Hitachi

JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス


ajsembdbsetup

〈このページの構成〉

形式

ajsembdbsetup
     [-mh 論理ホスト名]
     [-F サービス名]
     [-p ポート番号]
     [-m [-s 送信バッファサイズ] [-r 受信バッファサイズ]]
     [-ct 最大待ち合わせ時間]
     [-tp テーブル名プリフィックス]
     [-c]
     [-ru { l | m | s }]
     [-id セットアップ識別子]
     [-convert]
     [-del]
     [-e { byte | sjis }]
     [-b]

機能

組み込みDB環境を,スケジューラーサービスおよびエージェント管理用のデータベースとしてセットアップします。

組み込みDBが稼働中の場合だけ実行できます。

実行権限

Windowsの場合:Administrators権限

UNIXの場合:スーパーユーザー権限

格納先ディレクトリ

Windowsの場合

JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\tools\

UNIXの場合

/opt/jp1ajs2/tools/

引数

-mh 論理ホスト名

処理対象とするJP1論理ホスト名を指定します。指定できる文字数は,1〜32(単位:バイト)です。

省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEの設定があれば,環境変数値が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEの指定がない場合は,物理ホストが仮定されます。

-F サービス名

処理対象とするスケジューラーサービスのサービス名を指定します。

省略した場合,環境変数AJSCONFの設定があれば,環境変数値が仮定されます。環境変数AJSCONFの指定がない場合は,デフォルトのスケジューラーサービスが仮定されます。

-p ポート番号

組み込みDBに接続する際のポート番号を10進数で指定します。ajsembdbbuildコマンドの-pオプションで指定したポート番号を指定してください。

省略した場合,「22220」が仮定されます。

構成定義のRDBPORTパラメーターに設定されます。

指定できる値の範囲は5001〜65535となります。

-m [-s 送信バッファサイズ] [-r 受信バッファサイズ]

組み込みDBのプロセス間メモリー通信機能で使用する送信バッファサイズ,および受信バッファサイズを指定します。

構成定義のRDBIPCRDBSENDMEMSIZE,およびRDBRECVMEMSIZEパラメーターに設定されます。

  • -s

    送信バッファサイズを10進数で指定します(単位:キロバイト)。

  • -r

    受信バッファサイズを10進数で指定します(単位:キロバイト)。

-sまたは-rオプションで指定できる値の範囲は,それぞれ4〜2,097,152となります。

-sまたは-rオプションを省略した場合は,組み込みDBの標準値で動作します。

JP1/AJS3での最適値は,送信バッファサイズ=100,受信バッファサイズ=1600です。

-mオプションを省略した場合はプロセス間メモリー通信機能を使用して-s-rオプション指定の有無にかかわらず送信バッファサイズ=100,受信バッファサイズ=1600を設定します。

-ct 最大待ち合わせ時間

RDB接続待ち合わせ機能を使用する場合,RDB接続待ち合わせを打ち切る時間を,0〜60(単位:分)の範囲の値で指定します。

省略した場合,「1」が仮定されます。

0」を指定した場合は,RDB接続待ち合わせ機能が無効になります。

このオプションに,0〜60以外の値を指定した場合,不正な値が構成定義に設定され,JP1/AJS3起動時にエラーメッセージ「KAVS1003-E 構成定義に誤った指定があります(項目名)」が出力されることがあります。また,ajsembdbsetupコマンド実行中にエラーメッセージKAVA0334-Eが出力される場合もあります。

-tp テーブル名プリフィックス

JP1/AJS3スケジューラーデータベースのテーブル名プリフィックスを4バイト以内で指定します。

省略した場合,「AJS1」が仮定されます。

構成定義TABLENAMEPREFIXパラメーターの設定が変更されます。

-c

スキーマ作成が成功し,それ以降のテーブル作成処理などでエラーが発生したあとに再セットアップを行う場合に指定してください。

-ru { l | m | s }

空き領域の再利用機能を使用する場合に指定します。lmsと同時に指定した場合,再利用開始ポイントを指定できます。

省略した場合は,-ru lが仮定されます。

-ruオプションの後ろに空き領域の再利用機能の再利用開始ポイントを指定します。データベース(テーブル)領域の使用率がここで指定したポイントに達した場合,空き領域が再利用されます。

lmsはそれぞれajsembdbbuildコマンドのデータベースモデル,大・中・小規模に対応しています。ajsembdbbuildコマンドで指定したデータベースモデルの規模と同じオプションを指定してください。

各テーブルに設定されるデータベース領域に対する空き領域の再利用機能の再利用開始ポイントは次のとおりになります。

表2‒1 各テーブルに設定されるデータベース領域に対する空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント

テーブル名

各テーブルで設定される空き領域の再利用機能の再利用開始ポイント

AJS1UNIT

データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの6%

sを指定した場合は18,mを指定した場合は183,lを指定した場合は957を指定します)

AJS1ARROW

AJS1BODY

AJS1SCH

AJS1CAL

AJS1PERF

AJS1ENTRY

AJS1GEN

AJS1STAT

データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの16%

sを指定した場合は48,mを指定した場合は489,lを指定した場合は2553を指定します)

AJS1RELS

データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの6%

sを指定した場合は18,mを指定した場合は183,lを指定した場合は957を指定します)

AJS1ID

AJSAGTEXECCNT

データベース領域AJS2DATA全体のセグメントの1%

sを指定した場合は3,mを指定した場合は30,lを指定した場合は159を指定します)

AJSEXECAGT

AJSEXECAGTGRP

AJSLINKAGT

AJS1JINF

データベース領域AJS2DATA2全体のセグメントの70%(smlのどれを指定した場合でも70を指定します)

注※

バックアップ強化機能が有効な場合だけ作成するテーブルです。

テーブル名は,テーブルプリフィックスを標準の「AJS」としている場合の名称です。

なお,ajsembdbbuildコマンドのデータベースモデル,大・中・小規模で作成される領域のセグメントの全体量は次のとおりです。

表2‒2 ajsembdbbuildのデータベースモデル,大・中・小規模で作成される領域のセグメントの全体量

データベース領域・名称

小規模

中規模

大規模

データ領域AJS2DATA

300

3,060

15,960

データ領域AJS2DATA2

100

100

100

注※

バックアップ強化機能が有効な場合だけ作成する領域です。

-id セットアップ識別子

組み込みDBを識別するセットアップ識別子を「_JFn」(nは0〜9またはA〜Zのどれか)の4文字で指定します。ajsembdbbuildコマンドの-idオプションで指定した値を指定してください。

このオプションを省略した場合は,_JF0が仮定されます。

-convert

JP1/AJS2 - ManagerからJP1/AJS3 - Managerへのバージョンアップ後,高度な設定でのセットアップを実行する場合に指定します。

-del

-convertオプションを指定した高度な設定でのセットアップでエラーが発生した場合に,処理を回復させるときに指定します。

セットアップエラー発生時と同じオプションを指定した上で,このオプションを指定してください。異なるオプションを指定した場合,回復処理が正常に実行されないおそれがあります。

また,シフトJIS環境とUTF-8環境でユニット名などに同じ文字数を指定できるようにデータベースをセットアップする場合,セットアップ済みのデータベースを削除する場合にも指定します。

-convertオプション,-pオプション,および-tpオプションを省略して,かつ-delオプションを指定してajsembdbsetupコマンドを実行した場合,-pオプションおよび-tpオプションには,以前スケジューラーサービスを構築した際に設定した値が仮定されます。

-e {byte|sjis}

指定したスケジューラーサービスのデータベースで,シフトJIS環境とUTF-8環境でユニット名などに同じ文字数を指定できるようにするかどうかを指定します。省略するとbyteが仮定されます。

Linuxでこのオプションを省略した場合,環境設定パラメーターDEFLENTYPEに「byte」が設定されます。AIX,HP-UX,またはSolarisでこのオプションを省略した場合は,環境設定パラメーターDEFLENTYPEは変更されません。

このオプションは,-convertオプションおよび-delオプションと同時に指定できません。同時に指定した場合,エラーになります。

また,-Fオプションに指定したスケジューラーサービスの環境設定パラメーターAJSCHARCODEに「UTF-8」以外を指定した場合,メッセージKAVS1516-Eが出力されてエラーになります。

なお,このオプションはUNIXで指定できます。Windowsでは指定できません。

  • byte

    UTF-8環境で指定できる文字数を,UTF-8で換算するようにデータベースをセットアップします。このオプションを指定すると,シフトJIS環境とUTF-8環境で,ユニット名などに指定できる文字数が異なります。

    このオプションを指定して実行すると,環境設定パラメーターDEFLENTYPEに「byte」が設定されます。

  • sjis

    UTF-8環境で指定できる文字数を,シフトJIS環境で換算するようにデータベースをセットアップします。このオプションを指定すると,UTF-8環境でユニットに定義できる次の項目の文字数が,シフトJIS環境で定義できる文字数と同じとなります。

    • ユニット詳細定義のユニット名

    • ユニット詳細定義のコメント

    • スケジュール設定の排他ジョブネット名

    このオプションを指定してデータベースをセットアップする場合,指定したスケジューラーサービスのデータベースはセットアップされていない状態である必要があります。すでにデータベースがセットアップされているスケジューラーサービスを指定して実行した場合,エラーになります。

    このオプションを指定して実行すると,環境設定パラメーターDEFLENTYPEに「sjis」が設定されます。

-b

バックアップ強化機能用のデータベースをセットアップする場合に指定します。

バックアップ強化機能が有効の場合に指定してください。指定しない場合はエラーとなります。また,バックアップ強化機能が無効の場合は指定しないでください。指定した場合,エラーとなります。

バックアップ強化機能の設定状況は,ajsembdbstatusコマンドで確認できます。ajsembdbstatusコマンドの詳細については,「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsembdbstatus」を参照してください。

このオプションは,-convertオプションおよび-delオプションと同時に指定できません。同時に指定した場合はエラーになります。

注意事項

エラー発生時の対処

ajsembdbsetupコマンド実行時にエラーが発生する場合があります。エラーが発生した場合は次の表に従って問題に対処し,再実行してください。

メッセージID

原因

対処方法

Invalid value specified in -ct option.

-ctオプションの引数に指定できない値が設定されている。

-ctオプションの引数に0から60以内の整数を指定してください。

KAVS0178-E

テーブルが作成済みである。

-tpオプションには,すでに登録されているテーブル名プリフィックスと重複しない値を指定してください。または,同時に-delオプションを指定して既存のテーブルを削除したあと,再度実行してください。

KAVS0190-E

ホストには指定されたスケジューラーサービスが定義されていない。

-Fオプションにすでに存在しているスケジューラーサービス名を指定してください。

KAVS0980-E

データベースのテーブル構造に互換性がない。

-e sjisオプションを指定して実行した環境に対して,-cオプションを指定して再実行しているにもかかわらず-e sjisオプションが指定されていません。または,-e sjisオプションを指定しないで実行した環境に対して,-cオプションを指定して再実行しているにもかかわらず-e sjisオプションを指定しています。

-eオプションは,再実行のときも同じように指定してください。

KAVS0985-E

データベースに接続できない。

次の問題が考えられます。

  • 組み込みDBが起動していない。

  • -pオプションで指定したポート番号が組み込みDBのポート番号と一致していない。

これらの問題を解決してから再実行してください。

KAVS0996-E

指定されたオプションおよび値が不正。

オプションおよびオプションに指定する値を修正してください。

KAVS1003-E

構成定義に誤った指定がある。

オプションで指定した値を正しい値に修正して再実行してください。

KAVS2116-E

オプションに指定された値が不正,または同時に指定できないオプションが指定されている。

オプションおよびオプションに指定した値を修正して再実行してください。

KAVS8404-E

バックアップ強化機能が無効である。

-bオプションを指定しないで再実行してください。

バックアップ強化機能の設定状況はajsembdbstatusコマンドで確認できます。ajsembdbstatusコマンドの詳細については,「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsembdbstatus」を参照してください。

KAVS8409-E

バックアップ強化機能が有効である。

-bオプションを指定して再実行してください。

バックアップ強化機能の設定状況はajsembdbstatusコマンドで確認できます。ajsembdbstatusコマンドの詳細については,「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsembdbstatus」を参照してください。

KFPA11723-E

組み込みDBが停止している。

組み込みDBを起動してください。

KFPA11204-E

テーブルがない。

-tpオプションの指定値を見直して,正しいテーブルプリフィックスを指定してください。

上記のことを見直して再実行してください。

KFPA11563-E

KFPA11732-E

組み込みDBにほかのユーザーがアクセスしているため,排他待ちタイムアウトになった。

組み込みDBへのアクセスをすべて停止してから再実行してください。

The embedded DB work directory associated with the setup identifier specified by the -id option is invalid.

-idオプションに指定したセットアップ識別子に関連づけられている組み込みDB運用ディレクトリが不正。

構成定義に設定されている組み込みDB運用ディレクトリに正しい値を指定し,再実行してください。

登録済みのセットアップ識別子および組み込みDB運用ディレクトリは,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。

ajsembdbidlistコマンドの詳細については,「2. セットアップコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。

The setup identifier specified with the -id option is not registered.

-idオプションで指定したセットアップ識別子は登録されていない。

登録済みのセットアップ識別子を指定し,再実行してください。なお,登録済みのセットアップ識別子および組み込みDB運用ディレクトリは,ajsembdbidlistコマンドで確認できます。

ajsembdbidlistコマンドの詳細については,「2. セットアップコマンド ajsembdbidlist」を参照してください。

Failed to register the configuration definition.

構成定義の登録に失敗した。

高度な設定でのセットアップを実行している場合は,同時に-delオプションを指定して既存のテーブルを削除したあと,再度実行してください。

なお,KAVSで始まるメッセージの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 メッセージ 3. KAVSで始まるメッセージ(スケジューラーおよび共通処理に関するメッセージ)」を参照してください。

戻り値

0

正常終了。

0以外の値

異常終了。