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JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


3.5.3 バックアップとリカバリー(UNIXの場合)

〈この項の構成〉

(1) 設定情報のバックアップ

JP1/Baseの設定情報には以下のものがあります。

クラスタ運用している場合は,物理ホスト,論理ホストの順番で,各環境をバックアップしてください。

(a) 定義ファイルのバックアップ

JP1/Baseでは,ユーザーが設定する定義ファイルとして以下のファイルがあります。これらのファイルのバックアップをしてください。バックアップの手段には,tarcpi,またはより高度なバックアップコマンドがあります。任意の方法でバックアップしてください。

表3‒9 JP1/Baseのバックアップ対象ファイル

ファイル名

内容

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1bs_env.conf

JP1/Base環境定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1bs_param.conf

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1bs_param_V7.conf

JP1/Baseパラメーター定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1bs_spmd.conf

JP1/Baseプロセス管理定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1bs_service_0700.conf

拡張起動プロセス定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/route/以下のファイル

構成定義ファイル

(JP1/IMで使用)

JP1/Baseディレクトリ※1/user_acl/JP1_Passwd

JP1ユーザー定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/user_acl/JP1_Group

JP1グループ定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/user_acl/JP1_UserLevel

ユーザー権限レベルファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/user_acl/JP1_AccessLevel

JP1資源グループ定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/user_acl/JP1_Accountaccess

JP1アカウントアクセス情報ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/user_acl/jp1BsUmap.conf

ユーザーマッピング定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/evtgw/imevtgw.conf

SNMPトラップ変換動作定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/evtgw/snmpfilter.conf

SNMPトラップ変換用フィルターファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/event/index

イベントサーバインデックスファイル

Eventディレクトリ※4/conf

イベントサーバ設定ファイル

Eventディレクトリ※4/forward

転送設定ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/event/api

API設定ファイル

任意のファイル※2または

JP1/Baseディレクトリ※1/jevlog.conf※2

ログファイルトラップ動作定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/event/jevlog_start.conf

ログファイルトラップ起動定義ファイル

Eventディレクトリ※4/[jev_forward.conf | 任意のファイル]※3

配布定義ファイル(転送設定ファイル用)

JP1/Baseディレクトリ※1/[jev_logtrap.conf | 任意のファイル]※3

配布定義ファイル(ログファイルトラップ動作定義ファイル用)

JP1/Baseディレクトリ※1/event/[jev_ntevent.conf | 任意のファイル]※3

配布定義ファイル(イベントログトラップ動作定義ファイル用)

/opt/jp1base/plugin/conf/*.conf

アダプタコマンド設定ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/jbshc/jbshc.conf

ヘルスチェック定義ファイル

任意のファイル

共通定義設定用ファイル(ヘルスチェック機能)

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1hosts

jp1hosts定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1hosts2.conf

jp1hosts2定義ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/jbsdfts/*.conf

サービス管理制御定義ファイル

任意のファイル

ローカルアクション環境変数ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/lcact/jbslcact.conf

ローカルアクション実行定義ファイル

任意のファイル

共通定義設定用ファイル(ローカルアクション機能)

JP1/Baseディレクトリ※1/physical_ipany.conf

通信方式設定ファイル

JP1/Baseディレクトリ※1/logical_ipany.conf

JP1/Baseディレクトリ※1/physical_recovery_0651.conf

JP1/Baseディレクトリ※1/logical_recovery_0651.conf

JP1/Baseディレクトリ※1/physical_anyany.conf

JP1/Baseディレクトリ※1/physical_ipip.conf

JP1/Baseディレクトリ※1/logical_ipip.conf

JP1/Baseディレクトリ※1/jp1bs_baselog_setup.conf

操作ログ定義ファイル

注※1 「JP1/Baseディレクトリ」の部分は,次のディレクトリに置き換えてください。

  • 物理ホストの場合:/etc/opt/jp1base/conf

  • 論理ホストの場合:共有ディレクトリ/jp1base/conf

注※2 ログファイルトラップ動作定義ファイルは任意の名称に設定できます。使用しているファイルを,忘れずにバックアップしてください。なお,ログファイルトラップを使用していない場合には,このファイルは存在しません。

注※3 配布定義ファイルは標準のファイル名または任意の名称で作成できます。使用しているファイルを,忘れずにバックアップしてください。なお,定義情報の収集および配布機能を使用していない場合には存在しません。

注※4 「Eventディレクトリ」の部分は,次のディレクトリに置き換えてください。

  • 物理ホストの場合:/etc/opt/jp1base/conf/event/servers/default

  • 論理ホストの場合:共有ディレクトリ/event

なお,クラスタ運用している場合は,クラスタシステム用の設定をした際に指定したディレクトリ内から上記表に該当する定義ファイルをバックアップしてください。

注意事項

統合トレースログの設定は,バックアップとリカバリーの対象ではありません。設定を変更した場合は,JP1/Baseのセットアップをする際に,再度設定し直してください。

(b) 共通定義情報のバックアップ

JP1/Baseでは,定義ファイルだけでなく,共通定義情報もバックアップする必要があります。なお,この共通定義情報には,JP1/Baseのほかに,JP1/IM,JP1/AJSの定義情報も含まれています。

共通定義情報のバックアップは,次のコマンドを実行してJP1/Baseの共通定義情報だけを取得してください。

jbsgetcnf -c JP1BASE > 退避ファイル

クラスタ運用している場合は,次のコマンドを実行してJP1/Baseの共通定義情報だけを取得してください。

jbsgetcnf -h 論理ホスト名 -c JP1BASE > 退避ファイル

なお,論理ホスト名は,論理ホストのセットアップ時に指定したとおりに大文字・小文字を正しく指定してください。

(c) jp1hosts2情報のバックアップ

jp1hosts2情報を設定している場合,次のコマンドを実行してjp1hosts2情報のバックアップを取得してください。

jbshosts2export > 退避ファイル

論理ホストにもjp1hosts2情報を設定している場合は,次のようにコマンドを実行してください。

jbshosts2export -h 論理ホスト名 > 退避ファイル

なお,クラスタ運用している論理ホストの場合は,実行系で実行してください。

(2) イベントDBのバックアップ

イベントDBのバックアップは次の2種類あります。

(a) リカバリーを目的としたバックアップ

イベントDBファイルのバックアップ手順を次に示します。

  1. JP1/Baseを前提としている製品を停止する。

  2. JP1/Baseを停止する。

  3. イベントDBファイルをコピーするなど任意の方法で,バックアップする。

    バックアップの対象のファイルは次のとおりです。

    /var/opt/jp1base/sys/event/servers/default/IMEvent*.*

    または,

    共有ディレクトリ/event/IMEvent*.*

    注※ イベントサーバインデックスファイル(index)で,イベントサーバが使用するディレクトリに別のパスを指定している場合は,指定したパス以下のファイルが対象となります。

  4. JP1/Baseを起動する。

  5. JP1/Baseを前提としている製品を起動する。

(b) 障害レポートとしてのバックアップ

障害レポートとしてバックアップする場合は,jevexportコマンドを使用してイベントDBの内容をcsvファイルに出力します。

なお,イベントDBは,イベントサーバごとに二つ存在し,一つが上限値(初期設定では10メガバイト)を超えると,もう一方のイベントDBに切り替わります。この際,使用するイベントDBの内容は消去されます。イベントDBの容量を定期的に確認して,イベントDBが切り替わる前にjevexportコマンドを実行してください。

(3) 設定情報のリカバリー

JP1/Baseのリカバリーについて説明します。クラスタ運用している場合は,物理ホスト,論理ホストの順番で,各環境をリカバリーしてください。

(a) 定義ファイルのリカバリー

下記の条件を確認した上で,バックアップファイルを,元の位置にリカバリーしてください。

  • JP1/Baseが正常にインストールされ,セットアップコマンドが実行済みであること。

  • JP1/Baseが停止していること。

  • 論理ホスト環境のJP1/Baseがセットアップされていること(論理ホストの場合)。

  • 共有ディスクをオンラインにしていること(論理ホストの場合)。

(b) 共通定義情報のリカバリー

「(a) 定義ファイルのリカバリー」に加えて,共通定義情報をリカバリーする必要があります。

次に示すコマンドを実行してください。

jbssetcnf 退避ファイル名

退避ファイル名にはjbsgetcnfコマンドで取得した退避ファイルを指定します。

(c) jp1hosts2情報のリカバリー

「(1)(c) jp1hosts2情報のバックアップ」の手順で,jp1hosts2情報のバックアップをした場合,次のコマンドを実行してjp1hosts2情報をリカバリーする必要があります。

jbshosts2import -r (1)(c)でバックアップした退避ファイル名

論理ホストにもjp1hosts2情報のバックアップをした場合は,次のようにコマンドを実行してください。

jbshosts2import -h 論理ホスト名 -r (1)(c)でバックアップした退避ファイル名

なお,クラスタ運用している論理ホストの場合は,実行系で実行してください。

(4) イベントDBのリカバリー

バックアップしたイベントDBファイルをリカバリーすると,イベントDB内通し番号の最大値がバックアップ時の状態に戻ります。

JP1イベントの転送を受け付けるイベントサーバ側(主にJP1/IM - Managerがインストールされた環境)では,転送元のイベントDB内通し番号の最大値を記録しています。この情報は,重複登録チェックに使用されており,イベントDB内通し番号の最大値が大きくなっている場合には,重複がないためJP1イベントは無条件に登録されますが,イベントDB内通し番号小さくなった場合には,重複の可能性があるためイベント検索をして,同じJP1イベントが存在しないかを確認します。イベントDBのサイズが大きい場合には,検索件数が増えるためJP1イベントの転送遅延など,イベントサービスを利用する機能の遅延が発生します。

(a) 転送設定ファイルで他ホストにJP1イベントを転送していない場合のリカバリー手順

  1. JP1/Baseを前提としている製品を停止する。

  2. JP1/Baseを停止する。

  3. バックアップしたファイルをディレクトリに配置する。

    配置するディレクトリは次のとおりです。

    /var/opt/jp1base/sys/event/servers/default/

    または,

    共有ディレクトリ/event/

    注※ イベントサーバインデックスファイル(index)で,イベントサーバが使用するディレクトリに別のパスを指定している場合は,指定したパスの配下に配置してください。

  4. JP1/Baseを起動する。

  5. JP1/Baseを前提としている製品を起動する。

(b) 転送設定ファイルで他ホストにJP1イベントを転送している場合のリカバリー手順

転送先がJP1/Base 11-10以降で重複防止テーブルがファイル方式の場合,次の手順でイベントDBをリカバリーしてください。

  1. JP1/Baseを前提としている製品を停止する。

  2. JP1/Baseを停止する。

  3. バックアップしたファイルをフォルダに配置する。

    配置するフォルダは次のとおりです。

    /var/opt/jp1base/sys/event/servers/default/

    または,

    共有ディレクトリ/event/

    注※ イベントサーバインデックスファイル(index)で,イベントサーバが使用するフォルダに別のパスを指定している場合は,指定したパスの配下に配置してください。

  4. JP1/Baseを起動する。

  5. 転送先に対して重複防止テーブルクリア用JP1イベント(ユーザイベント)を送信して,転送先の重複防止テーブルから転送元の発行元イベントDB内通し番号の最大値をクリアする。

    > jevsendd -i 7FFF8001 -m "DPT CLEAR EVENT" -d 転送先イベントサーバ名

    転送先がJP1/IM - Managerのサブマネージャーの場合,その上位のマネージャーに対しても重複防止テーブルクリア用JP1イベント(ユーザイベント)を送信してください。

  6. JP1/Baseを前提としている製品を起動する。

転送先がJP1/Base 11-10未満か重複防止テーブルがメモリ方式の場合,次のどちらかの手順でイベントDBをリカバリーしてください。

  • イベントDBを初期化してリカバリーする。

    10.2.2 イベントサービスの停止中に初期化する」を参照して,イベントDBを初期化してください。なお,バックアップしたイベントDBの内容は,jevexportコマンドでcsvファイルに出力して参照できます。

  • 転送設定ファイルに指定された転送先のイベントサーバで重複登録チェックを無効化する。

    転送先の作業

    1. JP1/Baseを前提としている製品を停止する。

    2. JP1/Baseを停止する。

    3. イベントサーバ設定ファイル(conf)に次の行を追加する。

      repetition-noncheck-server リカバリーするイベントサーバ名

    4. JP1/Baseを起動する。

    5. JP1/Baseを前提としている製品を起動する。

    転送元の作業

    「(a) 転送設定ファイルで他ホストにJP1イベントを転送していない場合のリカバリー手順」に従ってリカバリーしてください。

    なお,転送先では転送元からJP1イベントの転送を受け付けた時点で,記録している転送元のイベントDB内通し番号の最大値をクリアします。したがって,転送元からJP1イベントの転送を受け付けたあとは,転送先のイベントサーバで重複登録チェックを有効化しても問題ありません。転送先のイベントサーバで重複登録チェックを有効化し,イベントサーバを起動する前にjevdbmkrepコマンドを実行して,重複防止テーブルを再作成してください。