6.2.8 エージェント構成とリモート監視構成の選択について
IM構成管理では,エージェント構成のホストに対してJP1/Baseを使用した監視,リモート監視構成のホストに対してリモート監視ができます。
リモート監視では,機能上通信障害などの理由によって,ログ監視が停止してしまう,またはイベントがなくなってしまうおそれがあります。ログ監視が一時的に停止することを許容できないシステムでは,JP1/Baseを導入して監視を実施してください。
JP1/Baseを使用した監視とリモート監視の選択の観点を次の表に示します。
項目 |
JP1/Baseを使用した監視 |
リモート監視 |
---|---|---|
リモート監視の制限を超える監視をする場合 |
○ |
× |
ログ監視の停止やイベントがなくなってしまうことがシステム上好ましくない場合※1 |
○ |
× |
JP1/IM - Managerが停止している間もログ監視する場合 |
○ |
○※2 |
監視対象ホストが頻繁に停止する場合 |
○ |
× |
WMI/NetBIOS(NetBIOS over TCP/IP)またはSSHを使用できないシステムの場合※3 |
○ |
× |
上記の項目に該当しない場合 |
○ |
○ |
- (凡例)
-
○:監視する
×:監視しない
注※1 ネットワーク障害が発生した場合,JP1/Baseを使用した監視では,JP1/Baseがネットワーク障害の間のログを取得します。リモート監視では,リトライで回復できない場合,監視を停止します。
注※2 停止期間中に発生したイベントが,リモート監視で収集できるサイズを超えている場合はトラップされません。
注※3 リモート監視では,監視対象ホストとの通信のためにJP1/IM - Managerをインストールしているホストおよび監視対象ホストに,リモート通信を設定します。設定が必要な通信方式は,監視対象ホストがWindowsの場合はWMI/NetBIOS(NetBIOS over TCP/IP),監視対象ホストがUNIXの場合はSSHです。
リモート監視については,「6.6 リモートの監視対象ホストの管理」を参照してください。
リモート監視には制限値があります。次の表を参考にしてください。
項目 |
制限値 |
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リモートで監視可能な監視数の最大値※1 |
1,024 |
リモートで監視可能なログファイルのサイズ |
64MB |
1回の監視間隔で収集できるログのサイズ(Windows)※2 |
10KB※4 |
1回の監視間隔で収集できるログのサイズ(UNIX)※2 |
10KB※4 |
1回の監視間隔で収集できるイベントログのサイズ※3 |
10KB※4 |
1台のJP1/IM - Managerで収集できるログの取得上限 |
10MB |
注※1 リモートログファイルトラップで監視しているログファイル数と,リモートイベントログトラップで監視しているサーバ数の合計値です。
注※2 収集したログの合計サイズです。
注※3 収集したWindowsイベントログの合計サイズです。
注※4 デフォルト値です。制限値は,リモートログトラップ環境定義ファイル(jp1cf_remote_logtrap.conf)で変更できます。リモートログトラップ環境定義ファイル(jp1cf_remote_logtrap.conf)については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「リモートログトラップ環境定義ファイル(jp1cf_remote_logtrap.conf)」(2. 定義ファイル)を参照してください。
- 〈この項の構成〉
(1) エージェント構成とリモート構成の機能の違い
エージェント構成とリモート監視構成の機能の違いについては,次の表を参考にしてください。
項目 |
エージェント構成 |
リモート監視構成 |
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用途 |
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監視精度よりも環境構築などの運用の負担軽減を優先したい場合※1 |
監視対象 |
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規模 |
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発行イベント |
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監視対象のログファイルのサイズ |
2ギガバイト以下 |
64メガバイト以下 |
1回の監視間隔で収集できるログのサイズ |
無制限 |
Windowsの場合:200キロバイト以下 UNIXの場合:50キロバイト以下 |
1回の監視間隔で収集できるイベントログのサイズ |
無制限 |
200キロバイト以下 |
ログファイルトラップ起動オプション |
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Windowsの場合にUnicodeを指定できる。 |
OSに対応してさまざまな文字コードを指定できる。 |
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ログファイルトラップ動作定義 |
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イベントログトラップ動作定義 |
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マネージャー停止時の動作 |
マネージャーホストが停止している場合やマネージャーホストと監視対象ホスト間でネットワーク障害が発生している場合,エージェントホストでJP1イベントに変換し,エージェントホストからマネージャーホストに発生したJP1イベントの転送をリトライできる。 |
JP1/IM - Managerの停止中に出力されたログファイル,Windowsイベントログは,次回リモート監視を起動した際にトラップする。 |
ネットワーク障害時の動作 |
次に示す制限項目に該当しない場合だけ,リトライ回数の上限に達して監視が停止する前に障害が回復したとき,障害中のログをマネージャーホストに通知する。
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ホスト名 |
ホスト名には,hostsファイルやDNSに登録してあるホスト名,jp1hostsまたはjp1hosts2に定義しているホスト名を指定する。 |
ホスト名には,hostsファイルやDNSに登録してあるホスト名を指定する。jp1hostsまたはjp1hosts2の設定は参照しない。 |
注※1 監視間隔内のログ出力量がUTF-8換算で制限値を超えるログを監視する場合,JP1/IM - ViewにJP1イベントを表示できません。エージェント構成によるログ監視の適用を検討してください。制限値については,「表6-17 リモート監視の制限値一覧」を参照してください。
注※2 IM構成管理を使用する場合,管理できるログファイルトラップの最大数は1台のエージェントホストごとに100個までです。
注※3 エージェントのJP1/Baseのバージョンが10-00以降の場合だけ指定できます。
注※4 10キロバイトはデフォルト値です。制限値は,リモートログトラップ環境定義ファイル(jp1cf_remote_logtrap.conf)で変更できます。リモートログトラップ環境定義ファイル(jp1cf_remote_logtrap.conf)については,マニュアル「JP1/Integrated Management - Manager コマンド・定義ファイルリファレンス」の「リモートログトラップ環境定義ファイル(jp1cf_remote_logtrap.conf)」(2. 定義ファイル)を参照してください。
エージェント構成での各機能の詳細については,監視対象にインストールされているJP1/Baseのバージョンに対応するマニュアルを参照してください。