jajs_maintain
形式
jajs_maintain [-h 論理ホスト名] [-F スケジューラーサービス名] {-m {manager|scheduler} | -show | -r start} [-x 再編成実施スケジューラーサービスの多重度] [-c 切断状況監視時間]
機能
JP1/AJS3のISAMデータベースのメンテナンスを行います。
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
引数
-h 論理ホスト名
クラスタ運用している場合に,メンテナンスモードにする対象論理ホスト名を指定します。
省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,自ホスト名が仮定されます。
指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。
-F スケジューラーサービス名
メンテナンスモードにする対象スケジューラーサービス名を指定します。スケジューラーサービスを縮退モードにする場合,このオプションで指定したサービスだけがメンテナンス対象になります。
省略した場合,物理ホストまたは論理ホスト配下のすべてのスケジューラーサービスが縮退モードになります。
マネージャー機能を縮退モードに指定した場合にこのオプションを同時に指定したときは,このコマンドは異常終了します。
指定できる文字数は,1〜30(単位:バイト)です。
-m {manager|scheduler}
メンテナンスモードのレベルを指定します。
-
manager
マネージャー機能縮退モードでメンテナンスします。
-
標準構成の場合:
ジョブ実行環境のメンテナンスを行います。
-
互換用ISAM構成の場合:
ジョブ実行環境およびスケジューラーサービスのメンテナンスを行います。
このオプションは,-hオプションと同時に指定できます。
-
-
scheduler
スケジューラーサービス縮退モードでメンテナンスします。
-
標準構成の場合:
メンテナンスは行いません。
-
互換用ISAM構成の場合:
スケジューラーサービスのメンテナンスを行います。
このオプションは,-h,-Fオプションと同時に指定できます。
-
各メンテナンスモードの注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 7.1.3(3)(c) メンテナンスモードの注意事項」を参照してください。
-show
ジョブ実行環境の運用状態を表示します。このオプションは-m,-r,-x,-cオプションと同時に指定できません。
ジョブ実行環境の状態は,次のどれかが出力されます。
-
運用中(active):JP1/AJS3による運用が開始している
-
停止(inactive):JP1/AJS3による運用が停止している
-
開始処理中(Now starting):JP1/AJS3による運用の開始処理を行っている
-
計画停止処理中(Planned terminating):JP1/AJS3による運用の計画停止処理を行っている
-
停止処理中(Now terminating):JP1/AJS3による運用の停止処理を行っている
-
メンテナンス中(Maintenance):JP1/AJS3による運用のメンテナンスをしている
-r start
jajs_maintainコマンドの処理が何らかの原因で打ち切られ,メンテナンス状態のままとなったジョブ実行環境,およびスケジューラーサービスを運用状態に回復します。
-Fオプションを同時に指定した場合,ジョブ実行環境,および指定されたスケジューラーサービスだけを運用状態に回復します。
回復しようとするジョブ実行環境,およびスケジューラーサービスが,ほかでメンテナンス中の場合,このコマンドは異常終了します。回復しようとするジョブ実行環境,およびスケジューラーサービスが,停止または運用中の場合は回復処理を行いません。このとき,このコマンドは正常終了します。
このオプションは-m,-show,-x,-cオプションと同時に指定できません。
-x 再編成実施スケジューラーサービスの多重度
再編成を並列実行するスケジューラーサービスの多重度を指定します。指定できる値は,1〜20です。
-c 切断状況監視時間
縮退モードに入る際に,スケジューラーデータベースへの接続が切断されるまでどの程度の時間を監視し続けるかを指定します。指定した時間内に,10秒間隔で監視が行われます。
指定できる値は,0〜86,400(単位:秒)です。デフォルトは60秒です。
注意事項
-
ジョブ実行環境をメンテナンスしている間は,ジョブの投入およびジョブの実行に使用するコマンドは実行できません。実行した場合,エラーメッセージKAVU0950-Eが標準エラー出力ファイルに出力されます。
-
互換用ISAM構成でのマネージャー機能縮退モードおよびスケジューラーサービス縮退モードでのメンテナンスは,スケジューラーサービスを停止するため,スケジューラーサービス間の連携(リモートジョブネット,マネージャージョブネット,イベント連携およびリモートコマンドによるジョブまたはジョブネットの起動)を行っている場合には,このコマンドを実行した際にエラーが発生します。これらの連携機能を使用しない時間帯でメンテナンスを実施してください。
-
スケジューラーサービスのメンテナンス実施中に,JP1/AJS3 - View から接続してユニットを操作した場合は,「KAVV461-E 指定したスケジューラーサービスはメンテナンス中のため接続できません」というメッセージがメッセージボックスに出力されます。
ユニットを操作するコマンドを実行した場合は,「KAVS1717-E メンテナンス中のため実行できません」というメッセージが標準エラー出力に出力されます。
-
このコマンドを実行すると,メンテナンスログファイルに再編成時のログ情報が格納されます。
メンテナンス処理が異常終了した場合は,メンテナンスログファイルを参照し,メンテナンス処理が異常終了した原因を取り除いた上で,メンテナンス処理を再実行してください。
メンテナンスログファイルの格納先は,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 1.2.4 ログファイルおよびディレクトリ一覧」の「メンテナンスログファイル」を参照してください。
-
マネージャー機能が縮退中にJP1/AJS3サービスを停止した場合,縮退中に状態が変わったジョブの情報が消失します。縮退中にJP1/AJS3を停止しないでください。
-
JP1/AJS3停止時にマネージャー機能の縮退指定でコマンドを実行した場合,コマンドの終了に時間が掛かるため注意してください。
-
メンテナンスの対象となるスケジューラーサービスが運用中のとき,jajs_maintainコマンドの処理が何らかの原因で打ち切られると,スケジューラーサービスおよびイベント・アクション制御マネージャーの状態が,メンテナンス中のままになることがあります。回復するには,jajs_maintain -r start,ajsstartまたはjajs_spmdコマンドで該当するサービスを起動する必要があります。
また,同じ条件で,ジョブ実行環境の状態がメンテナンス中のままになることがあります。回復するには,jajs_maintain -r startを実行する,またはJP1/AJS3サービスを再起動してください。
-
このコマンドに次の指定をした場合は,同時に複数実行しないでください。
-
-m manager
-
-m scheduler
-
-r start
-
-
このコマンドの-m manager指定と,次のコマンドまたはスクリプトを同時に実行しないでください。
-
jpqdbcondコマンドの-x,-k指定
-
jpqautocondスクリプト
-
-
ジョブ実行環境のコマンドやAPIが終了していない状態で-m manager指定を実行しないでください。
-
ジョブ実行環境のジョブ情報削除処理中に-m manager指定を実行しないでください。
ジョブ情報削除処理中にマネージャー機能縮退モードでメンテナンスを実行した場合,ジョブ情報削除処理はメンテナンスが完了するまで中断されます。メンテナンスが完了すると,ジョブ情報削除処理が再開されます。
-
JP1/AJS3の起動処理中や停止処理中にjajs_maintain -m managerを実行しないでください。また,jajs_maintain -m manager実行中にJP1/AJS3の起動や停止を行わないでください。
-
このコマンドの-m manager指定とjpqexportコマンドを同時に実行しないでください。
-
このコマンドに次の指定をした場合は,ajsautocondスクリプトを同時に実行しないでください。
-
-m manager
-
-m scheduler
-
-
JP1/AJS3の起動処理中や停止処理中にjajs_maintain -showまたは-r startを実行した場合,統合ログにメッセージKAVU2227-EやメッセージKAVU0215-EまたはメッセージKAVU0220-Eが出力されることがあります。JP1/AJS3サービスの起動処理および停止処理と競合した場合に出力されるこれらのメッセージについては,実際の運用には問題ありませんが,jajs_maintainコマンドの実行に時間が掛かる場合があります。なお,コマンドが異常終了した場合は再度実行してください。
-
スケジューラーサービスのメンテナンスは,実行しようとしているすべてのジョブの実行依頼が完了してからスケジューラーサービスを停止します。このため,キューレスジョブ実行環境の設定で,最大同時ジョブ実行数の設定が0で,かつ最大待ちジョブ数が1以上になっている場合に,キューレスジョブ起動処理中にメンテナンスモードに入ると,スケジューラーサービスが停止処理に入れないため,jajs_maintainコマンドが終了できない状態になります。jajs_maintainコマンドはジョブを実行できる状態で実行してください。また,このような状態になった場合,ajsqlalterコマンドによって,最大同時ジョブ実行数の設定を 1 以上に変更してジョブを実行させてください。
-
イベントジョブ(起動条件内のものを含む)を実行中のスケジューラーサービスをメンテナンスする場合の注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.6.8 イベントジョブを実行したままサービスを再起動する場合の注意事項」を参照してください。
戻り値
0 |
正常終了。 |
0以外の値 |
異常終了。 |
使用例
メンテナンス作業を定期的に実行する場合,jajs_maintainコマンドを,JP1/AJS3のジョブとして定義して実行できます。
毎年12月の最終運用日の23:00に,マネージャー機能を縮退モードにしてデータベースの再編成を行う場合,次のユニット定義情報パラメーターでジョブネットを定義し,計画実行を登録しておきます。WindowsおよびUNIXの例を次に示します。
-
Windowsの場合
unit=maintain-net; { ty=n; sd=1,12/*b; st=1,23:00; cy=1,(1,y); sh=1,ca; unit=maintain-job; { ty=pj; sc="jajs_maintain.exe"; prm="-m manager"; } }
-
UNIXの場合
unit=maintain-net; { ty=n; sd=1,12/*b; st=1,23:00; cy=1,(1,y); sh=1,ca; unit=maintain-job; { ty=j; te="/opt/jp1ajs2/bin/jajs_maintain -m manager"; } }