jajs_migrate
形式
jajs_migrate [-h 論理ホスト名] {-C|-convert [-T ワークディレクトリ名] [-r|-f] [-S | [ [-s {l|m|s} ] [-u 一つのデータベースに格納するスケジューラーサービスの数] ] ] }
形式1(物理ホストの標準的なセットアップ)
jajs_migrate -convert [-T ワークディレクトリ名] [-s {l|m|s}] [-u 一つのデータベースに格納するスケジューラーサービスの数]
形式2(論理ホストのセットアップ)
jajs_migrate -convert -h 論理ホスト名 [-T ワークディレクトリ名] {-r|-f} -S
形式3(物理ホストの組み込みDBを手動でセットアップする場合のセットアップ)
jajs_migrate -convert [-T ワークディレクトリ名] -S
形式4(現在のデータベース構成の出力)
jajs_migrate [-h 論理ホスト名] -C
機能
JP1/AJS3を標準構成にセットアップします。
セットアップは,JP1/AJS2からJP1/AJS3にバージョンアップインストールをしたあとに実行します。JP1/AJS2のスケジューラーサービスのデータベースにアクセスできる状態の場合に実行できます。
また,現在のデータベース構成を標準出力ファイルに出力することもできます。
実行権限
Windowsの場合:Administrators権限
UNIXの場合:スーパーユーザー権限
格納先ディレクトリ
- Windowsの場合
-
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\tools\
- UNIXの場合
-
/opt/jp1ajs2/tools/
引数
-convert
JP1/AJS3を標準構成にセットアップします。
-h 論理ホスト名
環境変数JP1_HOSTNAMEの代わりに論理ホスト名を指定できます。指定できる文字数は,1〜32(単位:バイト)です。
このオプションを指定すると,環境変数JP1_HOSTNAMEの値よりこのオプションの値の方が優先されます。オプションの値に「JP1_DEFAULT」と指定することで,明示的に物理ホストを指定することもできます。物理ホストのマシン名も指定できます。
なお,物理ホスト名と同じ名称で論理ホストを構築している場合は,論理ホストとして処理します。
-T ワークディレクトリ名
移行で使用するワークディレクトリ名を指定します。
デフォルトで使用するワークディレクトリの容量を確保できない場合に指定します。デフォルトで使用するディレクトリを次に示します。
- Windowsで,インストール先フォルダがデフォルトまたはシステムで保護されたフォルダ配下の場合
-
%ALLUSERSPROFILE%\Hitachi\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\backup
「%ALLUSERSPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ\ProgramData」です。
「システムで保護されたフォルダ」とは,次のフォルダを指します。
・「システムドライブ\Windows」配下
・「システムドライブ\Program Files」配下
・「システムドライブ\Program Files (x86)」配下
- Windowsで,インストール先フォルダが上記以外の場合
-
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\backup
- UNIXの場合
-
/var/opt/jp1ajs2/backup/
空白を含むディレクトリは指定できません。
指定したディレクトリがない場合,コマンドは異常終了します。
コマンドが異常終了した場合,ファイルが残ることがあります。その場合,ファイルを削除したあと,再実行してください。
-S
移行時に組み込みDBをセットアップしない場合に指定します。組み込みDBをセットアップしたあとに実行してください。
なお,組み込みDBをセットアップしないで実行すると,メッセージ「KAVS0177-E データベースの種別が不正です」が出力されます。
-s {l|m|s}
データベースモデルを次の3種類の中から選択します。
-
l
次のような大規模システム用のモデルです。
-
総ユニット数:48,000〜240,000程度
-
1日に実行されるジョブ数・ジョブネット総数:30,000〜120,000
-
ディスク容量の目安:20,700メガバイト
-
-
m
次のような中規模システム用のモデルです。
-
総ユニット数:5,000〜48,000程度
-
1日に実行されるジョブ数・ジョブネット総数:5,000〜30,000
-
ディスク容量の目安:4,200メガバイト
-
-
s
次のような小規模システム用のモデルです。
-
総ユニット数:〜5,000程度
-
1日に実行されるジョブ数・ジョブネット総数:〜5,000
-
ディスク容量の目安:520メガバイト
-
デフォルトはs(小規模モデル)です。
-u 一つのデータベースに格納するスケジューラーサービスの数
移行前の構成を引き継がない場合,一つのデータベースに格納するスケジューラーサービスの数を10進数で指定します。
指定できる値は,1〜20です。省略した場合は,4が仮定されます。
なお,以前のバージョンでスケジューラーデータベースにV8で構築した組み込みDBを使用していた場合は,このオプションの指定に関係なく移行前の構成を引き継ぎます。
-r
クラスタ構成時に実行系ホストの環境を構築する場合に指定します。同時に,論理ホスト名(-hオプション)の指定が必要となります。
共有ディスクは,実行系ホスト側にマウントされている必要があります。また,論理ホストにアクセスできる状態になっている必要があります。
-f
クラスタ構成時に待機系ホストの環境を構築する場合に指定します。同時に,論理ホスト名(-hオプション)の指定が必要となります。
-C
現在のデータベース構成を標準出力ファイルに出力する場合に指定します。
注意事項
-
JP1/AJS2のスケジューラーサービスのデータベースに組み込みDBまたはHiRDBを使用している場合は,事前に組み込みDBまたはHiRDBを起動しておく必要があります。組み込みDBまたはHiRDBの起動方法については,使用しているJP1/AJS2のマニュアルまたはHiRDBのマニュアルを参照してください。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行する前に,次のことを実施してください。
Windowsの場合は,JP1/AJS3サービスを停止してください。
UNIXの場合は,JP1/AJS3サービスを停止し,ajsshmdelコマンドを実行してください。ajsshmdelコマンドのパスは,/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdelです。
実行例を次に示します。
- shの場合
-
/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >/dev/null 2>&1
- cshの場合
-
/opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel >&/dev/null
なお,UNIXの場合は,JP1/AJS3サービスの停止後にajsshmdelコマンドを実行しないでjajs_migrateコマンドを実行すると,メッセージKAVS0549-Eが出力されてコマンドが異常終了します。
-
-convertオプションを指定して,このコマンドを同時に複数実行しないでください。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行した場合,コマンドを強制終了しないでください。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行する前に,標準構成に移行するホストの物理ホスト名および論理ホスト名の両方を,hostsファイルまたはDNSに登録してください。
標準構成に移行するホストのホスト名をjp1hosts定義ファイルまたはjp1hosts2定義ファイルに登録しても,組み込みDBで使用するホスト名として有効になりません。
標準構成に移行するホストのホスト名には,エイリアス名を使用しないでください。
JP1/AJS3を標準構成で稼働できるホストのホスト名は,最大32バイトです。このため,標準構成へ移行するホストは,物理ホスト名および論理ホスト名ともに1〜32バイトで設定してください。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行した場合,コマンドの実行結果はログファイルに出力されます。格納先は,次の場所になります。
- Windowsで,インストール先フォルダがデフォルトまたはシステムで保護されたフォルダ配下の場合
-
%ALLUSERSPROFILE%\Hitachi\JP1\JP1_DEFAULT\JP1AJS2\log
「%ALLUSERSPROFILE%」のデフォルトは「システムドライブ\ProgramData」です。
「システムで保護されたフォルダ」とは,次のフォルダを指します。
・「システムドライブ\Windows」配下
・「システムドライブ\Program Files」配下
・「システムドライブ\Program Files (x86)」配下
- Windowsで,インストール先フォルダが上記以外の場合
-
JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\log
- UNIXの場合
-
/var/opt/jp1ajs2/log
ファイル名はjajs_migrate_論理ホスト名_N.logです。Nには1から順にカウントアップされた数値が付けられます。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行したあとは,コマンドの戻り値とログファイルを確認し,標準構成のセットアップが正しく完了したことを確認してください。異常終了している場合,エラーの原因を取り除いたあとで再度コマンドを実行してください。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行し,物理ホストのJP1/AJS3を標準構成にセットアップする場合は,環境変数JP1_HOSTNAMEが設定されていない環境でjajs_migrateコマンドを実行してください。環境変数JP1_HOSTNAMEが設定されている環境でjajs_migrateコマンドを実行すると,物理ホストではなく環境変数JP1_HOSTNAMEに設定された論理ホストのJP1/AJS3が標準構成にセットアップされます。環境変数JP1_HOSTNAMEが設定されている場合は,設定を削除してから実行してください。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行すると,移行前の組み込みDBに対して操作を行います。そのため,移行前のスケジューラーデータベースに組み込みDBを使用している環境で,-convertオプションを指定してこのコマンドを実行する場合は,次の環境変数に設定を追加してください。
- HP-UXの場合
-
SHLIB_PATH=移行前の組み込みDBのインストール先ディレクトリ/client/lib
- SolarisまたはLinuxの場合
-
LD_LIBRARY_PATH=移行前の組み込みDBのインストール先ディレクトリ/client/lib
- AIXの場合
-
LIBPATH=移行前の組み込みDBのインストール先ディレクトリ/client/lib
設定されていない場合は,メッセージKAVS0990-Eを出力してコマンドが異常終了します。
-
-convertオプションを指定して実行したこのコマンドが異常終了し,このコマンドを再実行する必要がある場合には,次のことに注意してください。
-
各スケジューラーサービスのデータベースディレクトリに「DBBKUP」ディレクトリが作成され,ディレクトリ内にファイルが格納されている場合は,「DBBKUP」ディレクトリの内容をデータベースディレクトリに配置してください。
-
V8で使用していた組み込みDBの状態をajsembdbstatusコマンドの-s ustオプションで確認し,STOP状態の場合は,ajsembdbstartコマンドでONLINE状態にしてください。
-
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行すると,ポート番号22220〜22239を自動的に採番して組み込みDBを構築します。そのため,該当するポート番号を使用している場合はエラーになります。コマンドを実行する前にポート番号22220〜22239を空けておいてください。
-
V8以前の環境で,スケジューラーサービスのデータベースにISAMを使用していた場合,-convertオプションを指定して実行したこのコマンドが正常終了すると,対象となるスケジューラーサービスのデータベースディレクトリに「DBBKUP」ディレクトリが作成され,ISAMファイルが退避されます。運用に問題がない場合,必要に応じて削除してください。
-
V8以前の環境で,スケジューラーサービスのデータベースに組み込みDB(HiRDB)を使用している場合,-convertオプションを指定して実行したこのコマンドが正常終了すると,これ以降,JP1/AJS3のスケジューラーサービスのデータベースとして使用されません。必要に応じて環境を削除してください。
-
Windowsファイアウォールを使用している場合,-convertオプションを指定してこのコマンドを実行すると,セットアップ処理中にポップアップメッセージが表示されることがあります。その場合は,Windowsファイアウォールへの例外登録が必要になるため,ajsembdbinstlコマンドの注意事項を参照して対応してください。
-
-convertオプションを指定してこのコマンドを実行すると,自ホストのエージェント定義にデフォルト実行エージェントと,自ホスト名と同じ名称の実行エージェントの二つが作成されます※。
- 注※
-
バージョン8以前の時点で自ホスト名と同じ名称のエージェント定義がない場合は,デフォルト実行エージェントだけが作成されます。自ホスト名と同じ名称の実行エージェントは作成されません。
ユニット定義の実行エージェントの指定方法によって,選択される実行エージェントが次のように異なるため注意が必要です。
-
ユニット定義の実行エージェントを省略している場合
デフォルト実行エージェントでジョブが実行されます。
-
ユニット定義の実行エージェントに自ホスト名を明示的に指定している場合
自ホスト名と同じ名称の実行エージェントでジョブが実行されます。
また,実行エージェントに設定しているジョブ実行多重度は,実行エージェント単位に適用されます。デフォルト実行エージェントと,自ホスト名と同じ名称の実行エージェントを定義している場合は,それぞれの実行エージェントに設定されているジョブ実行多重度の総和が自ホストで実行されることになります。
例えば,バージョン8以前で自ホスト名「host1」をエージェントとして定義していた場合,コマンドを実行すると「@SYSTEM」,「host1」という二つの実行エージェントが定義されます。実行エージェント「host1」のジョブ実行多重度を「00:00-00:00=10」(終日,ジョブ実行多重度は10)とした場合,デフォルト実行エージェントのジョブ実行多重度が「00:00-00:00=5」(終日,ジョブ実行多重度は5)であるため,最大で15のジョブが多重に実行される可能性があります。
-
-Cオプションを指定してこのコマンドを実行する場合,JP1/AJS3サービスの起動状態に関係なく実行できます。
-
-Cオプションを指定してこのコマンドを実行する場合,-hオプションに物理ホストのマシン名を指定しても,出力項目の「論理ホスト」には,「JP1_DEFAULT」と表示されます。
-
JP1/AJS2 Version 8以前の環境の,スケジューラーサービスのデータベースに組み込みDBまたはHiRDBを使用している場合は,このコマンドを実行する環境上に設定されている組み込みDBおよびHiRDBのクライアント環境定義を無効にしておいてください。
戻り値
0 |
正常終了。 |
上記以外の値 |
異常終了。 |
使用例1
JP1/AJS2からJP1/AJS3にバージョンアップインストールをした物理ホストに対して,一つのデータベースに格納するスケジューラーサービスを五つ作成する設定でJP1/AJS3を標準構成にセットアップします。
jajs_migrate -convert -u 5
使用例2
論理ホスト(lhost)の現在のデータベース構成を標準出力ファイルに出力します。
jajs_migrate -h lhost -C
出力例
-Cオプションを指定した場合の出力例と出力内容の意味を次に示します。
論理ホスト lhost DB構成 標準構成
出力内容の意味を次に示します。
- 論理ホスト(Logical host)
-
論理ホスト名が出力されます。
-hオプションに物理ホストのマシン名を指定した場合,「JP1_DEFAULT」と表示されます。
- DB構成(DB construction)
-
現在のデータベース構成が出力されます。出力されるデータベース構成を次に示します。
DB構成
説明
標準構成
standard
標準構成に移行済みであることを示します
互換ISAM構成
compatible ISAM
標準構成に移行前で,互換用ISAM構成で動作することを示します
構成不正(未移行)
invalid (not yet shifted)
標準構成に移行が必要だが,移行が完了していないため,JP1/AJS3の運用ができない構成であることを示します