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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


2.3.1 JP1/AJS3が対応するネットワーク構成

JP1/AJS3では,次に示すネットワーク構成に対応しています。

JP1/AJS3を運用するサーバのネットワーク構成について,次のことを確認してください。

NIC多重化

OSによって,NICを多重化してNIC障害時に予備NICに切り替える機能を提供している場合があります(例:WindowsでのNICチーミング,Solarisでのネットワークマルチパス,AIXでのイーサチャネル)。JP1を実行するサーバで,これらのNIC多重化の機能を用いる場合,NIC多重化をしていない場合の動作と完全に互換性があり,JP1の動作に影響がないことが前提となります。

JP1/AJS3の通信設定の考え方は,JP1/Baseの通信設定に従っています。JP1/AJS3の前提プログラムであるJP1/Baseは,さまざまなネットワーク構成に応じて通信設定を変更できます。通信設定は,jp1hosts定義ファイルまたはjp1hosts2定義ファイル,および通信方式設定ファイルを使用して変更します。なお,JP1/AJS3 - ManagerおよびJP1/AJS3 - Agentのネットワーク構成がこの通信設定に基づいています。

JP1/Baseの通信設定については,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」のJP1/Baseの通信方式の章,およびネットワーク構成に応じたJP1/Baseの通信設定の章を参照してください。

注意事項
  1. JP1/AJS3 - ViewおよびJP1/AJS3 - Web Consoleでは,JP1/Baseの通信方式の設定変更機能に対応していません。ホスト名を指定して,JP1/AJS3 - ViewまたはJP1/AJS3 - Web ConsoleからJP1/AJS3 - Managerに通信する場合は,hostsファイルやDNSの情報を使用します。

  2. イベント・アクション制御機能およびジョブ実行制御機能では,JP1/Baseの設定で「複数LAN接続」の通信方式を設定する場合,一つのホスト名から複数のIPアドレスが解決できるOSでは,JP1/Baseの設定で「複数LAN接続」の通信方式を設定しない場合と異なる動作になるため,注意してください。

    JP1/Baseの設定で「複数LAN接続」の通信方式を設定しない場合

    解決されたIPアドレスを,接続が成功するまで順次接続を試みます。

    JP1/Baseの設定で「複数LAN接続」の通信方式を設定する場合

    解決されたIPアドレスのうち,jp1hosts定義ファイルまたはjp1hosts2定義ファイルの先頭のIPアドレスにだけ接続を試みます。

  3. JP1/AJS3は,動的にIPアドレスが変更され,通信先のホストが変更されるような環境では正しく動作しません。通信時のホスト名から一意のホスト名およびIPアドレスを求めることができる環境で運用してください。ただし,フレキシブルジョブの宛先エージェントとして使用する場合は,動的にIPアドレスが変更されるような環境で運用できます。

  4. 組み込みDBは,JP1/Baseの通信設定に従わないため,物理ホスト名または論理ホスト名からOSの機能によってIPアドレスを名前解決する必要があります。

  5. JP1/AJS3 - Manager バージョン10-00以降でセットアップした組み込みDBの場合,組み込みDB内の通信,およびJP1/AJS3 - Managerと組み込みDBとの通信については,ループバックアドレス(127.0.0.1)を使用します。

  6. JP1/AJS3は,複数のネットワークに接続するホスト上で通信先のホスト名が重複している環境では正しく動作しません。通信時のホスト名が一意であり,また,ホスト名から一意のIPアドレスを求めることができる環境で運用してください。

    複数のネットワークに接続するホスト上で,通信先のホスト名が重複している環境の例を次の図に示します。

    図2‒14 複数のネットワークに接続するホスト上で通信先のホスト名が重複している例

    [図データ]

    上に示す図の例では,LAN_AとLAN_B上に同一のホスト名HostAが存在するため,HostBはHostAというホスト名からどちらのLAN上のホストなのかを認識できません。

  7. ネットワーク障害のメンテナンスなどの理由でNICを無効化する場合は,JP1/AJS3サービスを停止してからNICを無効化してください。

    JP1/AJS3サービスを停止しないでNICを無効化した場合,ジョブが起動しない,ジョブの状態が更新されないなどの現象が発生するおそれがあります。

JP1/AJS3が提供する各機能の通信設定への対応状況を次の表に示します。

表2‒4 各機能の通信設定への対応状況

機能

通信設定

jp1hosts定義ファイルまたはjp1hosts2定義ファイル

通信方式設定ファイル

PCジョブ

UNIXジョブ

QUEUEジョブ

引き継ぎ情報設定ジョブ

サブミットジョブ

カスタムジョブ

※2

※2

キューレスジョブ

×※3

フレキシブルジョブ

※4

※4

HTTP接続ジョブ

※5

※5

判定ジョブ

ORジョブ

イベントジョブ※1

JP1イベント受信監視ジョブ

○(−)

○(−)

ファイル監視ジョブ

○(−)

○(−)

メール受信監視ジョブ

○(×)

○(×)

ログファイル監視ジョブ

○(−)

○(−)

Windowsイベントログ監視ジョブ

○(−)

○(−)

実行間隔制御ジョブ

○(−)

○(−)

メッセージキュー受信監視ジョブ

○(−)

○(−)

MSMQ受信監視ジョブ

○(×)

○(×)

アクションジョブ※1

JP1イベント送信ジョブ

○(○※6,※7

○(○※6

メール送信ジョブ

○(×)

○(×)

JP1/Cm2状態通知ジョブ

○(×)

○(×)

ローカル電源制御ジョブ

○(○※8,※9

○(×)

リモート電源制御ジョブ

○(○※6,※7,※8,※9

○(○※6,※8

メッセージキュー送信ジョブ

○(×)

○(×)

MSMQ送信ジョブ

○(×)

○(×)

ジョブネットコネクタ

※10

※10

リモートジョブネット

スケジュール実行

コマンドのリモート実行

(凡例)

○:サポートしている。

×:サポートしていない。

−:通信しない。

注※1

○,×,および−は,マネージャーホストとエージェントホスト間の通信設定の対応状況を示しています。

○に付いている(○),(×)および(−)は,各イベントジョブおよび各アクションジョブを実行するときに連携するプログラムとの通信設定の対応状況を示しています。

注※2

マネージャーホストとエージェントホスト間の通信は対応していますが,カスタムジョブで連携するプログラムの通信設定の対応状況については,連携するプログラムに依存します。

注※3

受信設定は常にANYバインド方式です。送信設定は通信方式設定ファイルに従います。

注※4

マネージャーホストと中継エージェント間の通信は対応していますが,宛先エージェント,一斉配信エージェントおよび一斉配信エージェントの宛先エージェントとの通信は対応していません。

注※5

マネージャーホストとエージェントホスト間の通信は対応していますが,エージェントホストとWebサーバとの通信は対応していません。

注※6

JP1/Baseのイベントサーバ設定ファイル(conf)に従います。ファイルについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」にある,定義ファイルに関する記述を参照してください。

注※7

JP1/BaseのAPI設定ファイル(api)に従います。ファイルについては,マニュアル「JP1/Base 運用ガイド」にある,定義ファイルに関する記述を参照してください。

注※8

電源制御装置に対する通信は対応していません。

注※9

UNIX版JP1/Power Monitorは,jp1hosts定義ファイルまたはjp1hosts2定義ファイルをサポートしていません。Windows版JP1/Power Monitorは,jp1hosts定義ファイルまたはjp1hosts2定義ファイルをサポートしています。なお,Windows版JP1/Power Monitorの通信機能は,環境設定パラメーターJP1PW_USE_JP1HOSTSの設定に依存します。詳細については,マニュアル「JP1/Power Monitor」にある,JP1/Power Monitorの通信機能の設定に関する記述を参照してください。

注※10

異なるスケジューラーサービス間のルートジョブネットの実行順序を制御する場合の通信設定の対応状況を示しています。同一スケジューラーサービス内のルートジョブネットの実行順序を制御する場合は,通信しません。