3.15.2 機能ごとの定義内容
- 〈この項の構成〉
(1) FTPクライアントの自IPアドレスの指定を有効にする
クライアント側からファイル伝送するときに,FTPクライアントの自IPアドレスを指定できるようになります。
FTPクライアントの自IPアドレスの指定を有効にするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にspecify client localhostを定義します。指定値の意味は次のとおりです。
-
YES:自IPアドレスの指定を有効にします。
-
NO:自IPアドレスの指定を無効にします。
自IPアドレスの指定を有効にした場合,FTPクライアントの自IPアドレスを指定できます。
自IPアドレスの指定を無効にした場合,FTPクライアントの自IPアドレスはOSが自動割り当てしたアドレスになります。
自IPアドレスの指定を有効にして,ホスト名を指定しなかった場合は,物理アドレス(OSのhostnameコマンドで返されるホスト名)を使用します。
機能の有効/無効と,FTPクライアントの自IPアドレス指定内容によるファイル伝送時の自IPアドレスの関係を次の表に示します。
コマンドまたはAPI |
ホスト名指定の有無 |
機能が有効の場合 |
機能が無効の場合 |
---|---|---|---|
ftstranコマンド |
ホスト名指定 |
指定されたホスト名のアドレス |
OS自動割り当てのアドレス |
ホスト名指定省略 |
物理アドレス |
OS自動割り当てのアドレス |
|
fts_ftp_open_ex()関数 |
ホスト名指定 |
指定されたホスト名のアドレス |
OS自動割り当てのアドレス |
NULL指定 |
物理アドレス |
OS自動割り当てのアドレス |
なお,自IPアドレス指定で指定するホスト名は,ftstranコマンドまたはfts_ftp_open_ex()関数を呼び出すユーザプログラムが動作するホストのホスト名を指定してください。
- (例)
-
FTPクライアントの自IPアドレス指定を有効にする例を次に示します。
この場合,FTPクライアントの自IPアドレスは次のように指定します。
- ftstranコマンドの場合
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FTPクライアントの自IPアドレスとして使用するアドレスのホスト名を,-Hオプションに指定します。ftstranコマンドについては,「6. コマンド」の「ftstran−伝送の実行−」を参照してください。
(例)伝送カードcard01に定義した伝送を,FTPクライアントlocalhostnameからファイル伝送する。
- APIの場合
-
fts_ftp_open_ex( char* hostname )関数で指定するJP1/FTPデーモンのホスト名(hostname)がFTPクライアントの自IPアドレスになります。fts_ftp_open_exについては,「7. APIライブラリ」の「fts_ftp_open_ex()−JP1/FTPデーモンとのコネクション確立−」を参照してください。
(2) FTPサーバで送信する応答メッセージ内のFTPサーバホスト名を,接続を受けたホストまたはアドレスにする
FTPサーバが送信する応答メッセージ内の自ホスト名を,接続を受けたアドレスにできます。FTPサーバが送信する応答メッセージを次に示します。
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制御コネクション確立直後
220 hostname FTP server (JP1/File Transmission Server/FTP VV-RR-SS month date year) ready.
-
STATコマンド受信後
211 hostname FTP server status:
これらのメッセージ中のhostnameが,接続を受けたアドレスになります。
応答メッセージ内のFTPサーバホスト名を,接続を受けたホストまたはアドレスにするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にresponse hostname reverse lookupを定義します。指定値の意味は次のとおりです。
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YES:機能を有効にします。IPアドレスからホスト名検索(ホスト名の逆引き)をして,接続を受けたアドレスのホスト名を応答メッセージに返します。
-
NO:機能を有効にします。応答メッセージには接続を受けたアドレスのIPアドレスを返します。IPアドレスからのホスト名検索(ホスト名の逆引き)はしません。
-
指定なし:機能を無効にします。応答メッセージには物理アドレス(OSのhostnameコマンドで返されるホスト名)のホスト名を返します。
- (例)
-
接続を受けたアドレスのホスト名で応答メッセージを返す例を次に示します。
(3) JP1イベント送信先を指定する
JP1イベントの送信先を指定できます。各デーモン(JP1/FTPデーモン,ログデーモン,運用管理エージェント)の起動・停止のJP1イベント送信先を指定します。対象のイベントIDは00010D20〜00010D28です。
JP1イベントの送信先の指定を有効にするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にjp1event hostを定義します。指定値の意味は次のとおりです。
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ホスト名|IPアドレス:指定のホストを各デーモンの起動・停止のJP1イベント送信先にします。
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指定なし:各デーモンの起動・停止のJP1イベントは,物理アドレス(OSのhostnameコマンドで返されるホスト名)に送信します。
また,JP1イベントの送信先を指定した場合,ファイル伝送終了時のJP1イベントは,デフォルトでは伝送を実行した自ホストをイベント送信先とします。対象のイベントIDは00010D0B〜00010D0Dです。
ファイル伝送終了時のJP1イベント送信先を,JP1イベント送信先で指定したホストにするには,定義ファイル(ftshostenv.conf)にjp1event trans is sameを定義します。指定値の意味は次のとおりです。
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YES:ファイル伝送終了時のJP1イベントの送信先を,jp1event hostで指定した送信先にします。
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NO:ファイル伝送終了時のJP1イベントの送信先を,伝送を実行したホストにします。
定義の指定内容によるファイル伝送終了時のJP1イベント送信先の関係を次の表に示します。
jp1event host |
jp1event trans is same |
ファイル伝送終了時のJP1イベント送信先 |
---|---|---|
指定あり |
YES |
jp1event hostで指定したホスト |
NO |
伝送を実行したホスト |
|
指定なし |
YES |
物理ホスト |
NO |
物理ホスト |
- (例)
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各デーモンの起動・停止およびファイル伝送終了時のJP1イベントの送信先ホストにjp1eventhostを指定する例を次に示します。