6.3.2 クラスタシステムでのインストールの前に確認すること
インストールおよびセットアップを開始する前に,前提条件,必要な情報,および注意事項について説明します。
- 〈この項の構成〉
(1) 前提条件
PFM - Agent for Platformをクラスタシステムで使用する場合,次に示す前提条件があります。
(a) Performance Managementのバージョン
クラスタシステムで運用するためには,PFM - Agent for Platformと同一装置内に,JP1/Performance Management - Base 11-01以降,またはJP1/Performance Management - Manager 11-01以降が必要です。
(b) クラスタシステム
次の条件が整っていることを確認してください。
-
クラスタシステムがクラスタソフトによって制御されていること。
-
論理ホストで運用するPFM - Agent for Platformの起動や停止などをクラスタソフトで制御するように設定されていること。
(c) 共有ディスク
次の条件が整っていることを確認してください。
-
論理ホストごとに共有ディスクがあり,実行系ノードから待機系ノードへ引き継げる
-
共有ディスクが各ノードに物理的にFibre ChannelやSCSIなどで接続されている
Performance Managementでは,ネットワークドライブや,ネットワーク経由でレプリケーションしたディスクを共有ディスクとして使う構成はサポートされていません。
-
何らかの問題によって共有ディスクを使用しているプロセスが残っていても,クラスタソフトなどの制御によって強制的に共有ディスクをアンマウントして,フェールオーバーできる
-
1つの論理ホストで複数のPFM製品を運用する場合,共有ディスクのディレクトリ名が同じである
なお,Storeデータベースについては格納先を変更して共有ディスク上のほかのディレクトリに格納できます。
(d) 論理ホスト名,論理IPアドレス
次の条件が整っていることを確認してください。
-
論理ホストごとに論理ホスト名と論理ホスト名に対応する論理IPアドレスがあり,実行系ノードから待機系ノードに引き継げる
-
論理ホスト名と論理IPアドレスが,hostsファイルやネームサーバに設定されている
-
DNS運用している場合は,FQDN名ではなく,ドメイン名を除いたホスト名を論理ホスト名として使用している
-
物理ホスト名と論理ホスト名が,システム内でユニークである
- 重要
-
-
論理ホスト名に,物理ホスト名(uname -nコマンドで表示されるホスト名)を指定しないでください。正常に通信処理がされなくなるおそれがあります。
-
論理ホスト名の長さは1〜32文字です。
-
論理ホスト名に使用できる文字は,半角英数字,ハイフン(-),アンダーバー(_)だけです。
-
論理ホスト名には,"localhost",IPアドレス,ハイフン(-)から始まるホスト名を指定できません。
-
(e) IPv6を使用する場合の設定
Performance Managementでは,ネットワーク構成がIPv4環境だけでなくIPv6環境にも対応しています。そのため,IPv4環境とIPv6環境が混在するネットワーク構成でもPerformance Managementを運用できます。PFM - Agent for Platformでは,PFM - ManagerとIPv6で通信できます。
ただし,PFM - Managerが導入されているホストのOSがWindowsまたはLinuxの場合に限ります。
IPv4環境とIPv6環境での通信の適用範囲については,「付録L IPv4環境とIPv6環境での通信について」を参照してください。
IPv6で通信する場合,PFM - Agent for Platformをインストールする前に,PFM - AgentホストでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。利用設定を確認する場合は,jpcconf ipv6 displayコマンドを実行してください。また,PFM - AgentホストでIPv6の利用設定が有効であることを確認したあとに,PFM - ManagerホストとPFM - AgentホストのそれぞれでIPv6の利用設定を有効にする必要があります。この設定はjpcconf ipv6 enableコマンドで実行しますが,コマンドの実行要否は次のとおりです。
- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が必要なケース
-
-
それぞれのホストで,IPv4環境からIPv6環境に変更する場合
-
IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerをIPv4環境からIPv6環境に変更する場合
-
- jpcconf ipv6 enableコマンドの実行が不要なケース
-
-
それぞれのホストが,すでにIPv6環境である場合
-
IPv4環境とIPv6環境が共存していて,PFM - ManagerがIPv6環境である場合
-
jpcconf ipv6 enableコマンドの実行例を次に示します。
jpcconf ipv6 enable
jpcconf ipv6 enableコマンドは,実行系ノードおよび待機系ノードで,それぞれ実行してください。
jpcconf ipv6 enableコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Performance Management リファレンス」のコマンドについて説明している章を参照してください。また,jpcconf ipv6 enableコマンドを実行する条件やタイミングについては,マニュアル「JP1/Performance Management 設計・構築ガイド」のIPv6環境が含まれる場合のネットワーク構成例について説明している章を参照してください。
(2) 論理ホストで運用するPFM - Agent for Platformのセットアップに必要な情報
論理ホストでPFM - Agent for Platformを運用する場合は,通常のPFM - Agent for Platformのセットアップで必要となる環境に加えて,次の表の情報が必要です。
項番 |
項目 |
設定例 |
---|---|---|
1 |
論理ホスト名 |
jp1-halaop |
2 |
論理IPアドレス |
172.16.92.100 |
3 |
共有ディスク |
/jp1 |
なお,1つの論理ホストで運用するPerformance Managementのプログラムが複数ある場合も,同じ共有ディスクのディレクトリを使用します。
共有ディスクに必要な容量については,リリースノートを参照してください。
(3) PFM - Agent for Platformで論理ホストをフェールオーバーさせる場合の注意事項
論理ホストでPFM - Agent for Platformを運用するシステム構成の場合,PFM - Agent for Platformの障害によって,論理ホスト全体をフェールオーバーさせるかどうかを検討してください。
論理ホスト全体をフェールオーバーさせる場合,PFM - Agent for Platformと同じ論理ホストで運用するほかの業務アプリケーションもフェールオーバーすることになります。このため,業務に影響を与えるおそれがあります。
PFM - Agent for Platformに異常が発生しても,ほかの業務アプリケーションの動作に影響がないように,通常はクラスタソフトで次に示すどちらかの設定をすることをお勧めします。
-
PFM - Agent for Platformの動作監視をしない
-
PFM - Agent for Platformの異常を検知してもフェールオーバーしない
(4) 論理ホスト環境でのバージョンアップに関する注意事項
論理ホスト環境のPFM - Agent for Platformをバージョンアップする場合は,実行系ノードまたは待機系ノードのどちらか一方で,共有ディスクをマウントする必要があります。