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JP1 Version 12 JP1/Automatic Job Management System 3 導入ガイド


3.4.1 起動条件とは

ジョブネットに起動条件を設定すると,イベントジョブを先頭に置いてジョブネットを定義した場合と同じように,事象の発生を契機としてジョブネットを実行させることができます。

起動条件付きジョブネットの実行のされ方を,次の図に示します。

図3‒44 起動条件付きジョブネットの実行

[図データ]

起動条件として定義できるのは,JP1イベントやメールの受信,ファイル更新,時間経過など,イベントジョブで監視できる事象の発生だけです。

起動条件はルートジョブネットに一つだけ設定できます。ジョブネットに起動条件を設定すると「.CONDITION」という,条件の成立を監視するジョブネットが作成されます。この「.CONDITION」というジョブネットに,条件となる事象の発生を監視するイベントジョブを定義します。起動条件の設定方法については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 5.4 起動条件の設定」を参照してください。

起動条件にはイベントジョブを複数設定できます。複数のイベントジョブを定義する場合,条件成立の考え方には次の二つがあります。

それぞれの条件について,次に説明します。

AND条件

起動条件に複数のイベントジョブを定義した場合に,定義したイベントのすべてが発生したときに成立する条件をAND条件といいます。

起動条件としてファイル監視ジョブとJP1イベント受信監視ジョブの二つをAND条件で定義した場合の,ジョブネットの実行のされ方を次の図に示します。

図3‒45 複数の起動条件をAND条件で定義した例

[図データ]

注意事項

AND条件で複数の条件を監視する場合は,特定のイベントだけが続けて発生しないようにしてください。この図の場合,ファイル更新イベントだけが立て続けに発生しないようにしてください。

特定のイベントだけが続けて発生すると,AND条件で定義しているその他のイベントの発生を待つ世代が大量に生成され,性能に影響が出るおそれがあります。

起動条件付きジョブネットの世代の詳細については,「3.4.2 監視世代と実行世代」を参照してください。

OR条件

起動条件に複数のイベントジョブを定義した場合に,定義したイベントのうちのどれか一つでも発生したときに成立する条件をOR条件といいます。

起動条件としてファイル監視ジョブとJP1イベント受信監視ジョブの二つをOR条件で定義した場合の,ジョブネットの実行のされ方を次の図に示します。

図3‒46 複数の起動条件をOR条件で定義した例

[図データ]

OR条件の場合は,定義した二つのイベントのうちどちらかが発生すれば条件成立となります。

なお,ジョブネットに多重起動が設定されている場合は,条件成立によってジョブネットが何重にも重複して実行されることがあります。

補足事項
  • 起動条件に定義したイベントジョブで受信したイベント情報を,後続ユニットに引き継ぐことができます。起動条件に定義したイベントジョブにマクロ変数を設定した場合は,起動条件付きジョブネットのすべてのジョブに受信情報が引き継がれます。イベントジョブの情報引き継ぎについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(業務設計編) 2.4.4(6) イベントジョブの受信情報の引き継ぎ」を参照してください。

  • 起動条件として定義しているイベントジョブのうち,一つのイベントジョブのイベントが連続して発生する場合,通信などの状態によってはイベントの成立順序が実際に発生した順序と異なることがあります。引き継ぎ情報を使用しているなど,イベント成立の順序を実際にイベントが発生した順にしたい場合は,イベント順序保証オプションを使用してください。ただし,このオプションを使用した場合,使用しない場合に比べて単位時間当たりのイベント処理件数が少なくなります。

    イベント順序保証オプションの設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 6.3.2 イベント順序保証オプションの設定」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 15.3.2 イベント順序保証オプションの設定」(UNIXの場合)を,イベント順序保証オプションを使用した場合のイベント処理件数の見積もりについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 3.1.5 イベント監視の処理性能」を参照してください。