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JP1 Version 12 JP1/Automatic Operation サービステンプレートリファレンス


5.11.11 vCenterサーバ経由でのスクリプト実行

機能

この部品は,VMware vSphere環境で,vCenterサーバ経由で仮想サーバのゲストOS上に配置された非対話型のスクリプトを実行します。

実行できるスクリプトは,Windows バッチ ファイル(拡張子bat),Windows PowerShell スクリプト(拡張子ps1),シェルスクリプト(拡張子sh)です。

スクリプトの実行は,実行対象サーバで次のvSphere PowerCLIのコマンドレットを使用して行います。

 Invoke-VMScript -ScriptText "各スクリプトの実行形式"

          -VM VirtualMachineオブジェクト※1

          -GuestUser "ゲストOSにログインするためのユーザー名(VMware.guestOSUserNameプロパティ)の値"

          -GuestPassword "ゲストOSにログインするためのパスワード(VMware.guestOSUserPasswordプロパティ)の値"

          -Confirm:$false※2

 ※1 仮想サーバ名(VMware.vmNameプロパティ)の値から取得したオブジェクト

 ※2 コマンドレットが対話型になるのを防ぎます。

スクリプトごと次に示す実行形式をScriptTextオプションに指定して実行します。

・Windows バッチ ファイル(拡張子bat)

 "& 'ゲストOS上のスクリプトファイルパス(VMware.scriptFileOnGuestプロパティ)' 'スクリプトの引数(VMware.scriptParameterプロパティ)' ; exit $LASTEXITCODE"

・Windows PowerShell スクリプト(拡張子ps1)

 "Set-ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope Process ; & 'ゲストOS上のスクリプトファイルパス(VMware.scriptFileOnGuestプロパティ)' 'スクリプトの引数(VMware.scriptParameterプロパティ)' ; exit $LASTEXITCODE"

・シェルスクリプト(拡張子sh)

 "/bin/bash 'ゲストOS上のスクリプトファイルパス(VMware.scriptFileOnGuestプロパティ)' 'スクリプトの引数(VMware.scriptParameterプロパティ)' "

仮想サーバで実行したスクリプトの標準出力および標準エラー出力は,スクリプトの出力ファイルパス(VMware.scriptOutputFilePathプロパティ)に指定した,実行対象サーバのファイルパスに出力されます。

スクリプトの戻り値は,Invoke-VMScriptコマンドレットの戻り値(ExitCodeプロパティ)を取得しスクリプトの戻り値(common.scriptReturnCodeプロパティ)に出力されます。スクリプトの戻り値が0以外の値の場合,部品は異常終了します。スクリプトが実行される前に部品が異常終了した場合,スクリプトの戻り値(common.scriptReturnCodeプロパティ)に255が出力されます。スクリプトの戻り値で255は使用しないでください。

スクリプトの引数(VMware.scriptParameterプロパティ)に複数の引数を使用する場合は,引数と引数の間を","(半角コンマ)か"-"(半角ハイフン)のどちらかで区切ることができます。スクリプト引数の区切り文字(VMware.scriptParamDelimiterプロパティ)に区切り文字として使用する記号を入力してください。使用できる記号は","(半角コンマ)か"-"(半角ハイフン)のどちらかです。

例:スクリプトの引数 "AAA,BBB,CCC"

  スクリプト引数の区切り文字 ","

   ->" & XXX.bat 'AAA' 'BBB' 'CCC' ; exit $LASTEXITCODE"

この部品が前提とするサーバを次に示します。

・vCenterサーバ

 VMware vCenter Serverがインストールされているサーバです。

・ESXサーバ

 VMware vSphere ESXiがインストールされているサーバです。

・vCenter操作サーバ(実行対象サーバ)

 VMware vSphere PowerCLIがインストールされているサーバです。JP1/AOによってこのサーバに部品が転送され,実行されます。

・仮想サーバ

 vCenterサーバおよびVMware vSphere ESXiによって管理されている仮想サーバです。

Invoke-VMScriptコマンドレットの詳細については,vSphere PowerCLI Documentationの「Cmdlet Reference」を参照してください。

利用場面

vCenterサーバが管理する仮想サーバと,JP1/AOサーバが通信できない環境で,vCenterサーバを経由してvCenter操作サーバからOSの初期設定を行うスクリプトファイルを実行するために使用する。

「vCenterサーバ経由でのファイル送信(vsphereSendFileToGuest部品)」と「vCenterサーバ経由でのファイル削除(vsphereDeleteFileOnGuest部品)」もしくは「vCenter経由でのフォルダ送信(vsphereSendFolderToGuest部品)」と「vCenterサーバ経由でのフォルダ削除(vsphereDeleteFolderOnGuest部品)」と組み合わせて使用します。

前提条件

【システム内前提製品】/【実行対象サーバ内前提製品】/【実行対象サーバ内前提製品の稼働OS】の最新のサポート状況については,リリースノートを参照してください。

【システム内前提製品】

 JP1/Automatic Operation 11-10以降

【実行対象サーバ内前提製品】

 ・VMware vSphere PowerCLI 6.3 Release1,6.0 Release3,6.0 Release1,5.8 Release1,5.5 Release2,5.5 Release1,5.1 Release2,5.0

 ・VMware PowerCLI 6.5 Release1

 ・VMware PowerCLI 6.5.1,6.5.4

 ・VMware PowerCLI 10.1.0,10.1.1,11.3.0,12.0.0,12.1.0

【実行対象システム内前提製品】

(1)vCenterサーバの前提製品

 ・VMware vCenter Server 7.0,6.7,6.5,6.0,5.5,5.1,5.0

(2)仮想サーバを管理するVMware vSphere ESXi

 ・VMware vSphere ESXi 7.0,6.7,6.5,6.0,5.5,5.1,5.0

(3)仮想サーバの前提OS

 vCenterサーバの前提製品/仮想サーバを管理するVMware vSphere ESXi/vCenter操作サーバの前提製品がサポートする構成の範囲で,次のOSがサポート範囲です。

 ・Windows Server 2008 R2 Standard/Enterprise/Datacenter

 ・Windows Server 2012 Standard/Datacenter,Windows Server 2012 R2 Standard/Datacenter

 ・Windows Server 2016 Standard/Datacenter

 ・Windows Server 2019 Standard/Datacenter

 ・Red Hat Enterprise Linux Server 6 (32-bit x86),Red Hat Enterprise Linux Server 6 (64-bit x86_64)

 ・Red Hat Enterprise Linux Server 7 (64-bit x86_64)

 ・Red Hat Enterprise Linux Server 8 (64-bit x86_64)

 ・CentOS 6 (64-bit x86_64)

 ・CentOS 7 (64-bit x86_64)

 ・CentOS 8 (64-bit x86_64)

【実行対象サーバ内前提製品の稼働OS】

 ・Windows Server 2008 R2 Standard/Enterprise/Datacenter

 ・Windows Server 2012 Standard/Datacenter,Windows Server 2012 R2 Standard/Datacenter

 ・Windows Server 2016 Standard/Datacenter

 ・Windows Server 2019 Standard/Datacenter

【実行対象システム内前提製品の使用条件】

(1)VMware vSphere ESXiがVMware vCenter Serverで管理されていること。

(2)VMware vCenter Server上の設定に関する条件

 ・仮想サーバの名称が一意であること。

 ・VMwareに関連する次の名称について,VMware上では英字の大文字・小文字は区別されますが,この部品が実行するvSphere PowerCLIからは,指定した名称の英字の大文字・小文字を区別できません。

  - 仮想サーバ名

(3)仮想サーバに関する条件

 ・仮想サーバが起動していること。

 ・仮想サーバがWindowsの場合,Windows PowerShell 2.0以降がインストールされいること。

 ・仮想サーバに,VMwareToolsがインストールされていること。

注意事項

(1)この部品のプロパティには「"」(ダブルクォーテーション)および「'」(シングルクォーテーション)を含む文字列は指定しないでください。

(2)ゲストOS上のスクリプトファイルパス(VMware.scriptFileOnGuestプロパティ),スクリプトの引数(VMware.scriptParameterプロパティ)に「`」(バッククォート)および「$」(ドルマーク)を含む文字列は指定しないでください。

(3)スクリプトの出力ファイルパス(VMware.scriptOutputFilePathプロパティ)に指定したパスのファイルが既に存在する場合,既存のファイルを上書きします。また,ファイルパスに存在しないフォルダがある場合は,フォルダを作成後にファイルを出力します。

(4)その他の注意事項については,vSphere PowerCLI Documentationの「Cmdlet Reference」のInvoke-VMScriptコマンドレットの注意事項を参照してください。

(5)ユーザーに入力を求める対話式スクリプト,GUI表示などによって自動的に終了しないスクリプトは実行しないでください。

実行権限

(1)VMware vCenter Serverに接続するユーザーに,次の権限が必要です。

 システム管理者ロール

バージョン

02.50.00

部品のタグ

Modify VM,VMware vSphere

タスクログに表示される部品の名称

vsphereInvokeScript

戻り値

戻り値

説明

0

正常

12

異常(ユーザーミス) プロパティ不正

23

異常(環境不正) 前提環境不正

27

異常(エラー内容はタスクログで確認)

41

異常(部品内でエラーを検知) プロパティ未入力(部品スクリプトでエラーを検知)

プロパティ一覧

プロパティ一覧を次の表に示します。

プロパティキー

プロパティ名

説明

デフォルト値

入出力種別

必須区分

plugin.destinationHost

実行対象サーバのホスト名

この部品を実行するサーバのホスト名またはIPアドレスを指定します。IPv6アドレスには対応していません。

− 

入力

○ 

VMware.vCenterServerName

vCenterサーバ名

VMware vCenter Serverのホスト名,またはIPアドレスを指定します。IPv6アドレスには対応していません。

− 

入力

○ 

VMware.userName

VMware vCenter Serverに接続するためのユーザー名

VMware vCenter Serverに接続するためのユーザー名を指定します。

− 

入力

○ 

VMware.password

VMware vCenter Serverに接続するためのパスワード

VMware vCenter Serverに接続するためのパスワードを指定します。

− 

入力

○ 

VMware.portNumber

VMware vCenter Server接続用ポート番号

VMware vCenter Serverに接続するためのポート番号(VMware vCenter ServerのWebサービス用)を指定します。指定しなかった場合には,VMware vCenter Serverで設定されているデフォルト値で接続します。

443

入力

△ 

VMware.protocol

VMware vCenter Server接続用プロトコル

VMware vCenter Serverに接続するためのプロトコルを指定します。

https

入力

○ 

VMware.vmName

仮想サーバ名

仮想サーバの名称を指定します(VMware vCenter Serverにおける仮想サーバの表示名称です。OS上のホスト名ではありません)。

− 

入力

○ 

VMware.guestOSUserName

ゲストOSにログインするためのユーザー名

ゲストOSにログインするためのユーザー名を指定します。

− 

入力

○ 

VMware.guestOSUserPassword

ゲストOSにログインするためのパスワード

ゲストOSにログインするためのパスワードを指定します。

− 

入力

○ 

VMware.scriptFileOnGuest

ゲストOS上のスクリプトファイル

ゲストOS上で実行するスクリプトファイルをフルパスで指定します。

− 

入力

○ 

VMware.scriptParameter

スクリプトの引数

スクリプトの引数を指定します。複数の引数を指定する場合は,スクリプト引数の区切り文字に指定した値(半角コンマまたは半角ハイフン)を引数の間に挿入してください。

− 

入力

△ 

VMware.scriptParamDelimiter

スクリプト引数の区切り文字

スクリプトの引数の区切り文字を指定します。指定可能な値は","(半角コンマ)または"-"(半角ハイフン)です。省略した場合は,スクリプトの引数に指定した値を1つの引数として扱います。

,

入力

△ 

VMware.scriptOutputFilePath

スクリプトの出力ファイルパス

スクリプトの標準出力および標準エラー出力を出力する実行対象サーバ上のファイルパスをフルパスで指定します。

− 

入力

○ 

common.returnValue

部品の戻り値

この部品の戻り値が格納されます。

− 

出力

△ 

common.scriptReturnCode

スクリプトの戻り値

仮想サーバで実行したスクリプトの戻り値が格納されます。

− 

出力

△