2.7.2 マイグレーション
仮想ホストの割り当てを見直して最適化を図るためのマイグレーションをJP1/ITRMで実行できます。JP1/ITRMには,管理する仮想ホストの状態に分けてコールドマイグレーション,およびホットマイグレーションの二種類のマイグレーションがあります。
各マイグレーションは,リソース管理画面の[アクション]メニューから操作したり,仮想ホストをリソースプールにドラッグ&ドロップしたりして実行できます。
図2-26 マイグレーションの操作
![[図データ]](figure/sk020250.gif)
ただし,複数の仮想ホストをマイグレーションする場合は,同一のリソースプール内にだけ移動できます。また,リソースプールを構成する仮想化ソフトウェアの種別は,マイグレーションの前後で切り替えられません。
なお,マイグレーションは,jirmvmmigrateコマンドでも実行できます。jirmvmmigrateコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager リファレンス」を参照してください。
- <この項の構成>
- (1) コールドマイグレーション
- (2) ホットマイグレーション
- (3) マイグレーションの注意事項
(1) コールドマイグレーション
停止中の仮想ホストを異なるリソースプールに移動します。
コールドマイグレーションが完了したあと,仮想ホストの電源が入ります。
コールドマイグレーションで移動の対象とする仮想ホストと,移動先に指定できるリソースプールの対応を次の表に示します。
表2-18 コールドマイグレーションで移動の対象とする仮想ホストと移動先に指定できるリソースプールの対応
移動の対象とする仮想ホスト | 移動先に指定できるリソースプール |
---|
リソースプールを構成する仮想化ソフトウェア | リソースプールの種類 |
---|
VMware上の仮想ホスト | VMware | - 仮想化ソフトウェア
- VMwareのリソースプール
- vApp
- VMクラスタ
|
Hyper-V上の仮想ホスト | Hyper-V | |
(2) ホットマイグレーション
稼働中の仮想ホストを異なるリソースプールに移動します。
ホットマイグレーションが完了したあとも,仮想ホストは稼働中のままです。
ホットマイグレーションで移動の対象とする仮想ホストと,移動先に指定できるリソースプールの対応を次の表に示します。
表2-19 ホットマイグレーションで移動の対象とする仮想ホストと移動先に指定できるリソースプールの対応
移動の対象とする仮想ホスト | 移動先に指定できるリソースプール |
---|
リソースプールを構成する仮想化ソフトウェア | リソースプールの種類 |
---|
VMware上の仮想ホスト | VMware | - 仮想化ソフトウェア
- VMwareのリソースプール
- vApp
- VMクラスタ
|
Hyper-V上の仮想ホスト | Hyper-V | |
(3) マイグレーションの注意事項
- 操作の対象がHyper-Vの場合,ゲストクラスタのノードはJP1/ITRMから退避・復元・マイグレーションをした場合,その仮想ホストおよびゲストクラスタの他ノードのクラスタとしての動作は保障されません。
- 操作の対象がVMware ESX 4.1以降の仮想ホストの場合,USBデバイスを構成していると,コールドマイグレーションが失敗します。コールドマイグレーションの前にUSBデバイスの設定を解除してください。
- 操作の対象がHyper-Vの場合,コールドマイグレーションを実施すると仮想ホストにチェックポイントが作成されます。このチェックポイントは移動先の仮想ホストに引き継がれます。
また,チェックポイントが作成されるため,仮想ホストのサイズが退避実行前よりも大きくなります。どの程度大きくなるかは,仮想ホストの使用状況によって変わります。
チェックポイントが不要な場合,SCVMM上から手作業で削除する必要があります。退避前に作成されたチェックポイントを用いて仮想ホストを以前の状態に戻すと,ネットワークアダプタが接続されていない状態になります。この場合,SCVMMの管理コンソールを用いて,仮想ホストのネットワークアダプタを設定し,ゲストOS上でネットワークの設定をする必要があります。
- ISOイメージをマウントした仮想ホストをコールドマイグレーションした場合,復元時に仮想ホストは復元されますがISOイメージは復元されません。
このため,移動先でISOイメージを使用する場合は,SCVMMの画面でライブラリ共有にあるISOイメージを復元後の仮想ホストにマウントする必要があります。なお,退避元と復元先のSCVMMが異なる場合は,マウント前に退避元のSCVMMのライブラリ共有から退避先のSCVMMのライブラリ共有にISOイメージを複製して登録しておく必要があります。
また,バーチャルフロッピーディスクを使用したままコールドマイグレーションすると,エラーとなり操作が失敗します。この場合,SCVMMの管理コンソールから,対象の仮想ホストのフロッピーディスクドライブを「メディアなし」にしてからコールドマイグレーションしてください。
- パススルーディスクを持つ仮想ホストをマイグレーションした場合,エラーとなり操作が失敗します。
- コールドマイグレーションを実施するときは,退避イメージ格納フォルダに十分な空き容量が必要になります。
- 次に示す条件でコールドマイグレーションを実施した場合,コールドマイグレーションの復元でエラーとなります。
- 仮想ホストの仮想NICに設定されているポートグループのVLANIDが4095で,移動先の仮想スイッチが分散仮想スイッチである。
- 仮想ホストの仮想NICに設定されているポートグループのVLANIDと同じ値のセカンダリVLANIDが,移動先のプライベートVLAN設定に存在する。かつ,その値のセカンダリVLANIDを持つプライベートVLANポートグループが存在しない。
コールドマイグレーションの復元でエラーとなった場合,退避は成功しているため仮想ホストはVMware上から削除されています。仮想ホストを元の状態に戻すには,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager 運用ガイド」のタスク実行中のサービス停止・エラー発生後の回復処理の失敗によるタスク失敗時の対処方法についての説明を参照して,対処してください。
- 次に示す状態の仮想ホストをマイグレーションした場合,移動元および移動先のHyper-VおよびSCVMMがダイナミックメモリに対応していないと,エラーとなり操作が失敗します。
- Hyper-Vのダイナミックメモリが有効になっている仮想ホスト。
- ダイナミックメモリが有効になった状態で作成したチェックポイントを持つ仮想ホスト。
- Raw Device Mappingのデバイスを構成していると,コールドマイグレーションが失敗します。コールドマイグレーションの前にRaw Device Mappingのデバイスを解除してください。