3.5.1 ジョブの種類ごとのジョブ実行ログの出力内容
ジョブ実行ログの出力内容は,実行したジョブの種類によって次のように異なります。
- 〈この項の構成〉
(1) ルートジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容
ルートジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容について,拡張出力モード,簡潔出力モードおよび最小出力モード(OUTPUT_MODE_ROOTパラメーターで指定)に分けて説明します。
(a) 拡張出力モードを選択した場合
拡張出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。
メッセージの出力先 |
内容 |
---|---|
JOBLOG |
スプール内のファイルに出力されます。 デバッグ実行時は,標準エラー出力にもジョブ実行中に出力されます。 |
スクリプトイメージ |
スプール内のファイルに出力されます。 |
標準出力の出力先 |
次のどちらかで指定した出力先へ出力されます。
デバッグ実行時は起動時の標準出力に出力されます。 |
標準エラー出力の出力先 |
スプール内のファイルに出力されます。 デバッグ実行時は起動時の標準エラー出力に出力されます。 |
ジョブごとにスプールジョブディレクトリが作成されます。
ジョブ実行後,標準出力を除いたジョブ実行ログの内容が標準エラー出力に出力されます。
デバッグ実行時は,ジョブ終了後のジョブ実行ログの内容を標準エラー出力に出力しません。
(b) 簡潔出力モードを選択した場合
簡潔出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。
メッセージの出力先 |
内容 |
---|---|
JOBLOG |
スプール内のファイルに出力されます。 |
スクリプトイメージ |
|
標準出力の出力先 |
スプール内のファイルには出力されません。プロセス起動時の出力先に出力されます。 標準エラー出力のエラーメッセージと,標準出力のエラーメッセージが出力されます(デバッグ実行時にはエラーメッセージ以外のメッセージも出力されます)。 また,JOBLOGのエラーメッセージが標準エラー出力に出力されます。 通常実行時には,メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)は出力抑止されます。 |
標準エラー出力の出力先 |
なお,ジョブ終了時にジョブ実行ログは標準エラー出力に出力されません。
(c) 最小出力モードを選択した場合
最小出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。
メッセージの出力先 |
内容 |
---|---|
JOBLOG |
スプール内のファイルに,出力抑止対象外のメッセージが出力されます。 |
スクリプトイメージ |
|
標準出力の出力先 |
スプール内のファイルには出力されません。プロセス起動時の出力先に出力されます。 標準エラー出力と標準出力の出力抑止対象外のメッセージが出力されます(デバッグ実行時には出力抑止対象外のメッセージも出力されます)。 また,JOBLOGの出力抑止対象外のメッセージが標準エラー出力に出力されます。 |
標準エラー出力の出力先 |
なお,ジョブ終了時にジョブ実行ログは標準エラー出力に出力されません。
出力が抑止されるメッセージは次のとおりです。
時期 |
出力抑止されるメッセージ |
---|---|
通常実行時 |
|
デバッグ実行時 |
|
(2) 子孫ジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容
子孫ジョブ実行時のジョブ実行ログの出力先と出力内容について,拡張出力モード,簡潔出力モードおよび最小出力モード(OUTPUT_MODE_CHILDパラメーターで指定)に分けて説明します。子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージする場合の出力内容は,「(3) 子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージした場合」を参照してください。
(a) 拡張出力モードを選択した場合
拡張出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。
メッセージの出力先 |
内容 |
---|---|
JOBLOG |
一時的にスプール内のファイルに出力されます。 子孫ジョブ終了時に,プロセス起動時の標準エラー出力に出力したあと,スプール内のファイルは削除されます。 |
スクリプトイメージ |
一時的にスプール内のファイルに出力されますが,子孫ジョブ終了時に削除されます。 |
標準出力の出力先 |
プロセス起動時の出力先に出力されます。 |
標準エラー出力の出力先 |
ジョブ実行中にスプールジョブディレクトリが作成されますが,ジョブ実行後に削除されます。その際,スプールジョブディレクトリ内に割り当てたプログラム出力データファイルも削除されます。そのため,スプールジョブディレクトリのリネーム成功を示すKNAX6380-Iメッセージは出力されません。
ジョブ実行後,JOBLOGの内容が標準エラー出力に出力されます。ただし,次に示すヘッダ行は出力されません。
--------------------------------------------------------------- JP1/Advanced Shell バージョン番号 [Information] Jobid : ジョブ識別子 Spool Directory : スプールジョブディレクトリパス Date : 実行日付 Config-system : 環境ファイルパス(システム環境ファイル) Config-job : 環境ファイルパス(ジョブ環境ファイル) HostName : ホスト名 [JP1 Parameter] JP1/AJSから渡された環境変数 --------------------------------------------------------------- ******** JP1/Advanced Shell MESSAGE ********
JOBLOG以外のジョブ実行ログは出力されないため,JP1/AJSやログインシェルなどからジョブ実行ログは参照できません。
なお,ジョブの終了コードは親プロセスのジョブのJOBLOGへ出力されるため,adshexecコマンドの実行終了を示すKNAX7999-Iメッセージは,標準エラー出力には出力されません。
(b) 簡潔出力モードを選択した場合
簡潔出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。
メッセージの出力先 |
内容 |
---|---|
JOBLOG |
ルートジョブのスプール内の子孫ジョブごとのファイルに出力されます。 |
スクリプトイメージ |
一時的にスプール内のファイルに出力されますが,子孫ジョブ終了時に削除されます。 |
標準出力の出力先 |
プロセス起動時の出力先に出力されます。 標準エラー出力のエラーメッセージと,標準出力のエラーメッセージが出力されます。また,JOBLOGのエラーメッセージが標準エラー出力に出力されます。 エラーメッセージ以外のメッセージは出力されません。 メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)は出力抑止されます。 |
標準エラー出力の出力先 |
ジョブ実行中,JOBLOGにメッセージを出力します。このうち,エラーメッセージは標準エラー出力にも出力されます。
ジョブ実行ログは,ルートジョブのスプールジョブディレクトリ下に,子孫ジョブごとにファイル出力されます。ジョブの実行後もジョブ実行ログは標準エラー出力へ出力されません。
(c) 最小出力モードを選択した場合
最小出力モードを選択した場合のジョブ実行ログの出力先を次に示します。
メッセージの出力先 |
内容 |
---|---|
JOBLOG |
ルートジョブのスプール内の子孫ジョブごとのファイルに,出力抑止対象外のメッセージが出力されます。 |
スクリプトイメージ |
一時的にスプール内のファイルに出力されますが,子孫ジョブ終了時に削除されます。 |
標準出力の出力先 |
プロセス起動時の出力先に出力されます。 標準エラー出力と標準出力の出力抑止対象外のメッセージが出力されます。また,JOBLOGの出力抑止対象外のメッセージが標準エラー出力に出力されます。 出力抑止したメッセージは出力されません。 |
標準エラー出力の出力先 |
出力が抑止されるメッセージは次のとおりです。
-
メッセージ種別がWおよびIのメッセージ(シグナル受信,イベント受信メッセージは除く)
-
メッセージ種別がEの次に示すメッセージ
KNAX0101-E,KNAX2201-E,KNAX6521-E,KNAX6522-E,KNAX6541-E,KNAX6542-E,KNAX6551-E,KNAX6552-E,KNAX6561-E,KNAX6562-E,KNAX6586-E,KNAX6591-E,KNAX6592-E,KNAX6593-E,KNAX6594-E,KNAX6596-E
-
メッセージ種別がIの次に示すメッセージ
KNAX7893-I,KNAX7896-I
(3) 子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージした場合
SPOOLJOB_CHILDJOBパラメーターにMERGEを指定した場合,子孫ジョブのスプールジョブは,ルートジョブのスプールジョブへマージされます。その場合のジョブ実行ログの出力内容の概要を次に示します。ジョブ実行ログの全体の出力例は,「3.5.3 ジョブ実行ログの出力例(子孫ジョブのスプールジョブをルートジョブのスプールジョブへマージした場合)」を参照してください。
(a) 通常実行時
-
JOBLOG
子孫ジョブのJOBLOGは,子孫ジョブ実行の読み替え規則に合致した旨のメッセージと,子孫ジョブ実行コマンドの終了メッセージとの間に出力されます。
出力されるJOBLOGの前後に,次の図のように子孫ジョブのJOBLOG出力開始と出力終了を示す記号を出力します。
-
SCRIPT
ルートジョブのSCRIPTの下に,子孫ジョブのSCRIPTを出力します。子孫ジョブの出力部分には,ヘッダ「******** Script IMAGE ********」は出力しません。
-
STDERR
子孫ジョブの標準エラー出力の前後に,次の図のように子孫ジョブのSTDERR出力開始と出力終了を示す記号を出力します。
この記号は,子孫ジョブが簡潔出力モードまたは最小出力モードの場合は出力しません。
-
STDOUT
STDOUTはマージされません。
(b) デバッグ実行時
-
JOBLOG
通常実行時と同じ形式でマージされます。なお,子孫ジョブの終了直後に,標準エラー出力にも同じ内容が出力されます。
-
SCRIPT
通常実行時と同じ形式でマージされます。なお,SCRIPTの内容は標準エラー出力には出力されません。
-
STDERR,STDOUT
子孫ジョブの標準エラー出力の前後に,次の図のように子孫ジョブのSTDERRとSTDOUTを合わせたものの出力開始と出力終了を示す記号を出力します。子孫ジョブの標準エラー出力や標準出力をリダイレクトしている場合でも,[STDERR,STDOUT]という記号は標準エラー出力に出力されます。
この記号は,子孫ジョブが簡潔出力モードまたは最小出力モードの場合は出力しません。
(c) ルートジョブと子孫ジョブで出力モードが異なる場合
SPOOLJOB_CHILDJOB環境設定パラメーターにMERGEを指定し,かつルートジョブが拡張出力モード,子孫ジョブが最小出力モードで動作する場合,JOBLOGとSCRIPTのマージ結果は次のようになります。
-
JOBLOG
-
最小出力モードで動作する子孫ジョブのJOBLOGに,メッセージが出力されていない場合
この子孫ジョブのJOBLOGはルートジョブのJOBLOGにマージされません。そのため,子孫ジョブのJOBLOGの出力開始と出力終了を示す記号も出力されません。
-
最小出力モードで動作する子孫ジョブのJOBLOGに,メッセージが出力されている場合
この子孫ジョブのJOBLOGはルートジョブのJOBLOGにマージされます。また,子孫ジョブのJOBLOGの出力開始と出力終了を示す記号も出力されます。
子孫ジョブのJOBLOGの出力開始と出力終了を示す記号は,通常実行時・デバッグ実行時とも">>>>>> [JOBLOG] パス名"と"<<<<<< [JOBLOG] パス名"です。
-
-
SCRIPT
子孫ジョブのSCRIPTは,ルートジョブのSCRIPTにマージされません。
また,子ジョブが最小出力モードで,そこから起動する孫ジョブが拡張出力モードまたは簡潔出力モードの場合も,子ジョブのSCRIPTがマージされないため,子ジョブのSCRIPTにマージされた孫ジョブのSCRIPTも出力されません。
ルートジョブが簡潔出力モードまたは最小出力モードの場合も同様です。ただし,その場合は標準エラー出力にSCRIPTを出力しません。