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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編)


5.4.3 ディザスター・リカバリー環境での処理性能の見積もり

ディザスター・リカバリー環境での処理性能の見積もりについて次に示します。

〈この項の構成〉

(1) ディスクコピーによる通常運用時の処理性能を見積もる

通常運用時は,共有ディスクの内容がメインサイトからリモートサイトにコピーされているため,ハードウェアの性能やディスク間のコピー方式によってメインサイトのJP1/AJS3の処理性能に影響することが考えられます。

また,ジョブの量,実行するジョブの出力処理などによって処理性能に与える影響が変わることもあります。システムのテスト時にジョブの実行が最大となる状態でジョブを実行し,処理時間を見積もってください。

(2) ディザスター・リカバリーによる運用切り替え時間を見積もる

大規模災害が発生し,メインサイトが停止してからリモートサイト側でJP1/AJS3の運用を再開するまでの時間の見積もり方法を次に示します。

メインサイトでの運用が停止したあと,リモートサイトのJP1/AJS3サービスをディザスターリカバリースタートし,運用を再開するまでの処理を次の図に示します。

図5‒5 メインサイト停止からリモートサイトでの運用再開までの処理の内訳

[図データ]

この図に示す「ディスクの切り替え処理」,「起動処理」,および「ジョブネット・ジョブの状態確認」が,ディザスター・リカバリーによる運用切り替え時間として見積もる時間となります。それぞれの見積もり方法について次に示します。

ディスクの切り替え処理時間

ディスクの切り替え処理とは,リモートサイトでリモートボリュームを利用できるようにするための処理です。具体的な操作については,ハードウェアのドキュメントを参照してください。また,システムのテスト時にジョブの実行などが最大の状態でディスクの切り替え処理を実施し,処理時間を見積もってください。

起動処理時間

リモートサイトでのJP1/AJS3サービスの起動時は,災害発生時にメインサイト側で実行中だったジョブの状態を「状態不明」に,ジョブネットの状態を「中断」に変更する処理や,スケジュールの再計算などの処理が行われます。そのため,JP1/AJS3サービスの起動に掛かる時間は,ジョブの実行数に関係します。

システムのテスト時に業務の実行が最大となる状態でJP1/AJS3サービスを起動し,処理時間を見積もってください。

ジョブネット・ジョブの状態確認

リモートサイトでJP1/AJS3サービスをディザスターリカバリースタートすると,災害発生時にメインサイト側で実行中だったジョブの状態は「状態不明」,ジョブネットの状態は「中断」とされます。JP1/AJS3や業務アプリケーションが出力するログなどでジョブネット・ジョブの状態や業務の進捗状況を確認してください。

なお,ディザスターリカバリースタートした場合のジョブネット・ジョブの状態については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 運用ガイド 6.2.1(3) 起動モード別のジョブネットおよびジョブの状態」のディザスターリカバリースタートした場合の記述を参照してください。