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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス


jpqimport

〈このページの構成〉

形式

jpqimport
     -dt {isam}
     -ci サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル名
     [-mh 論理ホスト名]
     [-dp データベース格納ディレクトリ名]

機能

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)を使用して,ジョブ実行環境(ジョブ実行エージェント,キュー,および排他実行リソース)を一括定義します。

他ホストのエージェントでジョブを実行する場合は,ジョブ実行環境のジョブ実行エージェントを定義する必要があります。

また,次の場合は,キューを作成する必要があります。

実行権限

Windowsの場合:Administrators権限

UNIXの場合:スーパーユーザー権限

引数

-dt {isam}

ジョブ実行環境のデータベースの種類を指定します。

  • isam

    ISAMを利用したデータベース

-ci サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル名

使用するサブミットジョブ実行環境構成定義ファイル名(jpqsetup.conf)を指定します。

指定できる文字数は,1〜511(単位:バイト)です。

-ciオプションにファイル名(jpqsetup.conf)だけを指定した場合,コマンド実行時にファイル(jpqsetup.conf)がカレントディレクトリにあると仮定されます。そのため,カレントディレクトリにファイル(jpqsetup.conf)が存在しない場合は,コマンドがエラーになります。

カレントディレクトリを意識せずにコマンドを実行する場合は,-ciオプションに指定するファイル名(jpqsetup.conf)をフルパスで指定してください。

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルの定義方法については,後述の「サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)の定義方法」を参照してください。

-mh 論理ホスト名

論理ホスト名を指定します。

指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。

省略した場合,物理ホスト名が仮定されます。

このオプションは,最初に指定してください。

-dp データベース格納ディレクトリ名

ジョブ実行環境のデータベースである,ISAMファイルを格納するディレクトリ名を指定します。

指定できる文字数は,1〜511(単位:バイト)です。

省略した場合,環境設定時にジョブ実行環境のデータベース格納ディレクトリとして定義したディレクトリ名が仮定されます。

注意事項

  1. このコマンドで一括定義したジョブ実行環境はQUEUEジョブ,サブミットジョブで使用します。

    なお,キューレスジョブではジョブ実行環境の定義は使用しません。

  2. このコマンドでサブミットジョブ実行環境を一括定義する場合,情報の上書きができません。サブミットジョブ実行環境のデータベースを再作成する前には,必ずJP1/AJS3を停止し,作成済みのデータベースを削除または退避してください。削除するファイルは,-dpオプションに指定するディレクトリ以下すべて(環境設定時に指定したジョブ実行環境のデータベース格納ディレクトリ以下すべて)です。

    Windowsの場合はエクスプローラなどで削除してください。

    UNIXの場合はrmコマンドで削除してください。

  3. -ciオプションに指定するファイル内で使用する文字コードは,JP1/AJS3の運用時に使用する文字コードと同じ文字コードを使用してください。

    注※

    環境設定パラメーターAJSCHARCODEで指定した文字コード。

  4. -dpオプションでデータベース格納ディレクトリ名を指定した場合は,指定したディレクトリ名を環境設定時にも指定する必要があります。

    環境設定パラメーターDatabasePathに指定します。

  5. 同じ論理ホスト上のJP1/AJS3が起動している間にこのコマンドを実行すると,エラーになります。

  6. ジョブ実行環境の一括定義の処理は,サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルの内容によっては,数十分掛かる場合があります。

  7. ジョブ実行環境を再作成するとき,残っているジョブの標準出力・標準エラー出力ファイルを削除します。ジョブを大量に実行したあとに,ジョブ実行環境を再作成するとこれらのファイルを削除するためにコマンドの実行時間が長くなる場合があります。

  8. コマンドを使ってジョブ実行エージェント・キュー・排他実行リソースを追加したり,削除したりし,かつ,共通定義情報でエージェント,キュー,排他実行リソースの最大定義数を小さくした場合,jpqexportコマンドで出力したサブミットジョブ実行環境構成定義ファイルを使用しても,jpqimportコマンドでジョブ実行環境を一括定義できないおそれがあります。例えば,共通定義情報のエージェントの最大定義数を30に設定した環境では,エージェントIDが100のエージェントをサブミットジョブ実行環境構成定義ファイルに定義してjpqimportコマンドを実行すると,jpqimportコマンドはエラーになります。

    この場合,サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルに定義されているエージェントID,キューID,排他実行リソースIDが,環境設定時に指定した最大定義数以下になるように,サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルの記述を修正してください。その後,jpqimportコマンドを再実行してください。

  9. #」を行頭に記載することで,その行はコメントとして扱われます。「#」は必ず行頭に記載してください。パラメーターのあとに記載するとエラーとなります。

  10. -mhオプションを省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEは参照しません。論理ホストで運用している場合は,-mhオプションは省略しないでください。

戻り値

0

正常終了。

1

引数の指定が不適切である。

130

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル,またはパスがない。

132

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルの記述内容が不適切である。

133

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルへのアクセス権限がない。

135

システム資源が不足しているため,データベースを作成できない。

136

データベースがすでに作成されている。

137

データベース格納ディレクトリがない。

138

データベースへのアクセス権限がない。

140

ジョブ実行環境を一括定義する権限(Administrators権限(Windowsの場合),またはスーパーユーザー権限(UNIXの場合))がない。

141

環境設定が不適切である。または,論理ホスト名が不適切である。

142

同じ論理ホスト上のマネージャーホストが起動している。

145

メモリーが不足している。

146

ディスクの空き領域が不足している。

147

内部的要因エラーが発生した。

149

データベースのサイズが2ギガバイトを超えているため処理が行えない。

150

データベースへ接続できない。

151

RDAREA不正,もしくはRDAREAがない。

153

コマンドを実行できる状態でない。

補足事項

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)の定義方法

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルには,次に示す3種類の情報を定義します。

次に,各情報の定義方法を説明します。

エージェント定義

形式
$agent $エージェントID {エージェントホスト名|$system}
[exec_jobs 多重度設定開始時刻 多重度設定終了時刻
     ジョブ実行多重度]...
def_queue $デフォルトキューのID
[max_jobs キュー内のジョブ数の最大値]
[warn_jobs キュー内のジョブ数の警告値]
[queue_ent {open|close}]
[queue_exit {open|close}]
[connect $エージェントID 優先順位]...
$end
引数
$agent $エージェントID {エージェントホスト名|$system}

ジョブ実行エージェントホスト名を指定します。

  • $agent:固定

  • $エージェントID:「$annはマネージャーホスト内でユニークな値,0以外の値)」の形式で指定する。nは,環境設定時に指定したエージェント定義数以下の値を指定する(例えば,エージェント定義数を256とした場合,nには256以下の値を指定する。257以上の値を指定すると,エラーになる)。

  • エージェントホスト名:255バイト以内の文字列

  • $system:マネージャーホスト上のジョブ実行エージェント

exec_jobs 多重度設定開始時刻 多重度設定終了時刻 ジョブ実行多重度

ジョブ実行多重度を指定します。省略した場合,1日のジョブ実行多重度に0が仮定されます。

ジョブ実行多重度を指定すると,このエージェントホストで同時に実行できるジョブ数を制限できます。同時実行数が制限されるジョブは,標準ジョブ(UNIXジョブ,PCジョブ,QUEUEジョブ),アクションジョブ,およびカスタムジョブです。同時に実行しようとしたジョブ数が実行多重度に達した場合,実行多重度を超えた分のジョブは,実行中のジョブが終了するまでキューイング(実行待ち)の状態になります。

ジョブ実行多重度が0の場合,ジョブは実行できません。ジョブを実行する場合は1以上を指定してください。

  • 多重度設定開始時刻:「hhmm」の形式で指定する。hhに指定できる値は,00〜23(単位:時)。mmに指定できる値は,00,または30(単位:分)。

  • 多重度設定終了時刻:「hhmm」の形式で指定する。hhに指定できる値は,00〜23(単位:時)。mmに指定できる値は,00,または30(単位:分)。

  • ジョブ実行多重度:0〜4,294,967,295の値

def_queue $デフォルトキューのID

デフォルトキューのIDを指定します。

デフォルトキューとは,エージェントホスト名を指定してジョブを実行する場合に必要なキューです。ジョブをサブミットする際,ジョブのサブミット先や実行先としてエージェントホスト名を指定すると,ジョブはそのエージェントホストのデフォルトキューにサブミットされます。

  • $デフォルトキューのID:デフォルトキューのIDを,「$qnnは,デフォルトキューのIDおよびデフォルトキュー以外のキューのIDを合わせてマネージャーホスト内でユニークな値,0以外の値)」の形式で指定する。nは,環境設定値のキュー定義数以下の値を指定する(例えば,キュー定義数を256とした場合,nには256以下の値を指定する。257以上の値を指定すると,エラーになる)。

max_jobs キュー内のジョブ数の最大値

デフォルトキューにためておけるジョブ数の最大値を指定します。省略した場合,4,294,967,295が仮定されます。ただし,この設定にかかわらず,システム内の最大ジョブ数と同数のジョブがキュー中に残っていると,サブミットに失敗します。

この設定は,実際に実行中になったジョブも含みます。ジョブ数は,jpqqueshowコマンドの-qオプションで表示される「QUEUING」と「EXECUTING」の両方を合わせた値です。

  • キュー内のジョブ数の最大値:1〜4,294,967,295の値

warn_jobs キュー内のジョブ数の警告値

デフォルトキュー内のジョブ数が,デフォルトキューにためておけるジョブ数の最大値に近づいたことを知らせる警告値を指定します。省略した場合,4,294,967,295が仮定されます。この設定(省略時の仮定値を含む)は,デフォルトキュー内のジョブ数を対象としており,実際に実行中になったジョブも含みます。jpqqueshowコマンドの-ahオプションで確認すると「QUEUING」「EXECUTING」の両方を合わせたジョブ数になります。

ジョブ数が警告値に達すると,警告メッセージKAVU4516-Wが統合トレースログに出力されます。

  • キュー内のジョブ数の警告値:キュー内のジョブ数の最大値以下で,1〜4,294,967,295の値

queue_ent {open|close}

デフォルトキューの,ジョブの受付口の状態を指定します。受付口が閉じている場合,デフォルトキューにジョブを投入できません。省略した場合,openが仮定されます。

  • open:受付口を開く。

  • close:受付口を閉じる。

queue_exit {open|close}

デフォルトキューの,ジョブの取出口の状態を指定します。取出口が閉じている場合,デフォルトキューでジョブを実行できません。ジョブはデフォルトキューにたまります。省略した場合,openが仮定されます。

  • open:取出口を開く。

  • close:取出口を閉じる。

connect $エージェントID 優先順位

デフォルトキューに接続するエージェントホストのIDを指定します。エージェントIDは複数指定できます。省略した場合,エージェントホスト名を指定したジョブは実行できません。

  • $エージェントID:接続するエージェントホストのIDを,「$an」の形式で指定する。

  • 優先順位:1〜16の値(優先順位がいちばん低いのが1,いちばん高いのが16)。優先順位が高いほど,ジョブが優先的に実行される。

$end

エージェント情報の終端を指定します。

  • $end:固定

記述例
$agent $a1 $system
exec_jobs 0000 0730 10
exec_jobs 0730 2000 1
exec_jobs 2000 0000 5
def_queue $q1
max_jobs 10
warn_jobs 5
queue_ent open
queue_exit open
connect $a1 1
$end
 
$agent $a2 agent1
exec_jobs 0000 0000 10
def_queue $q2
max_jobs 10
warn_jobs 5
queue_ent open
queue_exit open
connect $a1 1
connect $a2 2
$end

キュー定義

形式
$queue $キューID キュー名
[max_jobs キュー内のジョブ数の最大値]
[warn_jobs キュー内のジョブ数の警告値]
[queue_ent {open|close}]
[queue_exit {open|close}]
[connect $エージェントID 優先順位]...
$end
引数
$queue $キューID キュー名

キュー名を指定します。

エージェント名は大文字・小文字が区別されませんが,キュー名は大文字・小文字が区別されるので注意してください。

  • $queue:固定

  • $キューID:「$qnnは,デフォルトキューのIDおよびデフォルトキュー以外のキューのIDを合わせてマネージャーホスト内でユニークな値,0以外の値)」の形式で指定する。nは,環境設定時に指定したキュー定義数以下の値を指定する(例えば,キュー定義数を256とした場合,nには256以下の値を指定する。257以上の値を指定すると,エラーになる)。

  • キュー名:63バイト以内の文字列

max_jobs キュー内のジョブ数の最大値

キューにためておけるジョブ数の最大値を指定します。省略した場合,4,294,967,295が仮定されます。ただし,この設定にかかわらず,システム内の最大ジョブ数と同数のジョブがキュー中に残っていると,サブミットに失敗します。

この設定は,実際に実行中になったジョブも含みます。ジョブ数は,jpqqueshowコマンドの-qオプションで表示される「QUEUING」と「EXECUTING」の両方を合わせた値です。

  • キュー内のジョブ数の最大値:1〜4,294,967,295の値

warn_jobs キュー内のジョブ数の警告値

キュー内のジョブ数が,キューにためておけるジョブ数の最大値に近づいたことを知らせる警告値を指定します。省略した場合,4,294,967,295が仮定されます。

この設定は,実際に実行中になったジョブも含みます。ジョブ数は,jpqqueshowコマンドの-qオプションで表示される「QUEUING」と「EXECUTING」の両方を合わせた値です。

ジョブ数が警告値に達すると,警告メッセージKAVU4516-Wが統合トレースログに出力されます。

  • キュー内のジョブ数の警告値:キュー内のジョブ数の最大値以下で,1〜4,294,967,295の値

queue_ent {open|close}

キューの,ジョブの受付口の状態を指定します。受付口が閉じている場合,キューにジョブを投入できません。省略した場合,openが仮定されます。

  • open:受付口を開く。

  • close:受付口を閉じる。

queue_exit {open|close}

キューの,ジョブの取出口の状態を指定します。取出口が閉じている場合,キューでジョブを実行できません。ジョブはキューにたまります。省略した場合,openが仮定されます。

  • open:取出口を開く。

  • close:取出口を閉じる。

connect $エージェントID 優先順位

キューに接続するエージェントホストのIDを指定します。エージェントIDは複数指定できます。省略した場合,キュー名を指定したジョブは実行できません。

  • $エージェントID:接続するエージェントホストのIDを,「$an」の形式で指定する。

  • 優先順位:1〜16の値(優先順位がいちばん低いのが1,いちばん高いのが16)。優先順位が高いほど,ジョブが優先的に実行される。

$end

キュー情報の終端を指定します。

  • $end:固定

記述例
$queue $q3 queue1
max_jobs 10
warn_jobs 5
queue_ent open
queue_exit close
connect $a1 1
connect $a2 2
$end

排他実行リソース定義

形式
$res $排他実行リソースID 排他実行リソース名
$end
引数
$res $排他実行リソースID 排他実行リソース名

排他実行リソース名を指定します。

  • $res:固定

  • $排他実行リソースID:「$rnnはマネージャーホスト内でユニークな値,0以外の値)」の形式で指定する。nは,環境設定時に指定した排他実行リソース定義数以下の値を指定する(例えば,排他実行リソース定義数を256とした場合,nには256以下の値を指定する。257以上の値を指定すると,エラーになる)。

  • 排他実行リソース名:63バイト以内の文字列

$end

排他実行リソース情報の終端を指定します。

  • $end:固定

記述例
$res $r1 DAT_System
$end
 
$res $r2 Temp_File01
$end