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JP1 Version 11 JP1/Base 運用ガイド


2.4.7 ログファイルの監視失敗時のリトライ

ログファイルの更新元プログラムがログファイルを更新するタイミングと,ログファイルトラップがログファイルを監視するタイミングが競合すると,ログファイルの更新元プログラムによってログファイルに排他が掛けられ,ログファイルのオープンや読み込みに失敗する場合があります。このように,一時的に監視に失敗した場合に,監視をリトライします。

なお,一つのログファイルトラップで複数のログファイルを監視する場合,一つのログファイルの監視に失敗すると,そのログファイルに対してはリトライを行い,ほかのログファイルの監視は続行します。

リトライによって監視を回復できなかった場合は,該当のログファイルの監視を停止します。エラーメッセージで示されるログファイルに異常がないかどうかを確認してください。監視に失敗したログファイルを再度監視したい場合は,jevlogstartコマンドでログファイルトラップを新たに起動してください。

監視の開始時にログファイルをオープンできなかった場合と,監視中にログファイルの読み込みに失敗した場合のリトライの動作について次に説明します。

〈この項の構成〉

(1) 監視開始時にログファイルのオープンに失敗した場合

jevlogstartコマンドでログファイルトラップを起動するとき,監視対象のログファイルをオープンします。このとき,ログファイルの更新元プログラムなどによって排他が掛けられていると,ログファイルをオープンできないため監視を開始できません。このような場合,ログファイルのオープンをリトライします。リトライ間隔およびリトライ回数は,ログファイルトラップ動作定義ファイルで設定できます。ログファイルトラップ動作定義ファイルでリトライ間隔およびリトライ回数を省略したときは,1秒後に1回リトライします。

リトライによってログファイルのオープンに成功した場合は,オープンに成功した時点から監視が開始されます。

指定した回数リトライしてもログファイルをオープンできなかった場合,またはリトライ開始から3,600秒経過してもオープンできなかった場合は,エラーメッセージおよびJP1イベント(00003A20)で通知します。JP1イベントの詳細については,「17.3.1(14) イベントID:00003A20の詳細」を参照してください。

監視開始時に,一時的にログファイルのオープンに失敗した場合のリトライの例を次の図に示します。図の例では,リトライ間隔が1秒,リトライ回数が3回の場合の動作を示します。

図2‒22 監視開始時にログファイルのオープンに失敗した場合のリトライの例

[図データ]

(2) 監視中にログファイルの読み込みに失敗した場合

ログファイルの監視中にログファイルの読み込みに失敗した場合は,10ミリ秒間隔で5回リトライします。5回リトライしても回復しなかった場合は,次の監視のタイミングまで待機します。次の監視タイミングでも読み込みに失敗すると,再度10ミリ秒間隔で5回リトライします。リトライ間隔とリトライ回数は固定です。

10ミリ秒間隔で5回のリトライを1セットとしてカウントし,このセットのリトライを繰り返します。何セットまでリトライを繰り返すかは,リトライを継続する回数のしきい値としてログファイルトラップ動作定義ファイルで設定できます。ログファイルトラップ動作定義ファイルでリトライを継続する回数のしきい値を省略した場合は,100セットまでリトライを繰り返します。

指定した回数リトライが行われても回復しない場合は,該当のログファイルの監視が停止し,JP1イベント(00003A21)で通知します。JP1イベントの詳細については,「17.3.1(15) イベントID:00003A21の詳細」を参照してください。

監視中にログファイルの読み込みに失敗した場合のリトライの例を次の図に示します。図の例では,リトライを継続する回数のしきい値を3回に設定した場合の動作を示します。

図2‒23 ログファイルの読み込みに失敗した場合のリトライの例

[図データ]