2.5.2 ユーザ用RDエリアの容量の見積もり

ここでは,DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリアの容量の見積もりについて説明します。なお,アクセス制御機能で使用する容量も加算して,RDエリアの容量を見積もりする必要があります。アクセス制御機能を使用する場合の容量の算出方法については,「2.5.4 アクセス制御機能に関連するデータベース容量の見積もり」を参照してください。

<この項の構成>
(1) DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリア
(2) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量
(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法
(4) 見積もりの例

(1) DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリア

DocumentBrokerで管理する文書やフォルダは,DocumentBrokerオブジェクトとして,データベースに格納されて管理されます。DocumentBrokerオブジェクトは,複数のオブジェクトを包含した形で表現されています。したがって,ユーザ用RDエリアの容量を見積もりする場合,DocumentBrokerオブジェクトに包含されるオブジェクトの構成を考慮して,容量を算出しておく必要があります。

DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリアを次の表に示します。

表2-8 DocumentBrokerで使用するユーザ用RDエリア

ユーザ用RDエリアの種類説明
ユーザ表用RDエリア次の情報を格納します。
  • システムクラス/ユーザクラスに対応する表
  • DocumentBrokerのメタ情報
ユーザインデクス用RDエリア次の情報を格納します。
  • システムクラス/ユーザクラスに対応する表のインデクス
  • DocumentBrokerのメタ情報のインデクス

ユーザ用RDエリアには,表とそのインデクス,およびDocumentBrokerのメタ情報とそのインデクスを格納します。これらの容量は,文書やフォルダなどの数,定義されているプロパティなどから算出します。また,バージョン付き文書の場合は管理するバージョンの数,マルチレンディション文書の場合はレンディションの数など,文書の構成を考慮する必要があります。

(2) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量

ここでは,ユーザ用RDエリアの容量を見積もるための目安として,DocumentBrokerのクラス(表)ごとに,各レコードのデータサイズ,および各表に格納するレコード数の見積もり方法を説明した一覧を示します。この一覧を参照して,どのようにRDエリアの容量を見積もるかについては,「(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法」で説明します。

ユーザ用RDエリア分のデータベースリソースの所要量を次の表に示します。

表2-9 ユーザ用RDエリア分のデータベースリソースの所要量

種別表名列数データサイズ(バイト)レコード数見積もり方法備考
文書dmaClass_DocVersion※111573バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2
dmaClass_Rendition6380(バージョンごとのRendition数-1)×(バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2Renditionが一つの場合は,DocVersionの表に含まれます。
dmaClass_ContentReference84949バージョンごとのRendition数×(バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2リファレンスファイル管理機能を使用する場合にだけ必要なクラス。
dmaClass_ContentTransfer6605バージョンごとのRendition数×(バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2
edmClass_VTDocVersion※111573バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2
フォルダdmaClass_Container※15176バージョンなしフォルダ数
edmClass_ContainerVersion※16180バージョンなしフォルダ数
edmClass_VTContainer※151760
バージョンdmaClass_ConfigHistory※16228バージョン付き文書数
dmaClass_VersionSeries11656バージョン付き文書数バージョン付き文書ごとのVersionSeries数は一つです。
dmaClass_VerDescription6180バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数
リンクdmaClass_DCRelationship4172DirectContainmentRelationshipオブジェクトを利用した関連するオブジェクトの個数
dmaClass_RCRelationship4172ReferentialContainmentRelationshipオブジェクトを利用した関連するオブジェクトの個数
edmClass_VTCRelationship72800
edmClass_Relationship5176文書間リンクに使用しているRelationshipオブジェクトの個数
edmClass_VTRelationship134960
独立データedmClass_IndPersistence※1372独立データオブジェクト数
全文検索全文検索機能付き文書クラス14606バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2全文検索用のデータを格納する列を追加した文書クラス。
システム用edmClass_CompoDocVersion※111573バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2
edmClass_VTCompoDocVersion※111573バージョン付き文書ごとの平均バージョン数×バージョン付き文書数+バージョンなし文書数※2
OIIDedmClass_OIID320実行環境の数
繰り返し列edmClass_Struct※1384VariableArray型プロパティの配列に格納する平均要素数×VariableArray型プロパティを定義するオブジェクト数基本単位がVariableArray型のプロパティの配列の要素を定義する場合のクラス。
メタ情報EDMS_META_CLASSDESC428+aa:定義するユーザクラスの数
EDMS_META_CLASSDESC_PROP4241+a×23+ba:定義するユーザクラスの数
b:各クラスに追加するユーザプロパティの合計数
EDMS_META_PROPDESC979+aa:定義するユーザプロパティの数
EDMS_META_SYSINFO211
EDMS_META_ENVID3実行環境の数
注※1
サブクラスごとに算出する必要があります。
注※2
バージョンなし文書は,バージョン付き文書の個々のバージョンに対応しない文書を指します。

クラス名と表名の対応については「付録A.1 システムクラスの名称定義の規則」を参照してください。

(3) ユーザ用RDエリアの容量の見積もり方法

ここでは,ユーザ用RDエリアの容量を見積もるための方法について説明します。ここで算出した値を基にして,実際に使用するディスク占有量を算出してください。

ディスク占有量の算出方法については,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。

(2) ユーザ用RDエリアが使用するデータベースリソースの所要量」の表2-9の内容を参考にして,次の値を算出してください。

(a) 各表に格納するレコードの総数

表2-9のデータサイズおよびレコード数の見積もり方法を参考にして,文書数やフォルダの数などから,各表に格納するレコードの総数を算出してください。

(b) 各表に定義する列の総数

表2-9には,DocumentBrokerのシステムプロパティが使用する列数が示してあります。サブクラスを定義してユーザプロパティを追加した場合は,この表に示すスーパークラスの列数の値に,ユーザプロパティ数を加算して算出してください。

(c) 各列のデータサイズ

表2-9には,DocumentBrokerのシステムプロパティが使用するデータサイズが示してあります。サブクラスを定義してユーザプロパティを追加した場合は,この表に示すスーパークラスのデータサイズの値に,ユーザプロパティのデータサイズを加算してください。ユーザプロパティのデータサイズについては,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してください。対応するHiRDBのデータ型を基に,データサイズを算出してください。

(d) インデクス

オブジェクトのプロパティに定義されるインデクスの算出については,データベース定義文出力コマンド(dbjcrtsql)によって出力されるデータベース定義文を参考にしてください。

メタ情報の表に定義されるインデクスの算出については,createmetatable_hirdb.sqlのデータベース定義文を参考にしてください。これらの定義文を基に,マニュアル「HiRDB システム導入・設計ガイド」を参照してインデクスを算出してください。

(4) 見積もりの例

ここでは,文書を管理する表の見積もりの例として,バージョン付き文書を管理する表の見積もりの例を示します。バージョン付き文書を管理する表の見積もりの例を次の図に示します。

図2-2 バージョン付き文書を管理する表の見積もりの例

[図データ]

この例では,バージョン付き文書で,3つのバージョンと2つのレンディションを管理しています。ユーザプロパティの追加はありません。例えば,このバージョン付き文書の文書数が1,000の場合,バージョン付き文書を管理する表の容量は次のように算出できます。

文書数 × (文書情報 + (バージョン数 × (バージョン情報 + (レンディション数 - 1) × Renditionオブジェクト + (レンディション数 × ContentTransferオブジェクト))))
= 1,000 ×(884 +(3 ×(753 +(2 - 1)×380 + (2 × 605))))
= 約8.0メガバイト

文書情報
= ConfigurationHistoryのデータサイズ + VersionSeriesのデータサイズ
= 228バイト + 656バイト
= 884バイト
バージョン情報
= VersionDescriptionのデータサイズ + DocVersionのデータサイズ
= 180バイト + 573バイト
= 753バイト