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JP1 Version 10 JP1/Advanced Shell


3.5.1 ジョブの種類ごとのジョブ実行ログの出力内容

ジョブ実行ログの出力内容は,実行したジョブの種類によって次のように異なります。

〈この項の構成〉

(1) ルートジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容

ルートジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容について,拡張出力モード,簡潔出力モードおよび最小出力モード(OUTPUT_MODE_ROOTパラメーターで指定)に分けて説明します。

(a) 拡張出力モードを選択した場合

拡張出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。

メッセージの出力先

内容

JOBLOG

スプール内のファイルに出力されます。

デバッグ実行時は,標準エラー出力にもジョブ実行中に出力されます。

スクリプトイメージ

スプール内のファイルに出力されます。

標準出力の出力先

次のどちらかで指定した出力先へ出力されます。

  • adshexecコマンドの-sオプション

  • 環境ファイルのOUTPUT_STDOUTパラメーター

デバッグ実行時は起動時の標準出力に出力されます。

標準エラー出力の出力先

スプール内のファイルに出力されます。

デバッグ実行時は起動時の標準エラー出力に出力されます。

ジョブごとにスプールジョブディレクトリが作成されます。

ジョブ実行後,標準出力を除いたジョブ実行ログの内容が標準エラー出力に出力されます。

デバッグ実行時は,ジョブ終了後のジョブ実行ログの内容を標準エラー出力に出力しません。

(b) 簡潔出力モードを選択した場合

簡潔出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。

メッセージの出力先

内容

JOBLOG

スプール内のファイルに出力されます。

スクリプトイメージ

標準出力の出力先

スプール内のファイルには出力されません。プロセス起動時の出力先に出力されます。

標準エラー出力のエラーメッセージと,標準出力のエラーメッセージが出力されます(デバッグ実行時にはエラーメッセージ以外のメッセージも出力されます)。

また,JOBLOGのエラーメッセージが標準エラー出力に出力されます。

通常実行時には,メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)は出力抑止されます。

標準エラー出力の出力先

なお,ジョブ終了時にジョブ実行ログは標準エラー出力に出力されません。

(c) 最小出力モードを選択した場合

最小出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。

メッセージの出力先

内容

JOBLOG

スプール内のファイルに,出力抑止対象外のメッセージが出力されます。

スクリプトイメージ

標準出力の出力先

スプール内のファイルには出力されません。プロセス起動時の出力先に出力されます。

標準エラー出力と標準出力の出力抑止対象外のメッセージが出力されます(デバッグ実行時には出力抑止対象外のメッセージも出力されます)。

また,JOBLOGの出力抑止対象外のメッセージが標準エラー出力に出力されます。

標準エラー出力の出力先

なお,ジョブ終了時にジョブ実行ログは標準エラー出力に出力されません。

出力が抑止されるメッセージは次のとおりです。

時期

出力抑止されるメッセージ

通常実行時

  • メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)

  • メッセージ種別がEの次に示すメッセージ

    KNAX0101-E,KNAX2201-E,KNAX6521-E,KNAX6522-E,KNAX6541-E,KNAX6542-E,KNAX6551-E,KNAX6552-E,KNAX6561-E,KNAX6562-E,KNAX6586-E,KNAX6591-E,KNAX6592-E,KNAX6593-E,KNAX6594-E,KNAX6596-E

  • メッセージ種別がIの次に示すメッセージ

    KNAX7893-I,KNAX7896-I

デバッグ実行時

  • メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)

  • メッセージ種別がEの次に示すメッセージ

    KNAX0101-E,KNAX2201-E,KNAX6521-E,KNAX6522-E,KNAX6541-E,KNAX6542-E,KNAX6551-E,KNAX6552-E,KNAX6561-E,KNAX6562-E,KNAX6586-E,KNAX6591-E,KNAX6592-E,KNAX6593-E,KNAX6594-E,KNAX6596-E

(2) 子孫ジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容

子孫ジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容について,拡張出力モード,簡潔出力モードおよび最小出力モード(OUTPUT_MODE_CHILDパラメーターで指定)に分けて説明します。子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージする場合の出力内容は,「(3) 子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージした場合」を参照してください。

(a) 拡張出力モードを選択した場合

拡張出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。

メッセージの出力先

内容

JOBLOG

一時的にスプール内のファイルに出力されます。

子孫ジョブ終了時に,プロセス起動時の標準エラー出力に出力したあと,スプール内のファイルは削除されます。

スクリプトイメージ

一時的にスプール内のファイルに出力されますが,子孫ジョブ終了時に削除されます。

標準出力の出力先

プロセス起動時の出力先に出力されます。

標準エラー出力の出力先

ジョブ実行中にスプールジョブディレクトリが作成されますが,ジョブ実行後に削除されます。その際,スプールジョブディレクトリ内に割り当てたプログラム出力データファイルも削除されます。そのため,スプールジョブディレクトリのリネーム成功を示すKNAX6380-Iメッセージは出力されません。

ジョブ実行後,JOBLOGの内容が標準エラー出力に出力されます。ただし,次に示すヘッダ行は出力されません。

---------------------------------------------------------------
 JP1/Advanced Shell バージョン番号
 
 [Information]
   Jobid           : ジョブ識別子
   Spool Directory : スプールジョブディレクトリパス
   Date            : 実行日付
   Config-system   : 環境ファイルパス(システム環境ファイル)
   Config-job      : 環境ファイルパス(ジョブ環境ファイル)
   HostName        : ホスト名
 [JP1 Parameter]
   JP1/AJSから渡された環境変数
---------------------------------------------------------------
********  JP1/Advanced Shell MESSAGE  ********

JOBLOG以外のジョブ実行ログは出力されないため,JP1/AJSやログインシェルなどからジョブ実行ログは参照できません。

なお,ジョブの終了コードは親プロセスのジョブのJOBLOGへ出力されるため,adshexecコマンドの実行終了を示すKNAX7999-Iメッセージは,標準エラー出力には出力されません。

(b) 簡潔出力モードを選択した場合

簡潔出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。

メッセージの出力先

内容

JOBLOG

ルートジョブのスプール内の子孫ジョブごとのファイルに出力されます。

スクリプトイメージ

一時的にスプール内のファイルに出力されますが,子孫ジョブ終了時に削除されます。

標準出力の出力先

プロセス起動時の出力先に出力されます。

標準エラー出力のエラーメッセージと,標準出力のエラーメッセージが出力されます。また,JOBLOGのエラーメッセージが標準エラー出力に出力されます。

エラーメッセージ以外のメッセージは出力されません。

メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)は出力抑止されます。

標準エラー出力の出力先

ジョブ実行中,JOBLOGにメッセージを出力します。このうち,エラーメッセージは標準エラー出力にも出力されます。

ジョブ実行ログは,ルートジョブのスプールジョブディレクトリ下に,子孫ジョブごとにファイル出力されます。ジョブの実行後もジョブ実行ログは標準エラー出力へ出力されません。

(c) 最小出力モードを選択した場合

最小出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。

メッセージの出力先

内容

JOBLOG

ルートジョブのスプール内の子孫ジョブごとのファイルに,出力抑止対象外のメッセージが出力されます。

スクリプトイメージ

一時的にスプール内のファイルに出力されますが,子孫ジョブ終了時に削除されます。

標準出力の出力先

プロセス起動時の出力先に出力されます。

標準エラー出力と標準出力の出力抑止対象外のメッセージが出力されます。また,JOBLOGの出力抑止対象外のメッセージが標準エラー出力に出力されます。

出力抑止したメッセージは出力されません。

標準エラー出力の出力先

出力が抑止されるメッセージは次のとおりです。

  • メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)

  • メッセージ種別がEの次に示すメッセージ

    KNAX0101-E,KNAX2201-E,KNAX6521-E,KNAX6522-E,KNAX6541-E,KNAX6542-E,KNAX6551-E,KNAX6552-E,KNAX6561-E,KNAX6562-E,KNAX6586-E,KNAX6591-E,KNAX6592-E,KNAX6593-E,KNAX6594-E,KNAX6596-E

  • メッセージ種別がIの次に示すメッセージ

    KNAX7893-I,KNAX7896-I

(3) 子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージした場合

SPOOLJOB_CHILDJOBパラメーターにMERGEを指定した場合,子孫ジョブのスプールジョブは,ルートジョブのスプールジョブへマージされます。その場合のジョブ実行ログの出力内容の概要を次に示します。ジョブ実行ログの全体の出力例は,「3.5.3 ジョブ実行ログの出力例(子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージした場合)」を参照してください。

(a) 通常実行時

  • JOBLOG

    子孫ジョブのJOBLOGは,子孫ジョブ実行の読み替え規則に合致した旨のメッセージと,子孫ジョブ実行コマンドの終了メッセージとの間に出力されます。

    出力されるJOBLOGの前後に,次の図のように子孫ジョブのJOBLOG出力開始と出力終了を示す記号を出力します。

    [図データ]

  • SCRIPT

    ルートジョブのSCRIPTの下に,子孫ジョブのSCRIPTを出力します。子孫ジョブの出力部分には,ヘッダ「******** Script IMAGE ********」は出力しません。

  • STDERR

    子孫ジョブの標準エラー出力の前後に,次の図のように子孫ジョブのSTDERR出力開始と出力終了を示す記号を出力します。

    この記号は,子孫ジョブが簡潔出力モードまたは最小出力モードの場合は出力しません。

    [図データ]

  • STDOUT

    STDOUTはマージされません。

(b) デバッグ実行時

  • JOBLOG

    通常実行時と同じ形式でマージされます。なお,子孫ジョブの終了直後に,標準エラー出力にも同じ内容が出力されます。

  • SCRIPT

    通常実行時と同じ形式でマージされます。なお,SCRIPTの内容は標準エラー出力には出力されません。

  • STDERR,STDOUT

    子孫ジョブの標準エラー出力の前後に,次の図のように子孫ジョブのSTDERRとSTDOUTを合わせたものの出力開始と出力終了を示す記号を出力します。子孫ジョブの標準エラー出力や標準出力をリダイレクトしている場合でも,[STDERR,STDOUT]という記号は標準エラー出力に出力されます。

    この記号は,子孫ジョブが簡潔出力モードまたは最小出力モードの場合は出力しません。

    [図データ]

(c) ルートジョブと子孫ジョブで出力モードが異なる場合

SPOOLJOB_CHILDJOB環境設定パラメーターにMERGEを指定し,かつルートジョブが拡張出力モード,子孫ジョブが最小出力モードで動作する場合,JOBLOGとSCRIPTのマージ結果は次のようになります。

  • JOBLOG

    • 最小出力モードで動作する子孫ジョブのJOBLOGに,メッセージが出力されていない場合

      この子孫ジョブのJOBLOGはルートジョブのJOBLOGにマージされません。そのため,子孫ジョブのJOBLOGの出力開始と出力終了を示す記号も出力されません。

    • 最小出力モードで動作する子孫ジョブのJOBLOGに,メッセージが出力されている場合

      この子孫ジョブのJOBLOGはルートジョブのJOBLOGにマージされます。また,子孫ジョブのJOBLOGの出力開始と出力終了を示す記号も出力されます。

    子孫ジョブのJOBLOGの出力開始と出力終了を示す記号は,通常実行時・デバッグ実行時とも">>>>>> [JOBLOG] パス名"と"<<<<<< [JOBLOG] パス名"です。

  • SCRIPT

    子孫ジョブのSCRIPTは,ルートジョブのSCRIPTにマージされません。

    また,子ジョブが最小出力モードで,そこから起動する孫ジョブが拡張出力モードまたは簡潔出力モードの場合も,子ジョブのSCRIPTがマージされないため,子ジョブのSCRIPTにマージされた孫ジョブのSCRIPTも出力されません。

    [図データ]

    ルートジョブが簡潔出力モードまたは最小出力モードの場合も同様です。ただし,その場合は標準エラー出力にSCRIPTを出力しません。