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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


7.2.1 ログのサイズを見積もる

JP1/AJS3が出力するキューレスジョブに関するログファイルのサイズを見積もります。ログファイルの情報は,障害発生時にどのような操作や処理が原因なのかを調査するときに使用します。調査の際に必要な情報がログファイルに残っていないと,原因を特定するのに時間が掛かってしまいます。そのため,実行する処理の運用形態に応じて,できる限り適切なログファイルのサイズを見積もっておく必要があります。

キューレスジョブを使用する場合は,次のログファイルについてそれぞれのサイズを見積もってください。

〈この項の構成〉

(1) キューレスログファイルのサイズを見積もる

キューレスログには,エージェントでのキューレスジョブの実行ログが出力されます。キューレスログは,主に業務の実行状況を監視するために使用します。

必要となるキューレスログファイルのサイズは,エージェントで実行するキューレスジョブの数によって異なります。必要に応じてキューレスログファイルの適切なサイズを見積もり,デフォルトのディスク容量を変更してください。キューレスログファイルのデフォルトのディスク容量と最大ディスク占有量については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 1.2.5 ログファイルおよびディレクトリ一覧」を参照してください。

キューレスログファイルの見積もり式を次に示します。

キューレスログファイル容量(単位:バイト)=
(60 + マネージャーホスト名長 + スケジューラーサービス名長 + ジョブ完全名長 + エージェントホスト名長)*2*保存しておきたいジョブ数

キューレスログファイルの拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 3.5.1 トレースログファイルの拡張」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.4.4 トレースログファイルの拡張」(UNIXの場合)を参照してください。

(2) キューレストレースログファイルのサイズを見積もる

キューレストレースログには,キューレスジョブおよびキューレスジョブ実行制御関連コマンド実行時のトレースログが出力されます。キューレストレースログは,主にトラブルが発生した場合にその経緯を調査したり,各処理の処理時間を測定したりするために使用します。

キューレストレースログファイルは,初期状態では次のように設定されています。

格納先
Windowsの場合
%ALLUSERSPROFILE%\Hitachi\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\log\tracelog.ql
UNIXの場合
/var/opt/jp1ajs2/log/tracelog.ql
サイズ

約10,000個のジョブを実行したときのトレースログを保存できるサイズ(具体的には,15メガバイト(15,360キロバイト))

必要に応じてトレースログファイルの適切なサイズを見積もり,拡張してください。ただし,キューレスジョブのマネージャー機能だけを使用する場合は,見積もる必要はありません。

キューレストレースログファイルの見積もり式を次に示します。

キューレストレースログファイル容量(単位:キロバイト)=
3,072*(問題が発生したときから資料採取できるまでに実行されるジョブ数 / 2,000)
(例)1日分のキューレストレースログを保存する場合
  • 1日に12,000個のジョブが実行される。

    キューレストレースログファイル容量 = 3,072*( 12,000 / 2,000 ) = 18,432キロバイト

キューレストレースログファイルの拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 3.5.1(2) キューレストレースログファイルの拡張」(Windowsの場合),またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.4.4(2) キューレストレースログファイルの拡張」(UNIXの場合)を参照してください。

(3) キューレスジョブ実行内部ログファイルのサイズを見積もる

キューレスジョブ実行内部ログファイルには,キューレスジョブ実行時のトレースログが出力されます。

キューレスジョブ実行内部ログファイルは,初期状態では次のように設定されています。

格納先
Windowsの場合
JP1/AJS3のインストール先フォルダ\log\ajsqlexeclog※1
JP1/AJS3のインストール先フォルダ\log\ajsqlexeclog_ftpd※2
UNIXの場合
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsqlexeclog※3
/var/opt/jp1ajs2/log/ajsqlexeclog_ftpd※2
注※1

クラスタ運用時は,名称が次のようになります。

  JP1/AJS3のインストール先フォルダ\log\ajsqlexeclog-[論理ホスト名]

フルパス名が256バイト以上である場合,[論理ホスト名]は論理ホスト名の先頭から30バイトとなります。

注※2

JP1/AJS3 - Managerの場合だけ作成します。

注※3

クラスタ運用時は,名称が次のようになります。

  /var/opt/jp1ajs2/log/ajsqlexeclog-[論理ホスト名]

フルパス名が256バイト以上である場合,[論理ホスト名]は論理ホスト名の先頭から30バイトとなります。

サイズ
ajsqlexeclogファイルの場合

約40,000個のキューレスジョブを実行したときに,キューレスエージェントサービスが出力する実行内部ログを保存できるサイズ(具体的には,24メガバイト(24,576キロバイト))

ajsqlexeclog_ftpdファイルの場合

約20,000個のファイル転送を伴うキューレスジョブを実行したときに,キューレスファイル転送サービスが出力する実行内部ログを保存できるサイズ(具体的には,10メガバイト(10,240キロバイト))

キューレスジョブ実行内部ログファイルのサイズは,実行するキューレスジョブの個数やキューレスジョブ実行時のファイル転送の有無などによって大きく異なります。そのため,キューレスジョブ実行内部ログファイルの適切なサイズを見積もり,必要に応じて拡張してください。

キューレスジョブ実行内部ログファイルの見積もり式を次に示します。

ajsqlexeclogファイルサイズ(単位:キロバイト)=
(2日間で実行するキューレスジョブの個数*600) / 1,024
 
ajsqlexeclog_ftpdファイルサイズ(単位:キロバイト)=
(2日間で実行するファイル転送を伴うキューレスジョブの個数*500) / 1,024
(例)次の条件に該当するキューレスジョブ実行内部ログを保存する場合
  • 1日に10,000個のキューレスジョブを実行する。

  • 10,000個のキューレスジョブのうち,3,000個のキューレスジョブで転送ファイルの転送,または結果ファイルの転送を伴う。

    ajsqlexeclogファイルサイズ(単位:キロバイト)=

    ((10,000*2)*600) / 1,024 = 11,719キロバイト

    ajsqlexeclog_ftpdファイルサイズ(単位:キロバイト)=

    ((3,000*2)*500) / 1,024 = 2,929キロバイト

キューレスジョブ実行内部ログファイルのサイズの拡張手順については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド ajsqlexecsetsz」を参照してください。