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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス


jpqdbcond

〈このページの構成〉

形式

jpqdbcond
     [-h 論理ホスト名]
     [[-m] |
       [[-x][-k]
         [-d ディレクトリ名] [-p {出力先}]]|
     [[{-l|-L} [-a] [[-i {出力先}]|
       [-t {出力先,未使用領域サイズしきい値} [-v]]]]
        |[-t {出力先,未使用領域サイズしきい値} [-v]]]]

機能

  1. ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの未使用領域率が高くなった場合などに,無効領域を圧縮し,ファイルを再編成します。

  2. ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの未使用領域率や,データファイルフラグメント率および未使用領域サイズを標準出力に出力します。

    ISAMファイルの未使用領域率については,ジョブ実行環境でISAMファイルを使用中の場合でも,情報を表示できます。

  3. ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの次に示す情報を,指定した出力先にメッセージとして出力します。

    ・再編成時の情報(開始・終了時刻,統計情報)

    ・未使用領域サイズ

    ・未使用領域サイズがしきい値に達していた

    メッセージの出力先は,次の中から単独で指定することも,幾つか組み合わせて指定することもできます。

    ・標準エラー出力

    ・Windowsイベントログまたはsyslog

    ・JP1イベント

  4. ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの未使用領域サイズがしきい値に達しているかいないかを,このコマンドの戻り値に設定します。

  5. ISAMファイルのフォーマットを変換します。

実行権限

Windowsの場合:Administrators権限

UNIXの場合:スーパーユーザー権限

引数

-h 論理ホスト名

処理対象とする論理ホスト名を指定します。

指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。

省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,自ホスト名が仮定されます。

-m

ジョブ実行環境データベースのISAMロックテーブルエントリー数とISAMファイルフォーマット(キー再利用機能が有効か無効か)を出力します。

このオプションは,-hオプション以外のオプションとは同時に指定できません。

-x

ジョブ実行環境で使用するISAMファイルのデータファイルおよびキーファイルを完全に再編成します。

-k

ジョブ実行環境を構成するすべてのISAMファイルをキー再利用機能が有効となるフォーマットに変換すると同時に,データファイルおよびキーファイルを完全に再編成します。

-d ディレクトリ名

ジョブ実行環境で使用するISAMファイルを再編成する場合に,キーソート時に使用するワークファイルのディレクトリ名を指定します。

省略した場合の扱いについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJiscondコマンドの説明を参照してください。

-p {出力先}

ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの再編成開始および終了時にメッセージを出力します。

このオプションは,-xオプションと同時に指定します。

  • 出力先

    メッセージの出力先を,次の中から指定します。出力先は,単独で指定することも,幾つか組み合わせて指定することもできます。

    e:標準エラー出力

    s:Windowsイベントログまたはsyslog

    j:JP1イベント

このオプションを指定したときの,メッセージの出力例を次に示します。

(例1)再編成開始時
KAVU5980-I ジョブ実行環境のデータベース再編成を開始しました 20XX/10/01 01:05:40
(例2)再編成正常終了時
KAVU5981-I ジョブ実行環境のデータベース再編成が正常終了しました 20XX/10/01 01:05:40 - 20XX/10/01 01:20:20 (00:14:40)

開始日時,終了日時,経過時間,実施前後の未使用領域サイズをあわせて出力します。

(例3)再編成異常終了時
KAVS5982-E ジョブ実行環境のデータベース再編成が異常終了しました 20XX/10/01 01:05:40 - 20XX/10/01 01:20:20 (00:14:40)

{-l|-L}

ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの未使用領域率を表示する場合に指定します。

このオプションを,-aオプションと同時に指定した場合,より詳細なISAMファイルの情報を表示します。

  • -l

    ISAMファイルを占有して情報を取得します。

    このオプションは,ファイルを占有して情報を取得するため,-Lオプションを指定した場合より正確な情報が取得できます。ただし,他プロセスがISAMファイルを使用中の場合は,エラーになります。

  • -L

    ISAMファイルを占有しないで情報を取得します。

    このオプションは,ファイルを占有しないため,ジョブ実行環境でISAMファイルを使用中でも情報を取得できます。ただし,並行してISAMファイルを更新しているプロセスがある場合,情報取得の瞬間のISAMファイル更新分については誤差が生じます。

-a

ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの詳細な情報を出力します。

このオプションは,-lまたは-Lオプションと同時に指定すると,未使用領域率に加え,データファイルフラグメント率と未使用領域サイズを出力します。

-i {出力先}

ジョブ実行環境で使用するISAMファイルの未使用領域サイズをメッセージに出力します。

  • 出力先

    メッセージの出力先を,次の中から指定します。出力先は,単独で指定することも,幾つか組み合わせて指定することもできます。

    e:標準エラー出力

    s:Windowsイベントログまたはsyslog

    j:JP1イベント

このオプションを指定したときの,メッセージの出力例を次に示します。

(例)
KAVU5983-I ジョブ実行環境のISAM未使用領域サイズは 99MBです

-t {出力先},未使用領域サイズしきい値

ジョブ実行環境で使用するISAMファイルが,指定した未使用領域サイズしきい値に達していた場合,メッセージを出力します。

このオプションを使用して,ジョブを大量に実行するなどの繁忙期でないときに,JP1/AJS3のジョブとしてjpqdbcondコマンドをスケジュール実行することで,定期的にISAMファイルの状態を確認して,警告メッセージを出力できます。

  • 出力先

    メッセージの出力先を,次の中から指定します。

    出力先は,単独で指定することも,幾つか組み合わせて指定することもできます。

    e:標準エラー出力

    s:Windowsイベントログまたはsyslog

    j:JP1イベント

  • 未使用領域サイズしきい値

    ISAMファイルの未使用領域サイズしきい値を指定します。

    指定できる値は,1〜1024(単位:メガバイト(MB),1MB=1,024×1,024バイト)です。

このオプションを指定したときの,メッセージの出力例を次に示します。

(例)
KAVU5984-W ジョブ実行環境のISAM未使用領域サイズは101MBで,しきい値(100MB)に達しています

-v

未使用領域率に達していたかいないかを,このコマンドの戻り値(プロセス終了コード)に設定する場合に指定します。

このオプションは,-tオプションと同時に指定します。

このオプションの指定の有無と,jpqdbcondコマンドの戻り値の関係を次に示します。

  • -vオプションを指定しない場合の戻り値

    0

    正常終了。

    0以外の値

    異常終了。

  • -vオプションを指定した場合の戻り値

    0

    未使用領域サイズしきい値に達していない。

    1

    未使用領域サイズしきい値以上の未使用領域サイズがある。

    100以上の値

    異常終了。

注意事項

  1. 該当するファイルをバックアップして保存した上で,再編成を実施してください。jpqdbcondコマンドは,-dオプションで指定したディレクトリを作業ディレクトリとして使用します。-dオプションで指定したディレクトリがあるドライブまたはパーティションには,再編成対象のジョブ実行環境のISAMキーファイルの中で最もサイズが大きいキーファイルの2倍以上の空き容量が必要です。また,ジョブ実行環境データベースディレクトリがあるドライブまたはパーティションには,再編成対象のジョブ実行環境のISAMファイルの中で最もサイズが大きいファイルと同程度の空き容量が必要です。

    -dオプションを指定しない場合は,OSの標準的なワークディレクトリを使用します。マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJiscondコマンドについての説明を参照してください。

  2. -x-t-l-L-k-mオプションをすべて指定しない場合,-xオプションが仮定されます。

  3. このコマンドに-xおよび-kオプションを指定した場合は,実行前(ISAMファイルを再編成する前)に,ファイルのバックアップを必ず取得してください。

  4. このコマンドに-x-lおよび-kオプションを指定した場合,ISAMファイルを閉じている状態で実行してください(ISAMファイルを閉じるには,JP1/AJS3を停止してください)。ファイルが開いている状態でこのコマンドを実行した場合,エラーになります。

  5. このコマンドに-Lオプションを指定した場合,他プロセスが使用中のISAMファイルに対しても情報を取得できますが,並行してアクセスする他プロセスがISAMファイルを更新した場合,情報取得の瞬間のISAMファイル更新分については誤差が生じます。また,ISAMファイルの整合性を保つため,コマンド実行中は他プロセスのISAMファイルへのアクセスが待たされます。したがって,このコマンドを使用する場合は,ジョブを大量に実行するなどの繁忙期を避けてください。

  6. -l-Lオプションで出力される情報は,フラグメンテーションの割合ではなく,未使用領域率です。このため,ISAMファイル中にレコードがない場合や,レコードが非常に少ない件数の場合,まだ使用されていない予約済みの空き領域に対する未使用領域率として「100%」と出力されます。

  7. ISAMファイルを再編成しても,未使用領域が完全に再編成されないで,多少残る場合があります。

  8. このコマンドに-xオプション,または-kオプションを指定して実行する場合,jpqautocondコマンドおよびjajs_maintain -m managerコマンドを同時に実行しないでください。

  9. このコマンドの-xオプションおよび-kオプションは同時に指定しないでください。

戻り値

0

正常終了。

1

使用するISAMファイルに,未使用領域サイズしきい値以上の未使用領域サイズがある。

100

引数の指定が不適切である。

132

サブミットジョブ実行環境構成定義ファイルの記述内容が不適切である。

135

システム資源不足が発生した。

137

データベース格納ディレクトリがない。

138

データベースへのアクセス権限がない。

140

コマンドを実行する権限(Administrators権限(Windowsの場合),またはスーパーユーザー権限(UNIXの場合))がない。

141

環境設定が不適切である。または,論理ホスト名が不適切である。

145

メモリー不足が発生した。

146

ディスク容量不足が発生した。

147

内部的要因でエラーが発生した。

148

データベース再編成ISAM処理でエラーが発生した。

149

データベースのサイズが2ギガバイトを超えているため処理が行えない。

226

実行環境が不適切である。

注※

-tオプションと-vオプションを同時に指定している場合,ジョブ実行環境で使用するISAMファイルが,未使用領域サイズしきい値に達していないことを示します。

補足事項