Hitachi

JP1 Version 10 JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1


付録B.1 データベース領域の見積もり

JP1/AJS3で使用するデータベースの規模には大・中・小があり,新規インストール時には小規模のデータベースにデータベース自動増分機能を設定した組み込みDBが構築されます。小規模モデルのディスク占有量は,次の値を目安にしています。

また,組み込みDBの高度なセットアップをすることで,データベースの規模を変更できます。規模を変更したい場合は,組み込みDBをアンセットアップしたあと,組み込みDBの高度なセットアップをする必要があります。

JP1/AJS3では複数の組み込みDB環境を構築して使用できますが,ここでは,一つの組み込みDB環境の見積もり方法について説明します。一つの組み込みDB環境に複数のスケジューラーサービスを構築する場合は,共存するすべてのスケジューラーサービス分を加算してください。

組み込みDB環境の構築時に指定できるデータベースモデルは次の表のとおりです。ファイルシステムによっては,より多くのディスク容量を必要とすることもあるため,空き容量に余裕があるディスクを使用してください。

なお,次の表に示す見積もりは,定期的にデータベースのメンテナンスを実施していることが前提です。自動増分機能を使用している場合,定期的にデータベースのメンテナンスを実施しないと,自動増分機能によって実際のサイズが見積もりより大きくなる場合があります。

表B‒1 組み込みDB環境の構築時に指定できるデータベースモデル

規模

用途

大規模

総ユニット数:48,000〜240,000程度

1日に実行されるユニット数:30,000〜120,000

ディスク容量の目安:約20,700メガバイト

(データ領域:約6,700メガバイト,システム領域:約14,000メガバイト)

自動増分機能を有効にしている場合:

想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。

20,700 + 0.1*(総ユニット数 - 240,000) メガバイト

中規模

総ユニット数:5,000〜48,000程度

1日に実行されるユニット数:5,000〜30,000

ディスク容量の目安:約4,200メガバイト

(データ領域:約1,400メガバイト,システム領域:約2,800メガバイト)

自動増分機能を有効にしている場合:

想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。

4,200 + 0.1*(総ユニット数 - 48,000) メガバイト

小規模

総ユニット数:〜5,000程度

1日に実行されるユニット数:〜5,000

ディスク容量の目安:約520メガバイト

(データ領域:約200メガバイト,システム領域:約320メガバイト)

自動増分機能を有効にしている場合:

想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。

520 + 0.1*(総ユニット数 - 5,000) メガバイト

総ユニット数は大規模に当てはまる(48,000〜240,000程度)が,1日に実行されるユニット数は中規模に当てはまる(5,000〜30,000程度)というように,上記の表に当てはまる規模がない場合は,次の計算をしてください。

(0.0045 * a) + (0.001 * b) + (c * 0.0065)(単位:メガバイト)
(凡例)

a:総ユニット数

b:すべての待ち合わせ条件付きユニットに定義される,待ち合わせの総数

c:

環境設定パラメーターSAVEGENTYPE=TOTALの場合

1日に実行されるユニット数 * (保存世代数 + 確定実行登録した予定世代数 + 1)

環境設定パラメーターSAVEGENTYPE=LEGACYの場合

ルートジョブネットとその配下のユニットの総数 * (保存世代数 + 1 + 保存世代数 * 保存世代数)

注※

コマンド文や実行ファイル名,スクリプトファイル名などのユニット定義で入力された値の合計を,1ユニット当たり2キロバイトとして計算しています。

ジョブネットリリース機能を使用する場合,リリース登録を行うリリース元ユニットのルートジョブネットとその配下のユニットについて,上記の式でサイズを算出し,加算してください。

算出した値が,200メガバイトを超える場合は中規模モデル,1,400メガバイトを超える場合は大規模モデルでの構築を推奨します。

算出した値が6,700メガバイトを超える場合は,組み込みDB環境を大規模モデルで構築し,そのあとデータ領域を拡張することを推奨します。データ領域の拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddarea」を参照してください。なお,ajsembdbaddareaコマンドでデータ領域を拡張する場合は,テーブル領域とインデクス領域が,5:2の比率になるようにそれぞれ拡張してください。

システム領域(システムログファイル)の見積もりについては次の式で算出し,不足している場合は,システムログファイルを拡張してください。

(凡例)

a:総ユニット数

注※

コマンド文,実行ファイル名,スクリプトファイル名などのユニット定義で入力された値の合計を,1ユニット当たり2キロバイトとして計算しています。

システムログファイルの拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddlog」を参照してください。

組み込みDB環境のデータベースモデルの見積もり例について,次に説明します。

(例)

次のような場合を想定します。

総ユニット数:200,000

すべての待ち合わせ条件付きユニットに定義される,待ち合わせの総数:1,000

1日に実行されるユニット数:10,000

保存世代数:5

確定実行登録した予定世代数:10

(0.0045 * 200,000) + (0.001 * 1,000) + (10,000 * (5 + 10 + 1) * 0.0065)
= 900 + 1 + 1,040
= 1,941(単位:メガバイト)

この場合は,大規模モデルでの構築を推奨します。

ajsembdbsetupコマンドに-e sjisオプションを指定してスケジューラーサービスのデータベースをセットアップした場合は,次のとおりです。

表B‒2 組み込みDB環境の構築時に指定できるデータベースモデル(ajsembdbsetupコマンドに-e sjisオプションを指定した場合)

規模

用途

大規模

総ユニット数:38,400〜192,000程度

1日に実行されるユニット数:24,000〜96,000

ディスク容量の目安:約20,700メガバイト

(データ領域:約6,700メガバイト,システム領域:約14,000メガバイト)

自動増分機能を有効にしている場合:

想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。

20,700 + 0.125*(総ユニット数 - 192,000) メガバイト

中規模

総ユニット数:4,000〜38,400程度

1日に実行されるユニット数:4,000〜24,000

ディスク容量の目安:約4,200メガバイト

(データ領域:約1,400メガバイト,システム領域:約2,800メガバイト)

自動増分機能を有効にしている場合:

想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。

4,200 + 0.125*(総ユニット数 - 38,400) メガバイト

小規模

総ユニット数:〜4,000程度

1日に実行されるユニット数:〜4,000

ディスク容量の目安:約520メガバイト

(データ領域:約200メガバイト,システム領域:約320メガバイト)

自動増分機能を有効にしている場合:

想定されている総ユニット数を超えるとき,ディスク容量の目安は次の値になります。

520 + 0.125*(総ユニット数 - 4,000) メガバイト

総ユニット数は大規模に当てはまる(38,400〜192,000程度)が,1日に実行されるユニット数は中規模に当てはまる(4,000〜24,000程度)というように,上記の表に当てはまる規模がない場合は,次の計算をしてください。

((0.0045 * a) + (0.001 * b) + (c * 0.0065)) * 1.25(単位:メガバイト)
(凡例)

a:総ユニット数

b:すべての待ち合わせ条件付きユニットに定義される,待ち合わせの総数

c:

環境設定パラメーターSAVEGENTYPE=TOTALの場合

1日に実行されるユニット数 * (保存世代数 + 確定実行登録した予定世代数 + 1)

環境設定パラメーターSAVEGENTYPE=LEGACYの場合

ルートジョブネットとその配下のユニットの総数 * (保存世代数 + 1 + 保存世代数 * 保存世代数)

注※

コマンド文や実行ファイル名,スクリプトファイル名などのユニット定義で入力された値の合計を,1ユニット当たり2キロバイトとして計算しています。

ジョブネットリリース機能を使用する場合,リリース登録を行うリリース元ユニットのルートジョブネットとその配下のユニットについて,上記の式でサイズを算出し,加算してください。

算出した値が,200メガバイトを超える場合は中規模モデル,1,400メガバイトを超える場合は大規模モデルでの構築を推奨します。

算出した値が6,700メガバイトを超える場合は,組み込みDB環境を大規模モデルで構築し,そのあとデータ領域を拡張することを推奨します。データ領域の拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddarea」を参照してください。なお,ajsembdbaddareaコマンドでデータ領域を拡張する場合は,テーブル領域とインデクス領域が,5:2の比率になるようにそれぞれ拡張してください。

システム領域(システムログファイル)の見積もりについては次の式で算出し,不足している場合は,システムログファイルを拡張してください。

(凡例)

a:総ユニット数

注※

コマンド文,実行ファイル名,スクリプトファイル名などのユニット定義で入力された値の合計を,1ユニット当たり2キロバイトとして計算しています。

システムログファイルの拡張については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド ajsembdbaddlog」を参照してください。

組み込みDB環境のデータベースモデルの見積もり例について,次に説明します。

(例)

次のような場合を想定します。

総ユニット数:100,000

すべての待ち合わせ条件付きユニットに定義される,待ち合わせの総数:1,000

1日に実行されるユニット数:10,000

保存世代数:5

確定実行登録した予定世代数:10

((0.0045 * 100,000) + (0.001 * 1,000) + (10,000 * (5 + 10 + 1) * 0.0065)) * 1.25
= (450 + 1 + 1,040) * 1.25
= 1863.75(単位:メガバイト)

この場合は,大規模モデルでの構築を推奨します。

組み込みDB環境の構築時に組み込みDBのシステム領域を二重化する場合は,さらにディスク容量が増加します。増加するディスク容量を次の表に示します。

表B‒3 組み込みDBのシステム領域を二重化する場合の増加ディスク容量

規模

増加するディスク容量

大規模

約14,000メガバイト

中規模

約2,800メガバイト

小規模

約320メガバイト

組み込みDBのデータ領域およびシステム領域は,RAWファイルにも作成できます。その場合は,次に示す二つまたは三つのパーティションが必要です。

それぞれのパーティションに必要なサイズは,次の表のとおりです。規模ごとのデータベースモデルは,上記の表と同じです。

表B‒4 パーティションに必要なサイズ

規模

用途

大規模

ajssys01:約6,700メガバイト

ajssys11:約14,000メガバイト

ajssys17:約14,000メガバイト

中規模

ajssys01:約1,400メガバイト

ajssys11:約2,800メガバイト

ajssys17:約2,800メガバイト

小規模

ajssys01:約200メガバイト

ajssys11:約320メガバイト

ajssys17:約320メガバイト

注※

組み込みDBのシステム領域を二重化する場合に必要になります。

データベース自動増分機能について

データベース自動増分機能を使用すると,データ領域が不足するたびに少しずつ自動的に拡張され,最大でデータ領域を構築したディスクを使い切るまで拡張されます。拡張されるファイルを次に示します。

  • データ領域格納ディレクトリ以下にあるajssys041ajssys042

  • ajsembdbaddareaコマンドの-dオプションに指定したディレクトリ以下に作成されたファイル

また,システムログ自動増分機能を使用すると,システムログファイルが不足するたびに少しずつ自動的に拡張され,最大でシステムログファイル領域が初期構築サイズの3倍になるまで拡張されます。なお,システムログファイル1ファイル当たりの初期構築サイズは,小規模で23メガバイト,中規模で224メガバイト,大規模で1,152メガバイトです。

拡張されるシステムログファイルを次に示します。

  • データ領域格納ディレクトリ以下にあるajssys01101ajssys01112

  • ajsembdbaddlogコマンドの-rオプションにsysを指定したときの,-dオプションに指定したディレクトリ以下に作成されたファイル

注※

組み込みDBの高度なセットアップでajsembdbbuildコマンドにシステムファイル領域作成ディレクトリ1,システムファイル領域作成ディレクトリ2を指定した場合には,次のファイルが拡張されます。

  • システムファイル領域作成ディレクトリ1以下にあるajssys01101ajssys01112

  • システムファイル領域作成ディレクトリ2以下にあるajssys01701ajssys01712

ajsembdbaddareaコマンドおよびajsembdbaddlogコマンドの詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 コマンドリファレンス1 2. コマンド」を参照してください。

補足事項
  • システムファイルを二重化している場合に必要なディスク容量については,「付録C.1 組み込みDBを使用する場合の準備」の「表C-3 組み込みDB稼働環境ごとの必要ディスク容量」も参照してください。

  • 組み込みDBの高度なセットアップで,アンロードログ運用を適用した組み込みDBを構築した場合,アンロードログファイルを格納するための容量を見積もる必要があります。アンロードログ運用の詳細については,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 5.4.1(1) アンロードログ運用」を参照してください。

  • バージョン8の組み込みDBから移行した場合のディスク占有量の見積もりについては,マニュアル「JP1/Automatic Job Management System 3 設計ガイド(システム構築編) 8.6.1(7) バージョン8の組み込みDBから移行した場合のディスク占有量の見積もり」を参照してください。