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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


7.1.2 QUEUEジョブ,サブミットジョブを使用する場合の設定

〈この項の構成〉

(1) QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境を設定する

QUEUEジョブ,サブミットジョブのジョブ実行環境は,デフォルトで実行ホスト(エージェント)が一つ,ローカルホストに作成されます。しかし,システムによってはジョブの実行環境を変更する(ジョブ実行環境に構成定義情報を追加する)必要があります。

例として,次の場合があります。

ジョブの実行環境を変更する(ジョブ実行環境に構成定義情報を追加する)必要がある場合は,次のどちらかの方法で新たに実行ホスト(エージェント),キュー,または排他実行リソースの構成定義情報を追加してください。

それぞれの手順について説明します。

(a) QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境の構成定義情報を一括で変更する場合の手順

ここでは,jpqimportコマンドを使用して,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境を一括で定義する方法を説明します。次に示す手順で,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境のデータベースを再作成してください。

  1. QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)をコピーしてエディターで開き,使用するキューとエージェントを設定する。

    QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイルのパスは,次のとおりです。

    • Windowsの場合

      物理ホストのとき

      JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\conf\jpqsetup.conf

      論理ホストのとき

      共有フォルダ\jp1ajs2\conf\jpqsetup.conf

    • UNIXの場合

      物理ホストのとき

      /etc/opt/jp1ajs2/conf/jpqsetup.conf

      論理ホストのとき

      共有ディレクトリ/jp1ajs2/conf/jpqsetup.conf

    ファイルに書き込む内容の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド jpqimport」を参照してください。

    ファイルの記述例を次に示します。

    図7‒5 QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイルの記述例

    [図データ]

  2. 編集したQUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイルを保存する。

  3. QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境のデータベース格納ディレクトリ配下のファイルと一時ファイルを削除する。

    JP1/AJS3サービスを停止してから次のコマンドを実行し,ファイルを削除してください。

    • Windowsの場合

      del QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベース格納ディレクトリ\*※1

      del QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境マネージャープロセス実行時のワークディレクトリ\M_JPQ*※2

    • UNIXの場合

      rm QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベース格納ディレクトリ/*※1

      rm QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境マネージャープロセス実行時のワークディレクトリ/M_JPQ*※2

    注※1

    QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベース格納ディレクトリ」は,[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1NBQMANAGER\Database]の環境設定パラメーターDatabasePathに指定したフォルダです。環境設定パラメーターDatabasePathのデフォルト値などの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.5.2(3) DatabasePath」を参照してください。

    注※2

    QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境マネージャープロセス実行時のワークディレクトリ」は,[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1NBQMANAGER\Process]の環境設定パラメーターWorkPathに指定したフォルダです。環境設定パラメーターWorkPathのデフォルト値などの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.5.2(1) WorkPath(マネージャープロセス用)」を参照してください。

  4. jpqimportコマンドを実行する。

    QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境のデータベースが再作成され,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境が設定されます。

    jpqimportコマンドの文法および注意事項については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド jpqimport」の説明を参照してください。

(b) 運用中にQUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境の構成定義情報を変更する場合の手順

jpqagtaddjpqqueaddなどのコマンドを使用して,JP1/AJS3の運用中にエージェントやキューなどを追加,削除,または変更できます。運用中に,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境に構成定義情報を追加する場合は,jpqagtaddjpqqueaddjpqresaddなどのコマンドを使用してください。また,運用中にQUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境の構成定義情報を変更する場合は,jpqagtaltjpqquealtなどのコマンドを使用してください。各コマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド」を参照してください。

jpqagtaddコマンドで実行ホスト(エージェント)を追加する手順を次に示します。

  1. エージェントを追加し,ジョブ実行多重度を設定する。

    追加するエージェントのホスト名はIPアドレス解決できることを確認しておく必要があります。ジョブ実行多重度を省略すると,24時間,実行多重度は0が仮定されます。ジョブ実行多重度が0の場合,ジョブは実行できません。ジョブを実行する場合は1以上を指定するか,jpqagtaltコマンドでジョブ実行多重度を変更してください。-cpオプションに指定するジョブ実行多重度の指定例については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 4. 特別な運用で使用するコマンド jpqagtalt」の補足事項を参照してください。

    jpqagtadd -ah エージェントホスト名 -cp ジョブ実行多重度の設定
  2. デフォルトキューの受付口を開く。

    エージェントを作成すると同時に同名のデフォルトキューが作成されます。jpqagtaddコマンドでエージェントを追加した直後は,キューの受付口が閉じているのでジョブを登録できません。jpqqueopenコマンドを使用してキューの受付口を開いてください。

    jpqqueopen -ah エージェントホスト名 -en
  3. デフォルトキューのジョブ数の最大値および警告値を変更する。

    ジョブ数の最大値および警告値は,デフォルトで最大値(4,294,967,295)が設定されています。特に制限する必要がない場合,変更する必要はありません。

    jpqquealt -ah エージェントホスト名 -mj ジョブ数の最大値 -wj ジョブ数の警告値
  4. 接続するエージェントを追加したり,接続先エージェントの優先順位を設定したりする。

    jpqagtaddコマンドで追加したエージェントは,デフォルトキューと接続されています。このデフォルトキューにエージェントを複数台接続して,ジョブの実行を分散させる場合などに変更してください。優先順位を指定して複数のエージェントを接続すると,指定された優先順位に従ってエージェントへジョブを配信します。

    jpqagtlink -ah エージェントホスト名 -lh 接続エージェントホスト名 -clp 接続済みエージェントホストの優先順位
  5. 設定内容を確認する。

    jpqagtshowコマンド,jpqqueshowコマンドを実行して,手順1〜4の設定内容が正しいことを確認してください。

    jpqagtshow -ah エージェントホスト名
     
    jpqqueshow -ah エージェントホスト名

(2) ISAMファイル自動再編成機能の設定(Windowsホストの場合)

JP1/AJS3サービスの起動時に,該当する物理ホストおよび論理ホストで使用するISAMデータファイルを自動的に再編成できます。JP1/AJS3 - Managerのインストール時には,この機能は無効になっています。

有効にするには,環境設定ファイル格納フォルダにあるjp1ajs_spmd_pre.conf.modelファイルを,同じフォルダのjp1ajs_spmd_pre.confファイルにコピーし,JP1/AJS3サービスのアカウントで読み込みができる権限を与えてください。環境設定ファイル格納フォルダは,次のとおりです。

ISAMファイル自動再編成機能を有効にすると,JP1/AJS3サービスの起動時に,「JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\bin」フォルダに格納されている,jpqautocond.batが起動されるようになります。jpqautocond.batは,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境のデータファイルを再編成します。

ISAMファイルの自動再編成の終了時には,統合トレースログに次のメッセージが出力されます。

注意事項

再編成時には,対象の物理ホストまたは論理ホストの作業ディレクトリ(環境設定パラメーターWorkPathに指定したマネージャープロセス実行時のワークディレクトリ)があるドライブに,再編成対象のQUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境のISAMファイルの中で最もサイズが大きいファイルの2倍程度の空き容量が必要です。

また,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベースディレクトリがあるドライブに,再編成対象のISAMファイルの中で最もサイズが大きいファイルと同じ程度の空き容量が必要です。

補足事項

jpqautocond.batでは,再編成前のファイルの検証と再編成失敗時の自動修復ができるようにISAMファイルの状態を検証(Jischk)し,データを一度作業ファイルに抽出(Jisext)して再作成(Jisconv)した上でマスターファイルにリネームする方式になっています。それぞれの処理でエラーになった場合には,エラーメッセージが次に示す再編成ログファイルに出力されるので,オペレーターの取る処置を参照して対処してください。

次のログファイルにエラーメッセージを出力します。

インストール先フォルダがデフォルトまたはシステムで保護されたフォルダ配下の場合

物理ホストのとき:

%ALLUSERSPROFILE%\Hitachi\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\log\jpqautocond[面数番号].log

論理ホストのとき:

%ALLUSERSPROFILE%\Hitachi\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\log\jpqautocond_[論理ホスト名][面数番号].log

%ALLUSERSPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ\ProgramData」です。

「システムで保護されたフォルダ」とは,次のパスを指します。

・「システムドライブ\Windows」配下

・「システムドライブ\Program Files」配下

・「システムドライブ\Program Files (x86)」配下

インストール先フォルダが上記以外の場合

物理ホストのとき:

JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\log\jpqautocond[面数番号].log

論理ホストのとき:

JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\log\jpqautocond_[論理ホスト名][面数番号].log

[面数番号]はログファイル名を表し,1から4の数字になります。

四つのログファイルをすべて使い切ると,古いログファイルから再利用します。

(3) ISAMファイル自動再編成機能の設定(UNIXホストの場合)

JP1/AJS3サービスの起動時に,該当する物理ホストおよび論理ホストで使用するISAMデータファイルを自動的に再編成できます。JP1/AJS3 - Managerのインストール時には,この機能は無効になっています。

有効にするには,環境設定ファイル格納ディレクトリにあるjp1ajs_spmd_pre.conf.modelファイルを,同じディレクトリのjp1ajs_spmd_pre.confファイルにコピーしてください。環境設定ファイル格納ディレクトリは,次のとおりです。

ISAMファイル自動再編成機能を有効にすると,「/opt/jp1ajs2/bin」ディレクトリに格納されている,jpqautocondが起動されるようになります。jpqautocondは,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境のデータファイルを再編成します。

ISAMファイルの自動再編成の終了時には,統合トレースログに次のメッセージが出力されます。

注意事項

再編成時には,対象の物理ホストまたは論理ホストの作業ディレクトリ(環境設定パラメーターWorkPathに指定したマネージャープロセス実行時のワークディレクトリ)があるパーティションに,再編成対象のQUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境のISAMファイルの中で最もサイズが大きいファイルの2倍程度の空き容量が必要です。

また,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベースディレクトリがあるパーティションに,再編成対象のISAMファイルの中で最もサイズが大きいファイルと同じ程度の空き容量が必要です。

補足事項

jpqautocondスクリプトでは,再編成前のファイルの検証と再編成失敗時の自動修復ができるようにISAMファイルの状態を検証(Jischk)し,データを一度作業ファイルに抽出(Jisext)して再作成(Jisconv)した上でマスターファイルにリネームする方式になっています。それぞれの処理でエラーになった場合には,エラーメッセージが次に示す再編成ログファイルに出力されるので,オペレーターの取る処置を参照して対処してください。

・物理ホストの場合

次のログファイルにエラーメッセージを出力します。

/var/opt/jp1ajs2/log/schedule/jpqautocond[面数番号].log

[面数番号]はログファイル名を表し,1から4の数字になります。

四つのログファイルをすべて使い切ると,古いログファイルから再利用します。

・論理ホストの場合

次のログファイルにエラーメッセージを出力します。

/var/opt/jp1ajs2/log/schedule/jpqautocond_[論理ホスト名][面数番号].log

[面数番号]はログファイル名を表し,1から4の数字になります。

四つのログファイルをすべて使い切ると,古いログファイルから再利用します。

(4) JP1/AJS3 - Managerの運用方法をサブミットジョブの登録や操作に限定するときの設定(Windowsホストの場合)

JP1/AJS3 - Managerでジョブネットによるジョブの操作をしないで,ジョブ実行制御のコマンドを使用してサブミットジョブの登録や操作だけをするような運用をしたい場合は,JP1/AJS3で使用する次の定義ファイルの変更が必要です。

各定義ファイルの変更手順を次に示します。

  1. Windowsの[コントロールパネル]の[管理ツール]から[サービス]を選択し,次に示すサービスを停止する。

    • JP1/AJS3サービス

  2. 次のファイルをメモ帳などのテキストエディターで開き,変更する。

    (1)JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_spmd.confを,次の行だけに変更します。

    jajs_hstd|jajs_hstd.exe|||1800|
    jajs_agtd|jajs_agtd.exe|||1800|

    (2)JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_service_0700.confの,次の行を変更します。

    変更前

    jajs_hstd|jajs_hstd.exe||0|3|3|21600|0|0|jajs_dbmd|1|||||||

    変更後

    jajs_hstd|jajs_hstd.exe||0|3|3|21600|0|0||1|||||||

    (3)JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_hstd.confを,次の行だけに変更します。

    network|ajsnetwd.exe|||1800|
    submitqueue|jpqman.exe|||1800|

    (4)JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_hstd_0700.confの,次の行を変更します。

    変更前

    network|ajsnetwd.exe||0|3|3|21600|0|0|ajsinetd|1|||||||
    submitqueue|jpqman.exe||0|3|3|21600|0|0|agentm|1|||||||

    変更後

    network|ajsnetwd.exe||0|3|3|21600|0|0||1|||||||
    submitqueue|jpqman.exe||0|3|3|21600|0|0|network|1|||||||

    (5)JP1/AJS3のインストール先フォルダ\conf\jp1ajs_agtd.confを,次の行だけに変更します。

    queuea|jpqmon.exe|||1800|

なお,これらのパラメーターを記述するときには,空行(スペースだけの行も含みます)を作成しないでください。

(5) JP1/AJS3 - Managerの運用方法をサブミットジョブの登録や操作に限定するときの設定(UNIXホストの場合)

JP1/AJS3 - Managerでジョブネットによるジョブの操作をしないで,ジョブ実行制御のコマンドを使用してサブミットジョブの登録や操作だけをするような運用をしたい場合は,JP1/AJS3で使用する次の定義ファイルの変更が必要です。

各定義ファイルの変更手順を次に示します。

  1. JP1/AJS3のサービスを停止する。

    次のコマンドを実行して,プロセスがすべて停止していることを確認します。

    # /etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
    # /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
  2. 次のファイルをviなどのエディターで開き,変更する。

    (1)/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_spmd.confを,次の行だけに変更します。

    jajs_hstd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_hstd|||1800|
    jajs_agtd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_agtd|||1800|

    (2)/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_service_0700.confの,次の行を変更します。

    変更前

    jajs_hstd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_hstd||0|3|3|21600|0|0|jajs_dbmd|1|||||||

    変更後

    jajs_hstd|/opt/jp1ajs2/bin/jajs_hstd||0|3|3|21600|0|0||1|||||||

    (3)/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_hstd.confを,次の行だけに変更します。

    ajsnetwd|/opt/jp1ajs2/bin/ajsnetwd|||1800|
    jpqman_hst|/opt/jp1ajs2/bin/jpqman|||1800|

    (4)/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_hstd_0700.confの,次の行を変更します。

    変更前

    ajsnetwd|/opt/jp1ajs2/bin/ajsnetwd||1|3|3|21600|0|0|ajsinetd|1|||||||
    jpqman_hst|/opt/jp1ajs2/bin/jpqman||0|3|3|21600|0|0|ajsagtmd|1|||||||

    変更後

    ajsnetwd|/opt/jp1ajs2/bin/ajsnetwd||1|3|3|21600|0|0||1|||||||
    jpqman_hst|/opt/jp1ajs2/bin/jpqman||0|3|3|21600|0|0|ajsnetwd|1|||||||

    (5)/etc/opt/jp1ajs2/conf/jp1ajs_agtd.confを,次の行だけに変更します。

    jpqmon|/opt/jp1ajs2/bin/jpqmon|||1800|
  3. JP1/AJS3を再起動する。

なお,これらのパラメーターを記述するときには,空行(スペースだけの行も含みます)を作成しないでください。