15.7.1 JP1/AJS3サービスの自動起動および自動終了の設定
システムの起動・終了時に,JP1/AJS3サービスも自動的に起動・終了できます。
- 〈この項の構成〉
(1) JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Manager)の自動起動および自動終了を設定する
ここでは,JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Manager)の自動起動および自動終了を設定する方法を説明します。
- 注意事項
-
AIXの場合は,次の手順を実施したあと,リリースノートに記載している自動起動・停止スクリプトの設定を実施する必要があります。
(a) JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Manager)の自動起動を設定する
システムの起動時に,JP1/AJS3サービスも自動的に起動させる手順を次に示します。
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次のファイルをviなどのエディターで開く。
/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start
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ファイル(自動起動用シェルスクリプト)に記述されている,次の網掛け部分を削除する。
削除する際は,次の注意事項を確認してください。
- 注意事項
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JP1/AJS2 - Managerからバージョンアップし,標準構成に移行した環境で自動起動を設定する場合,jajs_start.modelファイルをjajs_startファイルに上書きコピーしてから,JP1/AJS3サービスの自動起動を設定してください。jajs_startファイルをカスタマイズしている場合は,コピーする前にカスタマイズ状況を確認し,コピー後に再度カスタマイズしてください。
バージョンアップインストールを実施したあと,組み込みDBの管理機能を強化するための設定をしていない場合,標準構成では「: # WAIT_READY=YES」のコメントを削除すると,JP1/AJS3 - Managerの起動に失敗します。そのため,この場合は「: # WAIT_READY=YES」のコメントを削除しないでください。組み込みDBの管理機能を強化するための設定については,「13.5.1 組み込みDBの管理機能を強化するための設定」を参照してください。
OSがSolaris 11以外の場合は,これで操作は終了です。
OSがSolaris 11の場合は,以降で説明する手順に従って,環境変数JP1_HCCNETSOCKを設定する必要があります。Solaris 10の場合は,環境変数JP1_HCCNETSOCKを設定しないでください。
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自動起動用シェルスクリプトの中から,次の部分を検索する。
unset LC_MESSAGES
-
検索した行の前に,次の記述を追加する。
JP1_HCCNETSOCK=JP1_AJS export JP1_HCCNETSOCK
これでJP1/AJS3サービスの自動起動の設定は完了です。
(b) RDB接続待ち合わせ機能の設定を変更し,JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Manager)の自動起動を設定する
最大待ち合わせ時間を変更したい場合や,RDB接続待ち合わせ機能を無効にしたい場合には次の設定が必要です。
なお,JP1/AJS3を07-10以前のバージョンのJP1/AJS2からバージョンアップした場合,組み込みDBとともにRDB接続待ち合わせ機能はデフォルトで適用されます。
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次のコマンドを実行する。
jajs_config -k "[{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}\JP1AJSMANAGER\スケジューラーサービス名]" "RDBCONNECTWAITTIME"=RDBへの接続の最大待ち合わせ時間
{JP1_DEFAULT|論理ホスト名}の部分は,物理ホストの場合は「JP1_DEFAULT」を,論理ホストの場合は「論理ホスト名」を指定します。
(例)物理ホストのスケジューラーサービス「AJSROOT1」で変更する場合
jajs_config -k "[JP1_DEFAULT\JP1AJSMANAGER\AJSROOT1]" "RDBCONNECTWAITTIME"=dword:00000001
環境設定パラメーターRDBCONNECTWAITTIMEの詳細については,「20.4.2(53) RDBCONNECTWAITTIME」を参照してください。
- 重要
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クラスタ環境でRDB接続待ち合わせ機能を使用する場合は,実行系および待機系のそれぞれで上記の設定を行います。そのとき,指定する値は実行系,待機系で同じ値を指定してください。
RDB接続待ち合わせ機能を使用する場合は,システムの起動時のJP1/AJS3の自動起動を有効にする必要があります。有効にするには,/etc/opt/jp1ajs2/jajs_startファイルで,以下の行の網掛け部分を削除する必要があります。
さらに,次の設定も確認が必要です。
-
物理ホストの場合
- バージョンアップインストールを実施後に,組み込みDBの管理機能を強化するための設定をしていないとき
-
標準構成では,システムの再起動時,「WAIT_READY=YES」(jajs_spmdの起動完了を待つ)が有効のまま,RDB接続待ち合わせ機能を使用すると,スケジューラーサービスの起動に失敗します。RDB接続待ち合わせ機能を使用したいときは,「: # WAIT_READY=YES」と指定し,行を無効にしてください。
- JP1/AJS3 - Managerを新規にインストールしたとき,またはバージョンアップインストールを実施後に組み込みDBの管理機能を強化するための設定をしているとき
-
「WAIT_READY=YES」が有効でも問題ありません。
組み込みDBの管理機能を強化するための設定については,「13.5.1 組み込みDBの管理機能を強化するための設定」を参照してください。
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論理ホストの場合
「WAIT_READY=YES」が有効でも問題ありません。
これで設定は完了です。次回JP1/AJS3起動時から設定が有効になります。
- 注意事項
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システムの起動時に,スケジューラーサービスの起動に失敗し,KAVS0999-W(待ち合わせ開始メッセージ),KAVS0998-E(待ち合わせ失敗メッセージ)が出力されている場合,次に示すことを確認してください。
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組み込みDBはセットアップされているか。
スケジューラーサービスに指定した組み込みDBが起動していない場合,接続を待ち合わせてもデータベースに接続できません。
セットアップ時に,問題なくスケジューラーサービスが起動できていることを確認してください。
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組み込みDBの定義を変更していないか。
組み込みDBをセットアップ後に起動方法を変更すると,システムの起動時に組み込みDBが起動しなくなることがあります。その場合は,セットアップ時の値に戻してください。
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前回の終了時に,組み込みDBが異常終了していないか。
ジョブ実行中などに組み込みDBが異常終了した場合,次回の起動に時間が掛かることがあります。その場合,デフォルトの最大待ち合わせ時間内に組み込みDBが起動しないことがあるため,ジョブ実行中に組み込みDBを強制停止しないでください。
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jajs_startファイルの「: # WAIT_READY=YES」行の「: #」が削除されていないか。
「: #」が削除されている場合は,「: #」を追加して行を無効にしてください。
組み込みDBの起動に時間が掛かる場合,事前にどの程度掛かるかがわかっているときは,起動時間に応じて最大接続待ち合わせ時間を変更してください。
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(c) JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Manager)の自動終了を設定する
システムの終了時に,JP1/AJS3サービスも自動的に終了させる手順を次に示します。
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次のファイルをviなどのエディターで開く。
/etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
-
ファイル(自動停止用シェルスクリプト)に記述されている,次の網掛け部分を削除する。
削除する際は,次の注意事項を確認してください。
- 注意事項
-
「:# WAIT_READY=YES」のコメントを削除した場合(「WAIT_READY=YES」は有効),システムはJP1/AJS3サービスの終了を待ってから停止します。「:# WAIT_READY=YES」のコメントを削除しない場合(「WAIT_READY=YES」は無効)は,JP1/AJS3サービスの終了を待たないでシステムが停止するため,組み込みDBのプロセスやJP1/Baseサービスが,JP1/AJS3サービスが終了するよりも先に終了することがあります。
運用に応じて「WAIT_READY=YES」の有効/無効を設定してください。それぞれのJP1/AJS3の動作と影響については,次に示す表を参照してください。
表15‒66 JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Manager)の自動終了の設定における「WAIT_READY=YES」の有効/無効時の動作と影響 「WAIT_READY=YES」の有効/無効
停止時の動作
設定時の影響
影響が発生した場合の対処
無効(「:# WAIT_READY=YES」のコメントを削除しない)
JP1/AJS3サービスの終了を待たないでシステムが停止する。
組み込みDBのプロセスやJP1/BaseサービスがJP1/AJS3サービスよりも先に停止することがあり,syslogや統合トレースログにKAVS0932-EやKAVS0863-Eなどのエラーメッセージを出力する。
JP1/AJS3サービスの再起動には影響がないため,対処は不要。
QUEUEジョブ,サブミットジョブ実行環境としてISAMファイルを使用している場合,システムが先に停止することによってISAMファイルが不正になることがある。次回サービス起動時にメッセージKAVU5501-Eが出力され,QUEUEジョブ,サブミットジョブの起動に失敗する。
マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング 2.11 ISAMファイルが不正になった場合の対処」を参照して,ISAMファイルの状態を確認し,不正な状態になっている場合はISAMファイルを再作成する。
有効(「:# WAIT_READY=YES」のコメントを削除する)
JP1/AJS3サービスが終了するのを待ってからシステムが停止する。
JP1/AJS3サービスが終了するまでシステムの停止を待たされる。
対処は不要。
これでJP1/AJS3サービスの自動終了の設定は完了です。
(2) JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Agent)の自動起動および自動終了を設定する
ここでは,JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Agent)の自動起動および自動終了を設定する方法を説明します。
- 注意事項
-
AIXの場合は,次の手順を実施したあと,リリースノートに記載している自動起動・停止スクリプトを設定する必要があります。
(a) JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Agent)の自動起動を設定する
システムの起動時に,JP1/AJS3サービスも自動的に起動させる手順を次に示します。
-
次のファイルをviなどのエディターで開く。
/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start
-
ファイル(自動起動用シェルスクリプト)に記述されている,次の網掛け部分を削除する。
削除する際は,次の注意事項を確認してください。
- 注意事項
-
「: # WAIT_READY=YES」のコメントを削除すると,JP1/AJS3サービスの起動を待てるようになります。ただし,この設定をするとシステムの起動時間が遅くなります。システムの起動を優先させたい場合は,このコメントを削除しないでください。
これでJP1/AJS3サービスの自動起動の設定は完了です。
(b) JP1/AJS3サービス(JP1/AJS3 - Agent)の自動終了を設定する
システムの終了時に,JP1/AJS3サービスも自動的に終了させる手順を次に示します。
-
次のファイルをviなどのエディターで開く。
/etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
-
ファイルに記述されている,次の網掛け部分を削除する。
削除する際は,次の注意事項を確認してください。
- 注意事項
-
「:# WAIT_READY=YES」のコメントを削除した場合(「WAIT_READY=YES」は有効),システムはJP1/AJS3サービスの終了を待ってから停止します。「:# WAIT_READY=YES」のコメントを削除しない場合(「WAIT_READY=YES」は無効)は,JP1/AJS3サービスの終了を待たないでシステムが停止します。
運用に応じて「WAIT_READY=YES」の有効/無効を設定してください。
これでJP1/AJS3サービスの自動終了の設定は完了です。
(3) キューレスエージェントサービス,キューレスファイル転送サービスの自動起動および自動終了を設定する
キューレスエージェントサービス,キューレスファイル転送サービスをシステムの起動時に開始させたり,自動終了させたりするためには,自動起動用スクリプトおよび自動終了用スクリプトの設定が必要です。
キューレスファイル転送サービスは,JP1/AJS3 - Managerだけにあるため,JP1/AJS3 - Agentでの設定は不要です。
(a) キューレスエージェントサービスの自動起動および自動終了を設定する
キューレスエージェントサービスの自動起動および自動終了の設定方法について説明します。
(4) JP1/AJS3 Check Managerサービス,JP1/AJS3 Check Agentサービスの自動起動および自動終了を設定する
JP1/AJS3 Check Managerサービス,JP1/AJS3 Check Agentサービスの自動起動および自動終了の設定方法について説明します。
(5) JP1/AJS3 Autonomous Agentサービス,JP1/AJS3 Autonomous Agent Messengerサービスの自動起動および自動終了を設定する
JP1/AJS3 Autonomous Agentサービス,JP1/AJS3 Autonomous Agent Messengerサービスの自動起動および自動終了の設定方法について説明します。
(6) JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)の自動起動および自動終了を設定する
JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)の自動起動および自動終了の設定方法について説明します。
(a) JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)の自動起動を設定する
JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)をシステムの起動時に開始するために,自動起動スクリプトを設定します。設定手順を次に示します。
-
viなどのエディターで次のファイルを開く。
/etc/rc.d/init.d/jp1ajs3web
-
ファイルに記述されている,次の網掛け部分を削除する。
-
ファイルを閉じる。
(b) JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)の自動終了を設定する
JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)の自動終了スクリプトの設定手順を次に示します。
-
viなどのエディターで次のファイルを開く。
/etc/rc.d/init.d/jp1ajs3web
-
ファイルに記述されている,次の網掛け部分を削除する。
-
ファイルを閉じる。
(c) JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)起動時の言語種別を設定する
JP1/AJS3 HTTP Serverサービス,JP1/AJS3 Web Application Serverサービス(JP1/AJS3 - Web Console)起動時の言語種別の設定手順を次に示します。
-
viなどのエディターで次のファイルを開く。
/etc/rc.d/init.d/jp1ajs3web
-
ファイルに記述されている次の網掛け部分を,表のどれかの値に変更する。
表15‒67 LANGに設定できる値 言語種別
LANGに設定できる値
日本語
-
ja_JP.UTF-8
-
ja_JP.utf8
-
ja_JP.SJIS※
-
ja_JP.sjis※
英語
C
- 注※
-
SUSE Linuxでだけ設定してください。
-
-
ファイルを閉じる。
(7) JP1/AJS3の自動起動時にJP1/AJS3のプロセスの状態を出力する
JP1/AJS3サービスの自動起動時に,JP1/AJS3のプロセスの状態を出力できます。プロセスの状態を出力させるためには,自動起動スクリプトを設定します。
- 注意事項
-
JP1/AJS3 - Managerのバージョンアップインストールを実施後に組み込みDBの管理機能を強化するための設定をしていない場合,次に説明する設定の手順3で「: # WAIT_READY=YES」のコメントを削除すると,JP1/AJS3 - Managerの起動に失敗します。そのため,プロセスの状態を出力させるための自動起動スクリプトの設定はできません。
組み込みDBの管理機能を強化するための設定については,「13.5.1 組み込みDBの管理機能を強化するための設定」を参照してください。
設定手順を次に示します。
-
viなどのエディターで次のファイルを開く。
/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start
-
ファイルに記述されている,次の網掛け部分を削除する。
-
ファイルに記述されている,「: # WAIT_READY=YES」のコメントを削除する。
-
ファイルを閉じる。
(8) メモリー不足時のプロセス動作設定(AIX限定)
AIXでは,メモリー不足が発生するとシステムがSIGKILLを発行し,JP1/AJS3のプロセスが終了することがあります。この現象を回避するには,環境変数にPSALLOC=earlyを設定し,JP1/AJS3を起動してください。
なお,環境変数PSALLOCにearlyを設定する場合には,同時に環境変数NODISCLAIM=trueを設定する必要があります。
自動起動スクリプト中に設定する例を次に示します。
-
自動スクリプト中の次の部分を検索する。
unset LC_MESSAGES
-
手順1で検索した行の前に,次の部分を追加する。
------------------------- ここから PSALLOC=early NODISCLAIM=true export PSALLOC NODISCLAIM ------------------------- ここまでを追加 unset LC_MESSAGES cd /opt/jp1ajs2/bin
- 注意事項
-
自動起動スクリプトでキューレスエージェントサービスを自動起動するように設定している場合,キューレスジョブ実行時の環境変数PSALLOCにearlyを設定された状態で実行されます。
キューレスジョブ実行時に環境変数PSALLOCにearlyを設定しないようにするには,次の例のようにログインスクリプトを設定してください。
if [ "$JP1JobID" != "" ] ; then
unset PSALLOC >/dev/null 2>/dev/null
unset NODISCLAIM >/dev/null 2>/dev/null
fi
なお,ログインスクリプトの変更方法については,「13.4.2 ログインスクリプトの変更」を参照してください。
(9) 環境変数JP1_HOSTNAMEに依存しないJP1/AJS3サービスの自動起動および自動終了を設定する
環境変数JP1_HOSTNAMEが設定されている環境で,環境変数JP1_HOSTNAMEに依存しないでJP1/AJS3サービスを自動起動および自動終了させる方法を次に示します。
-
viなどのエディターで次のファイルを開く。
- (a) JP1/AJS3サービスの自動起動を設定する場合
-
/etc/opt/jp1ajs2/jajs_start
- (b) JP1/AJS3サービスの自動終了を設定する場合
-
/etc/opt/jp1ajs2/jajs_stop
-
ファイルに記述されている,次の網掛けの部分を削除する。
-
ファイルを閉じる。