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JP1 Version 12 JP1/Automatic Operation 運用ガイド 


7.14 バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する手順

JP1/AOサーバが何らかの理由で停止しても,バックアップファイルを使用して,遠隔地でJP1/AOサーバを復元できます。この方法は,大規模な災害やシステム障害が起こった際の,ディザスター・リカバリーにも使用できます。

例を次の図に示します。

図7‒1 バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する例

[図データ]

メインサイトであるA支社では,営業終了後,毎日深夜0:00にバックアップファイルを取得し,リモートサイトであるB支社に送付しておきます。B支社では,常に前夜0:00のA支社のバックアップファイルを保持していることになります。そのため,A支社で災害などが発生してJP1/AOサーバが停止しても,前夜0:00のバックアップファイルからA支社のJP1/AOサーバをB支社に復元できます。

バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する手順について説明します。

前提条件

バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する流れ

メインサイトのバックアップファイルを使用して,リモートサイトでJP1/AOサーバを復元する流れを次に示します。

表7‒1 バックアップファイルを使用して遠隔地でJP1/AOサーバを復元する流れ

タイミング

メインサイトでの作業

リモートサイトでの作業

通常運用時

バックアップファイルを取得する。

取得したバックアップファイルをリモートサイトに送付する。

災害・障害発生時

取得した中で最新のバックアップファイルを使用して,メインサイトのJP1/AOサーバを復元する。

(凡例)

-:なし

注※

バックアップファイルは,定期的に自動で取得することをお勧めします。

通常運用時の手順

メインサイトの最新のバックアップファイルを取得し,リモートサイトに送付します。

  1. メインサイトの最新のバックアップファイルを取得します。

    JP1/AOサーバのバックアップファイルを取得する手順については,「7.1 JP1/AOシステムをバックアップする手順(非クラスタ構成の場合)」を参照してください。

  2. 取得したメインサイトのバックアップファイルを,リモートサイトに送付します。

ヒント

backupsystemコマンドでは,次のファイルはバックアップされません。メインサイトとリモートサイトで同じファイルを使用する場合は,必要に応じて手動でバックアップし,リモートサイトに送付しておいてください。

  • https接続用のSSLサーバ証明書ファイル

  • https接続用の秘密鍵ファイル

  • 公開鍵認証用の秘密鍵ファイル

なお,これらのファイルはメインサイトとリモートサイトで別のファイルを使用することもできます。その場合は,メインサイトとリモートサイトで別に取得または作成し,配置してください。

災害・障害発生時の手順

メインサイトの最新のバックアップファイルをリモートサイトにリストアして,メインサイトのJP1/AOサーバを復元します。

ヒント

手順4~6は,メインサイトのJP1/AOサーバとリモートサイトのJP1/AOサーバで次の設定内容が同じ場合,実施不要です。

  • 外部認証サーバ連携コンフィグファイル(exauth.properties)

  • セキュリティ定義ファイル(security.conf)

  • ポート番号変更の設定(user_httpsd.conf)

  • https接続の設定(user_httpsd.conf)

  • JP1/AOとWebブラウザー間のポート番号

  1. リモートサイトで,実行中,応答待ち中,異常検出,長期実行中,または停止中の状態のタスクがないことを確認します。ある場合は,タスクを実行停止するか,正常終了または失敗の状態になるまで待ちます。

  2. JP1/AOシステムが稼働している場合は,hcmds64srvコマンドにstopオプションを指定して実行し,JP1/AOシステムを停止します。

  3. restoresystemコマンドを実行して,メインサイトのJP1/AOの設定情報やデータベース情報をリストアします。

    ヒント

    restoresystemコマンドでは,次のファイルはリストアされません。メインサイトとリモートサイトで同じファイルを使用する場合は,必要に応じて手動で再配置してください。

    • https接続用のSSLサーバ証明書ファイル

    • https接続用の秘密鍵ファイル

    • 公開鍵認証用の秘密鍵ファイル

    https接続用のファイルはuser_httpsd.confファイル,公開鍵認証用のファイルはユーザー設定プロパティファイル(config_user.properties)で定義されている,それぞれの格納先に配置してください。

  4. リモートサイトの環境に合わせて,次の定義ファイルを再設定します。

    これらの定義ファイルは,backupsystemコマンドでバックアップはされますが,restoresystemコマンドでリストアはされません。

    • 外部認証サーバ連携コンフィグファイル(exauth.properties)

    • セキュリティ定義ファイル(security.conf)

    • ポート番号変更の設定(user_httpsd.conf)

    • https接続の設定(user_httpsd.conf)

    なお,定義ファイルは次のフォルダに格納されています。

    • バックアップ先フォルダ\HBase\base\confまたはバックアップ先フォルダ/HBase/base/conf

    • バックアップ先フォルダ\HBase\base\httpsd.confまたはバックアップ先フォルダ/HBase/base/httpsd.conf

  5. 必要に応じて,https接続を設定します。

  6. JP1/AOとWebブラウザー間の通信で使用するポート番号をデフォルトから変更している場合は,ポート番号の変更手順に従い,再設定します。

  7. hcmds64srvコマンドにstartオプションを指定して実行し,JP1/AOシステムを開始します。

  8. hcmds64chgurlコマンドを実行して,リモートサイトの環境に合わせてURL情報を更新します。

操作結果:

リモートサイトに,メインサイトのJP1/AOサーバが復元されます。