2.2.2 リソースの収集
設定した条件に従って,ネットワーク上の監視サーバのリソースを定期的に収集できます。収集したデータは,データベースに保存され,表形式やグラフ形式で参照できます。また,設定した値を超えた場合にイベントを発行したり,コマンドを自動的に実行したりすることもできます。リソース収集の概要を,次の図に示します。
SSOは,監視サーバから収集したデータをデータベースに保存します。収集データは,監視マネージャで参照や削除などの操作ができます。また,しきい値監視を設定している場合は,しきい値を超えると,監視マネージャにイベントを発行することもできます。
リソースの収集はSNMPによって監視サーバ上のSNMPエージェントのMIBオブジェクトからリソースを収集しているため,SSOとSNMPエージェントのGetコミュニティ名を一致させる必要があります。
リソース収集機能で対象とするSNMPエージェントのプロトコルバージョンはSNMP Version1(SNMPv1),SNMP Version2(SNMPv2c),およびSNMP Version3(SNMPv3)です。
収集できるデータは,SNMPエージェントが取得できるMIBオブジェクトによって異なります。詳細は,「付録H.2 エージェント種別ごとのリソースの取得対象」を参照してください。次に,リソース収集機能の詳細を説明します。
(1) 収集条件の設定
リソースの収集条件として,次の項目を設定します。
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収集対象サーバ
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収集対象リソース
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インスタンス
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収集モード(データ保存,しきい値)
しきい値などの収集モードは,サブリソースごとに設定できます。インスタンスを登録すると,インスタンスごとに収集モードを設定できます。また,リソースを収集する間隔や時間帯も設定できます。
収集条件は,リソース収集条件設定ウィンドウ,または収集条件設定コマンド(ssocolset)で設定します。収集条件を設定する仕組みを,次の図に示します。
(2) リソースの収集
収集条件設定ファイルの収集条件に従って,リソースを収集します。収集対象サーバ上で動作するSNMPエージェントから,収集対象リソースのMIBオブジェクトを取得し,データベースに保存します。リソースの収集では,次のことができます。
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収集状態の管理
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しきい値による監視
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自動アクション
リソース収集の値が定まるタイミングはリソースによって異なります。これはMIBオブジェクトの収集間隔当たりの増分によって算出するリソースとMIBオブジェクトの現在値によって算出するリソースがあるためです。詳細は,「付録H.3 リソースと収集するMIBオブジェクト」を参照してください。
ここでは,収集状態の管理について説明します。しきい値による監視,および自動アクションについては,「2.2.3 しきい値による監視」を参照してください。
(a) 収集状態の管理
リソースの収集を開始してから,終了するまでの状態を管理します。収集状態は,リソース収集条件設定ウィンドウで参照できます。図2-9では収集状態「収集不可」を抑止した場合(新規インストール時は「収集不可」を抑止します)のSSOで管理する収集状態と収集状態の変化の契機を,図2-10では収集状態「収集不可」を抑止しない場合のSSOで管理する収集状態と収集状態の変化の契機を示します。収集状態「収集不可」の抑止方法については「6. コマンド ssocollectd」および「6. コマンド ssocolmng」を参照してください。
収集状態が変化した場合は,収集状態変更イベントを発行できます。収集状態変更イベントについては,「付録J イベント」を参照してください。
(3) 収集データの保存
収集したデータは,収集リソースごとにデータベースに保存されます。このデータベースを,収集データベースといいます。収集データベースには,収集したデータを保存するマスターデータベースと,自ホストまたは他ホストのマスターデータベースをコピーして作成したコピーデータベースがあります。次に,収集データベースについて説明します。
(a) リソースディレクトリ
収集データベースは,収集したリソースのリソースディレクトリの下に,サーバ単位で作成されます。リソースディレクトリとは,SSOがリソースごとに作成するディレクトリです。リソースディレクトリの名称については,「付録G リソース一覧」を参照してください。
(b) 収集データベースの名称
収集データベースは,収集データを格納するデータファイル(*.log),データベース情報を格納する情報ファイル(*.inf),インスタンス情報を格納するインスタンスファイル(*.ins)から構成されています。収集データベースの名称は,名称規則に従って自動的に付けられます。収集データベースの名称規則を次に示します。
- データベース種別
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収集データベースの種類を示します。
0:マスターデータベース(監視サーバのIPアドレスがIPv4の場合)
1:コピーデータベース(監視サーバのIPアドレスがIPv4の場合)
2:マスターデータベース(監視サーバのIPアドレスがIPv6の場合)
3:コピーデータベース(監視サーバのIPアドレスがIPv6の場合)
- 監視マネージャ名
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リソースを収集し,マスターデータベースを作成した監視マネージャのIPアドレスを示します。
- 監視サーバ名
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監視サーバのIPアドレスを示します。
- 通番
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コピーデータベースで,監視マネージャ名および監視サーバ名が重複する場合に,自動的に5けたの通号(00001から99998までを順次)を付加します。マスターデータベースが上限サイズに達した場合に作成するコピーデータベースは通番99999(固定)を付加します。マスターデータベースの上限サイズについては,「7.3.8 ssocolmng動作定義ファイル(ssocolmng.def)」を参照してください。
例えば,監視マネージャのIPアドレスが123.45.67.10,監視サーバのIPアドレスが123.45.67.20の場合,マスターデータベースは次のファイル名で作成されます。
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データファイル:sso_0123045067010123045067020.log
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情報ファイル:sso_0123045067010123045067020.inf
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インスタンスファイル:sso_0123045067010123045067020.ins
さらに,上記のマスターデータベースをコピーすると,コピーデータベースは次のファイル名で作成されます。
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データファイル:sso_112304506701012304506702000001.log
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情報ファイル:sso_112304506701012304506702000001.inf
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インスタンスファイル:sso_112304506701012304506702000001.ins
また,監視マネージャのIPアドレスが123.45.67.10,監視サーバのIPアドレスが1234:567:89:a::20の場合,マスターデータベースは次のファイル名で作成されます。
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データファイル:sso_2123045067010123405670089000a0000000000000020.log
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情報ファイル:sso_2123045067010123405670089000a0000000000000020.inf
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インスタンスファイル:sso_2123045067010123405670089000a0000000000000020.ins
上記のマスターデータベースをコピーすると,コピーデータベースは次のファイル名で作成されます。
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データファイル:sso_3123045067010123405670089000a000000000000002000001.log
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情報ファイル:sso_3123045067010123405670089000a000000000000002000001.inf
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インスタンスファイル:sso_3123045067010123405670089000a000000000000002000001.ins
ただし,すでに通番00001のコピーデータベースが存在する場合は,通番00002のファイル名称で作成されます。
データベースをコピーする方法については,「4.5.4 収集データのコピー」,および「6. コマンド ssoextractlog」を参照してください。
(c) 収集データベースのサイズ
収集データベースの1エントリーのサイズは,次の計算式で求めることができます。
(サブリソース個数×31+3)×インスタンス個数+全インスタンス名文字列の合計長+12(バイト)
また,収集データベースのデータファイルのサイズは,次の計算式で求めることができます。
1エントリーのサイズ×収集回数
なお,SSOが扱うことのできる収集データベースの上限サイズは以下のとおりです。
単位 |
上限サイズ |
---|---|
1データファイル当たり |
2ギガバイト未満 |
1リソースディレクトリ当たり |
4テラバイト未満 |
データベース総容量 |
4テラバイト未満 |
収集データベースのデータファイルは上記計算式のサイズで上限サイズに達するまで増加します。増加に関連する事項については「(e) 収集データベースのメンテナンス」を,上限サイズについては「7.3.8 ssocolmng動作定義ファイル(ssocolmng.def)」を参照してください。
(d) 収集データベースの監視
収集データベース容量監視コマンド(ssodbcheck)を使用すると,収集データベースの容量を監視できます。容量をテキストファイルに出力したり,設定したしきい値を超えた場合にデータベースしきい値超過イベントを発行したりできます。イベントについては,「付録J イベント」を参照してください。
(e) 収集データベースのメンテナンス
リソース収集データベースは上限サイズに達するまで増加します(収集データベースのファイルサイズの見積もり式については「(c) 収集データベースのサイズ」を,上限サイズについては「7.3.8 ssocolmng動作定義ファイル(ssocolmng.def)」を参照してください)。また,ssoextractlog,ssodbdelコマンドの部分削除およびGUIによるデータの部分削除は収集データベースのサイズに比例して実行に時間が掛かるようになります。したがって,リソースの定期収集によって収集データを保存している場合は,ディスクの空き容量を確保するために,必ず定期的な収集データの削除(全削除または期間指定による一部削除)を実施してください。
収集データの削除方法については「5.5 リソース収集データ参照ウィンドウ」および「6. コマンド ssodbdel」を参照してください。
定期的な収集データ削除の例を次に示します。
- 例
-
毎週末に次のコマンドを実行することによって,先週末までの収集データを削除します。
ssodbdel -all -stop BDATE 7
ただし,すでに収集データベースのファイルシステムの空き容量が不足している(空き容量が収集データベースのデータファイル中の最大サイズを下回っている)場合は,収集データベースの全削除を実行してください。期間指定による一部削除はできません。収集データベースのデータファイルサイズについては,ssoextractlog -listコマンドで標準出力される「サイズ」またはリソース収集データ参照ウィンドウの収集データ一覧中の「サイズ(KBytes)」表示内容を確認してください。
ssoextractlogコマンドについては「6. コマンド ssoextractlog」,リソース収集データ参照ウィンドウについては「5.5 リソース収集データ参照ウィンドウ」を参照してください。