2.5.1 バージョンアップの注意事項
バージョン10-51では,SAPシステムとの通信に利用するRFCライブラリを,クラシックRFCライブラリからSAP NetWeaver RFC Libraryに変更しています。SAP NetWeaver RFC Libraryでは,クラシックRFCライブラリで提供されていたsaprfc.iniファイルの名称やパラメーターの仕様が変更されているため,バージョン10-00以前でsaprfc.iniファイルを使用していた場合には,次の仕様変更に注意して移行作業をする必要があります。
(1) ファイル名称の変更
従来のsaprfc.iniファイルは,sapnwrfc.iniファイルに名称が変更されています。バージョン10-00以前のsaprfc.iniファイルは,sapnwrfc.iniファイルにリネームしてください。
また,SAP NetWeaver RFC Libraryでは,sapnwrfc.iniファイルの名称は固定名称となりました。バージョン10-00以前で,同一のフォルダに任意名称のsaprfc.iniファイルを複数格納していた場合は,複数のファイルを別々のフォルダに分けて格納するなどの対応が必要です。
(2) パラメーター定義の変更
ファイル内に記述するパラメーターの定義が変更されています。JP1のサポート範囲では,SAP接続タイプパラメーター(TYPE)が廃止となりました。saprfc.iniファイルで,TYPEパラメーターを設定していた場合は,sapnwrfc.iniでは削除してください。
バージョン10-51以降のJP1がサポートするパラメーターを次の表に示します。
パラメーター |
説明 |
---|---|
DEST |
あて先を指定します。 |
ASHOST |
SAPシステムのホスト名を指定します。 |
SYSNR |
SAPシステムを識別するためのシステム番号を指定します。 |
MSHOST |
メッセージサーバのホスト名を指定します。 |
R3NAME |
SAPシステムのシステムIDを指定します。 |
GROUP |
ログオングループを指定します。 |
CLIENT |
ログオン先のSAPシステムで有効なクライアント番号を指定します。 |
USER |
ログオン先のSAPシステムで有効なユーザー名を指定します。 |
PASSWD |
USERに指定したSAPユーザーに対応するパスワードを指定します。 |
LANG |
ログオンに使用する言語種別を指定します。 |
CODEPAGE |
コードページ番号を指定します。 |
(3) 環境変数RFC_INIの変更
環境変数RFC_INIにsaprfc.iniファイルのパスを定義している場合には,(1)の定義変更に伴い,sapnwrfc.iniファイルのパスに定義し直してください。
なお,環境変数RFC_INIの定義変更を軽減するため,次の互換機能を用意しています。
- 互換機能
-
環境変数RFC_INIに"sapnwrfc.ini"で終わらないファイル名が指定された場合には,フォルダ名までを有効とし,そのフォルダ下のsapnwrfc.iniファイルを参照します。
この機能により,従来のsaprfc.iniファイルと同じフォルダにsapnwrfc.iniファイルを作成した場合には,環境変数RFC_INIの値を変更しなくてもsapnwrfc.iniファイルを参照できるようになります。