4.4.2 シミュレーション
JP1/AJS3のスケジュールのシミュレーションには,次の二つがあります。
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スケジュールシミュレーション
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実行シミュレーション
JP1/AJS3 - Viewの[デイリースケジュール]ウィンドウや[マンスリースケジュール]ウィンドウの実行結果リスト,およびWeb GUIの[マンスリースケジュール]画面に表示される予実績情報は,スケジュールシミュレーションと実行シミュレーションによって算出されたスケジュールを表示しています。また,ajsshowコマンドの-b,-e,-v,または-wオプションで出力される予実績情報も,スケジュールシミュレーションと実行シミュレーションによって算出されたスケジュールを出力します。ajsshowコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス 3. 通常の運用で使用するコマンド ajsshow」を参照してください。
それぞれのシミュレーションについて説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) スケジュールシミュレーション
ジョブネットの実行登録によってスケジュール確定した実行予定は,JP1/AJS3のデータベースに格納されます。
- 計画実行登録の場合
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実行登録後の,初回の実行予定だけデータベースに格納されます。以降はジョブネットの実行開始時に次の実行予定世代が生成され,データベースに格納されます。
- 期間指定による確定実行登録の場合
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指定した期間内にある世代分だけ,データベースに格納されます。
- 未来世代数指定による確定実行登録の場合
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指定した世代分の実行予定が,データベースに格納されます。以降はジョブネットの世代が実行されるたびに指定した世代数分の実行予定を保持するように次の実行予定世代が生成され,データベースに格納されます。
このとき,計画実行登録の場合と,未来世代数指定による確定実行登録の場合には,スケジュール確定していない実行予定があります。これは,ジョブネットのスケジュール定義に基づいたシミュレーションによって算出された仮のスケジュールです。これを擬似予定といいます。ジョブネットのスケジュール定義に基づいて実行予定をシミュレートすることを,スケジュールシミュレーションといいます。
計画実行登録されたジョブネットのスケジュールシミュレーションの例を,次の図に示します。
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この例では,8/9の次回実行予定がスケジュール確定されてデータベースに格納されたスケジュールで,8/10以降の実行予定がスケジュールシミュレーションによって生成された擬似予定となります。
ajsshowコマンドで実行する場合の例を次に示します。なお,コマンドを実行する時刻を,2009/08/09 08:00とします。/Netの開始予定時刻は12:00とし,計画実行登録されているものとします。
(例)
ajsshow -i "start=%BB type=%ii %JJ" -b 2009/8/9 -e 2009/8/11 /Net start=2009/08/09 12:00 type=計画登録 /Net start=2009/08/10 12:00 type=擬似予定 /Net start=2009/08/11 12:00 type=擬似予定 /Net
- 擬似予定がスケジュールされない場合
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擬似予定とは,スケジュールとして確定していない実行予定のことです。
計画実行登録では,ジョブネットの実行開始時に次回の実行予定が確定します。そのため,次のような場合にジョブネットの次回実行予定が「開始時刻待ち」状態や「保留中」状態のまま実行されないで,擬似予定として算出されていた時刻を過ぎると,擬似予定はスケジュールされません。
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JP1/AJS3のサービス停止
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ジョブ,ジョブネットの保留
擬似予定がスケジュールされない例を,次の図に示します。
図4‒25 擬似予定がスケジュールされない例 この例の場合,8:00に実行予定のジョブネットは,8:00の段階でJP1/AJS3サービスが停止中のため,JP1/AJS3サービスが起動されるのを待ってから実行開始されます。
なお,次の方法でJP1/AJS3サービスを起動した場合にだけ,JP1/AJS3サービス起動後のジョブが「実行中」状態になります。
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ホットスタートした場合
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スケジューラーサービスの起動より前に実行を予定していたジョブネットがスケジューラーサービスの起動と同時に開始されるように設定し,ウォームスタートした場合
スケジューラーサービスの起動より前に実行を予定していたジョブネットがスケジューラーサービスの起動と同時に開始されるように設定するには,環境設定パラメーターOVERSCHEDULEに「exec」(デフォルト値)を指定します。「exec」以外を指定した場合は,「繰り越し未実行」状態になります。
9:00の実行開始予定(擬似予定)は,8:00にジョブネットが実行開始されればスケジュールが確定しますが,9:00を過ぎても実行されなければ,スケジュールされません。
擬似予定については,「3.3.3(2) スケジューリング方式」および「4.5.3(4) 擬似予定よりあとの日時に変更する場合」もあわせて参照してください。
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(2) 実行シミュレーション
スケジュールシミュレーションとは別に,ジョブネットの開始予定時刻やジョブネットに定義されたジョブ同士の順序性などから,ジョブネットの開始時刻,終了時刻を算出するシミュレーションがあります。これを実行シミュレーションといいます。
実行シミュレーションは,現在時刻,ジョブネットの開始予定時刻,実行状態,過去の実行時間,ユニットの順序性やユニットの種別など,さまざまな情報を基に,より実運用に近い形でジョブネットやジョブの開始予定時刻,終了予定時刻をシミュレートします。まだ一度も実行されていないジョブネットの場合,JP1/AJS3 - Viewでは[環境設定]ダイアログボックスの[初回実行時間]に設定されている時間(単位:秒)をジョブネットの最初に定義されているジョブの実行所要時間として計算し,ジョブネットおよびその下位のユニットの開始予定時刻や終了予定時刻をシミュレートします。Web GUIの場合は1,200(単位:秒),ajsshowコマンドの場合は60(単位:秒)をジョブの実行所要時間として計算します。
なお,実行シミュレーションは,シミュレーションするかしないかを,JP1/AJS3 - Viewの場合は[環境設定]ダイアログボックス,P1/AJS3 - Web Consoleの場合は[設定]ダイアログボックスで設定します。[環境設定]ダイアログボックスでの設定については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 12.3.42 [環境設定]ダイアログボックス」を参照してください。[設定]ダイアログボックスについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 付録A.27 [設定]ダイアログボックス」を参照してください。ajsshowコマンドの場合は,[環境設定]ダイアログボックスおよび[設定]ダイアログボックスの設定は関係しません。
シミュレーションしない場合は,ジョブネットのスケジュールルールに基づいて開始予定時刻が表示され,ジョブネットの終了予定時刻については[初回実行時間]を実行所要時間として算出します。ただし,その下位の個々のユニットはシミュレーションされないで,ジョブネットと同じ時刻が表示されます。シミュレーションする場合としない場合の,開始予定時刻と終了予定時刻の違いを次の図に示します。
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この例では,JP1/AJS3 - Viewの[環境設定]ダイアログボックスの[初回実行時間]に「1,200秒(デフォルト)」が設定されているものとします。また,実行登録後にまだ一度もジョブネットが実行されていないものとします。
実行シミュレーションする場合は,Job1,Job2の順にジョブが実行されるように定義されているため,Job1の終了時刻がJob2の開始時刻になります。個々のユニットは[初回実行時間]で所要時間(1,200秒=20分)がシミュレートされるため,Job1は12:00〜12:20,Job2は12:20〜12:40となります。したがって,Job1,Job2が定義されているジョブネットNetの実行時間は12:00〜12:40になります。
シミュレーションしない場合は,ジョブネットNetは[初回実行時間]に設定されている値で終了時刻が算出されますが,その下位に定義されている個々のユニットはシミュレーションされないため,ジョブネットNet,Job1,Job2はすべて12:00〜12:20と表示されます。
ajsshowコマンドに-bおよび-eオプション,または-vおよび-wオプションを指定した場合,常に実行シミュレーションします。-Bオプションまたは実行IDを指定した場合,実行シミュレーションしません。指定するオプションによる出力の違いを,次の図に示します。
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この例では,実行登録後にまだ一度もジョブネットが実行されていないものとします。ajsshowコマンドに-bおよび-eオプション,または-vおよび-wオプションを指定した場合,Job1,Job2の順にジョブが実行されるように定義されているため,Job1の終了時刻がJob2の開始時刻になります。個々のユニットの初回実行時間は所要時間(60秒=1分)でシミュレートされるため,Job1は12:00〜12:01,Job2は12:01〜12:02となります。したがって,Job1,Job2が定義されているジョブネットNetの実行時間は12:00〜12:02になります。
ajsshowコマンドの使用例を次に示します。コマンドを実行する時刻を2009/08/09 08:00とします。
(例1)
ajsshow -i "start=%BB end=%OO %JJ" -b 2009/8/9 -e 2009/8/9 -R /Net start=2009/08/09 12:00 end=2009/08/09 12:02 /Net start=2009/08/09 12:00 end=2009/08/09 12:01 /Net/Job1 start=2009/08/09 12:01 end=2009/08/09 12:02 /Net/Job2
ajsshowコマンドに-Bオプションまたは実行IDを指定した場合は,ジョブネットNetの初回実行時間は所要時間(60秒=1分)で終了時刻が算出されますが,その下位に定義されている個々のユニットはシミュレーションされないため,ジョブネットNet,Job1,Job2はすべて12:00〜12:01と表示されます。
(例2)
ajsshow -i "start=%BB end=%OO %JJ" -B 20090809001 -R /Net start=2009/08/09 12:00 end=2009/08/09 12:01 /Net start=2009/08/09 12:00 end=2009/08/09 12:01 /Net/Job1 start=2009/08/09 12:00 end=2009/08/09 12:01 /Net/Job2
- 補足事項
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実行シミュレーションしている場合は,ジョブネットが「異常終了」または「異常検出実行中」状態の場合,その後続ユニットは実行されないものとしてスケジュール表示されます。実行シミュレーションしていない場合は,後続ユニットも実行されるものとしてスケジュール表示されます。
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スケジューリング方式(スケジュールスキップ,多重スケジュール)についての実行シミュレーションはされません。
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起動条件が設定されているジョブネットで,まだ生成されていない「起動条件待ち」世代についての実行シミュレーションはされません。
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未登録ユニットについての実行シミュレーションはされません。詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 操作ガイド 6.4 定義したスケジュールの確認」を参照してください。
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ジョブネットコネクタを使用したジョブネットの場合,ジョブネットコネクタの実行シミュレーションはそれ自身の統計情報を基にシミュレーションされます。統計情報は登録解除すると削除されるため,ジョブネットコネクタ側のルートジョブネットまたは接続先のジョブネットのどちらか一方だけを登録解除した場合,そのあとの実行シミュレーションにずれが生じることがあります。
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