2.7.3 仮想ホストの構成変更
JP1/ITRMでは,仮想ホストのデプロイ,デプロイされた仮想ホストの削除,仮想ホストの設定変更など,仮想ホストの構成変更の操作をリソース管理画面の[アクション]メニューから実行できます。なお,停止状態で仮想ホストの設定を変更した場合,設定変更後は電源が入った状態になります。
ここでは,仮想ホストの構成変更について説明します。
- <この項の構成>
- (1) デプロイ
- (2) デプロイ後の仮想ホストの設定変更
- (3) 仮想ホストの削除
(1) デプロイ
仮想ホスト名,リソースプール名など,デプロイに必要な項目を[デプロイ設定]画面で設定します。
デプロイには,仮想化環境管理ソフトウェアで作成した仮想イメージテンプレートを使用できます。仮想イメージテンプレートを使用すると,OSの種類,CPU周波数などの項目が自動的に設定されます。仮想イメージテンプレートの管理については,「2.7.5 仮想イメージテンプレートの管理」を参照してください。
デプロイされた仮想ホストは,自動的に電源が入ります。
図2-27 [デプロイ設定]画面
![[図データ]](figure/sk020260.gif)
なお,デプロイは,jirmvmdeployコマンドでも実行できます。jirmvmdeployコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager リファレンス」を参照してください。
VMwareの場合,1ギガバイトを1,024メガバイトに変換して,メモリの設定をデプロイします。その際,1メガバイトに満たない小数点以下を切り捨てます。また,メガバイト単位に変換したあとの1の位は,4の倍数で補正されます。
Hyper-Vの場合,1ギガバイトを1,024メガバイトに変換して,メモリの設定をデプロイします。その際,1メガバイトに満たない小数点以下を切り捨てます。また,メガバイト単位に変換したあとの1の位は,2の倍数に切り下げられます。
HVMの場合,0.25ギガバイト単位でメモリを設定してください。
- 選択した仮想イメージテンプレートのOSがLinuxの場合
- 選択した仮想イメージテンプレートのOSがLinuxまたは仮想イメージテンプレートのデプロイ先がHVMの場合
- ネットワーク定義内で各NICに設定するDNSサフィックスに指定する名称は,OSに反映されません。
- 分散仮想スイッチを設定している場合のデプロイ後の接続先について
- VMwareの仮想ホストの仮想スイッチが分散仮想スイッチの場合,デプロイ後の接続先ポートグループに,ユーザーが指定したVLANIDが存在するかどうかで,仮想スイッチの接続先が変わります。分散仮想スイッチを設定している場合のデプロイ後の接続先について次の表に示します。
表2-20 分散仮想スイッチを設定している場合のデプロイ後の接続先
項番 | 接続先ポートグループの条件 | デプロイ後の接続先 |
---|
1 | ユーザーが指定したVLANID(0~4094)が,通常ポートグループおよびプライベートVLAN設定のセカンダリに存在しない。 | 通常ポートグループを新規に作成して,そのポートグループに接続します。 |
2 | ユーザーが指定したVLANID(0~4094)が,通常ポートグループに存在する。 | 既存の通常ポートグループに接続します。 |
3 | ユーザーが指定したVLANID(0~4094)が,プライベートVLAN設定のセカンダリに存在する。かつ,そのセカンダリを持つポートグループが存在しない。 | エラーとなりデプロイが失敗します。 |
4 | ユーザーが指定したVLANID(0~4094)が,プライベートVLAN設定のセカンダリに存在する。かつ,そのセカンダリを持つポートグループが存在する。 | 既存のプライベートVLANポートに接続します。 |
5 | ユーザーがVLANIDに4095を指定した。 | エラーとなりデプロイが失敗します。 分散仮想スイッチの場合,VLANIDに4095を指定できません。 |
6 | ユーザーが指定したVLANID(0~4094)に対応するポートグループが,分散仮想スイッチに存在する。かつ,そのポートグループと同一名のポートグループが標準仮想スイッチにも存在する。 | 分散仮想スイッチの既存のポートグループに接続します。ただし,デプロイした仮想ホストは「物理」と表示され電源操作などの操作ができません。その場合,ポートグループ名を重複しないように変更してから対象の仮想ホスト,仮想化ソフトウェアおよび仮想化環境管理ソフトウェアに対して再収集してください。 |
- デプロイ先の仮想化ソフトウェアがHyper-Vでクラスタ環境である場合の仮想ホスト「可用性」について
- デプロイ先の仮想化ソフトウェアがHyper-Vでクラスタ環境の場合,Hyper-V上の仮想ホストの「可用性」はJP1/ITRMが自動で「高」に設定します。
- なお,クラスタ環境でない場合は「可用性」をJP1/ITRMが自動で「標準」に設定します。
- 構成情報が正しく取得できていない場合の注意事項
- タスクの状態が完了となっても構成情報が正しく取得できていない場合は,トポロジ表示が不完全だったり,後続のタスクが失敗したりすることがあります。
- タスク完了後,リソース管理画面のテーブルビューでタイプが仮想となっていることを確認してください。仮想以外の場合には,構成情報が正しく取得できていないため,次の対処をしてください。
- リソース管理画面のテーブルビューでタイプが空白になっている場合
対象の仮想ホストに対して探索し,タイプが仮想となることを確認してください。
- リソース管理画面のテーブルビューでタイプが物理になっている場合
対象の仮想ホスト,仮想化ソフトウェアおよび仮想化環境管理ソフトウェアに対して再収集し,タイプが仮想となることを確認してください。
- HVMに仮想ホストをデプロイする場合の注意事項
- SMI-Sプロバイダの注意事項
- JP1/ITRMとHitachi Device Managerで,取得しているストレージの構成情報が一致している必要があります。
- ストレージ上のDPプール使用率のしきい値と仮想化超過率のしきい値は,Hitachi Device Managerから管理してください。JP1/ITRMからは管理できません。
- 仮想ホストのデプロイを実行する場合,リソース管理画面およびコマンドで指定したDPプールに,新規に作成されたLUが使用されます。作成済みのLUは使用できません。
- ホストグループはデプロイ時に新規に作成されます。ストレージ上に作成済みのホストグループは使用できません。
なお,作成されたホストグループの情報は,メッセージ(KNAR54280-I)に出力されます。メッセージに出力される内容については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager メッセージ」を参照してください。
- ホストグループ名は指定できません。ストレージのホストグループ名は「HCMDxxxx」が自動で設定されます(xxxxは16進数の英数字)。
- JP1/ITRMから作成したホストグループには,ホストモードは設定されません。ホストモードを設定する必要がある場合は,デプロイ完了後に手動で設定してください。
- LUの番号は指定できません。LUの番号には,使用されていない最小の番号が自動で設定されます。また,ホストグループにLUを追加する場合,LUNには「0」が設定されます。
なお,作成されたLUの情報は,メッセージ(KNAR54278-I)に出力されます。メッセージに出力される内容については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager メッセージ」を参照してください。
- JP1/SC/DPMの注意事項
- JP1/SC/DPMの更新モード中の場合,JP1/ITRMからデプロイを実行できません。デプロイするときは,JP1/SC/DPMを更新モードに設定しないでください。
- JP1/SC/DPMでは,最大で同時に1,000台の仮想ホストを運用できます。ただし,同時にデプロイする仮想ホストが多いと,ネットワークの負荷が大きくなることが予想されるため,実際にシステムが動作する環境でテストしてから運用する仮想ホストの数を決定してください。
- 仮想ホストのOSがWindows Server 2008の場合,仮想イメージテンプレートの元になったホストが参加していたワークグループが設定されます。[デプロイ設定]画面の[Windowsドメイン名/ワークグループ名]の設定は無視されます。
- JP1/SC/DPMで作成するグループ名に「jp1itrm_group」は使用しないでください。
- JP1/SC/DPMに作成されるグループ名のうち,「jp1itrm」は,JP1/ITRM終了後も残りますが削除しないでください。
- ITリソース管理サーバから,JP1/ITRMと異なるユーザーおよびパスワードで,エクスプローラを使用して管理サーバ for DPMの複製用情報ファイル格納フォルダにアクセスすると,以後のデプロイ時にアクセスエラーが発生してデプロイに失敗します。この場合,ITリソース管理サーバを再起動するか,次の手順を実行してください。
1. コマンドプロンプトで「net use」を実行して,管理サーバ for DPMの複製用情報ファイル格納フォルダに接続されているかどうかを確認する。
2. 複製用情報ファイル格納フォルダに接続されていた場合,すべてのエクスプローラを閉じたあと,次のコマンドを実行して接続を切断する。
net use ¥¥管理サーバ for DPMのIPアドレス¥複製用情報ファイル格納フォルダ名 /delete
- 仮想NICの設定は4つまで有効になります。5つ以上の仮想NICが設定された場合,有効になる仮想NICの優先順位は次のとおりです。
1. 管理用仮想NIC > 業務用仮想NIC
2. 仮想NIC番号の昇順
- 仮想イメージテンプレートのOSがWindowsの場合,OSのパスワードの文字数は,14文字以下で指定してください。15文字以上のパスワードを指定すると,デプロイに失敗します。
- OSがWindowsの仮想イメージテンプレートをデプロイすると,ITリソース管理サーバ上のイメージビルダー(リモートコンソール)に設定されている管理サーバ for DPMのIPアドレスがクリアされます。ユーザーがイメージビルダー(リモートコンソール)を直接操作する際は,管理サーバ for DPMのIPアドレスを再設定してください。
- JP1/SC/DPMの管理対象に,MACアドレスがFF-FF-FF-FF-FF-FFのマシンを登録しないでください。MACアドレスがFF-FF-FF-FF-FF-FFのマシンを登録した場合,JP1/SC/DPMからマシンが削除されるときがあります。
- JP1/SC/DPMを09-10より前のバージョンから09-10以降にバージョンアップした場合,仮想イメージテンプレートにする仮想ホストのバックアップイメージファイルを作成し直してください。そのあと,仮想イメージテンプレートを作成し直してください。
- VMwareのDRSクラスタで仮想ホストをデプロイする場合の注意事項
- DRSクラスタの注意事項
- デプロイ実行後,DRSクラスタなどの自動最適化機能によって,仮想ホストが動作する仮想化ソフトウェアが変更されている場合があります。変更されていた場合,デプロイ完了後の仮想ホストのタイプが「物理」となっていることがあります。その場合,同一クラスタ内の仮想ホストと仮想化ソフトウェアの構成情報を再収集して,仮想ホストのタイプが「仮想」となっていることを確認してください。
(2) デプロイ後の仮想ホストの設定変更
デプロイ後の仮想ホストは,必要に応じてCPU周波数,CPUコア数,およびメモリの設定を変更できます。そのほかの項目は,仮想イメージテンプレートを作成したときの設定内容が表示されます。
デプロイ後の設定変更は,[サーバの設定変更]画面から実行できます。なお,手動追加リソースの場合は,[手動追加リソース設定]画面から項目を変更できます。
図2-28 仮想ホストの設定変更
![[図データ]](figure/sk020270.gif)
仮想ホストの起動中は,仮想化ソフトウェアがVMware,またはHVMの場合だけCPU周波数が変更できます。仮想化ソフトウェアがHyper-Vの場合は,仮想ホストの起動中に設定を変更できません。
また,仮想ホストのCPUとメモリを仮想化ソフトウェアの空きリソース以上に設定変更をした結果,仮想化ソフトウェアのCPUとメモリのリソースが不足し,仮想ホストの起動に失敗して,タスクが失敗することがあります。この場合,設定変更のタスクは失敗していますが,設定変更の内容は仮想ホストに反映されます。最新の設定をJP1/ITRMに反映させるために,仮想ホストが存在する仮想化ソフトウェアの構成情報を再収集し,次のどちらかの対処をしてください。
- 対象の仮想ホストのCPUとメモリが仮想化ソフトウェアの空きリソース内に収まるように設定変更をする。
- 不要な仮想ホストを停止するなどして仮想化ソフトウェアの空きリソースを増やしたあと,対象の仮想ホストを起動する。
なお,デプロイ後の仮想ホストの設定変更は,jirmvmconfigコマンドでも実行できます。jirmvmconfigコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager リファレンス」を参照してください。
(3) 仮想ホストの削除
デプロイ後の仮想ホストは,必要に応じて削除できます。デプロイ後の仮想ホストの削除は,[アクション]メニューの[削除]から実行できます。
削除した仮想ホストは,管理対象から外れて,一時的に[削除待ちリソース一覧]エリアへ遷移します。[削除待ちリソース一覧]エリアに遷移した仮想ホストの情報は,次のように扱われます。
- IPアドレス情報およびMACアドレス情報は,削除されます。
- 削除待ちにあるITリソースを自動的に削除する機能によって,30日後にITRM上から完全に削除されます。
- 再度,管理対象に移動することはできません。
- 削除した仮想ホストと同一のホスト名および管理IPアドレスで,新たに仮想ホストを導入した場合でも,重複ホスト名解決の対象になりません。
- 仮想ホストの削除によって,[削除待ちリソース一覧]エリアに遷移した仮想ホストは,[削除待ちリソース一覧]エリアのIPアドレス欄が空欄になります。
[削除待ちリソース一覧]エリアでITリソースを選択し,[削除]ボタンをクリックすることによって,手動でITRM上から完全に削除できます。ただし,削除した仮想ホストの性能情報が,過去1日分集計されない場合があります。
図2-29 仮想ホストの削除
![[図データ]](figure/sk020280.gif)
仮想ホストの削除は,jirmvmdelコマンドでも実行できます。jirmvmdelコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager リファレンス」を参照してください。
VMwareの仮想ホストを削除する場合の注意事項を次に示します。
- VMwareの仮想ホストを削除する場合の注意事項
- Raw Device Mappingのデバイスを構成している場合,削除前にRaw Device Mappingのデバイスを必ず解除してください。解除しないで仮想ホストを削除した場合,仮想化ソフトウェアにRaw Device Mapping関連のファイルが残る場合があります。
HVMの仮想ホストを削除する場合の前提条件および注意事項を次に示します。
- HVMの仮想ホストを削除する場合の前提条件
- DPプールから作成されたLU,またはRAIDグループから作成されたLUどちらかで動作する仮想ホストである必要があります。
- JP1/ITRMとHitachi Device Managerで,取得しているストレージの構成情報が一致している必要があります。
- 削除できる仮想ホストとストレージの構成は次のとおりです。
- 仮想ホストに対して,WWPN,ホストグループ,ブートLUが1対1で関連づいている。
- 仮想ホストと関連づいているWWPN,ホストグループ,ブートLUは,ほかの仮想ホストと関連づいていない。
なお,仮想ホストの構成がデプロイ時から変更されていない場合は,削除できます。
- HVMの仮想ホストを削除する場合の注意事項
- デプロイ後の仮想ホストに対して,Hitachi Device Managerからストレージの構成を変更した場合,削除前にストレージの構成を前提条件に示した削除できるストレージの構成にしてから,構成情報を再収集しておいてください。
- 仮想ホストが,前提条件に示した削除できる仮想ホストとストレージの構成に該当しない場合,仮想ホストは削除されません。
- JP1/ITRMは,デプロイ時に作成されたホストグループ,ブートディスクと手動で作成したホストグループ,ブートディスクを区別できません。そのため,仮想ホストの削除時には,手動で作成したホストグループ,ブートディスクも削除されます。
なお,削除されたLUやホストグループの情報は,メッセージ(KNAR54282-I,KNAR54284-I)に出力されます。メッセージに出力される内容については,マニュアル「JP1/IT Resource Management - Manager メッセージ」を参照してください。