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JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


10.1.10 DNSを使ったシステムでのイベントサーバの設定

複数のドメインで構成されたシステムで,初期設定のイベントサーバを利用すると,さまざまな問題が発生するおそれがあります。ここでは,DNSを使ったシステムでのイベントサーバの設定方法について,一例を挙げて説明します。なお,DNSが自ホスト名としてFQDN名を返すことを前提とします。

d1.hitachi.co.jpとd2.hitachi.co.jpの二つのドメインで構成されたシステムを次の図に示します。

図10‒1 二つのドメインで構成されたシステム例

[図データ]

hostX.d1.hitachi.co.jpで発生した「ディスク容量不足」というJP1イベントがhost3.d2.hitachi.co.jpに転送され,JP1/IM - View上にこのJP1イベントが表示された場合,「登録ホスト名」は「hostX」と表示されます。上記図の場合では,d2.hitachi.co.jpにもhostXが存在するため,システム管理者はhostX.d1.hitachi.co.jpとhostX.d2.hitachi.co.jpのどちらで発生したJP1イベントなのかを区別できません。また,JP1/IM - Viewは,受信したJP1イベントに関連するプログラムのモニター画面を表示する機能を持ちますが,ドメインd2.hitachi.co.jpに所属するホストの場合,「hostX」を「hostX.d2.hitachi.co.jp」と解釈するため,これらの機能が誤動作することがあります。

このような問題を避けるために,複数のドメインで構成されたシステムでは,初期設定のイベントサーバの代わりに,FQDN形式のイベントサーバ名を持つイベントサーバ(FQDN形式のイベントサーバ)に設定を変更してください。

注意事項

FQDN形式のイベントサーバを利用する場合,設定によっては,「付録J JP1/SESイベントを使用する製品との連携」で説明しているJP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布を利用できなくなります。JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布を利用する場合は,注意してください。

次に,FQDN形式のイベントサーバの設定手順について説明します。設定手順は,Windowsの場合とUNIXの場合で異なります。それぞれの場合の,FQDN形式のイベントサーバの設定手順を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) FQDN形式のイベントサーバを設定する(Windowsの場合)

ここでは,イベントサーバとしてhostX.d1.hitachi.co.jpを指定すると仮定して説明しています。

  1. jevregsvcコマンドを使って,FQDN形式のイベントサーバをサービスに登録する。

    jevregsvcコマンドの形式は,次のようになります。

    jevregsvc -r hostX.d1.hitachi.co.jp
    注意事項

    JP1/IM - ManagerまたはJP1/AJSをインストールしている場合,初期設定のサービスと依存関係があります。Windowsで,FQDN形式のイベントサーバを設定するときは,JP1/IM - ManagerおよびJP1/AJSと初期設定のイベントサービスの依存関係を解除してください。

  2. イベントサーバインデックスファイル(index)をエディターで開き,serverパラメーターのイベントサーバ名を初期設定の「*」から「@」または「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更する。

    @」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できます。「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できなくなります。運用に合わせてどちらかに変更してください。

  3. 起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)をエディターで開き,初期設定のイベントサーバの代わりにFQDN形式のイベントサーバを起動するように起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)を編集する。

    編集後の起動順序定義ファイル(JP1SVPRM.DAT)の内容(イベントサーバに関する個所だけ)を次に示します。

    [図データ]

(2) FQDN形式のイベントサーバを設定する(UNIXの場合)

ここでは,イベントサーバとしてhostX.d1.hitachi.co.jpを指定すると仮定して説明しています。

  1. イベントサーバインデックスファイル(index)をエディターで開き,serverパラメーターのイベントサーバ名を初期設定の「*」から「@」または「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更する。

    @」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できます。「hostX.d1.hitachi.co.jp」に変更した場合,JP1/SES互換機能やイベントサービスの定義情報の収集と配布が利用できなくなります。運用に合わせてどちらかに変更してください。イベントサーバ名を「@」に変更した場合のイベントサーバインデックスファイル(index)の内容を次に示します。

    [図データ]

  2. jbs_startスクリプトおよびjbs_stopスクリプトをエディターで開き,初期設定のイベントサーバの代わりにFQDN形式のイベントサーバが起動および停止するように編集する。

    編集後のjbs_startスクリプトおよびjbs_stopスクリプトの内容(イベントサーバに関する個所だけ)を次に示します。

    jbs_startスクリプトの内容

    [図データ]

    jbs_stopスクリプトの内容

    [図データ]