6.3 仮想ホストをマイグレーションする

1つの仮想ホストに負荷が集中し,同じ仮想化ソフトウェア上で動作するほかの仮想ホストに影響がある場合は,仮想ホストをマイグレーションし,負荷を分散できます。

■流れ
大まかな手順を次に示します。太字の部分がJP1/ITRMで実施する作業です。
  1. 用途に応じてマイグレーションの種類を決める。【必須】
    マイグレーションの種類が,ホットマイグレーションかコールドマイグレーションかによって,このあとの手順が異なります。
ホットマイグレーションの場合
  1. 仮想ホストをマイグレーションする。【必須】
コールドマイグレーションの場合
  1. 仮想ホストのOSがLinuxの場合,ネットワーク設定を特定のNICに固定する設定を解除する。【必須】
  2. 仮想ホストが稼働中の場合,停止する。【必須】
  3. 仮想ホストをマイグレーションする。【必須】
  4. 仮想ホストを起動する。【必須】
  5. 仮想ホストのOSがLinuxの場合,必要に応じてネットワーク設定を特定のNICに固定できるように設定する。【任意】
<この節の構成>
(1) 用途に応じてマイグレーションの種類を決める
(2) 仮想ホストをマイグレーションする
(3) 仮想ホストのOSがLinuxの場合,ネットワーク設定を特定のNICに固定する設定を解除する。
(4) 仮想ホストが稼働中の場合,停止する
(5) 仮想ホストのOSがLinuxの場合,必要に応じてネットワーク設定を特定のNICに固定できるように設定する

(1) 用途に応じてマイグレーションの種類を決める

仮想ホストを稼働させたままマイグレーションすることをホットマイグレーション,仮想ホストを停止させてマイグレーションすることをコールドマイグレーションと呼びます。それぞれのマイグレーションには,次の実行条件があります。実行条件と用途を考慮して使い分けてください。

(2) 仮想ホストをマイグレーションする

■注意事項

仮想ホストをコールドマイグレーションする場合,vCenter上で仮想ホストに作成していたスナップショットは破棄されます。

■操作の前に

仮想ホストをマイグレーションする場合,次の前提条件があります。

コールドマイグレーションする場合
  • 対象が次の状態で操作しないこと
    操作した場合は,エラーとなり処理が終了します。
    ・仮想ホストのネットワークアダプタまたはハードディスクが1つも接続されていない
  • 対象がVMwareの仮想ホストの場合,次の状態で操作しないこと
    操作した場合は,エラーとなり処理が終了します。
    ・仮想ホストが接続する仮想スイッチおよびポートグループが存在しない
    ・仮想ホストのネットワークアダプタが,分散仮想スイッチのVLANトランクポートに接続されている
  • vCenter上で仮想ホストに設定していたアフィニティルールの設定は破棄されるので,設定内容を控えておき,操作後にVMware管理クライアントを使って再設定すること
  • 仮想ホストの設定で次のデバイス構成の場合,設定を解除すること
    ・USBデバイスを構成している
    ・CD/DVDドライブに,ISOイメージ(拡張子isoのファイル)を設定している
    ・フロッピーディスクドライブに,フロッピーイメージ(拡張子flpのファイル)を設定している
    ・Raw Device Mappingのデバイスを構成している
ホットマイグレーションする場合
vCenter上で仮想ホストに設定していたアフィニティルールに従って移動先リソースプールを指定してください。
アフィニティルールに違反する移動先リソースプールを指定すると,ホットマイグレーションが失敗します。

■操作

  1. [リソース管理]タブを選択する。
  2. [リソース管理メニュー]から[すべてのリソース]または業務グループを選択する。
  3. リソース一覧エリアで,マイグレーションする仮想ホストを選択する。
  4. [アクション]メニューから[リソース操作]-[コールドマイグレーション](または[ホットマイグレーション])を選択する。
  5. [リソースプール選択]画面で移行先のリソースプールを選択し,[OK]ボタンをクリックする。
  6. 次の操作を実施する。
    コールドマイグレーションの場合
    [コールドマイグレーション先設定]画面で,仮想化ソフトウェア名,データストア名,仮想ネットワークデバイス名を指定して,[OK]ボタンをクリックします。
    仮想化ソフトウェア名,データストア名,仮想ネットワークデバイス名の横の[選択]ボタンをクリックすると,それぞれの設定画面が表示されます。
    ホットマイグレーションの場合
    [ホットマイグレーション先設定]画面で,仮想化ソフトウェア名を指定して,[OK]ボタンをクリックします。
    仮想化ソフトウェア名の横の[選択]ボタンをクリックすると,設定画面が表示されます。
    仮想ホストの複数仮想NICが同一ポートグループに接続している仮想ホストをコールドマイグレーションする場合,同一ポートグループに接続していた仮想NICを同じ名前の仮想ネットワークデバイスに接続するよう設定する必要があります。
    異なる名前の仮想ネットワークデバイスを選択した場合,コールドマイグレーションが失敗したり,設定が一部反映されないことがあります。

VMwareの場合,ポートグループの削除は成功,失敗のどちらでも正常終了となります。

ポートグループの削除が失敗している場合,どの仮想ホストも使用しないポートグループが残ることがあります。必要に応じて削除してください。

■設定項目

[リソースプール選択]画面
マイグレーション可能なリソースプール一覧が表示され,リソースプール名,種別,CPUの評価値,およびメモリの評価値の情報を確認できます。
[図データ]便利メモ
マイグレーション先が決定すると,移動する仮想ホストに設定されている予約が,マイグレーション先で予約できるかどうかがチェックされます。仮想ホストの容量が,マイグレーション先のリソースプールの容量を超える場合,警告ダイアログが出力されます。
jirmvmmigrateコマンドでも,仮想ホストをマイグレーションできます。jirmvmmigrateコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager リファレンス」を参照してください。

(3) 仮想ホストのOSがLinuxの場合,ネットワーク設定を特定のNICに固定する設定を解除する。

OSがLinuxの仮想ホストをコールドマイグレーションする場合,ネットワーク設定を特定のNICに固定する設定がされていないことを確認します。設定されていた場合は,解除してください。手順については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager 設計・構築ガイド」の管理対象となるホストの設定についての説明を参照してください。

(4) 仮想ホストが稼働中の場合,停止する

コールドマイグレーションの場合,仮想ホストが稼働していたら停止する必要があります。仮想ホストの停止については,「7.5 仮想ホストを停止する」を参照してください。

(5) 仮想ホストのOSがLinuxの場合,必要に応じてネットワーク設定を特定のNICに固定できるように設定する

コールドマイグレーション後,必要に応じてネットワーク設定を特定のNICに固定できるように設定してください。手順については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager 設計・構築ガイド」の管理対象となるホストの設定についての説明を参照してください。