2.8.3 割り当て予約の対象となるITリソースの検索条件
(1) 物理ホスト
次の条件を満たす物理ホストが割り当て予約の対象となります。
- リソースグループの割り当て種別に共有が設定されている。
- 指定されたスペック(CPU,メモリ,NICポート数)を満たしている。
- ほかの予約IDで割り当て予約が設定されていない。
ただし,次の物理ホストは検索対象になりません。
- HAクラスタグループに所属している。
- ホスト上で仮想化環境管理ソフトウェアが動作している。
(2) 仮想ホスト
次の条件を満たす仮想ホストが割り当て予約の対象となります。
- リソースグループの割り当て種別に共有が設定されている。
- 指定されたスペック(CPU,メモリ)を満たす空きリソース量を持っている。
- 指定されたNICポート数を満たしている。
ただし,次の仮想ホストは検索対象になりません。
- HAクラスタグループに所属している。
- ホスト上で仮想化環境管理ソフトウェアが動作している。
空きリソース量は次の計算式で計算されます。
- 空きリソース量=リソースプールの総リソース量※1-リソースプールで動作している仮想ホストの使用リソース量の合計※2-リソースプール配下にあるプールおよびvAppの下限値の合計
- 注※1
- リソースプールの総リソース量は,リソースプールから取得した性能情報(CPUおよびメモリ容量)を基に,次のように定義します。
- CPU
- CPUのクロック数×コア数
- メモリ
- 搭載されている物理メモリ容量
- 仮想ホストの検索では,予約する期間に空きがあるかどうかを検索しています。検索時点では,仮想ホストに設定されているCPUやメモリを考慮しません。仮想ホストのスペックを変更したい場合は,「設定変更」タスクでスペックを変更してください。
- 注※2
- 仮想ホストの使用リソース量の合計は,次のように定義します。
- 共有リソースグループに属していて,かつ予約されているリソースの合計
- 占有リソースグループに属しているリソースの合計
ただし,vCenterをJP1/ITRMの管理対象にしていない場合,プールおよびvAppの使用量は0として扱われます。そのため,検索結果として出力された仮想化ソフトウェアに仮想ホストをデプロイしても,リソース不足でデプロイに失敗することがあります。vCenterをJP1/ITRMの管理対象としないでプールおよびvAppを使用している場合は,検索結果のCPU評価値およびメモリ評価値を参考にして,空きリソースに余裕があるリソースプールを使用してください。
なお,手動追加リソースは,物理ホストと同様に検索されます。リソースプールに空きがあるかどうかは,仮想ホストをデプロイするときにチェックされます。
また,仮想化ソフトウェアがHVMの場合,仮想ホストの占有NICはITリソースとしてカウントされません。そのため,検索条件として指定するNICはLPARに設定した仮想NICのポート数を指定してください。
仮想ホストの検索は仮想ホストの現在の性能値に関係なく,リソースプールの空きリソースに対して,指定されたスペックで割り当て予約をします。このため,指定されたスペックと,仮想ホストの現在のスペックが異なる場合は,指定された期間の前に別途,手動でスペックを変更する必要があります。手動でスペックを変更する方法については,「7.6.7 仮想ホストのスペックの変更」を参照してください。
(3) HAクラスタグループ
HAクラスタグループは,HAクラスタグループ中のホスト単位ではなく,HAクラスタグループ単位で割り当て予約を設定する必要があります。次のすべての条件を満たすHAクラスタグループが割り当て予約の対象になります。
- リソースグループの割り当て種別に共有が設定されている。
- HAクラスタグループ中のすべてのホストが,指定された業務グループに関連づけられていること。
- 検索期間中に割り当て予約が設定されていないこと。
- HAクラスタグループに物理ホストが含まれる場合,すべての物理ホストのうち,最小のスペックが検索条件として指定されたCPUおよびメモリ容量を満たすこと。
- HAクラスタグループに仮想ホストが含まれる場合,すべての仮想ホストが,検索期間中に指定されたCPUおよびメモリ容量のリソースを確保できること。※
- HAクラスタグループに含まれるすべてのホストが,検索条件として指定されたNICポート数を満たすこと。
- HAクラスタグループに含まれるすべてのホスト上で,仮想化環境管理ソフトウェアが動作していないこと。
- 注※
- リソースを確保できるかどうかは,仮想ホストの空きリソースの検索と同様の方法で計算されて判断されます。
(4) リソースプール
新規に仮想ホストをデプロイするための,次の条件を満たすリソースプールが割り当て予約の対象になります。
- 指定されたスペック(CPU,メモリ)の仮想ホストを構築する空きリソース量を持っている
空きリソース量は,次の補正をした値で算出します。
- 割り当て予約の対象となるリソースプール
リソースプールが仮想化ソフトウェアまたはVMクラスタの場合,割り当て予約の検索に使用するCPU性能およびメモリ性能は,仮想化ソフトウェア自身の管理用途分を確保するため,リソースプールに搭載された性能値を0.8倍に補正した値を使用します。
| CPU性能 | メモリ性能 |
---|
仮想化ソフトウェア | 搭載された性能値×0.8 | 搭載された性能値×0.8 |
VMクラスタ |
VMwareのプール | 搭載された性能値×1.0(補正なし) | 搭載された性能値×1.0(補正なし) |
VMwareのvApp |
- 予約する仮想ホスト
検索時に指定された仮想ホストのスペックのうちメモリ性能は,仮想化ソフトウェアのメモリ割り当て時のオーバーヘッド分を見込み,1.2倍に補正した値で検索します。
例えば,仮想化ソフトウェアの性能値として,CPUクロック2GHz,CPU2コア,メモリ32GBだった場合,割り当て予約の検索対象となる性能は,次のようになります。
- CPU性能
2(GHz)×2(コア)×0.8=3.2(GHz)
- メモリ性能
32(GB)×0.8=25.6(GB)
ここで,予約することができる仮想ホストの性能は,次のようになります。
- CPU性能
3.2(GHz)
- メモリ性能
25.6(GB)/1.2=21.33(GB)
- リソースプールがVMクラスタまたはVMクラスタ上に構築されたVMwareのプールおよびvAppの場合,リソースプールを構成する仮想化ソフトウェアのどれかが,指定されたスペック(CPU,メモリ)の仮想ホストを構築する空きリソース量を持っている
- リソースプールがVMクラスタの場合,VMクラスタ中の仮想化ソフトウェアが,指定された業務グループに関連づけられている
空きリソース量は仮想ホストの空きリソースの検索と同様の方法で計算されます。
指定されたスペックに対して,リソースプールに構築できる台数分の仮想ホストが検索結果として表示されます。タスクとして,デプロイまたは復元を登録して予約することで,タスクの実行時に仮想ホストがデプロイされます。
(5) 注意事項
検索条件についての注意事項を次に示します。なお,ここではvCenterに定義したプールおよびvAppをまとめてプールと表記します。