13.6 dcminst.exe(ジョブの作成、実行)
ジョブを作成、実行するdcminstコマンドについて説明します。
このコマンドで実行したジョブは、配布管理システムの[ジョブ実行状況]ウィンドウで実行結果を確認できます。
機能
次に示す、リモートインストール関連のジョブを作成、実行します。
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パッケージのインストール
-
中継までのパッケージの転送
-
中継のパッケージの一括削除
-
クライアントユーザによるインストール
形式
dcminst.exe [処理キー] [/f] [/s] /i パラメタファイル1 [パラメタファイル2] /o 結果出力ファイル名
引数
-
処理キー
実行するジョブの種類を指定するキーです。コマンド名の直後に、次に示す処理キーのうち1つを指定してください。省略した場合は、「NETM_INSTALL」が仮定されます。
-
NETM_INSTALL
「パッケージのインストール」ジョブを実行します。パラメタファイル(またはコマンドの引数)で、インストールするパッケージおよびあて先を指定してください。
-
NETM_STORE
「中継までのパッケージの転送」ジョブを実行します。パラメタファイル(またはコマンドの引数)で、パッケージおよびあて先(中継システムおよび管理用中継サーバ下の、中継システムおよび管理用中継サーバと同一名称のエージェント)を指定してください。
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NETM_DELETE
「中継のパッケージの一括削除」ジョブを実行します。パラメタファイル(またはコマンドの引数)で、あて先(中継システムおよび管理用中継サーバ下の、中継システムおよび管理用中継サーバと同一名称のエージェント)を指定してください。
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NETM_USERINST
「クライアントユーザによるインストール」ジョブを実行します。パラメタファイル(またはコマンドの引数)で、インストールするパッケージおよびあて先を指定してください。
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/f
インストール対象として指定したパッケージがあて先のコンピュータにインストール済みの場合に、上書きしてインストールします。この引数を指定しない場合は、インストール済みのパッケージは上書きしないで正常終了します。
処理キーが「NETM_DELETE」の場合は、指定しても無視されます。
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/s
ジョブを作成後、実行しないで保存します。
この引数を指定してコマンドを実行したときの結果出力ファイルには、ジョブ番号が出力されません。
-
/i
使用するパラメタファイルのフルパスを、1つまたは2つ指定します。2つ指定する場合は間をスペースで区切ってください。3つ以上指定するとコマンドは失敗します。
パラメタファイルを2つ指定すると、JP1/IT Desktop Management 2は、それぞれのパラメタファイルの内容を連結して解釈します。あて先とパッケージとを別のパラメタファイルに定義しておくと、パッケージだけを変更して同じコンピュータに再配布したり、同じパッケージを別のあて先に配布したりできて便利です。この場合、dcmpackコマンドの結果出力ファイルを、パッケージの属性を指定したパラメタファイルとして使用できます。
-
/o
結果出力ファイルのフルパスを指定してください。コマンドが正常終了すると、指定した結果出力ファイルに次の項目が出力されます。結果出力ファイルがすでに存在する場合は上書きされます。
-
ジョブ名称
-
ジョブ番号
-
ジョブ格納フォルダパス
ジョブ番号(jobnoの値)は、開始されたジョブを識別する番号です。このジョブを削除したり、実行状況を確認したりする場合は、jobnoの値をパラメタファイルに記述してください。なお、コマンドの引数に/sを指定した場合、ジョブ番号は出力されません。
/sを指定した場合の結果出力ファイルは、そのままdcmjexeコマンドおよびdcmrmgenコマンドのパラメタファイルとして使用できます。また、/sを指定しなかった場合の結果出力ファイルは、dcmjbrmコマンド、dcmrtryコマンド、dcmstatコマンド、およびdcmstswコマンドのパラメタファイルとして使用できます。
-
パラメタファイルの指定内容とコマンド引数との対応
このコマンドで使用するパラメタファイルの内容は、コマンドの引数で指定することもできます。パラメタファイルの指定内容と、コマンドの引数との対応を次の表に示します。
パラメタファイルの指定内容 |
内容 |
指定の有無 |
コマンドの引数 |
|
---|---|---|---|---|
タグ |
パラメタ |
|||
group |
あて先グループ名 |
◎※1 |
/g 値 |
|
host_name |
ホスト名 |
◎※1 |
/h 値 |
|
destination_id |
ID名 |
◎※1 |
/X 値 |
|
package_name |
パッケージ名 |
◎ |
/p 値 |
|
package_id |
パッケージ識別ID |
◎ |
/I 値 |
|
version_revision |
バージョン/リビジョン |
◎ |
/v 値 |
|
generation |
世代番号 |
◎ |
/G 値 |
|
cabinet_name |
キャビネット名 |
◎ |
/c 値 |
|
cabinet_id |
キャビネット識別ID |
◎ |
/C 値 |
|
package_code |
コード種別 |
○ |
/KWまたは/KP |
|
job_generator |
ジョブ名称 |
○※3 |
/j 値 |
|
jobno |
ジョブ番号 |
× |
− |
|
job_folder |
ジョブ格納フォルダパス |
○ |
/l 値 |
|
unsuspended |
中断中の配布の有無 |
○※4 |
/uns 値 |
|
job_entry_date |
ジョブの登録日時 |
○ |
/jst 値 |
|
job_execution_date |
ジョブの実行日時 |
○ |
/jsx 値 |
|
job_expiration_date |
ジョブの実行期限 |
○ |
/jsp 値 |
|
split_size |
分割サイズ |
○ |
/sds 値 |
|
wait_time |
転送休止時間 |
○ |
/sdt 値 |
|
client_wake_up |
クライアントの起動の有無 |
○ |
/WWU |
|
client_shutdown |
クライアントのシャットダウンの有無 |
○ |
/WUS |
- (凡例)
-
◎:必ず指定する ○:省略できる ×:不要(指定しても無視される)
−:コマンドの引数では指定できない
- 注※1
-
JOB_DESTINATIONとJOB_DESTINATION_IDは同時に指定できません。また、/gおよび/hは/Xと同時に指定できません。必ずどちらかだけを指定してください。
なお、処理キーが「NETM_STORE」または「NETM_DELETE」の場合、IDは指定できません。
- 注※2
-
このコマンドでは、PACKAGING_INFORMATIONタグのパラメタに予約語を使用できません。
- 注※3
-
job_generator(または/j)の指定を省略した場合、ジョブ名称として「処理キー+ジョブの実行日時」が自動的に設定されます。このため、同じ処理キーのコマンドを同時に複数実行すると、ジョブ名称が重複しジョブが正しく実行されないことがあります。同じ処理キーのコマンドを同時に複数実行する場合は、job_generator(または/j)で、異なるジョブ名称を指定することをお勧めします。
- 注※4
-
JOB_ATTRIBUTEのunsuspendedおよびJOB_SPLIT_DELIVERYは同時に指定できません。
パラメタファイルを使用しない場合のコマンド形式
パラメタファイルを使用しないで引数だけで指定する場合の、コマンドの形式を次に示します。
dcminst.exe [処理キー] [/f] [/s] {[/g あて先グループ名] [/h ホスト名]|/X ID名} /p パッケージ名 /I パッケージ識別ID /v バージョン・リビジョン /G 世代番号 /c キャビネット名 /C キャビネット識別ID [{/KW|/KP}] [/j ジョブ名称] [/l ジョブ格納フォルダパス] [/uns 中断中の配布の有無] [/jst ジョブの登録日時] [/jsx ジョブの実行日時] [/jsp ジョブの実行期限] [/sds 分割サイズ] [/sdt 転送休止時間] [/WWU クライアントの起動の有無] [/WUS クライアントのシャットダウンの有無] /o 結果出力ファイル名
リターンコード
dcminstコマンド実行時のリターンコードを次の表に示します。
コード |
意味 |
対処 |
---|---|---|
0 |
配布管理システムがジョブを開始した。 |
なし。 |
1 |
パラメタファイルをオープンできない、またはファイル形式に誤りがある。 |
パラメタファイルの指定または記述形式を確認してください。 |
2 |
コマンドの引数またはパラメタファイルに不正な値が指定されている。 |
コマンドの引数またはパラメタファイルの設定値を確認してください。 |
3 |
データベースの接続に失敗した。 |
配布管理システムのセットアップで、データベースの設定を確認してください。 |
4 |
結果出力ファイルをオープンできない。 |
結果出力ファイルの指定を確認してください。 |
5 |
JP1/IT Desktop Management 2のサービスの接続に失敗した。 |
JP1/IT Desktop Management 2 - Managerのサービスが開始しているかどうかを確認してください。 |
12 |
そのほかのエラーが発生した。 |
イベントログを参照してください。 |
注意事項
-
あて先およびパッケージの指定数について
-
パラメタファイルで指定する場合、dcminstコマンド1回の実行につき、あて先は200個まで指定できます。また、パッケージは100個まで指定できます。
-
あて先およびパッケージをコマンドの引数で指定する場合は、それぞれ1個しか指定できません。ただし、あて先の場合、/gおよび/hは値を「;」で区切ることで、200個まで指定できます。
-
パラメタファイルでパッケージを複数指定している場合でも、同じ項目をコマンドの引数で指定すると、すべて無効となります。
-
-
/fの指定について
-
引数に/fを指定すると、すでに同じパッケージがあて先に配布されているかいないかに関係なく、パッケージが送信されます。不要なネットワークトラフィックの増加を避けるには、配布済みのパッケージを上書きする必要がある場合だけ、/fを使用してください。
-
引数に/fを指定すると、バージョンが同じでも内容が異なるソフトウェアを上書きインストールできるため、JP1/IT Desktop Management 2のインストールパッケージ情報のバージョン管理ができなくなります。
-
-
JOB_ATTRIBUTEタグのjob_generatorパラメタに指定したジョブ名が既存のジョブ名として存在する場合について
既存のジョブ定義を基にジョブが作成されます。
-
クライアントの起動の指定について
クライアントの起動の有無を指定する場合は、ジョブのあて先に、あて先グループ名またはIDを指定してください。ホスト名を指定すると、クライアントの起動の指定は無視されます。中継システムの場合、クライアントの起動の指定は無条件に無視されます。
-
ジョブ格納フォルダパスの指定について
ジョブ格納フォルダパスに[ジョブ定義]ウィンドウで定義されていないフォルダを指定してコマンドを実行した場合、指定されたフォルダが作成されます。作成されたジョブ格納フォルダは、実行後も削除されないで残ります。使用しない場合は、ジョブが完了したら削除してください。
実行例
JP1/IT Desktop Management 2 - Agent(エージェント)が稼働するホストdmp491およびdmp492に、Finance Data 2003 5という名称でパッケージングしたソフトウェアを配布する例を次に示します。
- パラメタファイルの作成
-
ホストとパッケージの属性をパラメタファイルに次のように記述し、パラメタファイルを任意の名称で保存します。
** dcminst Parameter File Sample JOB_DESTINATION{ host_name=dmp491;dmp492 } PACKAGING_INFORMATION { package_name=Finance Data 2003 5 package_id=FD200305 version_revision=000001 generation=0000 cabinet_name=FCAB01 cabinet_id=F1 package_code=P }
- コマンドの実行
-
作成したパラメタファイルをC:\Dmbat\dcminst.txtに保存し、結果出力ファイルをC:\Dmbat\out.txtに取得する場合は、次のように指定します。
dcminst.exe /i C:\Dmbat\dcminst.txt /o C:\Dmbat\out.txt /j 上書きインストール /f
- 結果出力ファイルの確認
-
コマンドが正常終了すると、ジョブのジョブ名称、ジョブ番号、ジョブ格納フォルダパスが、C:\Dmbat\out.txtに次のように出力されます。
JOB_ATTRIBUTE{ job_generator= NETM_INSTALL_2003_12_11_13_34_36 jobno= JB03121113315383 job_folder= \ }