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JP1 Version 12 JP1/Automatic Operation サービステンプレートリファレンス


3.13.2 仮想サーバの起動

機能

このサービステンプレートは,OpenStack管理下のKVMにおいてインスタンスを起動します。

このドキュメント内で使用しているOpenStackに関する用語は,OpenStackのDashboardで使用されている表示名です。OpenStackに関する用語を次に示します。

・Identity

 IdentityまたはKeyStoneと記載されています。

・プロジェクト

 プロジェクトまたはテナントと記載されています。

このサービステンプレートが前提とするサーバを次に示します。

・OpenStackサーバ

 OpenStackがインストールされているサーバです。

・KVMサーバ

 Kernel-based Virtual Machineがインストールされているサーバです。

・OpenStack操作サーバ

 OpenStackサーバにREST-APIを実行するサーバです。

・インスタンス

 OpenStackサーバおよびKVMによって管理されているインスタンスです。一般的な仮想サーバのことです。

処理の概要を次に示します。

(1) インスタンスの状態を取得します。

(2) インスタンスが停止している場合に,インスタンスを起動します。インスタンスが起動している場合は,インスタンスを起動する処理をスキップします。インスタンスが起動および停止している場合以外は,該当するインスタンスの処理がエラーとなります。

(3) ネットワーク接続確認を実施する場合は,起動したインスタンスに設定されているIPアドレス(IPv4)を取得したのち,起動したインスタンスに対してローカルサーバからICMPエコー要求を送信し,ネットワーク接続を確認します。

上記の処理を,指定されたインスタンス群に対して並列に実行します。

仮想サーバを起動する際には,openstack.checkInstanceStateEnabledIntervalプロパティに指定した秒数待ってインスタンスの状態を確認する動作を,openstack.checkInstanceStateEnabledCountプロパティに指定した回数繰り返します。各プロパティの値は,利用している環境に合わせて調整してください。

前提条件

【システム内前提製品】/【サービステンプレート実行システム内前提製品】/【サービステンプレート実行システム内前提製品の稼働OS】の最新のサポート状況については,リリースノートを参照してください。

【システム内前提製品】

 JP1/Automatic Operation 12-00以降

【サービステンプレート実行システム内前提製品】

(1)OpenStackサーバの前提製品

 ・OpenStack

(2)インスタンスを管理する仮想化環境

 ・Kernel-based Virtual Machine

 ・VMware vCenter Server

 ・VMware vSphere ESXi

(3)OpenStack操作サーバ

 ・Microsoft .Net Framework 3.5以降

【サービステンプレート実行システム内前提製品の稼働OS】

(1)インスタンスの前提OS

 ・Red Hat Enterprise Linux Server 6 (32-bit x86),Red Hat Enterprise Linux Server 6 (64-bit x86_64)

 ・Red Hat Enterprise Linux Server 7 (64-bit x86_64)

(2)OpenStack操作サーバの前提OS

 ・Windows Server 2008 R2 Standard/Enterprise/Datacenter

 ・Windows Server 2012 Standard/Datacenter,Windows Server 2012 R2 Standard/Datacenter

  ただし,Server Coreインストール環境は除く。

【サービステンプレート実行システム内前提製品の使用条件】

(1)インスタンスに関する条件

 ・同一プロジェクト内でインスタンス名が重複しないこと。

 ・インスタンスが停止していること。

 ・ネットワーク接続確認を実行する場合,対象となる仮想サーバのファイアーウォールがICMP(ECHO)応答を許可していること。

(2)ローカルサーバに関する条件

 ・ネットワーク接続確認を実行する場合,エージェントレス接続先としてローカルサーバ("localhost"で解決されるループバックアドレス)を設定する必要があります。

注意事項

(1)ネットワーク接続確認を実施する場合は,インスタンスのすべてのNICに設定されているIPアドレス(IPv4)の長さの合計を1024文字以内(※1)にして設定してください。IPアドレス(IPv4)の長さの合計が1024文字を超えると,osSendIcmp部品でエラーが発生し,タスクが異常終了する場合があります。

※IPアドレス(IPv4)1つの最大の長さは16文字(IPアドレス連結用の「,(コンマ)」を含む)。

(2)ネットワーク接続確認を実行する場合,common.icmpEchoTimeoutプロパティは利用している環境に応じて調整してください。

(3)openstack.waitTimeプロパティの値はデフォルトを推奨します。ただし,プロパティに指定した待機処理時間が短いと,OS起動の完了前に次のステップが実行されて,タスクが異常終了する場合があります。

実行権限

(1)OpenStackサーバにログインするユーザーに次の権限が必要です。

admin権限

(2)ローカルホストで部品を実行するユーザーに次の権限が必要です。

ビルトイン Administrator

バージョン

03.00.00

タグ

Control VM,OpenStack

プロパティ一覧

プロパティに設定されているプロパティグループの一覧を次に示します。

プロパティグループ

説明

初期表示

クラウド基盤環境情報

OpenStackの情報を指定してください。

表示されます。

インスタンス情報

インスタンスの情報を指定してください。

表示されます。

ネットワーク接続確認

インスタンスを起動したあとのネットワーク接続確認に関するプロパティです。必要に応じて変更してください。

表示されません。

実行時オプション

インスタンスを起動する際の状態確認に関するプロパティです。必要に応じて変更してください。

表示されません。

[サービス設定]画面に表示されるプロパティの一覧を次に示します。

(凡例)

○:プロパティの指定は必須です。

△:プロパティの指定は省略可能です。ただし,ほかのプロパティの指定内容によっては,指定が必須になります。各プロパティの「説明」を確認してください。

プロパティキー

プロパティ名

説明

入出力種別

共有設定

必須区分

プロパティグループ

openstack.targetHost

OpenStack操作サーバのホスト名

OpenStack操作サーバのホスト名またはIPアドレスを指定します。IPv6アドレスには対応していません。

入力

無効

○ 

クラウド基盤環境情報

openstack.identityServerHostName

Identityサーバのホスト名

Identityサーバのホスト名またはIPアドレスを指定します。IPv6アドレスには対応していません。

入力

無効

○ 

クラウド基盤環境情報

openstack.userName

Identityサーバにログインするためのユーザー名

Identityサーバにログインするためのユーザー名を指定します。

入力

無効

○ 

クラウド基盤環境情報

openstack.password

Identityサーバにログインするためのパスワード

Identityサーバにログインするためのパスワードを指定します。

入力

無効

○ 

クラウド基盤環境情報

openstack.protocol

Identityサーバ接続用プロトコル

Identityサーバに接続するためのプロトコルを指定します。

入力

無効

○ 

クラウド基盤環境情報

openstack.portNumber

Identityサーバ接続用ポート番号

Identityサーバに接続するためのポート番号を指定します。

入力

無効

○ 

クラウド基盤環境情報

openstack.projectName

プロジェクト名

プロジェクトの名称を指定します。

入力

無効

○ 

インスタンス情報

openstack.waitTime

IPアドレス取得開始までの待機時間

ネットワーク接続確認を実行する場合,インスタンスの起動が完了してからIPアドレス取得を開始するまでの待機時間を秒単位で指定します。

入力

無効

○ 

ネットワーク接続確認

common.icmpEchoTimeout

ICMPエコー要求のタイムアウト時間

仮想サーバの起動確認で実施する,ICMPエコー要求に対する応答を待つ時間をミリ秒単位で指定します。

入力

無効

○ 

ネットワーク接続確認

openstack.checkInstanceStateEnabledCount

インスタンスの状態(起動完了)の確認回数

インスタンスの起動が完了したか確認する際の確認回数を指定します。インスタンスの状態(起動完了)の確認間隔と組み合わせて最大待ち時間となります。

入力

無効

○ 

実行時オプション

openstack.checkInstanceStateEnabledInterval

インスタンスの状態(起動完了)の確認間隔

インスタンスの起動が完了したか確認する際の確認間隔を秒単位で指定します。

入力

無効

○ 

実行時オプション

[サービス設定]画面および[サービス実行]画面に表示されるプロパティの一覧を次に示します。

プロパティキー

プロパティ名

説明

入出力種別

共有設定

必須区分

プロパティグループ

openstack.foreachInstanceName

インスタンス名(複数指定可)

インスタンスの名称を指定します(OpenStackにおけるインスタンスの表示名称です。OS上のホスト名ではありません)。複数指定する場合はコンマで区切ってください。99個まで指定できます。

入力

無効

○ 

インスタンス情報

openstack.checkNetworkConnection

ネットワーク接続確認の実行

インスタンスの起動後にネットワーク接続確認を実行するかどうかを指定します。

入力

無効

○ 

ネットワーク接続確認

[タスク詳細]画面にだけ表示されるプロパティの一覧を次に示します。

プロパティキー

プロパティ名

説明

入出力種別

共有設定

common.taskResult

繰り返しタスクの実行結果

タスクごとの成功(true),失敗(false)をコンマ区切りで出力します。

出力

無効

[サービス設定]画面に表示されるプロパティの入力制限を次に示します。

プロパティキー

入力可能文字

openstack.targetHost

256文字以内の半角英数字および「.」,「-」。

openstack.identityServerHostName

256文字以内の半角英数字および「.」,「-」。

openstack.userName

64文字以内の半角英数字。

openstack.password

256文字以内の半角英数字。

openstack.protocol

次の値のどれかを選択する。

http,https

openstack.portNumber

1〜65535の整数値。

openstack.projectName

80文字以内の文字列。ただし,「<」,「>」,「|」,「;」,「&」,「'」,「"」,「*」,「?」,「[」,「]」,「`」,「%」,「¥」を除く。

openstack.waitTime

0〜2147483647の整数値。

common.icmpEchoTimeout

1〜2147483647の整数値。

openstack.checkInstanceStateEnabledCount

1〜2147483647の整数値。

openstack.checkInstanceStateEnabledInterval

1〜60の整数値。

[サービス設定]画面および[サービス実行]画面に表示されるプロパティの入力制限を次に示します。

プロパティキー

入力可能文字

openstack.foreachInstanceName

1024文字以内の文字列。ただし,「<」,「>」,「|」,「;」,「&」,「'」,「"」,「*」,「?」,「[」,「]」,「`」,「%」,「¥」を除く。

openstack.checkNetworkConnection

次の値のどれかを選択する。

yes,no

フロー仕様詳細

フロー仕様詳細を次の表に示します。

階層

[タスク詳細]画面での表示名

ステップ名

部品

部品名

説明

エラー時の回復方法

1

インスタンス数分繰り返し処理

インスタンス数分繰り返し処理

繰り返し実行部品

指定されたインスタンスの数だけ起動処理を繰り返します。

エラーの原因を取り除いたあと,サービスを再実行してください。