6.5.1 OSカスタマイズ用応答ファイルの作成(VMware・Hyper-Vの場合)

仮想ホストのOSがWindows Server 2003またはWindows Server 2008以降の場合,OSカスタマイズ用応答ファイルを作成する必要があります。

OSカスタマイズ用応答ファイルとは,仮想イメージテンプレートから仮想ホストをデプロイするときに使用する設定ファイルです。デプロイで仮想ホストのOSに設定されるパラメーターが記述されています。一つのWindows Server 2003またはWindows Server 2008以降の仮想イメージテンプレートに対して,一つのOSカスタマイズ用応答ファイルを作成してください。また,デプロイ時,[デプロイ設定]画面にない項目については,仮想イメージテンプレートに指定した値が設定されるため,必要数だけ設定を変更した仮想イメージテンプレートを作成する必要があります。

仮想イメージテンプレートにする仮想ホストのOSに対応するOSカスタマイズ用応答ファイルを作成します。既存のOSカスタマイズ用応答ファイルを再編集する場合も,ここで説明する手順で作成したOSカスタマイズ用応答ファイルを使用してください。

なお,Hyper-Vを使用する場合,仮想イメージテンプレートにする仮想ホストはsysprepで初期化されてしまうため,仮想イメージテンプレート化後はその仮想ホストを継続して使用できません。仮想イメージテンプレート化後に引き続き使用する場合は,あらかじめ退避しておいてください。

OSカスタマイズ用応答ファイルを作成する手順について次に示します。

<この項の構成>
(1) Windows Server 2003の場合
(2) Windows Server 2008以降の場合

(1) Windows Server 2003の場合

  1. Windows Server 2003のセットアップで使用するsetupmgr.exeを用意する。
    setupmgr.exeは,セットアップに使用する媒体の,次のフォルダに格納されています。
    SUPPORT¥TOOLS¥DEPLOY.CAB
  2. setupmgr.exeを実行する。
    セットアップマネージャーが起動します。
  3. ウィザードに従って次の内容を設定して,OSカスタマイズ用応答ファイルを作成する。

    表6-21 ウィザードで設定する内容

    項目必須/任意作業内容
    [新規または既存の応答ファイル]必須目的に合わせて選択します。
    [セットアップの種類]必須[Sysprepセットアップ]を選択します。
    [製品]必須Windows Server 2003のエディションを選択します。
    [使用許諾契約書]必須[はい、インストールを完全に自動化します]を選択します。
    [名前と組織名]必須(名前)
    任意(組織名)
    名前と組織名を入力します。
    [ディスプレイの設定]任意任意の内容を設定します。
    [タイムゾーン]必須一覧から選択します。
    [プロダクトキー]必須Windowsのプロダクトキーを入力します。
    [ライセンス モード]必須用途に合わせて選択します。
    [コンピュータ名]必須[コンピュータ名を自動で生成する]を選択します。ただし,ここでの設定はOSカスタマイズで変更されるため有効となりません。
    [Administratorのパスワード]必須次の3点を確認および設定します。
    • [次のAdministratorパスワードを使う(最大127文字以内で、大文字と小文字の区別が必要)]で,[パスワード]および[パスワードの確認入力]を空欄にする。
    • [応答ファイルのAdministratorパスワードを暗号化する]のチェックを外す。
    • [インストール先のコンピュータ起動時に、Administratorとして自動的にログオンする]のチェックを外す。
    [ネットワークコンポーネント]必須[標準的な設定]を選択します。
    [ワークグループまたはドメイン]必須用途に合わせてワークグループまたはドメインを選択・設定します。空には設定できません。
    ドメインを選択・設定する場合,次の2点を確認してください。
    • [ドメインにコンピュータ アカウントを作成する]がチェックされていること。
    • [ユーザー名],[パスワード],および[パスワードの確認入力]に,デプロイ後の仮想ホストが参加するドメイン認証情報が入力されていること。[パスワード]は空を指定できない。
    次の条件の場合,[デプロイ設定]画面で指定したドメインの指定は無視され,デプロイした仮想ホストにはワークグループ(WORKGROUP)が設定されます。
    • ワークグループを指定した応答ファイルを格納した仮想イメージテンプレートを使用したとき
    [テレフォニー]必須次の4点を設定します。
    • [国または地域]に[指定されていません]を選択する。
    • [エリア コードまたは市外局番]を空欄にする。
    • [外線発信番号]を空欄にする。
    • [ダイヤル方法]に[指定されていません]を選択する。
    [地域の設定]必須[インストールするWindowsのバージョンに対する既定の地域の設定を使用する]を選択します。
    [言語]必須[言語のグループ]の一覧で選択されているものがあれば選択を取り消します。
    [プリンタのインストール]必須次の2点を設定します。
    • [ネットワーク プリンタ名]を空欄にする。
    • [インストールするプリンタ]を空欄にする。
    [Run Once]必須次の2点を設定します。
    • [追加するコマンド]を空欄にする。
    • [次のコマンドを実行します]を空欄にする。
    [追加のコマンド]必須次の2点を設定します。
    • [追加するコマンド]を空欄にする。
    • [次のコマンドを実行します]を空欄にする。
    [ID文字列]必須[ID 文字列]を空欄にします。
  4. 作成したOSカスタマイズ用応答ファイルを任意の場所に保存して,ファイル名をitrmsysp_任意の文字列.infに変更する。

(2) Windows Server 2008以降の場合

  1. Microsoftのホームページから,Windows自動インストールキット(Windows AIK)をダウンロードしてインストールする。
    Windows AIKバージョン3.0以降をダウンロードします。
    Windows Server 2012以降の場合,Windowsアセスメント&デプロイメントキット(Windows ADK)をダウンロードしてインストールする。
  2. Windowsの[すべてのプログラム]-[Windowsシステムイメージマネージャー]を選択する。
    Windowsシステムイメージマネージャーが起動します。
  3. [ファイル]-[Windows イメージの選択]を選択する。
  4. 仮想イメージテンプレートにする仮想ホストのOSに該当するエディションのカタログファイルを選択する。
    カタログファイルは,OSのセットアップに使用する媒体の,次のフォルダに格納されています。
    ¥sources
  5. [ファイル]-[新しい応答ファイル]を選択する。
  6. [編集]-[検索]を選択する。
    検索するためのウィンドウが表示されます。
  7. 表6-22の「検索に指定する文字列」を入力して検索する。
    • 「amd64(64bitOS)」と「x86(32bitOS)」の2種類が表示された場合
      仮想イメージテンプレートにする仮想ホストのOSの種類に合わせて選択してください。
    • 「amd64」と「wow64」の2種類が表示された場合
      「amd64」を選択してください。
    • 「WinPE」の記載あり,記載なしの2種類が表示された場合
      「WinPE」の記載がない方を選択してください。
  8. 検索結果をダブルクリックで選択する。
    選択した項目が[Windowsイメージ]エリアに表示されます。
  9. 表示された項目から表6-22の「[Windows イメージ]エリアで指定する項目」を選択する。
  10. 右クリックして表示されるメニューから表6-22の「[応答ファイル]エリアへの追加先」を選択して,[応答ファイル]メニューに追加する。
  11. [プロパティ]エリアで必要に応じてプロパティを入力する。
  12. 手順6から手順11の操作で,順番にプロパティを設定する。
    表6-22の「必ず入力するプロパティ」以外に追加する場合も,手順6から手順11の操作で設定してください。
  13. [ファイル]-[応答ファイルを保存]からOSカスタマイズ用応答ファイルを任意の場所に保存して,ファイル名をitrmsysp_任意の文字列.xmlに変更する。

    表6-22 必ず入力するプロパティ

    検索に指定する文字列[Windows イメージ]エリアで指定する項目※1[応答ファイル]エリアへの追加先必ず入力するプロパティ
    Microsoft-Windows-PnpSysprepMicrosoft-Windows-PnpSysprepgeneralizePersistAllDeviceInstalls=true
    Microsoft-Windows-International-CoreMicrosoft-Windows-International-CoreoobeSystemInputLocale=任意のロケール※2
    SystemLocale=任意のロケール※2
    UILanguage=任意のロケール※2
    UserLocale=任意のロケール※2
    Microsoft-Windows-Shell-SetupMicrosoft-Windows-Shell-Setup
      OOBE
    oobeSystemHideEULAPage=true
    NetworkLocation=Work
    ProtectYourPC=1
    SkipUserOOBE=true
    Microsoft-Windows-Shell-Setup
      UserAccounts
        AdministratorPassword
    oobeSystemValue=1文字以上の任意のパスワード
    JP1/ITRMのデプロイ時にこの項目を再設定するため,指定した値は有効になりません。
    Microsoft-Windows-Shell-SetupoobeSystemTimeZone = 任意のタイムゾーン※3
    Microsoft-Windows-Shell-SetupspecializeRegisteredOwner=任意の使用者名
    RegisteredOwnerを変更しない場合,使用者名はsysprepの初期値が設定されます。
    RegisteredOrganization=任意の組織名
    RegisteredOrganizationを変更しない場合,組織名はsysprepの初期値が設定されます。
    ComputerName=1文字以上の任意のコンピュータ名
    JP1/ITRMのデプロイ時にこの項目を再設定するため,指定した値は有効になりません。
    ProductKey=Windowsプロダクトキー
    Microsoft-Windows-UnattendedJoinMicrosoft-Windows-UnattendedJoin
      Identification
    specializeJoinWorkgroup=1文字以上の任意のワークグループ名※4
    または
    JoinDomain=1文字以上の任意のドメイン名
    Microsoft-Windows-UnattendedJoin
      Identification
        Credentials
    specializeDomain=JoinDomainで指定したドメイン名※5
    Password=ドメインアカウントのパスワード※5
    Username=ドメインアカウントのユーザー名※5
    Microsoft-Windows-TCPIPMicrosoft-Windows-TCPIP
      Interfaces
        Interface
    specializeIdentifier=1文字以上の任意の数字
    テンプレートの構成に関係なく1つの定義を作成します。JP1/ITRMのデプロイ時にこの項目を再設定するため,指定した値は有効になりません。
    Microsoft-Windows-DNS-ClientMicrosoft-Windows-DNS-Client
      Interfaces
        Interface
    specializeIdentifier=1文字以上の任意の数字
    テンプレートの構成に関係なく1つの定義を作成します。JP1/ITRMのデプロイ時にこの項目を再設定するため,指定した値は有効になりません。
    注※1
    下線の項目を選択します。
    注※2
    指定する値は,Windows AIKのヘルプで確認します。
    日本のロケールを指定する場合は,「ja-JP」を指定します。
    注※3
    指定する値は,Windowsシステムイメージマネージャーのヘルプ,または,コマンドプロンプトで次のコマンドを実行して,指定できる値を確認します。
    tzutil /l
    日本のタイムゾーンを指定する場合は,「Tokyo Standard Time」を指定します。
    注※4
    次の条件の場合,[デプロイ設定]画面で指定したドメインの指定は無視され,デプロイした仮想ホストにはワークグループ(WORKGROUP)が設定されます。
    ・JoinWorkgroupを指定した応答ファイルを格納した仮想イメージテンプレートを使用した場合
    注※5
    Microsoft-Windows-UnattendedJoin-IdentificationでJoinDomainを指定した場合は必ず指定してください。JoinWorkgroupを指定した場合は,JP1/ITRMの[デプロイ設定]画面でドメインを指定しても有効になりません。ドメインアカウントのパスワードは空を指定できません。