JP1/IT Resource Management - Manager 設計・構築ガイド
ここでは,JP1/ITRMで物理ホストとしてLinux,HP-UX,AIXがインストールされているホスト,または仮想ホストとしてLinuxがインストールされているホストを管理するために必要な設定について説明します。
仮想ホストを設定する場合は,あわせて次の個所を参照してください。
JP1/ITRM接続用アカウントとして,一定期間経過しても,情報収集やタスク実行の操作時にログインできるアカウントを用意してください。
なお,このホストを仮想イメージテンプレートにする場合は,仮想イメージテンプレートの作成からデプロイするまでの期間が経過することになります。
JP1/ITRM接続用アカウントのログインshellを次のとおり設定します。
ログインshellがすでにこのとおりに設定されている場合は,この手順は不要です。
ログインshellを変更する方法の例を次に示します。
通常,ログイン時に自動起動スクリプトが実行され,エイリアスや環境変数が自動で設定されます。自動起動スクリプトはアカウントごとに設定できます。
アカウントごとの自動起動スクリプトがない場合,システム標準の自動起動スクリプトが実行されます。システム標準の自動起動スクリプトでエイリアスなどが設定されると動作に支障をきたすため,JP1/ITRM接続用アカウントに空の自動起動スクリプトを設定する必要があります。
自動起動スクリプトファイルには,ログインShellが起動したときにだけ起動するログイン用と,そのあとShellからほかのShellを起動したときにも起動するShell起動用の自動起動スクリプトと,設定が有効なOSの場合はログアウト時にOSによって自動起動されるスクリプトがあります。
また,bashとtcshではファイル名が異なります。
システム標準とアカウント個別,ログイン用とShell起動用とログアウト用の組み合わせに応じたファイル名を次の表に示します。
表6-5 自動起動スクリプトのファイル名(Linuxの場合)
| 自動起動スクリプトの種類 | 自動起動スクリプトのファイル名 | ||
|---|---|---|---|
| bash | tcsh | ||
| 標準 | ログイン用 | /etc/profile /etc/bash.bash_login |
/etc/csh.login |
| Shell起動用 | − | /etc/csh.cshrc | |
| ログアウト用 | /etc/bash.bash_logout | − | |
| 個別 | ログイン用 | ~/.bash_profile | ~/.login |
| Shell起動用 | ~/.bashrc | ~/.cshrc | |
表6-6 初期化スクリプトのファイル名(HP-UXの場合)
| 初期化スクリプトの種類 | 初期化スクリプトのファイル名 | |
|---|---|---|
| /sbin/sh | ||
| 標準 | ログイン用 | /etc/profile |
| Shell起動用 | − | |
| 個別 | ログイン用 | ~/.profile |
| Shell起動用 | − | |
表6-7 初期化スクリプトのファイル名(AIXの場合)
| 初期化スクリプトの種類 | 初期化スクリプトのファイル名 | |
|---|---|---|
| /usr/bin/ksh | ||
| 標準 | ログイン用 | /etc/profile |
| Shell起動用 | − | |
| 個別 | ログイン用 | ~/.profile |
| Shell起動用 | − | |
IP接続を許可するかどうかは,/etc/hosts.allowファイルおよび/etc/hosts.denyファイルで設定します。
デフォルトでは,すべてのIPアドレスからの接続が許可されています。/etc/hosts.denyファイルでの設定内容に応じて,/etc/hosts.allowファイルでの設定内容が変わります。必要に応じて,/etc/hosts.allowファイルを編集してください。
AIXの場合,OSを新規インストールした環境では,SSH接続をするためのソフトウェアがインストールされていません。そのため,OSに付属する媒体内に収録されているソフトウェア(OpenSSH)をインストールする必要があります。
OpenSSHをインストールする手順を次に示します。
# smit install_latest
# smit install_latest
管理対象のホストでSSHデーモンが自動起動する設定にしてください。また,ITRMからSSH接続するための追加の設定手順を次に示します。この手順はroot権限で実行してください。
表6-8 SSHの設定内容
| 設定項目 | 設定値 | 設定内容 |
|---|---|---|
| PermitRootLogin | Yes | rootユーザーで認証する場合は,Yesを設定しroot接続を許可します。一般ユーザーで認証する場合は,設定は不要です。デフォルトはYesです。 |
| PasswordAuthentication | Yes | パスワード認証を許可するよう設定します。 デフォルトはYesです。 |
| Protocol | "2,1"または"2"※ | 使用するSSHバージョンを設定します。デフォルトはバージョン2を許可する設定です。 |
| RequiredAuthentications2 | password | オプションが有効なOSの場合,使用する認証方法を設定します。 デフォルトは"password"です。 |
/etc/rc.d/init.d/sshd restart
/sbin/init.d/secsh stop /sbin/init.d/secsh start
/usr/bin/stopsrc -g ssh /usr/bin/startsrc -g ssh
sudoで,root権限で実行が必要なコマンドを登録する手順の例について説明します。この手順はroot権限で実行してください。
なお,次のアカウントだけでSSH接続を使用する場合,この設定は不要です。
JP1/ITRM接続用アカウント ホスト名 =NOPASSWD: /usr/sbin/dmidecode JP1/ITRM接続用アカウント ホスト名 =NOPASSWD: /usr/sbin/smartctl JP1/ITRM接続用アカウント ホスト名 =NOPASSWD: /sbin/multipath JP1/ITRM接続用アカウント ホスト名 =NOPASSWD: /sbin/shutdown |
JP1/ITRM接続用アカウント ホスト名 =NOPASSWD: /opt/DynamicLinkManager/bin/dlnkmgr JP1/ITRM接続用アカウント ホスト名 =NOPASSWD: /sbin/dlmcfgmgr |
RBACで必要なコマンドを登録する手順について説明します。この手順はroot権限で実行してください。
なお,次のアカウントだけでSSH接続を使用する場合,この設定は不要です。
# roleadm assign JP1/ITRM接続用アカウント Administrator # cat /etc/rbac/user_role root: Administrator JP1/ITRM接続用アカウント: Administrator |
# authadm list Administrator: (hpux.*, *) |
# cmdprivadm add cmd="/usr/sbin/diskinfo" ruid=0 euid=0 op=hpux.device.read # cmdprivadm add cmd="/opt/fcms/bin/fcmsutil" ruid=0 euid=0 op=hpux.device.read # cmdprivadm add cmd="/usr/sbin/shutdown" ruid=0 euid=0 op=hpux.admin.reboot |
# cmdprivadm add cmd="/usr/sbin/nwmgr" ruid=0 euid=0 op=hpux.network.config |
# cmdprivadm add cmd="/usr/sbin/nwmgr" ruid=0 euid=0 op=hpux.network.config cmdprivadm: warning: /usr/sbin/nwmgr is not a valid command. Please double check to make sure this is a intended command to add into the database file. /usr/sbin/nwmgr::(hpux.network.config,*):0/0/-1/-1:::: cmdprivadm added the entry to /etc/rbac/cmd_priv |
/usr/sbin/diskinfo:dflt:(hpux.device.read,*):0/0//:dflt:dflt:dflt: /opt/fcms/bin/fcmsutil:dflt:(hpux.device.read,*):0/0//:dflt:dflt:dflt: /sbin/shutdown:dflt:(hpux.admin.reboot,*):0/0//:dflt:dflt:dflt: /usr/sbin/nwmgr:dflt:(hpux.network.config,*):0/0//:dflt:dflt:dflt: |
RBACで必要なコマンドを登録する手順について説明します。この手順はroot権限で実行してください。
なお,次のアカウントだけでSSH接続を使用する場合,この設定は不要です。
表6-9 JP1/ITRMで必要なAIXの特権コマンド
| 特権コマンド | 必要な権限 |
|---|---|
| /usr/sbin/smtctl | aix.system.config.dlpar |
| /usr/sbin/sar | aix.system.stat |
| /usr/sbin/shutdown | aix.system.boot.shutdown |
| /usr/sbin/acct/fwtmp※ | aix.system.config.acct |
| /usr/bin/df※ | aix.fs.manage |
表6-10 /usr/sbin/acct/fwtmpコマンドの設定
| 項目名 | 設定する値 |
|---|---|
| Command Name | /usr/sbin/acct/fwtmp |
| Access Authorizations | aix.system.config.acct |
| Innate Privileges | PV_DAC_R PV_DAC_X PV_KER_WPAR |
| Security Flags | FSF_EPS |
表6-11 /usr/bin/dfコマンドの設定
| 項目名 | 設定する値 |
|---|---|
| Command Name | /usr/bin/df |
| Access Authorizations | aix.fs.manage |
| Innate Privileges | PV_DAC_R PV_DAC_X PV_KER_WPAR |
| Security Flags | FSF_EPS |
ロケールが異なる場合,項目名の表示が異なることがあります。
# smit mkrole
表6-12 ITRM用のロールの設定
| 項目名 | 設定する値 |
|---|---|
| Role NAME | 任意のロール名 |
| AUTHORIZATIONS | aix.system.config.dlpar aix.system.stat aix.system.boot.shutdown aix.system.config.acct aix.fs.manage |
# chuser roles=ITRM用ロール default_roles=ITRM用ロール JP1/ITRM接続用アカウント
# setkst
管理対象が仮想ホスト上のRed Hat Enterprise Linux 5の場合,次のコマンドを実行して,kudzuサービスを無効にしてください。この手順はroot権限で実行してください。
/sbin/chkconfig --level 345 kudzu off
なお,管理対象とするホストのOSが次の場合,この手順は不要です。
管理対象が仮想ホスト上のLinuxの場合,次の操作を実行して,ネットワーク設定を特定のNICに固定する指定を無効にしてください。この手順はroot権限で実行してください。
OSの構成についての注意事項を次に示します。
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