4.1.1 COBOL編集に適した機能
- 〈この項の構成〉
(1) COBOL構文によるテキストの色分け
予約語,英数字定数,サービスルーチン名などのCOBOLのキーワードに,それぞれ異なる色を指定し,色分けして表示できます。指定した色で表示されない場合は,入力誤りがあることがわかります。
また,COBOLの語以外の語をユーザキーワードとして登録し,色分けすることもできます。例えば,COBOLソースファイルを作成する上で何回も使用するデータ項目名を登録し,色分けして表示できます。
(2) マーカによるインデント
マーカは,ソースウィンドウに表示される縦の直線です。マーカに沿ってテキストを入力すると,COBOLのコーディングに必要なインデントを揃えることができます。また,テキスト入力の際,キー操作によってテキストカーソルを前後のマーカに移動できます。
(3) COBOLソースの形式
ソースファイルの形式を固定形式正書法,または自由形式正書法に指定できます。固定形式正書法を指定した場合は,コーディングシートの形式に合わせてソースウィンドウの7,8,および73カラムの前にマーカを表示できます。自由形式正書法を指定した場合は,256カラムの前にマーカを表示できます。また,一連番号を生成し,ソースウィンドウに表示できます。
(4) プログラムテンプレート
プログラムテンプレートは,部や節の見出しなどのCOBOLプログラムの形式があらかじめ入力されているひな型です。このテンプレートを使うことによって,コーディング量を少なくできます。また,ユーザが作成したファイルをテンプレートとして登録することもできるため,各ユーザに合った環境でコーディングできます。
(5) 構文テンプレート
構文テンプレートは,COBOL2002やVOS3 COBOL85で使用する構文が入力されているひな型です。このテンプレートから使いたい構文を選び,条件や文を入力してファイルに貼り付けるため,構文エラーを少なくできます。また,ユーザがテンプレートファイルを作成することもできるため,各ユーザに合った環境でコーディングできます。
(6) 構文チェック
構文チェックは,COBOLエディタで編集中のCOBOL原始プログラムを,COBOLの言語規則に基づいてチェックする機能です。このため,プログラムをコンパイルする前にCOBOL原始プログラムの構文の誤りを発見し,修正できます。
(7) キーワード補完
キーワード補完は,途中まで入力されたCOBOLのキーワードに,自動的に残りを補ってキーワードを完成する機能です。このため,キーワードを入力するときに,つづりを確かめる手間が省け,また入力誤りも少なくできます。
(8) タグジャンプ
タグジャンプは,タグファイルからファイル名,および行番号を取得して,該当するファイルの該当行へカーソルを位置づける機能です。構文チェック時などにエラーが発生した場合,タグジャンプでエラー個所を開き,COBOLソースを修正できます。
(9) 一連番号,標識領域,および見出し領域の編集
複数行の標識領域,見出し領域を一括して編集できます。また,一連番号の付け直しができます。これらの機能を使用すると,固定形式のCOBOLソースファイルを効率良く編集できます。
(10) キーボードマクロ,文字列のシフト
繰り返しの多い編集作業をする場合,キーボードマクロを使うとキー操作の回数を減らすことができます。また,文字列を左右にシフトする機能を使って,複数行のインデントを一括して編集できます。
(11) 機能キャラクタの表示
メインフレーム(VOS3)コンピュータの日本語文字処理では,日本語文字列の先頭と末尾に機能キャラクタが必要になります。そのため,Windows上で機能キャラクタを意識しないで作成したCOBOLソースをメインフレームに転送すると,日本語を含む行が機能キャラクタの分だけ長くなり,1行の文字列が72カラムを超えてしまうおそれがあります。
このような問題を避けるため,COBOLエディタには機能キャラクタを文字として表示する機能があります。この機能を使うと,日本語文字列の開始と終了の機能キャラクタをソース中に表示できます。これによって,メインフレームに転送したあとの文字数がCOBOLエディタの画面上で把握でき,行の長さを確認しながらコーディングできます。