JP1/IT Resource Management - Manager 運用ガイド

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9.3 トラブル発生時に採取が必要な資料

ここでは,トラブルが発生した場合に採取が必要な資料を説明します。

JP1/ITRMでは,必要な資料を一括して採取するためにjirmgetlogsコマンドを用意しています。jirmgetlogsコマンドで採取できる資料は,OSのシステム情報やJP1の情報です。

<この節の構成>
(1) OSのシステム情報
(2) JP1の情報
(3) オペレーション内容
(4) 画面上のエラー情報
(5) ユーザーダンプ
(6) 管理対象の情報

(1) OSのシステム情報

OSに関する次の情報の採取が必要です。これらの情報はjirmgetlogsコマンドで採取できます。

表9-4 OSのシステム情報

情報の種類 採取資料 ファイル名
資料採取日時
  • date /tの実行結果
  • time /tの実行結果
date.txt
Windowsイベントログ
  • アプリケーション
    システムルートフォルダ\System32\Winevt\Logs\Application.evtx
  • システム
    システムルートフォルダ\System32\Winevt\Logs\System.evtx

  • system.txt
  • application.txt
日立総合インストーラのログファイル Windowsのインストール先フォルダ\Temp\HCDINST以下のファイル 左記ファイルのコピーファイル
マシンに設定されているホスト名,サービスポートの設定 システムルートフォルダ\system32\drivers\etc 左記フォルダのコピーファイル
NICの実装状況 ipconfig /allの実行結果 ipconfiglist.txt
起動サービス一覧 net startの実行結果 netstartlist.txt
ネットワーク統計情報 netstatの実行結果 netstatlist.txt
レジストリ情報 レジストリ
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\HITACHIの内容をregeditコマンドで採取した結果
hitachiRegInfo.txt
マシンの環境変数 setの実行結果 setlist.txt
DCOM設定情報 レジストリ
HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\OLEの内容をregeditコマンドで採取した結果
ole.txt
マシンのシステム情報 Msinfo32 /reportファイル名の実行結果 osinfo.nfo
OS適用済みのHotfix情報 systeminfoの実行結果 systeminfo.txt
注※
jirmgetlogsコマンドを実行したあとの格納先でのファイル名です。格納先については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager リファレンス」を参照してください。

(2) JP1の情報

JP1に関する次の情報の採取が必要です。これらの情報は,jirmgetlogsコマンドで採取できます。また,ネットワーク接続でのトラブルの場合,接続先マシン上のファイルの採取も必要です。

表9-5 JP1の情報

情報の種類 採取資料 ファイル名
統合トレースログ システムドライブ:\Program Files (x86)\Hitachi\HNTRLib2\spool\以下のファイル 採取元のファイル名と同じファイル名
ライセンス登録情報ファイル システムドライブ:\Program Files (x86)\Hitachi\jp1common\jp1itrm以下のファイル 採取元のファイル名と同じファイル名
ファイル一覧
  • ITRMパス\JP1ITRM以下のフォルダ,ファイル
  • 共有フォルダ以下のフォルダ,ファイル※1
採取元のファイル名と同じファイル名
環境設定情報
  • ITRMパス\JP1ITRM\conf以下のフォルダ,ファイル
  • 共有フォルダ\conf以下のフォルダ,ファイル
採取元のファイル名と同じファイル名
ログ情報
  • ITRMパス\JP1ITRM\log以下のファイル
  • 共有フォルダ\log以下のファイル※1
採取元のファイル名と同じファイル名
etcファイル
  • ITRMパス\JP1ITRM\etc以下のフォルダ,ファイル
  • 共有フォルダ\etc以下のファイル※1
採取元のファイル名と同じファイル名
バージョン情報 システムドライブ:\Program Files (x86)\InstallShield InstallationInformation\{D2E32475-BA7E-4EDB-BF57-A868AA1B52CC}\Setup.ilg,Setup.ini Setup.ilg,
Setup.ini
インストールログ Windowsのインストール先フォルダ\Temp\HITACHI_JP1_INST_LOG\jp1itrm_inst数字.log※2 採取元のファイル名と同じファイル名
パッチの適用履歴 ITRMパス\JP1ITRM\PATCHLOG.TXT 採取元のファイル名と同じファイル名
注※1
クラスタ運用時にだけ採取される資料です。
注※2
数字にはログファイルの面数が入ります。

(3) オペレーション内容

トラブル発生時のオペレーション内容について記録してください。

(4) 画面上のエラー情報

画面にエラー情報が表示された場合,エラーが表示された画面のハードコピーを採取してください。

(5) ユーザーダンプ

Windows ServerでJP1/ITRMのプロセスがアプリケーションエラーで停止した場合は,ユーザーダンプを採取してください。

(6) 管理対象の情報

(a) 管理対象がWindowsの場合

JP1/ITRMの管理対象がWindowsの場合,Windowsのシステム情報を採取してください。

表9-6 Windowsのシステム情報

情報の種類 採取資料
資料採取日時 コマンドプロンプトから次のコマンドの実行結果※1
  • date /t コマンド
  • time /t コマンド
Windowsイベントログ Windowsイベントログ※2
  • アプリケーションのログ
  • システムのログ
マシンに設定されているホスト名の設定 次のファイルのコピー
%systemroot%\system32\drivers\etc\hosts
マシンに設定されているサービスポートの設定 次のファイルのコピー
%systemroot%\system32\drivers\etc\services
NICの実装状況 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果
ipconfig /allコマンド
起動サービス一覧 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果
net startコマンド
ネットワーク統計情報 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果
netstat -a -n -oコマンド
ファイアウォール設定情報 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果
Windows Server 2003の場合
netsh firewall show config
netsh firewall show state
Windows Server 2008以降の場合
netsh advfirewall firewall show rule name=all
netsh advfirewall show allprofiles
UAC設定情報 レジストリ情報※3(Windows Server 2008以降の場合だけ)
HKEY_LOCAL_MACHINE \SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System以下の内容
マシンの環境変数 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果
setコマンド
DCOM設定情報 レジストリ情報HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\OLE以下の内容
マシンのシステム情報 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果※4
msinfo32 /reportファイル名
OS適用済みのHotfix情報 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果
systeminfoコマンド
Windowsディレクトリ以下のファイル一覧 次のコマンドをコマンドプロンプトから実行した結果
dir /s %systemroot%
注※1
コマンドプロンプトで標準出力と標準エラー出力をファイルにリダイレクトし,次のように実行してください。
date /t >date.txt 2>&1
注※2
イベントログは[スタート]−[ファイル名を指定して実行]で,「eventvwr.msc」と入力して実行して表示されるイベントビューアーで,次のように採取してください。
Windows Server 2003の場合
イベントビューアーで[アプリケーション]を選択し,右クリック−[ログファイルの名前を付けて保存]を選択して,ファイルの種類で「テキスト形式」を選択してください。同様の方法で[システム]のログを保存してください。
Windows Server 2008の場合
イベントビューアーで[Windowsログ]−[アプリケーション]を選択し,右クリック−[すべてのイベントを名前をつけて保存]を選択してください。
次にファイルの種類で「テキスト形式」を選択してください。同様の方法で「システム」のログを保存してください。
Windows Server 2012以降の場合
イベントビューアーで[Windowsログ]−[Application]を選択し,右クリック−[すべてのイベントを名前をつけて保存]を選択してください。
次にファイルの種類で「テキスト形式」を選択してください。同様の方法で「システム」のログを保存してください。
注※3
レジストリ情報は次のように採取してください。
[スタート]−[ファイル名を指定して実行]で,「regedit」と入力して実行して表示されるレジストリエディタで,採取するレジストリを選択してください。レジストリを選択したら,右クリック−[エクスポート]を選択し,任意の名前で保存してください。
注※4
msinfo32.exeは次のように実行してください。
Windows Server 2003の場合
"%CommonProgramFiles%\Microsoft Shared\MSInfo\msinfo32.exe" /
report msinfo32.txt
Windows Server 2008以降の場合
%windir%\system32\msinfo32.exe /report msinfo32.txt

(b) 管理対象がLinux,HP-UX,またはAIXの場合

JP1/ITRMの管理対象がLinux,HP-UX,またはAIXの場合,それぞれ次のツールを利用して資料を採取してください。

Linuxの場合:sosreport
rootユーザーで次のコマンドを実行し,sosreportがインストールされていることを確認してください。インストールされているツールのバージョンによって出力は異なります。
# rpm -qa sos
sos-バージョン情報
ツールがインストールされている場合は,次の例のようにコマンドを実行し,資料を採取してください。
Red Hat Enterprise Linux 5
# sosreport -n apache, cluster -k rpm.va=off
 
Red Hat Enterprise Linux 6
# sosreport -n apache, cluster -k rpm.rpmva=off
HP-UXの場合:システム情報採取ツール
rootユーザーで次のコマンドを実行し,システム情報採取ツールがインストールされていることを確認してください。インストールされているツールのバージョンによって出力は異なります。
# swlist -l product hitachi-sys-info-collection-tool
hitachi-sys-info-collection-tool 01.10.00.1 System Information Collection Tool
ツールがインストールされている場合は,次のコマンドを実行し,資料を採取してください。
# /opt/hitachi/systoru/bin/systoru -t failure
AIXの場合:snap
rootユーザーで次のコマンドを実行し,コマンドがインストールされていることを確認してください。インストールされているコマンドのバージョンによって出力は異なります。
# lslpp -L bos.rte.serv_aid
Fileset              Level  State  Type  Description (Uninstaller)
------------------------------------------------------------------
bos.rte.serv_aid    7.1.0.1   C     F    Error Log Service Aids
ツールがインストールされている場合は,次のコマンドを実行し,資料を採取してください。
# /usr/sbin/snap -gtLkc

管理対象に上記のツールがインストールされていない場合は,システム情報を採取してください。コマンド実行時は,次のように実行し,標準出力と標準エラー出力をファイルにリダイレクトしてください。

/bin/date > date.txt 2>&1

ファイルのコピー時は,次のように実行し,ファイルの属性を維持してコピーしてください。

cp -p (コピー元) (コピー先)

表9-7 Linux,HP-UX,またはAIXのシステム情報

情報の種類 採取資料
資料採取日時 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/dateコマンド
HP-UXまたはAIXの場合
/usr/bin/dateコマンド
シスログ 次のファイルのコピー
Linuxの場合
/var/log/message
/var/log/message.n※1
HP-UXの場合
/var/adm/syslog/syslog.log
AIXの場合
/var/adm/syslog/syslog.log
/var/adm/syslog/syslog.log.n※1
マシンに設定されているホスト名 次のファイルのコピー
/etc/hosts
マシンに設定されているサービスポートの設定 次のファイルのコピー
/etc/services
NICの実装状況 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/netstat -inコマンド
HP-UXまたはAIXの場合
/usr/bin/netstat -inコマンド
プロセス一覧 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/ps -elfaコマンド
HP-UXまたはAIXの場合
/usr/bin/ps -elfaコマンド
マシンの環境変数※2 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/envコマンド
HP-UXまたはAIXの場合
/usr/bin/envコマンド
カーネルパラメーター情報 次のコマンドの実行結果またはファイルのコピー
Linuxの場合
/sbin/sysctl -aコマンド
ulimit -aコマンド
HP-UXの場合
/usr/sbin/sysdefコマンド
/usr/sbin/kmtuneコマンド
/usr/sbin/kctuneコマンド
/usr/bin/ulimit -aコマンド
AIXの場合
/usr/sbin/lsattr -E -l sys0コマンド
/usr/bin/ulimit -aコマンド
/etc/security/limitsファイル
サーバのモデル 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/usr/sbin/dmidecodeコマンド
HP-UXの場合
/usr/bin/modelコマンド
AIXの場合
/usr/bin/uname -Mコマンド
CPU情報 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/cat /proc/cpuinfo
HP-UXの場合
/usr/contrib/bin/machinfoコマンド
AIXの場合
/usr/sbin/prtconfコマンド
共有メモリ情報 次のコマンドの実行結果
/usr/bin/ipcs -aコマンド
メモリ情報 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/cat /proc/meminfo
HP-UXの場合
/usr/sbin/swapinfo -tコマンド
AIXの場合
/usr/sbin/lsps -sコマンド
ディスク情報 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/df -P -l -B 1024コマンド
HP-UXの場合
/usr/bin/bdf -lコマンド
AIXの場合
/usr/bin/df -k -Pコマンド
PCIデバイス情報 次のコマンドの実行結果(Linuxの場合だけ)
/sbin/lspciコマンド
デバイス情報一覧 次のコマンドの実行結果(HP-UXまたはAIXの場合だけ)
HP-UXの場合
/usr/sbin/ioscan -nfkコマンド
AIXの場合
/usr/sbin/lsdevコマンド
システム診断状況 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/dmesgコマンド
HP-UXの場合
/etc/dmesgコマンド
AIXの場合
/usr/bin/alog -o -t bootコマンド
OSのパッチ適用状況 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/rpm -qaコマンド
HP-UXの場合
/usr/sbin/swlist -l productコマンド
/usr/sbin/swlistコマンド
/usr/sbin/swlist -l fileset -a patch_state *.*,c=patchコマンド
AIXの場合
/usr/bin/lslpp -l -aコマンド
/usr/sbin/instfix -a -icvコマンド
OSのバージョン情報 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
/bin/uname -aコマンド
HP-UXまたはAIXの場合
/usr/bin/uname -aコマンド
インストール済みの日立製品情報 次のコマンドの実行結果
/etc/.hitachi/pplistd/pplistdコマンド
Linuxリリース情報 次のファイルのコピー(Linuxの場合だけ)
/etc/redhat-release
ネームサービス設定ファイル 次のファイルのコピー
LinuxまたはHP-UXの場合
/etc/nsswitch.conf
AIXの場合
/etc/netsvc.conf
DNSサーバ設定ファイル 次のファイルのコピー
/etc/resolv.conf
ネットワーク・インターフェースの設定 次のコマンドの実行結果
Linuxの場合
sbin/ifconfig -aコマンド
HP-UXの場合
/usr/sbin/lanscanコマンド
AIXの場合
/etc/ifconfig -aコマンド
ネットワーク構成情報 次のファイルのコピー(Linuxの場合だけ)
/etc/sysconfig/network
システムクロック設定 次のファイルのコピー(Linuxの場合だけ)
/etc/sysconfig/clock
パケットフィルタリング設定 次のファイルのコピー(Linuxの場合だけ)
/etc/sysconfig/iptables
OS起動情報 次のファイルのコピー(Linuxの場合だけ)
/etc/rc.d/rc
NIC設定情報 次のファイルのコピー(Linuxの場合だけ)
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-*ファイル
IPルーティング情報 次のコマンドの実行結果(Linuxの場合だけ)
sbin/routeコマンド
パケットフィルタリング情報 次のコマンドの実行結果(Linuxの場合だけ)
/sbin/service iptables status
注※1
/var/log/message.nおよび/var/adm/syslog/syslog.log.nの「n」の部分にはログファイルの面数が入ります。
注※2
マシンの環境変数を採取する際は,認証情報に設定したユーザーまたはrootユーザーでコマンドを実行してください。

また,OSのデプロイに関するトラブルでは,管理対象のトラブル発生時に採取する資料に加え,次の資料を採取してください。

HVMへOSをデプロイした場合
マニュアル「JP1/ServerConductor/Deployment Manager」の資料採取の方法についての説明を参照して,必要な資料を採取してください。
デプロイ先でWindowsが起動している場合
次のセットアップログのコピーを採取してください。
%systemroot%\System32\sysprep\Panther\setupact.log