jpomanevreset
形式
jpomanevreset [-h 論理ホスト名] [-F サービス名] [-a 実行ホスト名|-all] [-s] [-e] [-dh メインサイトのマネージャーホスト名 -a 実行ホスト名]
機能
イベント・アクション制御マネージャーが保持する情報を削除します。また,-aオプションに指定された実行ホストと通信を行い,実行ホスト側の情報も削除します。
起動条件イベントが大量発生し,イベント・アクション制御が高負荷状態になって,システム全体でスローダウンなどの現象が発生している場合,このコマンドを実行することで,次のJP1/AJS3の起動から正常な運用に戻せます。
なお,システムに複数のエージェントがある場合は,事前にjpomanevshowコマンドを使用して大量のイベントを発生させたエージェントを特定してください。
ハードウェアのコピー・ミラーリング機能を使用してディザスター・リカバリー運用をする場合,リモートサイト側のJP1/AJS3をディザスターリカバリースタートしたあとに-dhオプションを指定してコマンドを実行することで,-aオプションに指定された実行ホストと通信し,実行ホスト側の情報を削除します。
標準構成の場合,このコマンドは,JP1/AJS3ホストサービスが起動していて,かつ対象とするJP1/AJS3スケジューラーサービスが停止しているときだけ実行できます。対象とするJP1/AJS3スケジューラーサービスが起動している状態で実行した場合,またはJP1/AJS3サービス全体が停止している状態で実行した場合はエラーとなります。ただし,-dhオプション指定時は,JP1/AJS3ホストサービスが起動していればJP1/AJS3スケジューラーサービスの起動,停止の状態に関係なく実行できます。
なお,スケジューラーサービスの停止方法は「3. 通常の運用で使用するコマンド jajs_spmd_stop」を参照してください。
互換用ISAM構成の場合,このコマンドは,JP1/AJS3サービスが停止しているときだけ実行できます。JP1/AJS3サービスが起動している状態で実行した場合は,エラーとなります。
実行権限
Windowsの場合:Administrators 権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
引数
-h 論理ホスト名
クラスタで運用している場合に,イベントリセットを行う論理ホスト名を指定します。
指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。
このオプションを省略した場合,環境変数JP1_HOSTNAMEに指定した論理ホスト名が仮定されます。環境変数JP1_HOSTNAMEを指定していない場合,自ホスト名が仮定されます。
-F サービス名
処理対象とする,スケジューラーサービスのサービス名を指定します。
指定できる文字数は,1〜30(単位:バイト)です。
このオプションは,標準構成の場合だけ使用できます。互換用ISAM構成で使用した場合は,メッセージKAVT8304-Eが出力され,コマンドが異常終了します。
-aオプションと同時に指定した場合は,-aオプションに指定した実行ホストで実行しているイベントジョブおよび起動条件付きジョブネットのうち,このオプションで指定したスケジューラーサービスから実行したジョブの情報を削除します。
このオプションを省略した場合,デフォルトスケジューラーサービス名が仮定されます。
-a 実行ホスト名|-all
イベントリセットを行うとき,特定の実行ホストの情報だけを削除したい場合に,-aオプションに実行ホスト名を指定します。このとき,実行ホスト名にはajsagtaddコマンドの-sオプションで指定した実行ホスト名を指定します。例えば,実行ホスト名をFQDN形式で指定した場合は,FQDN形式で指定します。
なお,実行エージェント名に対する実行ホスト名は,ajsagtshowコマンドで確認できます。
(例) ajsagtshow -l
ajsagtaddコマンドについては「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsagtadd」を,ajsagtshowコマンドについては「3. 通常の運用で使用するコマンド ajsagtshow」を参照してください。
指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。
-Fオプションで指定したスケジューラーサービスからジョブを実行したすべての実行ホストを対象にする場合は-allを指定してください。
このオプションを省略した場合,デフォルトの実行エージェントに対応した実行ホストが仮定されます。
-s
-aで指定した実行ホストと通信しないで,マネージャー側の情報だけを削除します。
次に示す条件の場合にこのオプションを指定してください。次に示した条件のときこのオプションを指定しなかった場合,コマンドが終了するまでに時間が掛かることがあります。
-
実行ホスト側のJP1/AJS3サービスをコールドスタートした場合
-
通信障害によってマネージャーと実行ホスト間で正常に通信できない場合
このオプションを省略した場合,-aオプションで指定した実行ホストと通信し,実行ホスト側の情報も削除されます。
-e
イベントジョブや起動条件の実行は継続したままとし,未処理データだけを削除します。ただし,実行ホスト側の監視状態をいったん終了させたあとに再実行するため,JP1/AJS3サービスが起動してから実行ホスト側で実際に監視が始まるまでに時間差があります。
このオプションを省略した場合,実行中のイベントジョブや起動条件を終了します。
このオプションを使用してコマンドを実行する場合は,次の表に示すことを実施してください。
タイミング |
実施内容 |
---|---|
JP1/AJS3起動前 |
実行ホスト側で,問題が発生した原因を取り除く。 |
JP1/AJS3起動後 |
JP1/AJS3 - View上でジョブの状態を確認し,必要に応じて再実行する。 |
-dh メインサイトのマネージャーホスト名 -a 実行ホスト名
ハードウェアのコピー・ミラーリング機能を使用してリモートサイトに運用を切り替える場合に,メインサイトのマネージャーホスト名を指定します。指定しなかった場合,エージェント側のJP1/AJS3サービスの起動に時間が掛かることがあります。
指定できる文字数は,1〜255(単位:バイト)です。
このオプションを指定する場合は,-aオプションを同時に指定してください。指定しないで実行した場合,メッセージKAVT8347-Eが出力されてコマンドが異常終了します。-aオプションには,通信できる実行ホスト名を指定してください。サービス停止,またはネットワーク未接続状態の実行ホスト名を指定した場合は,コマンドが終了するまでに時間が掛かり,かつメッセージKAVT8343-Wが出力されてコマンドが正常終了します。このメッセージが出力された場合,-aオプションに指定した実行ホストの情報は削除されません。そのため,-aオプションに指定する実行ホストのサービスが停止していた場合はサービスを起動し,通信できない状態の場合は通信できる状態にしたあと,コマンドを再実行してください。
-allオプション,-sオプション,-eオプションとは同時に指定できません。同時に指定した場合,メッセージKAVT8307-Eが出力され,コマンドは異常終了します。
このオプションは,標準構成の場合だけ使用できます。互換用ISAM構成で使用した場合は,メッセージKAVT8304-Eが出力され,コマンドが異常終了します。
実行ホストで,複数のスケジューラーサービスからイベントジョブを実行している場合は,スケジューラーサービスごとにjpomanevresetコマンドを実行してください。
注意事項
-
オプションと値との間は,必ず1バイト以上の空白文字で区切ってください。
-
このコマンドは,複数を同時に実行できません。一つ目のコマンドの実行が終了してから,二つ目のコマンドを実行してください。
-
-aオプションに指定した実行ホストが複数の実行エージェントの実行ホストとして定義されている場合は,それらの実行エージェントの情報も削除されます。
-
-aオプションに指定した実行ホストが実行エージェントの実行ホストとしてエージェント管理情報に登録されているかはチェックされません。そのため,指定した実行ホストにJP1/AJS3をインストールしていない場合は,コマンドが終了するまでに時間が掛かることがあります。
-
イベント・アクション制御マネージャーが使用する,イベント・アクション制御マネージャー用情報格納フォルダがない状態でコマンドを実行した場合,データがないものとして動作し,コマンドは正常終了します。イベント・アクション制御マネージャー用情報格納フォルダについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 付録A.1 JP1/AJS3 - Managerのファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。
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ファイルの削除に失敗した場合,または実行ホストへの送信に失敗した場合でも,コマンドは正常終了します。標準エラー出力にメッセージ「KAVT8342-E ファイルアクセスエラーが発生しました(ファイル名)(保守情報)」,またはメッセージ「KAVT8343-W エージェントとの通信に失敗しました(エージェントホスト名)(保守情報)」が出力された場合,対処方法に従って手動でファイルを削除してください。
-
ファイルの削除に失敗した場合,失敗したファイルごとにメッセージ「KAVT8342-E ファイルアクセスエラーが発生しました(ファイル名)(保守情報)」が標準エラー出力に出力されます。削除に失敗したファイル数が多い場合は,大量のエラーメッセージが出力されるため,すべてのメッセージを参照できないおそれがあります。このため,このコマンドを実行する際は標準エラー出力をリダイレクトするようにしてください。
(例)
jpomanevreset 2> ファイル名
-
メッセージ「KAVT8343-W エージェントとの通信に失敗しました(エージェントホスト名)(保守情報)」が出力された場合,エラーが発生した実行ホストの情報は削除されません。必要に応じて,実行ホスト側のJP1/AJS3サービスをコールドスタートしてください。
-
-allオプションを指定した場合は,イベントジョブや起動条件付きジョブネットが「実行中」状態の実行ホスト,または未通知情報がある実行ホストに対して-Fオプションで指定したスケジューラーサービスのコールドスタートを通知します。-aオプションを指定した場合は,指定した実行ホストでイベントジョブや起動条件付きジョブネットが「実行中」状態でないときも,指定した実行ホストに対して-Fオプションで指定したスケジューラーサービスのコールドスタートを通知します。
-
実行ホストへのデータ送信時にネットワークエラーなどが発生した場合は,次のようにデータ送信を再試行します。
-
エージェントホストに接続できない(タイムアウトする)場合
再試行しません。
-
それ以外のネットワークエラーの場合
10秒間隔で2回再試行します。
このため,実行ホストまたは実行ホストのJP1/AJS3サービスが停止していると,コマンドが終了するまでに時間が掛かります。また,実行ホスト名のIPアドレスが解決できない場合も,1秒間隔で3回IPアドレスの取得を再試行します。
-
-
このコマンドは,JP1/AJS3運用時と同じ環境で実行してください。例えば,JP1/AJS3停止後に"DNSEstablish"を変更して,このコマンドを実行した場合,実行ホストと通信する際のホスト名が変更され,実行ホスト側でどのマネージャーの情報を削除してよいか判別できなくなります。その結果,実行ホスト側の情報が削除されないなどの問題が発生することがあります。
-
イベント・アクション制御マネージャー用情報格納フォルダ下にファイルが多い場合,検索や削除するファイル数が多いため,コマンドの終了までに時間が掛かります。
-
-hオプションに自ホスト名を指定した場合は,物理ホストが指定されたと仮定して動作します。
-
-eオプションを指定してコマンドを実行した場合,イベントジョブや起動条件の監視は続行しますが,イベントリセット前に発生したイベント情報やイベント開始情報は削除されます。そのため,イベントリセット前に事象が発生したジョブの状態が「実行中」のままになることや,すでに監視を開始しているジョブの状態が「キューイング」のままになることがあります。その場合,「実行中」のものに対しては,再度,条件に合致するイベントを発生させてください。「キューイング」中のものに対しては,そのまま使用するか,または一度終了させたあとに再登録してください。
-
実行ホスト側の情報削除については,実行ホストが管理している情報だけ削除され,ゴミとして残っているファイルは削除されません。実行ホスト側にゴミとして残っているファイルを削除したい場合は,実行ホスト側のJP1/AJS3サービスをコールドスタートしてください。
-
-eオプションを指定しないでコマンドを実行した場合,イベントジョブ,および起動条件の監視が終了するため,必要に応じて再登録してください。また,統合トレースログにメッセージKAVS1400-E,KAVS0265-Eが出力されますが,イベントジョブ,および起動条件の監視終了に伴うメッセージのため,無視してください。
-
-dhオプションは,ハードウェアのコピー・ミラーリング機能を使用してディザスター・リカバリー運用をする場合にだけ使用してください。ディザスター・リカバリー運用以外で使用した場合,および-dhオプションに運用中の論理ホスト名を指定した場合,-dhオプションで指定した論理ホストから-aオプションで指定した実行ホストで実行中のイベントジョブがすべて終了します。
この場合,-dhオプションに指定した運用中の論理ホスト上では,実行ホストで終了したイベントジョブの状態が「実行中」状態のままとなり,論理ホストと実行ホストで保持するイベントジョブの状態に不整合が生じます。そのため,誤ってディザスター・リカバリー運用以外で使用した場合,および-dhオプションに運用中の論理ホスト名を指定した場合は,-dhオプションで指定した論理ホストから,-aオプションで指定した実行ホストに対して実行しているすべてのイベントジョブを強制終了し,再度実行登録してください。
-
-Fオプションの省略時に仮定されるデフォルトスケジューラーサービス名がコマンド実行時に登録されていない場合,標準エラー出力にメッセージKAVT8351-Eを出力して,コマンドが異常終了します。コマンド実行ホストにデフォルトスケジューラーサービス名が登録されているかを見直した上で,コマンドを再実行してください。
なお,コマンドが処理対象とするホストについては-hオプションを参照してください。
戻り値
0 |
正常終了。 |
1 |
引数の指定が不適切である。 |
2 |
初期化に失敗した。 論理ホストの定義または環境設定に誤りがある。 |
3 |
権限が不足している。 |
4 |
-Fオプションに指定したスケジューラーサービスが起動している。 |
5 |
同じコマンドを同時に実行している。 |
100 |
ファイルアクセスエラーが発生した。 |
101 |
メモリー不足が発生した。 |
255 |
システムエラーが発生した。 |
補足事項
JP1/AJS3を通常に起動した場合と,jpomanevresetコマンドによってイベント・アクション制御マネージャーの状態を回復させたあとで起動した場合では,JP1/AJS3 - Viewで表示される状態が異なります。また,jpomanevresetコマンドでの-eオプションの指定の有無(イベントジョブや起動条件を継続するかどうか)によっても状態が異なります。それぞれの場合の状態の差異について次に説明します。
-
JP1/AJS3をホットスタート(-hot)した場合
対象
状態
JP1/AJS3停止前の状態
通常時
jpomanevresetコマンド実行後
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
-e指定あり
-e指定なし
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
イベントジョブ(ジョブネット中)
実行中
異常検出終了※1,※2
実行中※2
異常検出終了/終了状態不明
実行中/終了状態不明
終了状態不明
先行終了待ち
先行終了待ち※3
先行終了待ち※3
保留中
保留中※3
保留中※3
キューイング
実行中/異常検出終了
実行中
異常検出終了/終了状態不明
実行中/終了状態不明
終了状態不明
その他の状態
変更なし
変更なし
起動条件
監視中
監視中
監視中
監視打ち切り終了
その他の状態
変更なし
変更なし
起動条件内イベントジョブ
実行中
実行中
実行中/終了状態不明
終了状態不明
キューイング
キューイング
キューイング/終了状態不明
その他の状態
変更なし
変更なし
-
JP1/AJS3をウォームスタート(-warm)した場合
対象
状態
JP1/AJS3停止前の状態
通常時
jpomanevresetコマンド実行後
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
-e指定あり
-e指定なし
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
イベントジョブ(ジョブネット中)
実行中
終了状態不明
終了状態不明
先行終了待ち
未実行終了
未実行終了
保留中
未実行終了
未実行終了
キューイング
終了状態不明
終了状態不明
その他の状態
変更なし
変更なし
起動条件
監視中
監視中
監視中/監視打ち切り終了
監視打ち切り終了
その他の状態
変更なし
変更なし
起動条件内イベントジョブ
実行中
実行中
実行中/終了状態不明
終了状態不明
キューイング
キューイング
キューイング/終了状態不明
その他の状態
変更なし
変更なし
-
JP1/AJS3をコールドスタート(-cold)した場合
対象
状態
JP1/AJS3停止前の状態
通常時
jpomanevresetコマンド実行後
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
-e指定あり
-e指定なし
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
自ホストに対して実行中
他ホストに対して実行中
イベントジョブ(ジョブネット中)
実行中
未登録
未登録
先行終了待ち
保留中
キューイング
その他の状態
起動条件
監視中
その他の状態
起動条件内イベントジョブ
実行中
キューイング
その他の状態
-
JP1/AJS3起動時に起動モードを指定しない場合
スケジューラーサービスの起動モードで起動した場合の状態については,前述のそれぞれの状態と同様になります。
使用例1
イベント・アクション制御マネージャーが保持する情報を削除する場合の使用例は,「3. 通常の運用で使用するコマンド jpomanevshow」の使用例を参照してください。
使用例2
ハードウェアのコピー・ミラーリング機能を使用してリモートサイトに運用を切り替えた場合に,実行エージェント「AP1」が保持するメインサイトのマネージャーホスト「MAINHOST」の情報を削除します。
jpomanevreset -h LogicalHost -F AJSROOT2 -dh MAINHOST -a AP1