2.3.3 JP1/AJS3 - Managerの設定情報のリカバリー
バックアップしたJP1/AJS3 - Managerの設定情報をリカバリーする場合に,必要な作業を次の表に示します。
- (凡例)
-
○:必須
−:対象外
次に,バックアップしたJP1/AJS3 - Managerの設定情報をリカバリーするときに必要な作業について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 物理ホスト環境および論理ホスト環境のリカバリー
JP1/AJS3 - Managerのセットアップ後に,物理ホスト環境および論理ホスト環境をリカバリーします。リカバリーする場合に必要な設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 3.1.2 JP1/AJS3 - Managerのセットアップ」(Windowsの場合)またはマニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 13.1.2 JP1/AJS3 - Managerのセットアップ」(UNIXの場合)を参照してください。
(2) 定義ファイルのリカバリー
バックアップしたファイルを,元の位置にリカバリーしてください。
なお,JP1/AJS2 - ManagerからJP1/AJS3 - Managerへの移行の際は,リカバリー後に「(9) 起動プロセス定義ファイルの変換」を実施してください。
- 注意事項
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リカバリーするには,次の条件を満たしていることを確認してください。
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JP1/Baseがインストールされ,物理ホスト環境がセットアップ済みであること
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JP1/AJS3がインストールされ,物理ホスト環境がセットアップ済みであること
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論理ホスト環境をリカバリーする場合は,論理ホスト環境のJP1がセットアップ済みであること
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JP1/BaseとJP1/AJS3が停止していること
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論理ホストの設定ファイルをリカバリーする場合は,共有ディスクがマウントされていること
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(3) 共有メモリーの情報のクリア(UNIXの場合だけ)
JP1/AJS3が動作したときに共有メモリーに記憶するスケジューラーサービスの情報を消去してください。共有メモリーに情報が残っていると,リカバリーで回復するスケジューラーサービスに影響を与えるおそれがあります。共有メモリーの情報を消去する手順を次に示します。
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次のコマンドを実行し,すべてのJP1/AJS3のサービスが停止していることを確認する。
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物理ホストを確認する場合
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status
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論理ホストを確認する場合
# /opt/jp1ajs2/bin/jajs_spmd_status -h 論理ホスト名
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JP1/AJS3のモニター機能を確認する場合
# ps -ef | grep ajsinetd
- 注意事項
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すべてのJP1/AJS3サービスを停止してください。
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次のコマンドを実行して,共有メモリーに記憶するスケジューラーサービスの情報を消去する。
# /opt/jp1ajs2/bin/ajsshmdel
(4) スケジューラーサービス用データベースの作成
スケジューラーサービスのデータベースが壊れている場合などは,データベースを再作成する必要があります。ここでは,データベースを再作成する手順について説明します。
なお,スケジューラーサービス用データベースの作成時には,すべてのJP1/AJS3サービスを停止してください。また,UNIXの場合は,「(3) 共有メモリーの情報のクリア(UNIXの場合だけ)」を行ってください。
スケジューラーサービス用データベースの作成手順を次に示します。
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ajsembdbunsetコマンドを使用して,組み込みDB環境を消去する。
ajsembdbunset -e -id 組み込みDBセットアップ識別子
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ajsembdbbuildコマンドで,組み込みDB環境を構築する。
ajsembdbbuildコマンドでの組み込みDB環境の構築については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 23.4.1(2) 組み込みDB環境の構築」を参照してください。
論理ホスト環境の実行系での組み込みDB環境の構築については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 23.5.1(2) 組み込みDB環境の構築」を,待機系での組み込みDB環境の構築については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 23.5.2(2) 組み込みDB環境の構築」を参照してください。
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ajsembdbsetupコマンドで,組み込みDB環境にJP1/AJS3の環境をセットアップする。
ajsembdbsetupコマンドでのJP1/AJS3の環境のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 23.4.1(4) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ」を参照してください。
論理ホスト環境の実行系でのJP1/AJS3環境のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 23.5.1(4) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ」を,待機系でのJP1/AJS3環境のセットアップについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 23.5.2(4) スケジューラーデータベースの組み込みDBへのセットアップ」を参照してください。
(5) QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境の作成
リカバリーしたQUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)を使って,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境を作成します。
なお,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境の作成時には,対象となる論理ホストのJP1/AJS3サービスを停止しておいてください。
リカバリーの手順を次に示します。
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次のコマンドを実行して,キュー情報データベース格納フォルダのファイルを削除する。
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Windowsの場合
del QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベース格納ディレクトリ\*※
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UNIXの場合
rm QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベース格納ディレクトリ/*※
- 注※
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「QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境データベース格納ディレクトリ」は,[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1NBQMANAGER\Database]の環境設定パラメーターDatabasePathに指定したフォルダです。環境設定パラメーターDatabasePathのデフォルト値などの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド 20.5.2(3) DatabasePath」を参照してください。
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次のコマンドを実行して,QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境を作成する。
jpqimport -dt isam -ci QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf) [-mh 論理ホスト名]
注意事項
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QUEUEジョブ,サブミットジョブの実行環境構成定義ファイル(jpqsetup.conf)には,リカバリーしたファイルを使用します。
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-ciオプションにファイル名(jpqsetup.conf)だけを指定した場合,コマンド実行時にファイル(jpqsetup.conf)がカレントディレクトリにあると仮定されます。そのため,カレントディレクトリにファイル(jpqsetup.conf)が存在しない場合は,コマンドがエラーになります。
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カレントディレクトリを意識せずにコマンドを実行する場合は,-ciオプションに指定するファイル名(jpqsetup.conf)をフルパスで指定してください。
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論理ホストの定義をリカバリーする場合は,-mhオプションで論理ホスト名を指定します。
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(6) JP1/AJS3の起動
コールドスタートでJP1/AJS3サービスを起動してください。
(7) 実行エージェント情報のリカバリー
実行エージェント情報のリカバリーに必要な作業について説明します。
次のコマンドを実行して,バックアップした実行エージェント定義ファイルから実行エージェント情報をリカバリーします。
ajsagtadd [-h 論理ホスト名] -f 実行エージェント定義ファイル [-i]
- 注意事項
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途中でエラーが発生した場合,エラーが発生した時点で追加処理を中断しますが,-iオプションを指定することによって処理を続行させることもできます。
(8) ユニット定義のリカバリー
ジョブネットやカレンダーの設定情報のリカバリーに必要な作業について説明します。スケジューラーサービス単位でリカバリーしてください。
- 注意事項
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このリカバリー手順だけ論理ホスト単位ではなく,スケジューラーサービス単位です。スケジューラーサービスごとにリカバリーしてください。
(a) ルートジョブグループ以外のユニットの定義情報をリカバリーする
次のコマンドを実行して,スケジューラーサービスにあるユニットの定義情報をリカバリーします。定義情報には,各ユニットの基準時刻やコメントなどすべての定義が含まれます。ルートジョブグループ(/)の基準時刻,基準日,月区分などは含まれません。これらの情報は次に示す「(b) ルートジョブグループの情報をリカバリーする」,「(c) ルートジョブグループのカレンダー情報をリカバリーする」の手順に従ってリカバリーしてください。
ajsdefine -F スケジューラーサービス名 unitbackup.txt
なお,ジョブグループやジョブネット単位に分割してバックアップした場合は,バックアップした単位に,次のコマンドを実行してリカバリーしてください。
ajsdefine -F スケジューラーサービス名 -d 定義先ユニット名 ユニット名_backup.txt
(b) ルートジョブグループの情報をリカバリーする
記録しておいたルートジョブグループの次の情報を設定してください。
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コメント
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所有者
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JP1資源グループ
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基準時刻
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基準日
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月区分
(c) ルートジョブグループのカレンダー情報をリカバリーする
次のコマンドを実行して,バックアップしたルートジョブグループのカレンダー情報(運用日・休業日)をリカバリーします。
ajscalendar -F スケジューラーサービス名 -df rootcal.txt /
- 注意事項
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このコマンドは,スケジューラーサービス自身のカレンダーをリカバリーします。
rootcal.txtにカレンダー情報が出力されていなければ,リカバリーは不要です。詳細については,バックアップの手順を参照してください。
(9) 起動プロセス定義ファイルの変換
jajs_convert_to_spmdコマンドを実行して,システム管理の起動プロセス定義ファイルを変換します。この手順は,JP1/AJS2 - ManagerからJP1/AJS3 - Managerに移行する場合だけ実施してください。
実行例を次に示します。
(a) Windowsの場合
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標準構成の物理ホストを変換する場合
cd c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools jajs_convert_to_spmd -c standard
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標準構成の論理ホストを変換する場合
cd c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c standard
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互換用ISAM構成の物理ホストを変換する場合
cd c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools jajs_convert_to_spmd -c ISAM
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互換用ISAM構成の論理ホストを変換する場合
cd c:\Program Files\HITACHI\JP1AJS2\tools jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c ISAM
jajs_convert_to_spmdコマンドは移行用のツールであり,JP1/AJS3 - Managerのインストール先フォルダ\toolsに格納されています。
(b) UNIX の場合
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標準構成の物理ホストを変換する場合
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -c standard
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標準構成の論理ホストを変換する場合
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c standard
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互換用ISAM構成の物理ホストを変換する場合
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -c ISAM
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互換用ISAM構成の論理ホストを変換する場合
/opt/jp1ajs2/tools/jajs_convert_to_spmd -h LHOST -c ISAM
(c) 注意事項
JP1/AJS2 - Managerの運用をサブミットジョブの登録や操作に限定する設定を行っていた場合は,jajs_convert_to_spmdコマンドの起動プロセス定義ファイルを変換したあとに,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 7.1.2 QUEUEジョブ,サブミットジョブを使用する場合の設定」を参照して,JP1/AJS3 - Managerの運用をサブミットジョブの登録や操作に限定する場合の設定を行ってください。