファイルを編集してください。ただし,JP1/AJS3 - Agentの場合やスケジューラーの状態監視をしない場合は,スケジューラーの状態監視の設定は不要です。

jp1ajs_hstd.confファイル格納フォルダは,JP1/AJS3インストール先フォルダ\confです。

JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携で送信するSNMPトラップを運用環境に合わせて変更する場合,JP1/Baseの共通定義情報およびJP1/Cm2/NNM,またはJP1/Baseの共通定義情報およびHP NNM連携用環境定義ファイルに環境設定パラメーターを設定します。環境設定パラメーターの一覧を次の表に示します。

表A‒1 JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携の環境設定パラメーター一覧

定義先

環境設定パラメーター

定義内容

共通定義情報

[JP1_DEFAULT\JP1AOMAGENT\ov_link]

"TRAPRESTRAIN"=

SNMPトラップ送信抑止の有無※1

[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT\ov_link]

"SNMPTRAPCUSTOM"=

SNMPトラップ送信時のカスタマイズ情報参照レベル※2

"TRAPAGENTADDRHOST"=

SNMPトラップ送信元ホスト名※2

"TRAPAGENTADDRIP"=

SNMPトラップ送信元IPアドレス※2

"CUSTOMCOMMUNITY"=

SNMPトラップ認証用コミュニティ名(NNMエージェント側)※2

注※1

この環境設定パラメーターに定義する内容の詳細については,「(4) SNMPトラップ送信を抑止する」を参照してください。

注※2

これらの環境設定パラメーターに定義する内容の詳細については,「(5) 送信するSNMPトラップをカスタマイズする」を参照してください。

(3) SNMPトラップの送信先を設定する

NNMで監視するホスト(監視されるJP1/AJS3がインストールされている側)で,SNMPサービスのコミュニティ名とトラップ送信先の設定が必要です。コミュニティ名は「Jp1Trap」を,トラップ送信先はマネージャー(NNMがインストールされている側)のホスト名,またはIPアドレス(複数指定できます)を指定します。

NNMのエージェントをクラスタシステムで運用する場合,各ノードでトラップの送信先に監視用ホストを指定してください。

(4) SNMPトラップ送信を抑止する

JP1/AJS3サービスは,NNMへJP1/AJS3オブジェクト用のSNMPトラップを送信しています。JP1/AJS3からのSNMPトラップ送信を抑止する場合,JP1/Baseの共通定義情報にSNMPトラップの抑止を設定する必要があります。なお,この設定は物理ホスト・論理ホスト共通の定義で,両方のホストに有効になります。

SNMPトラップ送信の抑止手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行する。

    jajs_config -k "[JP1_DEFAULT\JP1AOMAGENT\ov_link]" "TRAPRESTRAIN"="Y"

    TRAPRESTRAINパラメーターには,SNMPトラップ送信を抑止するかどうかを指定します。SNMPトラップ送信を抑止する場合は「Y」を,抑止しない場合は「N」を指定します。デフォルトは「N」です。SNMPトラップ送信を抑止しない場合は,「Y」と記述されている部分に「N」を指定してください。「Y」および「N」ではない値が指定されていると,トラップ送信時にエラーが発生します。

(5) 送信するSNMPトラップをカスタマイズする

(a) 送信元ホスト名をカスタマイズする場合

JP1/AJS3オブジェクト用のSNMPトラップを送信する際,通常は,送信元ホストとして物理ホストの名称およびIPアドレスが設定されますが,SNMPトラップを送信するホストが複数のIPアドレスを持つ場合,SNMPトラップの送信元ホスト名の明示的な指定が必要になることがあります。SNMPトラップの送信元ホスト名は,次のような場合に設定してください。

  • NNMで論理ホストを認識しない設定をしていて,クラスタ運用をしているJP1/AJS3のノードから論理ホスト名を送信元ホスト名としたSNMPトラップが送信される場合,SNMPトラップの送信元ホスト名に物理ホスト名を設定する。

  • NNMで論理ホストのノードを認識する運用をしていて,クラスタ運用をしているJP1/AJS3のノードから物理ホスト名を送信元ホスト名としたSNMPトラップが送信される場合,SNMPトラップの送信元ホスト名に論理ホスト名を設定する。

送信するSNMPトラップの送信元ホスト名をカスタマイズする場合は,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するよう,JP1/Baseの共通定義情報に設定する必要があります。

■ 設定手順

設定手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行して,環境設定パラメーターを設定する。

    jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名1"=定義内容1 
    ["環境設定パラメーター名2"=定義内容2] 
    ["環境設定パラメーター名3"=定義内容3]

■ 環境設定パラメーター一覧

表A‒2 送信元ホスト名をカスタマイズする環境設定パラメーター一覧

定義キー

環境設定パラメーター

定義内容

[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT\ov_link]※1

"SNMPTRAPCUSTOM"=※2

dword:{0|1|2}

"TRAPAGENTADDRHOST"=※3

エージェントホスト名

"TRAPAGENTADDRIP"=※4

IPアドレス

注※1

{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。

注※2

環境設定パラメーターSNMPTRAPCUSTOMには,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するかどうかを指定します。送信元ホスト名を参照する場合は「1」を,カスタマイズ情報を参照しない場合は「0」を指定します。デフォルトは「1」です。

注※3

環境設定パラメーターTRAPAGENTADDRHOSTには,SNMPトラップ送信元ホストの名称を255バイト以内で指定します。デフォルトは,SNMPトラップを送信する物理ホストの名称です。

注※4

環境設定パラメーターTRAPAGENTADDRIPには,SNMPトラップ送信元ホストのIPアドレスを指定します。デフォルトは,SNMPトラップを送信する物理ホストのIPアドレスです。

(b) 認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合

JP1/AJS3オブジェクト用のSNMPトラップでは,認証用コミュニティ名に「public」を使用しています。送信するSNMPトラップの認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合は,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するよう設定する必要があります。

■ 状態を監視される側(JP1/AJS3がインストールされている側)のSNMPトラップの認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合

状態を監視される側(JP1/AJS3がインストールされている側)のJP1/AJS3オブジェクト用SNMPトラップの認証用コミュニティ名をカスタマイズする場合,JP1/Baseの共通定義情報に,カスタマイズ情報を参照する設定を行います。設定手順を次に示します。

  1. 次のコマンドを実行して,環境設定パラメーターを設定する。

    jajs_config -k 定義キー名 "環境設定パラメーター名1"=定義内容1 
    ["環境設定パラメーター名2"=定義内容2]
    表A‒3 認証用コミュニティ名をカスタマイズする環境設定パラメーター一覧

    定義キー

    環境設定パラメーター

    定義内容

    [{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AOMAGENT\ov_link]※1

    "SNMPTRAPCUSTOM"=※2

    dword:{0|1|2}

    "CUSTOMCOMMUNITY"=※3

    認証用コミュニティ名

    注※1

    {JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。

    注※2

    環境設定パラメーターSNMPTRAPCUSTOMには,SNMPトラップ送信時にカスタマイズ情報を参照するかどうかを指定します。認証用コミュニティ名を参照する場合は「2」を指定します。デフォルトは「1」です。

    注※3

    環境設定パラメーターCUSTOMCOMMUNITYには,認証用コミュニティの名称を255バイト以内で指定します。デフォルトは,「public」です。

注意事項
  • 送信元ホスト名と認証用コミュニティ名の両方をカスタマイズする場合,環境設定パラメーターSNMPTRAPCUSTOMには「2」を指定し,環境設定パラメーターTRAPAGENTADDRHOSTTRAPAGENTADDRIPのどちらかと,CUSTOMCOMMUNITYを指定してください。

  • カスタマイズしたSNMPトラップをWindowsホストのNNMで受信する場合,NNMを「WinSNMPを使用しない」状態に設定しておく必要があります。詳細については,「NNMランタイムヘルプ」の「ovtrapd」に関する説明を参照してください。

(6) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する

状態を監視される側(JP1/AJS3がインストールされている側)の,JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携を解除する場合は,SNMPサービスの設定で,トラップの送信先からNNMがインストールされているホストを削除してください。

(7) JP1/Cm2/NNMまたはHP NNM連携時の注意事項

(a) 全体的な注意事項

  • NNMでは,クラスタ運用を行っているノードを監視する場合,論理ホストを認識しない設定を推奨しています。JP1/AJS3のトラップは物理ホスト名をキーにして送信されるため,NNMが論理ホストでノードを認識すると,JP1/AJS3のシンボルが表示されません。このような場合は,論理ホストを認識しないようNNMを設定するか,または送信するSNMPトラップをカスタマイズしてください。

    送信するSNMPトラップのカスタマイズ方法については,「(5) 送信するSNMPトラップをカスタマイズする」を参照してください。NNMの設定方法については,マニュアル「JP1/Cm2/Network Node Manager ネットワーク管理ガイド」,またはHP NNMのドキュメントを参照してください。

  • NNMが動作している言語環境と異なる文字コードの情報がSNMPトラップに含まれていると通知された情報が文字化けし,アラームブラウザで正しく表示されません。そのため,次の項目にマルチバイト文字を使用する場合は,NNMとJP1/AJS3の言語環境を合わせてください。

    • ルートジョブネット名

      ルートジョブネットの異常終了時に発行されるSNMPトラップに含まれるため。

    • JP1/Cm2状態通知ジョブの[付加情報]

      JP1/Cm2状態通知ジョブの実行時に発行されるSNMPトラップに含まれるため。

(b) NNMのエージェント側の注意事項

  • DNSを使用しているなどによって長いホスト名を使用する場合,状態を監視される(JP1/AJS3がインストールされている)側のホスト名を228バイト以下にしてください。

    さらに論理ホストのJP1/AJS3を監視する場合,物理ホスト名と論理ホスト名の長さの合計を246バイト以下にしてください。

    ホスト名が上記以上のホストの場合,NNMにシンボルが作成されません。

  • ジョブネットの異常終了を通知するSNMPトラップを送信するのは,ルートジョブネットの異常終了時です。