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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


4.3.1 イベントジョブに関する環境設定について検討する

JP1/AJS3 - Managerホストのイベントジョブに関する環境設定項目(環境設定パラメーター)や,イベントジョブを使用する場合にオプションとして設定できる項目の検討について説明します。運用する環境に合わせて設定を検討してください。

〈この項の構成〉

(1) メールシステムと連携する

メールシステム連携機能を使用することで,メールの送受信をジョブネットに定義できます。

メールシステムと連携する場合の環境設定項目(環境設定パラメーター)については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 2.3.4(4) メールシステム連携機能に使用する環境設定パラメーター」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 2.4.2(3) メール受信監視ジョブを使用するための環境設定パラメーター」(UNIXの場合)を参照してください。

また,設定手順については,必要に応じて,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 2.3.4 メールシステム連携のための環境設定をする」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 連携ガイド 2.4.2 メール受信監視ジョブのための環境設定をする」(UNIXの場合)を参照してください。

(2) イベントジョブのログを設定する

イベントジョブを使用する場合,イベントジョブの実行数や監視条件の成立数などの運用形態によって,出力されるログのサイズが異なります。そのため,最低でも24時間分のログが保持できることを目安とし,1〜3日分のログを保持できるように設定する必要があります。ログのサイズは,「3.4.3 イベントジョブが出力するログのサイズを見積もる」を参照して計算してください。

(3) イベントが発生した順に条件を成立させる

起動条件で監視している一つのイベントジョブのイベントが連続して発生する場合,通信の状態によって,イベントの成立順序が実際に発生した順序とは異なってしまうことがあります。引き継ぎ情報を使用しているなどで,成立するイベントの順序をイベントが実際に発生した順にしたい場合は,イベント順序保証オプションを使用してください。

なお,イベント順序保証オプションは,イベントジョブを実行するすべてのエージェントホストで設定してください。設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.2 イベント順序保証オプションの設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.2 イベント順序保証オプションの設定」(UNIXの場合)を参照してください。

(4) ファイル監視ジョブの状態を引き継がせる

ファイル監視ジョブが監視対象ファイルを監視している間の情報を随時退避しておき,JP1/AJS3サービスが一時的に停止した場合でもファイル監視ジョブの監視状態を引き継ぐことができます。例えば,クラスタシステムで,ファイル監視ジョブの実行中にJP1/AJS3サービスが停止した場合,JP1/AJS3サービスの停止後,再度JP1/AJS3サービスが起動して,サービスが停止する前と同じファイル監視ジョブが実行されたときに,サービスが停止する前のファイル監視ジョブの監視状態を引き継いでジョブが実行されます。JP1/AJS3サービスが停止する前後で,ファイル監視ジョブの状態の整合性を保ちたい場合にこの設定を使用することを推奨します。

なお,監視状態を引き継ぐには,ファイル監視ジョブが継続して動作している必要があります。ファイル監視ジョブが継続して動作するか,終了するかによって監視状態が引き継がれるかどうかが異なります。

監視状態が引き継がれる条件については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 7.6.2 ファイル監視ジョブの注意事項」のファイル監視ジョブの状態引き継ぎオプションについて説明している事項を参照してください。

設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.3 ファイル監視ジョブの状態引き継ぎオプションの設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.3 ファイル監視ジョブの状態引き継ぎオプションの設定」(UNIXの場合)を参照してください。

(5) 「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータをイベントジョブの引き継ぎ情報に使用する

イベントジョブの受信情報を引き継ぎ情報として,標準ジョブやアクションジョブのパラメーターに引き継ぐ場合で,引き継ぐデータに「"(ダブルクォーテーションマーク)」が含まれるとき,「\」を前に付けてイベントを発行する必要があります。「\」を付けて発行しない場合,受信情報を引き継いでも「"(ダブルクォーテーションマーク)」が無視されるなどの現象が発生します。

これを防止するためには,「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータを発行されたイベントのとおりに引き継ぎ情報として引き継がせるオプションを設定することを推奨します。

このオプションを設定すると,JP1/AJS3内で「"(ダブルクォーテーションマーク)」の前に「\」が付け加えられます。これによって,引き継ぎ情報中の「"(ダブルクォーテーションマーク)」の有無を意識しないで,イベントジョブの受信情報を引き継ぎ情報として引き継ぐことができます。

なお,引き継ぐ情報中に,すでに「"(ダブルクォーテーションマーク)」の前に「\」がある場合,「\」のあとにも「\」を付け加えます。そのため,例えば「AB\"C」というデータを引き継いだ結果は「AB\"C」となり,「AB"C」とはなりません。このオプションを指定する前に,意識して「\」を付けている場合は,このオプションを設定しないでください。

注意事項

イベントジョブの受信情報を,引き継ぎ情報として標準ジョブやアクションジョブのパラメーターに引き継ぐ場合,標準ジョブやアクションジョブの各パラメーターの最大長までしか引き継げません。このオプションを有効にした場合,「"(ダブルクォーテーションマーク)」の前に「\」を付け加えます。

そのため,このオプションを有効にして,「"(ダブルクォーテーションマーク)」を引き継ぐ場合には,次に示す例を参考にして,引き継ぐ情報を検討してください。

(例)

UNIXジョブの[コマンド文]の最大長は1,023バイトですが,「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータ1,023バイトを引き継ぎ情報として引き継ぐ場合,このオプションを指定すると1,024バイトを超えるため,エラーになります。

設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.4 「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータをイベントジョブの引き継ぎ情報に使用するための設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.4 「"(ダブルクォーテーションマーク)」を含むデータをイベントジョブの引き継ぎ情報に使用するための設定」(UNIXの場合)を参照してください。