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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング


付録D.2 組み込みDBプロセス

〈この項の構成〉

(1) 組み込みDBプロセスの種類

組み込みDBのプロセスについて,次に説明します。

(a) 組み込みDBプロセス管理プロセス(pdprcdプロセス)

Windowsの場合,組み込みDBサービスを開始するとpdprcdプロセスが生成され,組み込みDBサービスを停止するとpdprcdプロセスが消滅します。組み込みDBサービスを停止しないでajsembdbstopコマンドで組み込みDBシステムを停止した場合,pdprcdプロセスは消滅しないため,OS上に常駐したままになります。

UNIXの場合,ajsembdbstartコマンドで組み込みDBを開始するとpdprcdプロセスが生成されます。ajsembdbstopコマンドで組み込みDBシステムを停止するとpdprcdプロセスが消滅します。

(b) 組み込みDBシステムの稼働中にOS上に存在するプロセス

組み込みDBシステムを開始すると,pdprcdプロセスが子プロセスを生成します。これらのプロセスは,組み込みDBシステムの稼働中,OS上に存在してデータベースアクセスを制御します。組み込みDBを停止すると,OS上から消滅します。

(c) 組み込みDB操作コマンドプロセス

組み込みDB操作コマンドを実行すると,必要な処理を実行するためのプロセスが生成されます。これらのプロセスは,処理が終了したら,直ちに消滅します。

組み込みDB操作コマンドには,組み込みDBシステムが稼働中にだけ実行できるものと,稼働状態に関係なく実行できるものとがあります。

(2) 組み込みDBプロセスの状態遷移

組み込みDBシステムの動作に伴う,組み込みDBプロセスの動作を次の図に示します。

図D‒2 組み込みDBシステムの動作に伴う組み込みDBプロセスの動作

[図データ]

組み込みDBプロセスの動作について,次に説明します。

(a) 生成

UNIXの場合,pdprcdプロセスはajsembdbstartコマンドによって生成されます。

Windowsの場合,pdprcdプロセスは組み込みDBサービスによって生成されます。

pdprcdプロセス以外のプロセスは,pdprcdプロセスまたは実行された組み込みDB操作コマンドによって生成されます。

(b) 正常終了

組み込みDBプロセスは,存在理由がなくなると,使用した資源(メモリー,ファイルなど)の削除などのあと始末処理を実行したあと,OS上から消滅します。これを正常終了と呼びます。

正常終了のことを「正常停止」と記載することもあります。

(c) 強制終了

組み込みDBプロセスが正常終了する契機でなくても,発生している要求を満たすために,組み込みDBプロセスを直ちに終了させる必要がある場合があります。この場合,pdprcdプロセスが,各組み込みDBプロセスに対して即時終了要求を送信します。それを受けた組み込みDBプロセスは,あと始末処理をしないで直ちに終了します。これを,強制終了と呼びます。

組み込みDBプロセスが強制終了すると,あと始末処理をする専用の組み込みDBプロセスが起動し,強制終了した組み込みDBプロセスの代わりにあと始末処理を実行します。

強制終了は,主に次のような契機で発生します。

  • 組み込みDBシステムの強制停止(ajsembdbstopコマンド-fオプション指定)

  • 組み込みDB操作コマンドの中断(ajsembdbcancelコマンド)

強制終了のことを「強制停止」と記載することもあります。

(d) 異常終了

組み込みDBプロセスは,稼働を続行できないような障害が発生すると,あと始末処理をしないでOS上から消滅します。これを異常終了と呼びます。

組み込みDBプロセスが異常終了すると,あと始末処理をする専用の組み込みDBプロセスが起動し,異常終了した組み込みDBプロセスの代わりにあと始末処理を実行します。さらに,異常終了した状況が致命的で,組み込みDBシステム全体の稼働が続行できないと判断された場合には,組み込みDBシステムを異常終了させます。

異常終了は,主に次のような契機で発生します。

  • 上書きできるシステムログがないことの検知

  • メモリー不足やディスク容量満杯などによる稼働続行不可の検知

  • メモリー破壊などの矛盾の検知